提案資料を作るときに、「内容は良いはずなのに相手に刺さらない」「どうも見た目が野暮ったくて自信が持てない」と悩んだことはありませんか。実は、提案資料のデザインはちょっとした工夫で大きく印象が変わり、読まれやすさや採用率まで左右します。この記事では、提案資料デザインにおけるよくある失敗と原因を整理したうえで、わずか3つの改善で印象を劇的に変える方法を紹介します。
この記事を読み終わるころには、提案資料を作るときにどこを直せば見やすくなるのかが明確になり、自信を持って提出できる資料を作れるようになります!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
はじめに|提案資料が読まれない3つの理由
提案資料を一生懸命作ったのに、相手からの反応が薄い、検討会でほとんど目を通してもらえない、そんな経験をした人は多いのではないでしょうか。提案資料が読まれないのは、内容そのものが悪いとは限りません。むしろ多くの場合は「見せ方」に問題があります。人は限られた時間の中で多くの資料に目を通すため、ぱっと見て理解できるものにだけ注意を向けます。逆に言えば、少しでも見づらい、何を言いたいのかわからないと感じた瞬間に、読み飛ばされてしまいます。
提案資料が読まれない理由の1つ目は、情報量の過多です。良かれと思ってあらゆるデータや背景情報を詰め込みすぎると、ページ全体が文字で埋まり、読む前から疲れてしまいます。読者は情報をすべて読み取ろうとせず、視線を数秒走らせて、理解できそうにないと判断した時点で離脱します。
2つ目の理由は、一貫性の欠如です。フォントや色、見出しの位置、ページ番号の有無などがページごとにばらついていると、読者は無意識のうちにストレスを感じます。資料全体の統一感がないと、提案そのものにも一貫性がないように見えてしまい、信頼性が下がります。
3つ目は、視覚的な配慮の不足です。文章だけが長く並び、余白が少なく、図解やグラフがない提案資料は、情報が頭に入ってきません。人間は視覚情報を優先的に処理します。グラフ一つ、アイコン一つあるだけで、理解度がぐっと高まるのです。見やすさが欠けていると、相手は必要以上に労力をかけて内容を解釈しなければならず、集中力が削がれてしまいます。
情報量の整理、一貫性のあるデザインルール、視覚的にわかりやすい見せ方。この3つを実践するだけで、あなたの提案資料は相手に読まれ、理解され、納得される資料に生まれ変わります。

改善①:情報量を整理して「1ページ1メッセージ」に
提案資料作成で最も大切なのは、情報を整理することです。多くの人がやりがちなのは、1ページにできるだけ多くの情報を詰め込もうとすることです。しかし、読む側の集中力には限界があります。一度に複数のメッセージが詰め込まれたページを見せられると、どこに注目すべきか分からなくなり、結局どのメッセージも伝わりません。
「1ページ1メッセージ」は、提案資料を作る上での黄金ルールです。まず、自分が伝えたいメッセージを整理し、優先順位をつけます。そして、1ページに載せるのは最も重要なメッセージ一つに絞ります。たとえば課題を説明するページでは課題だけを扱い、解決策を載せるのは次のページに回します。ページごとに「今日伝えたいのはこれです」と明確に主張することで、読み手は迷わず理解できます。
情報を整理するためには、まず紙やホワイトボードに書き出して構造を見える化すると効果的です。課題、解決策、効果、実施計画といった大きな章立てを先に決め、その下に必要な要素を書き込みます。要素ごとに重複や不要な情報がないかをチェックし、優先度の低いものは思い切って削除します。情報を削るのは勇気がいりますが、読む人の負担を減らすためには必要な作業です。
また、文章そのものも簡潔にします。長い一文を二つに分ける、同じ意味の言葉を繰り返さない、専門用語には説明を添える。これだけで読みやすさが格段に向上します。ページに載せる要素を減らした分、図やグラフで補えば、見た目もすっきりし、情報が頭に残りやすくなります。

改善②:デザインルールを決めて全体に一貫性を持たせる
情報量を整理したら、次は提案資料全体のデザインを統一します。ここで言うデザインとは、単なる見た目の美しさではなく、情報がストレスなく読者に届くための設計です。一貫性のあるデザインは、読む人に安心感と信頼感を与えます。
まずフォントと文字サイズを決めます。見出しはゴシック体で18〜24ポイント、本文は14〜16ポイント程度に揃えるとメリハリが出ます。フォントは提案資料全体で一種類、または見出しと本文で二種類までに絞ります。ページごとにフォントが違うと、資料の統一感が損なわれます。
次に配色ルールを決めます。基本は白背景に黒文字で、アクセントカラーを一色か二色だけ使うと整った印象になります。コーポレートカラーを使う場合は、その色を見出しやグラフ、アイコンに反映させて統一感を出します。多色使いは避け、色の意味付けを揃えることで視覚的に整理された資料になります。
さらにレイアウトの統一も大切です。見出しの位置、ロゴの配置、ページ番号の場所を決めて、全ページで揃えます。図や表のスタイルも同じフォーマットにすると、提案資料全体が一つの作品として完成度の高い印象を与えます。統一感は無意識に読み手の安心感を高め、提案の信頼性を強化します。

改善③:見やすさを高める余白・アイコン・グラフ活用法
最後の改善ポイントは、視覚的な見やすさを高めることです。情報は詰め込めば良いわけではなく、適度な余白を確保することで、かえって情報が引き立ちます。行間を広めにとる、段落と段落の間にスペースを入れる、ページ上下左右に余裕を持たせる。これだけで同じ情報量でも圧迫感が消え、呼吸しながら読むことができます。
また、アイコンを活用すると、直感的に内容が伝わります。課題、解決策、メリットといった重要部分にアイコンを添えると、ページをパッと見ただけで情報の意味が分かります。ビジュアルがあると記憶にも残りやすくなり、提案資料を見返すときの手がかりにもなります。
グラフも効果的です。数字を文章で説明するより、棒グラフや円グラフで示す方が一瞬で差や割合がわかります。比較を示すなら棒グラフ、構成比なら円グラフ、推移なら折れ線グラフと使い分けると、読み手の理解を助けます。図表は色やフォントを統一し、見やすいサイズにすることが重要です。

読まれる提案資料に共通するデザインチェックリスト
提案資料が完成したら、必ず最終確認を行います。読まれる提案資料には共通点があります。
まず、一目で目的がわかるかどうか。表紙や冒頭ページに提案の狙いやゴールが明確に書かれていれば、読み手は安心して先を読み進めます。
次に、情報の流れが自然かどうか。現状から課題、解決策、効果、実施計画、コスト、結論へと論理的に流れていれば、読み手は迷わず納得できます。逆に、いきなり解決策だけ提示されると唐突感があり、受け入れられにくくなります。
また、全ページのデザインが揃っているかを確認します。フォントサイズ、配色、図表のスタイル、ページ番号の位置などが揃っていると、資料全体が引き締まり、プロフェッショナルな印象になります。
そして、読みやすさ。余白が確保され、行間が適切か、図やグラフが見やすいかをチェックします。重要なポイントがきちんと強調され、視線が迷わないかも確認しましょう。
最後に、次のアクションが明確に書かれているかを確認します。承認依頼や検討依頼、次回の打ち合わせ提案など、読み終えた人が具体的に何をすればいいかが明示されていれば、提案資料は初めて意味を持ちます。

まとめ|提案資料の印象を変える最短ルート
提案資料の印象は、ちょっとした改善で大きく変わります。情報量を整理し、1ページ1メッセージに絞ることで伝えたい内容が明確になります。デザインルールを決めて全体に一貫性を持たせれば、資料の完成度と信頼感が高まります。そして余白やアイコン、グラフを活用して見やすさを高めれば、読む人が自然と内容を理解できる提案資料になります。
提案資料作りはセンスではなく技術です。誰でも正しい型を学べば、読みやすく説得力のある提案資料を作ることができます。次に提案資料を作成するときは、この三つの改善を意識して取り入れてみてください。それだけであなたの提案資料は、相手の心に届く強力な武器に変わります。
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