【無料配布】スタートアップのピッチ資料テンプレート|資金調達成功の秘訣


資金調達を検討しているスタートアップにとって、ピッチ資料は投資家と初めて対話するための最重要ツールです。たとえ事業が有望でも、資料の完成度が低ければ投資家の理解を得る前に検討から外れてしまうこともあります。

本コラムでは、私たちが用意した3種類の無料テンプレートを紹介しながら、ピッチ資料の基本構成、各スライドの作り方、成功事例に共通するポイント、失敗を避ける方法、完成までのステップを徹底解説します。

記事を読み終えるころには、テンプレートの使い方を理解し、投資家へ提出できる水準の資料を完成させるための土台が出来上がっているはずです。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

無料ピッチ資料のテンプレートをダウンロード!

本記事では2つのテンプレートを用意していますが、いずれも完成品ではなく、あなたの事業の物語を素早く形にするための土台に過ぎません。

まずは2つのファイルを順に確認し、スライドの流れ、見出しの言い回し、図表の扱い方などを俯瞰してください。そのうえで自社の現状に最も近い1つを仮に選んでみてください。

そのうえで、自分が盛り込みたい内容をメモ帳などにストーリーに落とし込んでみてください。資料の目次や各スライドで伝えたいメッセージを簡単にまとめたものを指します。忘れずに、ロゴとブランドカラーも差し替えておきましょう。ここで時間をかけすぎないことが重要で、初期段階では完璧さよりも「全体のつながりの良さ」を重視します。

次に、仮説レベルでも構わないので、全スライドを一度自社情報で埋めます。ユーザーの痛み、驚くような解決策、市場におけるターゲティング方法、収益の生まれ方、獲得手順、チームの実行力、そして資金の使い道。テンプレートの見出しに合わせて事実を当てはめるのではなく、事実の方から語るべき順番を微修正し、不要なスライドは躊躇なく削ぎ落としてください。テンプレートはあなたを縛るあるべき枠ではなく、素早くピッチ資料を仕上げるための踏み台です。

テンプレートを活用して、ぜひ最短ルートでスタートアップピッチ資料を作成してください!

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スタートアップのピッチ資料とは?必要な理由

テンプレートのご紹介が終わったところで、あるべきピッチ資料の中身について考えていきましょう。

ピッチ資料は、単なる事業紹介パンフレットではなく、投資家の意思決定を前に進めるための設計図のようなものです。投資家は毎週のように複数の案件を検討しており、限られた時間の中で事業の魅力とリスクを素早く見極めなければなりません。そのため、ピッチ資料は投資家の頭の中にある評価軸を先回りして整理し、必要な情報を漏れなく、かつ冗長にならずに届ける必要があります。

さらにピッチ資料は、スタートアップ自身の仮説と学習の軌跡を記録する役割も果たします。ユーザーインタビューや実証実験で得た知見を資料として落とし込み続けることで、どの仮説が正しく、どの前提が変わり、どの部分がまだ未確定なのかを明確に示すことができます。投資家はスタートアップピッチ資料において、こうした学習(どのように失敗し、改善を繰り返してきたかということ)の速度や柔軟性を高く評価するため、ピッチ資料を更新すること自体が事業への信頼性を示すシグナルになるのです。

投資家が求めるスライド構成と各スライドの作り方

それでは、スタートアップピッチ資料をどのような構成にすべきなのかを考えていきましょう。

表紙
最初の1枚は表紙です。会社名やロゴ、商品・サービス名やメッセージを記載しておきましょう。1枚目は資料の良し悪しを判断するための最大の材料になります。油断せず、インパクト重視で作成するようにしてください。

課題
対象ユーザーを絞り、頻度、時間、金額、心理的負担といった単位で課題を定量化します。一般論ではなく、現場の一次情報で輪郭を立てることが肝心です。もし統計や公開データを援用するなら、あなたが狙うセグメントに引き直し、過不足のない範囲に切り取ってから載せます。

解決策
機能の列挙ではなく、ユーザーの行動がどう変わるかで語ります。導入までの手間、習熟までの時間、成果が出るまでの期間を短く示し、既存手段に対してどこで非連続な変化を起こすかを一言で示します。技術的な裏付けは必要十分の範囲に留め、詳細は補資料に逃がす方が主スライドの視認性が高まります。

市場規模
一般公開されている推計に頼り切らず、ターゲット母集団と単価、購入頻度を掛け合わせた現実的な見積もりを提示します。最初に刺さる小さなグループを定義し、そこから大きなグループへと広げていく順番も示します。あなたが今どこに立っているか、次にどこへ進むかがわかれば、数字の大きさそのものよりも説得力が増します。

ビジネスモデル
誰が、いつ、いくら、どのチャネルで支払うのかを明快にし、投資家たちに事業として成立することを示します。ビジネスモデルはシンプルであればあるほど分かりやすいです。過度な複雑さは避けてください。

競合と代替品
直接競合はもちろん、代替品も比較して自社の優位性を示します。評価軸は顧客が実際に比べる視点を採用し、自分に都合の良い軸の発明は避けます。差別化は「違いの羅列」ではなく「選ばれ続ける理由」として考えなければいけません。

ゴートゥーマーケット戦略(ロードマップ)
自社の商品やサービスをターゲット顧客に効果的に届けるための戦略を作成します。数値は範囲で構わないので再現性の感触が伝わるレベルまで落とし込み、実験、学習、定着のサイクルをロードマップとして描きます。ここが「頑張る」の一言で終わっていると、計画全体の信頼性が下がります。

財務計画
3年程度の見通しを提示しますが、主役は数字そのものではなく前提条件です。価格、解約、採用、広告単価など主要ドライバーの仮説をまとめ、上下の感応度を添えます。こうした前提条件をもとに財務数値を示せば、納得感が格段に異なります。

チーム
投資家は事業内容だけではなく、その事業を誰と成立させるかということも明示する必要があります。事業を推進する上で必要な機能を備えたメンバーがいること、あるいは今後獲得できることを伝えるようにしましょう。

調達ラウンドと使途
希望金額に加えて、資金がどのアクションに振り向けられ、何カ月後にどの指標にどれほど刺さるのかを示します。資金を提供する側から見ると、効果的に使用されるかは、やはり気になるところです。


スタートアップピッチ資料の仕上げとして、1枚につき1つの結論を置き、3秒で主旨が読み取れ、30秒で根拠が追える構造にすることです。共有させていただいたテンプレートの順番も本章で紹介した構成を念頭に置いていますが、完全ではありません。ぜひテンプレートをアレンジして、あなたの事業にとって最適な資料に仕立ててください!

成功するピッチ資料の共通点

成功するピッチ資料は、まず一言で事業の本質を説明できる明快さを持っています。

課題の深刻さが具体的な数字で示され、解決策が既存手段に比べて10倍の価値を提供していることが直感的に伝わります。市場は小さく刺さって大きく広がる順序で説明され、顧客獲得戦略は再現性のあるロードマップで裏付けられています。

数字はすべて整合しており、グラフとテキストが矛盾しません。チームは経歴の羅列ではなく、達成してきた実績と今後の役割分担、足りない部分の補完計画まで示されています。

さらに資金の使途が具体的で、調達後に到達すべき指標が明確であるため、投資家が次のステップをイメージしやすくなっています。

こうした要諦を押さえた資料にすることで、投資家からの信頼は格段に向上します。

よくある失敗例とその防ぎ方

ここまででスタートアップピッチ資料の基本を押さえましたが、実は多くのスタートアップが同じようなつまずきを経験します。ここでは、特に起こりやすい失敗と、その防ぎ方を紹介します。

まずありがちなのは、市場規模を大きく見せようとして、実際に狙える範囲がぼやけてしまうケースです。投資家は「このチームがどこから攻めていくのか」を知りたがっています。市場を大きく見せるだけではなく、最初に狙う顧客層や地域、数の見通しを具体的に書くと現実味が増します。

また、技術の説明ばかりにページを割いてしまい、肝心の顧客がどう変わるのかが伝わらない資料も少なくありません。導入前と導入後で何が変わるのか、時間やコスト、作業量がどう減るのかを「ビフォー/アフター」で見せると、技術ではなく価値が主役になります。

競合分析でも、自社に有利な見せ方をしてしまうのは避けたいところです。投資家は実際に顧客が比較している基準で見たいと思っています。顧客が選択時に重視するポイントを使ってポジションを示せば、納得感のある分析になります。

ゴートゥーマーケット戦略では「営業を頑張る」といった精神論だけでは不十分です。どのチャネルからどれくらいの割合で顧客が次のステップに進むのか、1件獲得するのにどれくらいコストがかかるのかといった数字を見せると、再現性が伝わります。

最後に、数字の整合が取れていないと一瞬で信頼を失います。グラフと本文の数値が合わない、単位が揃っていないといった細かいミスが命取りになりかねません。

まとめ|次にやるべきアクション

この記事では、スタートアップが資金調達の場で投資家にしっかり伝わるピッチ資料を作るために、テンプレートの紹介からスライド構成、作り方のポイントまで解説しました。

まずは自社のフェーズや目的に合わせてテンプレートを選びましょう。選んだら、完璧を目指す前に短時間で初稿を作り切ることが大切です。全スライドに一度情報を入れ、数字の前提を整理して整合性を確認します。そのうえで、顧客インタビューの声や実証データを追加し、資料全体に現実感と説得力を持たせます。

資料が完成したら、3分、7分、15分といった複数の時間バージョンでピッチ練習を重ね、想定質問と答えを準備します。面談後に求められる追加資料や数値をすぐに送れるよう、データルームを整えておくとやり取りがスムーズです。

ピッチ資料は一度作れば終わりではなく、事業の成長や学びに合わせて何度も更新するものです。テンプレートを起点に、学習と改善を重ねながら、自社の進化を映し出す“生きたドキュメント”として育てていきましょう。

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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