提案資料の作り方とは?構成・デザイン・ポイントを徹底解説

ビジネスで提案を成功させるために欠かせないのが、「伝わる提案資料」です。どんなに優れたアイデアも、相手に理解されなければ意味がありません。

提案資料は、あなたの考えや価値を見える化する最強の武器。論理的に整理された構成、視覚的にわかりやすいデザイン、そして受け手に寄り添った表現で、初めて「伝わる提案」が完成します。

また、資料はプレゼン時だけでなく、社内稟議やメール共有などでも活用されるため、誰が見ても理解できることが重要です。

この記事では、そんな「通る提案資料」の作り方を、徹底的に解説します。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

提案資料の例(抜粋版)

なお本記事に登場する企業名・担当者名および資料内容は、機密保持契約に基づき、実際の内容から変更しております。ご了承くださいませ。

提案資料の8つの構成パーツ

提案資料には、必ず押さえておきたい「基本の型」があります。もちろん、基本の型がすべてではなく、自分たちの提案内容に沿ってアレンジを加える必要はありますが、この型に沿って情報を整理するだけでぐっと説得力が増します。
それでは、提案資料に欠かせない8つの構成パーツを見てみましょう。

表紙

提案テーマと会社名、作成日を記載。第一印象を決める大事なスライドです。このスライド自体には中身はないですが、提案する側の「顔」になる重要な要素。読み手にとっては、このスライドが中途半端なものであれば、読んでみたいという気持ちを想起させることはできません。

提案の背景・課題認識

「なぜこの提案が必要なのか?」を論理的に説明します。相手の共感を得る最初のステップです。どのような提案フェーズなのかにも依りますが、初回提案の場合は内容を充実させ、2回目以降の提案の場合は簡潔な内容にまとめるケースが多いです。

解決策(提案内容)

課題に対してどのような解決策を提示するか、具体的に伝えましょう。商品・サービスを提供している場合はその内容を記載することが多いですが、コンサルティングなどを提供する場合は「論点」を整理してあげることもあります。

導入メリット・強み

導入することで得られるメリットや、自社の強みを記載しましょう。ここで実現したいことは、紹介した解決策に対して納得感・安心感を持ってもらうことです。そのために必要な情報を、できれば数字を使って定量的に強調することが出来れば、読み手は提案内容に共感してくれます。

支援体制

実行段階に移るための支援体制を示します。自社・顧客のなかで、誰が提案内容を実現してくれるのかを明示する必要があります。特に、かたちのないサービスを提供している企業については、この支援体制をおろそかにしてしまうと、顧客が離れていく可能性が高くなってしまいます。

タスク・スケジュール

支援体制は「誰が」に焦点を当てていましたが、ここでは「どのように」と「いつまでに」に焦点を当て、提案内容を具体的な実行手順にまで落とし込んでいきます。細かく書きすぎてしまうと、その内容の順守が難しくなるという点で後々苦しめられてしまうかもしれませんが、できる限り詳細に書くようにしましょう。

費用・見積もり

コストに関する情報は、信頼の有無に直結します。わかりやすく、透明性を持って記載しましょう。まずは少し高めに見積もりを提示することで最大利益を獲得できることもありますが、顧客との信頼関係次第では「そんなに高いならいらない」となってしまうこともありますので、温度感を見極めてスライド内容を決定しましょう。

まとめ・次アクション

最後は提案の要点を整理し、相手に求める行動(例:検討依頼、打ち合わせ設定など)を明確に伝えます。このスライドのありなしで、相手が次のアクションを自分事化するか否かが決まり、ひいては商品・サービスの購入有無に直結します。

提案のストーリー設計

提案資料において、「何を伝えるか」と同じくらい重要なのが「どう伝えるか」です。伝える順番=構成によって、提案の説得力が変わってきます。

基本は以下の流れを意識しましょう。
Why(背景):「なぜこの提案が必要なのか?」
What(提案):「何を提供するのか?」
How(実施):「どう実現するのか?」
Benefit(効果):「どんなメリットがあるのか?」

この構成をもとに話を展開すると、論理的に筋が通った提案になります。また、冒頭で課題に共感し、後半で期待感を持たせることで、読み手の納得感が大きく変わります。資料構成に悩んだときは、「読み手の思考の流れに沿う」ことを意識すると、自然と良い構成になります。

あなただったら、自分が作ったこの提案資料の内容で心が揺さぶられるでしょうか?
揺さぶられないのであれば、もっと工夫が必要というサインかもしれません。

資料作成の流れを型で押さえるだけで、作業が爆速に!

提案資料の作成は、「いきなりパワポ」で始めないことが鉄則。まずは全体設計から始めることで、完成度もスピードも上がります。パソコンのメモ帳や手書きのノートでも構いません。

どのような提案資料に仕上げたいのか、まずは文字に落とし込んでみてください。このとき、「頭で考えているから大丈夫」は絶対にやめてください。案外、人は文字に落とし込むと、自分がきちんと考えられていないことを自覚できるものです。

以下の作成ステップにのっとり、最高の提案資料を最速で仕上げていきましょう。

目的を明確化
誰に、何を伝え、どう動いてもらいたいのかを整理します。提案資料はあくまでも「手段」です。そして、その手段は「目的」を達成するために必要な要素に過ぎません。そのため、まずは提案資料作成の大前提である目的を整理することが極めて重要なのです。

ストーリーを作成
前述の「8つのパート」に当てはめて、大まかなストーリーを設計します。大まかなストーリーとは、各スライドのタイトル・メッセージ(何を書くべきかを示した100文字以下の文章)を指します。ここまで揃えば、提案資料の内容が8割完成したと言っても過言ではありません。

必要な情報・素材を収集
実績データ、写真、導入事例など、信頼を支える材料を準備します。言い換えれば、作成したストーリーを裏付けるための情報です。もし情報が足りないのであれば、ストーリーを多少変える必要が出てくるため、情報収集はスライド作成の前に行うようにしてください。

スライドの作り込み
作成したストーリーと収集した情報・素材に基づいてスライドを整えます。ここまでで頭を使う準備はすべて完了しているので、スライド作成はよい意味で単なる「作業」になっています。デザインにも気を配りながら、提案資料を仕上げていきましょう。

レビュー・ブラッシュアップ
最後に、第三者の目を入れて、論理の飛躍や言葉のあいまいさをチェックします。このステップを踏んでいる方はかなり少ないですが、自分だけで作成していると視野が狭くなってしまいますので、積極的に自分以外の目を入れるようにチャレンジしてみてください。

この手順で進めることで、ブレのない、伝わる資料がスムーズに仕上がります。

重要なことはスライドを1枚1枚作りこむ前に、その前提となるストーリーを作り上げることです。スライドの作り込みから行ってしまうと、提案資料が「何を言っているのか分からない資料」になってしまいます。絶対に気を付けてくださいね。

見やすさは正義!伝わるデザインのための3つのコツ

提案資料は内容だけでなく、「見せ方」も重要です。読みにくい資料は、それだけで読む気を削いでしまいます。最低限、次の3つは押さえておきましょう。

フォント・色・余白の統一
タイトル・本文・注釈など、役割ごとにフォントサイズや色を分け、統一感を持たせます。ちなみに、色は3色以内が目安です。資料作成に慣れていない方はたくさんの色を使用しがちですが、色の数=情報=見にくい資料になってしまいますので、できる限り色の使用は抑えてください。

1スライド1メッセージ
1枚のスライドに、伝えたいことは1つだけであり、情報過多はNGです。例えば、クライアントが抱える課題と自社のサービスを同じスライドで語るよりも、2スライドに分けて語るほうが洗礼された見やすい資料に仕上げることが出来ます。

図解とビジュアルを活用
テキストよりも図・表・アイコンなどの視覚要素が伝わりやすいです。数字はグラフ化、流れは矢印で表現をする。もちろん、デザイン面で考えるとそれ以外の手段も有効ですが、提案資料の作成に慣れていない場合は、とにかくシンプルに作ることを意識しましょう。

すぐに使えるテンプレート

提案資料をうまく作るには、優れた事例を真似るのが一番の近道です。

私たちが作成したテンプレートをいくつかご用意したので、ぜひ使ってみてください。記載されている文章を調整すれば、時間をかけずにプロフェッショナルな提案資料を完成させることができます。

ダウンロードはこちら(他にもテンプレートがたくさん!)


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まとめ

提案資料は、提案を通すための設計図です。成功の鍵は、「論理的な構成」と「伝わる表現」。今回ご紹介した8つの基本構成と、Why→What→How→Benefitのストーリー構成を意識すれば、説得力のある資料が誰でも作れます。

さらに、目的を明確にし、ストーリーを構築し、情報を集め、スライドを作りこむという資料作成の「型」を押さえておけば、効率よく完成度の高い資料が仕上がるはずです。そのうえでデザインに気を配ることで、情報がより伝わりやすくなり、印象にも残ります。

提案を通すために、資料はただの説明ツールではなく、納得を得る武器であることを、ぜひ意識してください。

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!
1枚4,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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