営業資料の作り方を徹底解説|初心者でも成果が出るステップガイド

営業資料の作り方を徹底解説|初心者でも成果が出るステップガイド


営業活動の現場において、営業資料の重要性は年々高まっています。顧客は多くの情報を比較検討しながら意思決定を行うため、短時間で信頼を得て自社の価値を伝えることが求められます。その際、営業担当者の言葉だけに依存していては十分ではなく、論理的かつ視覚的にメッセージを補強する「営業資料」が欠かせません。

本コラムでは、初心者でも実践できる営業資料の作り方を体系的に解説します。まずは営業資料の基本的な役割と目的を押さえたうえで、成果を左右する理由を明確にします。その後、作成に入る前に準備すべき3つのポイントを整理し、具体的なステップを1から5まで順に解説します。さらに、完成後に成果を高める改善の方法まで取り上げることで、単なる一度きりの資料ではなく「進化し続ける営業資料」をつくるための全体像を示します。

このコラムを読むことで、単なるスライド作成のノウハウにとどまらず、顧客に響き、成果に直結する営業資料作成の考え方が身につきます。営業初心者はもちろん、改めて基礎から見直したい経験者にとっても有益な内容となるはずです。ぜひご覧ください!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

営業資料とは?基本的な役割と目的

営業資料とは、商談や提案の場で自社の価値を顧客に伝えるために用いられるツールであり、単なる商品カタログや説明文書とは異なります。

役割は大きく分けて3つあります。1つ目は「情報伝達」です。限られた時間の中で商品やサービスの価値を明確に伝えるために、資料は要点を整理し、視覚的に補強する役割を担います。2つ目は「信頼構築」です。しっかりした資料は企業の姿勢や誠実さを表し、顧客に安心感を与えます。そして3つ目は「行動喚起」です。資料を通じて顧客に「導入を検討したい」「次回の打ち合わせを設定したい」と思わせることが最終的な目的です。

さらに、営業資料には「営業担当者の代弁者」としての役割もあります。展示会やオンライン上で配布されたとき、担当者が不在でも企業の魅力を伝える存在となります。そのため、営業資料は単なる販促物ではなく、企業の顔としての重みを持ちます。資料の質が高ければ、顧客の意思決定に大きな影響を与え、商談の成功率を高めることができます。

つまり、営業資料の目的は「情報を伝えること」ではなく「顧客に行動を起こさせること」にあります。この視点を忘れずに作成することが、成果を生む第一歩です。

営業資料が成果を左右する理由

営業資料は営業活動の成否を大きく左右します。その理由は、顧客が意思決定を行う際に「視覚的・論理的な裏付け」を必要とするからです。人は口頭の説明よりも視覚情報から多くを判断するとされ、また文章や図表は繰り返し確認することが可能です。そのため、資料が整っていれば、顧客の理解度は高まり、記憶にも残りやすくなります。

営業資料は営業担当者の力量を標準化する効果も持ちます。優秀な営業担当者でなくても、質の高い資料を活用すれば一定水準以上の成果を期待できます。逆に、資料が不十分だとどれだけ説明力があっても説得力を欠き、機会損失につながります。さらに、顧客は複数の選択肢を比較することが多く、資料が劣っていれば競合他社に見劣りし、結果として受注率を下げてしまいます。

つまり、営業資料は単なる補助ツールではなく「成果を決定づける要因」の1つです。営業成果が伸び悩んでいる場合、資料の質を見直すだけで改善できるケースも多いのです。

作成前に押さえるべき3つの準備

営業資料を作り始める前に、必ず準備すべきことがあります。

1つ目は「ターゲットの具体化」です。資料は誰に向けて作るかによって表現や内容が大きく変わります。経営層と現場担当者では関心領域が異なり、同じ資料では刺さりません。対象をできるだけ具体的に定義することが必要です。

2つ目は「シナリオの方向性を決めること」です。商談全体を通じて顧客にどう行動してほしいか、そのためにどのような流れで情報を提示するかをあらかじめ設計します。例えば「問題提起 → 解決策提示 → 成功事例 → 導入メリット」という流れを描いておくと、途中で迷走せず一貫した資料に仕上げられます。

3つ目は「情報の取捨選択」です。よくある失敗は、伝えたいことをすべて盛り込んでしまい、冗長でわかりにくい資料になることです。顧客が求めるのは「決断の助けになる情報」であり、社内の全データではありません。作成前に「必須」「補足」「削除候補」と分類しておくと、スリムで伝わりやすい資料に仕上がります。

これら3つの準備を整えることで、以降のステップがスムーズに進み、成果につながる資料作成が可能になります。

ステップ1|目的を明確にする

営業資料を作成する最初のステップは「目的の明確化」です。

目的が定まらないまま作ると、情報が散漫になり、結局何を伝えたいのかがぼやけてしまいます。例えば、新規顧客開拓用の資料では「会社の信頼性」と「商品の価値」を強調すべきですが、既存顧客向けのアップセル資料では「導入効果」や「追加利用のメリット」を中心に据える必要があります。

目的を設定する際には、KGIやKPIを意識することが重要です。例えば「この資料で次回商談のアポイントを獲得する」「この資料を通じて受注確度を20%上げる」といった具体的な数値目標を設定すれば、内容も自ずと絞られます。目的が明確であれば、不要な情報を削ぎ落とし、成果につながるストーリーを構築することが可能です。

営業資料の本質は「顧客の意思決定を後押しする」ことです。目的を曖昧にしたまま資料を作るのは、地図を持たずに航海に出るようなもの。必ず最初に「何のために作るのか」を定義しましょう。

ステップ2|顧客の課題を把握する

営業資料は顧客の課題を解決することに焦点を当てなければなりません。多くの営業資料が失敗する理由は、自社の強みや商品説明に偏りすぎて、肝心の顧客の問題を無視している点にあります。

顧客は「自分たちの課題を理解してくれているか」を最初に見ています。そのため、事前に顧客の業界構造、競合状況、過去の事例などを調査し、課題の仮説を立てることが不可欠です。

ヒアリングの際には「現状の課題は何か」「解決できない理由は何か」「解決した場合の理想は何か」といった質問が有効です。これらを踏まえたうえで営業資料に反映すれば、顧客は「自分たちの状況を理解してくれている」と感じ、強い信頼を抱きます。課題を把握することは、顧客との共感を生み出し、説得力を増すための基盤です。

ステップ3|構成を設計する

構成設計は営業資料の骨格を決める作業です。

代表的な流れは「導入 → 課題提示 → 解決策提示 → 成功事例 → メリット・クロージング」です。最初に課題を共有し、解決策として自社サービスを提示し、事例で信頼性を補強する。この流れが最も自然で説得力を持ちます。

構成を決める際は「スライドごとの役割」を明確にしましょう。例えば1枚目は「問題提起」、2枚目は「自社の立ち位置」、3枚目は「具体的な解決策」といったように整理していくと、ブレない資料になります。加えて、顧客の立場で「この順番で理解できるか」を確認することも大切です。構成がしっかりしていれば、後のデザインや表現も一貫し、わかりやすい資料に仕上がります。

ステップ4|1スライド1メッセージで伝える

スライドの基本原則は「1スライド1メッセージ」です。

1枚の中に複数の主張を詰め込むと、顧客は混乱し、何を覚えればいいのかが曖昧になります。例えば「コスト削減」「業務効率化」「サポート体制の充実」を1枚で説明するのではなく、それぞれを分けてスライド化し、根拠や具体例を示した方が明確に伝わります。

また、情報量を減らすことでスライドのデザインにも余白が生まれ、視認性が高まります。顧客はプレゼンの流れに沿って1つずつ理解できるため、記憶に残りやすくなります。営業資料の目的は「顧客を納得させること」であり「情報を詰め込むこと」ではありません。必要な情報を絞り込み、1枚ごとに伝えたいメッセージを明確にすることで、成果につながる資料が完成します。

ステップ5|デザイン・図解でわかりやすくする

営業資料は中身だけでなく、見た目の工夫によっても成果が変わります。

例えば、複雑な仕組みを文章で説明するよりも、図解で示した方がはるかに直感的に伝わります。顧客の理解を助けるために、グラフ・アイコン・写真などを活用することが効果的です。

デザイン面では「シンプルさ」と「統一感」が重要です。フォントや色、アイコンの形を統一するだけで資料全体が洗練されます。また、強調したい部分は色や大きさを変えることで視線を誘導できます。さらに、余白を十分に取ることで情報が整理され、見やすさが格段に上がります。

ただし、デザインは目的ではなく手段です。過剰に装飾すれば逆効果となり、肝心のメッセージがぼやけます。「いかに顧客が理解しやすいか」を基準にデザインを整えることが、成果につながるポイントです。

成果につながる営業資料の改善方法

営業資料は完成して終わりではなく、常に改善し続ける必要があります。実際の商談で「反応が弱いスライド」「質問が集中する部分」を把握し、それを改善していくことが大切です。こうした改善の積み重ねにより、資料は次第に「磨き上げられた武器」へと進化していきます。

改善の際には営業担当者だけでなく、他部署や顧客のフィードバックを取り入れることも有効です。異なる視点からの意見は、自分では気づかなかった改善点を浮かび上がらせます。さらに、商談データを数値化し「どの資料を提示したときに成約率が高いか」を分析するのも効果的です。

営業資料は「作って終わり」ではなく「改善し続けて成果を最大化するもの」であると捉えることで、競合に差をつけることができます。

まとめ|初心者でも成果が出る営業資料作成のポイント

営業資料は、単なるスライドの集まりではなく、営業成果を左右する戦略的なツールです。成果を出すためには、作成前にターゲット・シナリオ・情報整理という3つの準備を行い、そのうえで目的を明確にし、顧客課題を把握し、ストーリー性のある構成を設計することが欠かせません。

さらに、1スライド1メッセージを徹底し、わかりやすいデザインや図解を取り入れることで顧客の理解度が高まります。そして、完成後も改善を繰り返すことで、資料は進化を続け、成果に直結する強力な営業ツールへと成長します。

初心者であっても、本記事のステップを実践すれば成果につながる営業資料を作成できます。営業資料は「会社の顔」であり「顧客を動かす羅針盤」です。基本を押さえ、実践と改善を重ねながら、自社の価値を最大限に伝える営業資料を完成させましょう。

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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