提案書の作成ステップ5選|構成・書き方・注意点を徹底解説

提案書の作成ステップ5選|構成・書き方・注意点を徹底解説


提案書は、あなたの考えやサービスを相手に伝え、理解してもらい、最終的に採用してもらうための重要なコミュニケーションツールです。ところが、多くの人が提案書を作成するときに「とりあえず内容を書き始める」ことからスタートしてしまいます。その結果、情報が整理されていなかったり、読む人が途中で混乱するような構成になってしまうことがよくあります。

提案書はただの情報の寄せ集めではなく、相手にとってわかりやすく、納得感があり、行動につながるように設計されたストーリーである必要があります。この記事では、そのような提案書を作成するための方法について、作成ステップを5つに分けて解説しております。ぜひご覧ください!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

ステップ①:目的とターゲットを明確にする

提案書作成の第一歩は、何よりも目的を明確にすることです。この提案書は何のために作るのか、誰に読んでもらい、どんな行動を起こしてほしいのかを最初に決める必要があります。例えば、新しいサービスを導入してもらいたいのか、予算を承認してもらいたいのか、パートナーシップを結びたいのかによって、書く内容は大きく変わります。

ターゲットの理解も欠かせません。提案書を読む人の職種、立場、関心事、専門知識のレベルを考慮し、適切な言葉や説明量を選びます。経営層に向けた提案であれば、全体像やメリット、リスク、投資対効果といった視点を重視します。現場担当者に向けた提案であれば、実際の運用方法や作業負荷への影響など具体的な情報が必要です。ここでターゲットが曖昧なまま作成を進めると、内容が的外れになり、読まれない提案書になってしまいます。

目的とターゲットを決めたら、一文で表現してみましょう。「〇〇部長に、来期からの広告予算50%増額を承認してもらうための提案書」と書けるようにすることで、全体の軸がぶれなくなります。

ステップ②:提案書の構成を決める(基本フォーマット)

次に行うべきは、提案書の骨組みを決めることです。いきなり文章を書き始めるのではなく、まず章立て(アウトライン)を作成します。一般的な提案書の構成は以下のようになります。こうした基本を押さえながら、自分たち流にアレンジして提案書の章立てを検討してみてください。


表紙(タイトル、日付、作成者)

提案書の顔となるページです。提案タイトルは一目で内容がわかる簡潔なものにし、相手の関心を引きましょう。日付、提案先企業名、作成者(社名・部署・担当者)を明記します。デザインはシンプルかつ信頼感のあるものに。余計な情報は入れず、タイトルが際立つようにします。

目的・背景(なぜこの提案が必要か)

提案の出発点を説明するパートです。「なぜこの提案をするのか?」を明確に書きます。背景として市場環境の変化や現状の問題点、経営方針との整合性などを簡潔にまとめます。ここで相手と「目線」を合わせることが大切です。

現状と課題(データや現場の声)

定量データや現場の事実を用いて、現状と課題を客観的に示します。売上推移、コスト構造、顧客満足度、作業負荷など、提案の根拠となる数値を提示しましょう。課題は3〜5つに絞り、優先度が高いものから順に整理します。ここで問題をしっかり認識させることで、次の「解決策」への期待が高まります。

解決策(提案内容)

提案の核心部分です。課題ごとに具体的な解決策を示し、どのように現状を改善するかを説明します。図解やフローチャートを使って視覚的にわかりやすくするのがポイントです。複数案を提示する場合は、メリット・デメリットを比較表で示し、採用すべき案を推奨します。

導入効果(メリット、投資対効果)

提案を実行した場合の成果を定量的・定性的に示します。コスト削減効果、売上増加、業務効率化、人材育成など、相手が得られるベネフィットを明確に書きましょう。可能であればROI(投資対効果)を数値で提示し、「この提案は投資に見合う価値がある」と納得してもらいます。

実施計画(スケジュール、体制)

提案をどのように実行するか、具体的な計画を示します。スケジュールはフェーズごとに分け、いつ何をするのかを明確に。実施体制は担当部署や責任者を明記し、相手が実現可能性をイメージできるようにします。図表を用いると視覚的にわかりやすいです。

コスト(費用見積もり)

提案を実現するために必要な費用を明確に提示します。初期費用、ランニングコスト、追加費用があれば分けて記載。見積金額の内訳を簡潔に説明し、コストに対する成果(コスパ)を再度強調します。曖昧な数字は避け、根拠を添えると信頼感が高まります。

まとめと次のアクション(承認や検討のお願い)

提案の要点を短く整理し、相手に求める次のステップを明確に書きます。「承認をお願いします」「次回会議でご検討ください」「デモの実施日程をご調整ください」など、具体的な行動喚起を入れることで、提案書の目的を達成しやすくなります。


このように構成を決めてから中身を書き始めることで、情報の抜け漏れを防ぎ、読み手が自然に理解できる流れを作れます。特に「現状と課題」から「解決策」へと進むストーリーは、相手に納得してもらうために重要です。課題を明確に示した上で解決策を提示すると、提案に説得力が増します。

ステップ③:わかりやすい文章と説得力のある根拠を書く

構成が決まったら、各章の中身を書いていきます。ここで意識したいのは「短く、簡潔に、論理的に」です。1文は長くなりすぎないようにし、主語と述語の関係を明確にします。「〜だと思います」ではなく「〜です」「~である」と言い切ると、自信のある提案に見えます。

また、提案には根拠が欠かせません。「なぜこれが必要なのか」をデータや事例を用いて説明しましょう。市場調査データ、社内実績、顧客の声などを引用すると、提案の信頼性が高まります。数字はグラフや表を活用するとさらに効果的です。例えば「顧客満足度が20%向上」と文字で書くより、ビフォーアフターのグラフを見せた方が一瞬で伝わります。

読み手に負担をかけないために、箇条書きを活用しましょう。長文の段落よりも、3〜5項目の箇条書きの方が理解しやすくなります。特にメリット・デメリットなどを並べるときに有効です。

ステップ④:デザインとレイアウトで見やすさを整える

文章が完成したら、提案書全体を見やすいデザインに整えます。フォントは見出しと本文で使い分け、文字サイズを統一します。行間は詰めすぎず、1.3〜1.5倍程度を確保すると読みやすくなります。

レイアウトでは「1ページ1メッセージ」を意識しましょう。複数のメッセージを詰め込むと、どれが重要なのかわかりにくくなります。余白をしっかり取り、視線の流れを意識した配置にすることで、相手は自然に内容を理解できます。

色使いも重要です。メインカラーとアクセントカラーを決め、全体に統一感を持たせます。強調したい箇所は太字や色を変えると目に入りやすくなりますが、多用すると逆効果なので注意が必要です。

図解やアイコンを取り入れると視覚的に理解しやすくなります。プロセスを説明するときはフローチャート、比較を示すときは表やグラフを活用しましょう。

ステップ⑤:最終チェックと第三者レビューを行う

提案書が完成したら、必ず最終チェックを行います。誤字脱字、数字の誤り、リンク切れなどの基本的な確認はもちろん、論理の飛躍や情報の重複がないかを見直しましょう。特に提案書の冒頭と結論部分は、相手が最も注目する箇所なので、伝えたいメッセージが明確かどうかを再確認します。

可能であれば第三者レビューを行いましょう。自分ではわかりやすいと思っていても、他人の目で見れば改善点が見つかることが多いです。上司や同僚、顧客に近い立場の人に読んでもらい、理解しやすさや説得力についてフィードバックをもらいましょう。

よくある失敗例と回避方法

提案書作成では、よくある落とし穴があります。例えば「情報を詰め込みすぎて読みにくい」「目的が不明確」「デザインがバラバラ」「数字や根拠がない」「次のアクションが示されていない」などです。これらはどれも、事前にステップを踏んで準備していれば防げる問題です。

詰め込みすぎを防ぐには、最初にページ数の目安を決めると良いでしょう。目的が不明確にならないように、冒頭で提案のゴールを明記します。デザインはテンプレートを使って統一感を出し、根拠となるデータは必ず引用元を明記します。最後に「承認をお願いします」「次回の打ち合わせでご検討ください」といった行動喚起を忘れずに入れましょう。

言われてみれば当たり前かもしれませんが、案外しっかりとできている方は少ないものです。

まとめ|次の提案書から実践できるポイント

提案書は、適切なステップを踏めば誰でも品質を高めることができます。まず目的とターゲットを明確にし、構成を決めてから文章を書き始めること。次に、デザインとレイアウトを整え、読みやすさと説得力を高めること。そして最後に第三者レビューで客観的な視点を取り入れること。この3つを意識するだけで、提案書の完成度は格段に上がります。

提案書作成は一度きりではなく、繰り返すたびに改善していくものです。今回紹介したステップを実践し、次の提案書からすぐに試してみてください。積み重ねることで、提案が通りやすくなり、ビジネスの成果にもつながるはずです。

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