パワーポイントはビジネスにおいて最も身近な資料作成ツールの一つです。会議、営業、採用、投資家向けの説明、さらには社内研修に至るまで、あらゆる場面で使われています。しかし多くの人が資料を作成するときに「見やすいデザインが思いつかない」「プロっぽくならない」と悩みがちです。これは決してセンスの問題だけではありません。デザインには一定のルールやパターンがあり、それを理解して参考にすることで、誰でも資料の完成度を高められるのです。
この記事では、代表的な12種類の資料を例に、それぞれどのようなデザインを意識すればよいのかを解説します。初心者でも真似できるポイントを整理しているため、今日からの資料作成に役立てていただけます!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
デザイン参考①:プレゼン資料
プレゼン資料は、聞き手の注意を引きつけ、限られた時間でメッセージを届けることが目的です。そのため、デザインの基本は「シンプル」と「強調」にあります。文字を詰め込みすぎるのではなく、1つのスライドで1つのメッセージを示す構成が理想的です。フォントは大きめに設定し、余白を十分にとることで視認性を高めます。
また、図解や写真を積極的に活用することで直感的に理解してもらえます。文章で説明するよりも、矢印やアイコンを使った図解の方が記憶に残りやすいのです。さらに、聞き手の感情に訴えるためには、写真や色使いにも工夫が必要です。例えば、課題を提示するスライドは暗めの色で、解決策を提示するスライドは明るい色で統一すると、ストーリーの流れが伝わりやすくなります。
プレゼン資料のデザインで重要なのは、内容を飾り立てるのではなく「メッセージを届けるために必要な最小限の要素に絞る」ことです。
デザイン参考②:営業資料
営業資料は、顧客にサービスや商品を理解してもらい、導入を前向きに検討してもらうためのものです。そのためデザインの基本は「信頼感」と「説得力」です。まず表紙はシンプルで清潔感のあるデザインにし、自社のロゴやブランドカラーを活かすと安心感を与えられます。
本文では、顧客の課題と解決策を対比させる構成が効果的です。このとき、比較表やグラフを用いることで、視覚的に優位性を示すことができます。例えば、競合との比較は色のトーンを変えるだけで直感的に差が伝わります。また、導入実績や事例紹介のスライドでは、写真や数値を組み合わせることで説得力を強化できます。
営業資料は、顧客に導入したいと思わせるストーリーが重要です。そのため、全体のデザインは派手さよりも、信頼できそうと思わせる落ち着いたトーンに仕上げることが望ましいのです。
デザイン参考③:サービス紹介資料
サービス紹介資料は、商品やサービスの魅力をわかりやすく伝えるための資料です。ここでは「直感的に理解できるデザイン」が求められます。最初にサービスの概要を一目で伝えるスライドを用意し、アイコンやイラストを活用することで印象を強めます。
特徴やメリットを説明するスライドでは、箇条書きではなく図解を使うことをおすすめします。例えば、コスト削減・業務効率化・安心サポートといったメリットを、三分割の図やアイコン付きのボックスで示せば、視覚的に整理されて理解しやすくなります。
また、利用シーンや導入事例を写真で紹介すると、聞き手は自分ごととしてイメージしやすくなります。全体的な配色はブランドカラーをベースに、アクセントカラーを1色加えると統一感と洗練感が出ます。サービス紹介資料は、サービスの魅力を短時間で理解してもらうためのものであり、デザインの工夫が大きく影響します。
デザイン参考④:提案資料
提案資料は、相手の課題に対して自社の解決策を提示し、納得してもらうためのものです。そのためデザインの基調は「論理的」と「わかりやすさ」です。スライド全体は白やグレーを基調とした落ち着いたトーンにまとめ、信頼感を重視します。
構成は「課題→解決策→期待効果→導入ステップ」という流れを意識すると相手が理解しやすくなります。特に解決策を提示するスライドでは、図やフローを使ってプロセスを明確に見せることが効果的です。また、期待効果を示す際には、グラフや数値を用いて、導入するとどれだけ効果があるのかを一目で理解させる必要があります。
提案資料のデザインは派手である必要はありませんが、要所でアクセントカラーを使うことで強調できます。特に結論部分では強調表現を用いて、ここが重要というメッセージを視覚的に伝えることができます。
デザイン参考⑤:会社紹介資料
会社紹介資料は、自社のブランドや理念を伝える役割を持ちます。そのため「一貫性」と「ブランドらしさ」がデザインの軸になります。まず、ブランドカラーを資料全体に反映させることで、視覚的に自社らしさを表現できます。
冒頭には会社のビジョンやミッションを載せ、シンプルかつ力強いフォントで示すと印象的です。沿革や組織図は見やすい図解にし、サービスラインナップはアイコンや写真を組み合わせて示すと効果的です。
また、働く社員の写真や社内イベントの様子を取り入れると、会社の雰囲気が伝わりやすくなります。採用や取引先向けに使用する場合、写真の品質が資料全体の印象を左右するため、できる限り高品質な素材を使用することをおすすめします。会社紹介資料はブランドイメージを一貫して表現することが大切です。
デザイン参考⑥:セミナー資料
セミナー資料は、参加者に内容を学んでもらうことが目的です。そのため「視認性」と「理解しやすさ」がデザインの重要なポイントになります。文字は大きめに設定し、行間を広めにとることで読みやすさを確保します。
情報量が多い場合でも、一枚のスライドに詰め込みすぎないことが大切です。章ごとに要点をまとめ、図解やイラストを組み合わせることで、参加者が内容を整理しやすくなります。また、学習効果を高めるためには、質問やクイズ形式のスライドを盛り込むのも効果的です。
配色はシンプルにし、重要な部分だけを強調色で示すと理解を助けます。セミナー資料は、情報を伝えるだけでなく、相手に覚えてもらう必要があります。そのため、情報設計とデザインを両立させる工夫が欠かせません。
デザイン参考⑦:ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、専門性を打ち出し、読者に深い理解を与える資料です。そのため「権威性」と「読みやすさ」がデザインの要点になります。文章量が多くなるため、文字の配置や余白の使い方に注意しなければなりません。
本文は段落を短く区切り、見出しを太字やカラーで明示することで、読者が情報をスキャンしやすくなります。また、グラフや図解を効果的に挟むことで、内容の信頼性を高められます。
全体の配色は落ち着いたトーンにまとめ、専門性と信頼感を演出します。写真や図版を用いる場合も、ビジネスらしさを意識したものを選ぶとよいでしょう。ホワイトペーパーは単なる資料ではなく、知識を示す資料です。そのため、デザインでも信頼性を徹底的に意識する必要があります。
デザイン参考⑧:IR資料
IR資料は、投資家に向けて企業の財務状況や将来性を説明する資料です。ここでは「透明性」と「簡潔さ」が最も重視されます。数字やグラフを中心に構成し、情報が正確に伝わることを最優先にします。
グラフは過剰に装飾せず、シンプルで見やすい形式を選ぶことが重要です。特に売上や利益の推移は、棒グラフや折れ線グラフで示し、投資家が一目で理解できるようにしましょう。また、用語は専門的すぎるものを避け、できるだけわかりやすい表現に置き換えることが大切です。
配色はコーポレートカラーを基調にしつつ、強調部分だけにアクセントカラーを使います。IR資料は派手さではなく、信頼感を与えることが大切。デザイン全体を通して、正直である、隠し事がないという印象を与えることが、投資家の信頼につながります。
デザイン参考⑨:採用ピッチ資料
採用ピッチ資料は、候補者に自社の魅力を伝え、働いてみたいと思ってもらうためのものです。そのため「共感」と「社風の表現」がデザインの中心になります。
まず会社のミッションやビジョンを冒頭で明示し、シンプルかつ力強いデザインで示すことが重要です。その後、働く環境や社員の声を写真やコメントで紹介すると、リアリティと親近感が生まれます。
また、若い世代の候補者に向けた資料では、明るくカラフルな配色やアイコンを取り入れると効果的です。堅苦しいトーンではなく、社風が伝わるような柔らかいデザインを心がけるとよいでしょう。採用ピッチ資料は、情報を伝えるだけでなく、感情に響くことが成功のポイントです。
デザイン参考⑩:スタートアップピッチ資料
スタートアップピッチ資料は、短い時間で投資家やパートナーにインパクトを与えることが求められます。そのため「大胆さ」と「シンプルさ」を両立させるデザインが理想です。
冒頭で課題を示し、その後に解決策やビジネスモデルを提示する構成が一般的です。このとき、課題の深刻さや市場の大きさを強調するために、大きな数字やシンプルな図解を使うと効果的です。また、プロダクトやサービスのイメージは、写真やモックアップを使って直感的に伝えることが望ましいです。
スタートアップピッチでは、限られた時間で投資したいと思わせる必要があります。そのため、スライドは一言で要点が伝わるレベルまで簡潔にし、色使いやフォントも一貫性を持たせます。インパクトと理解しやすさを両立するデザインが求められます。
デザイン参考⑪:研修資料
研修資料は、受講者が学んだ内容を正しく理解し、現場で実践できるようにするための資料です。そのため「わかりやすさ」と「実用性」が最重要です。
まず文字は大きく、行間を広めにとり、読みやすさを意識します。スライド1枚に情報を詰め込みすぎず、ステップごとに分けて提示すると、学習者は整理しやすくなります。また、図解やフローを多用することで、手順や関係性が直感的に理解できます。
研修資料は、記憶に残る工夫も欠かせません。イラストや事例を交えて具体的に説明すると、受講者が自分ごととして考えやすくなります。さらに、まとめスライドや演習問題を盛り込むことで、理解の定着が期待できます。研修資料は現場で使えることを優先し、実用的なデザインを心がけましょう。
デザイン参考⑫:マニュアル
マニュアルは、誰でも迷わず操作や業務を遂行できるようにするための資料です。そのため「実用性」と「視認性」が最大のポイントです。
文字は短文で簡潔にまとめ、手順は番号を振って順序立てて示します。加えて、スクリーンショットや図解を使うと、具体的な手順が直感的に理解できます。情報を詰め込みすぎるのではなく、重要なポイントを強調することが大切です。
配色はシンプルに保ち、背景と文字のコントラストをはっきりさせます。必要に応じて注意点を強調すると、視認性が高まります。マニュアルは派手さよりも、迷わず使えることが何より重要。誰が見ても同じ結果を得られるように、デザイン面で徹底した工夫を凝らす必要があります。
まとめ|パワポデザインの参考をどう活かすか
ここまで12種類の資料におけるデザインの参考ポイントを解説しました。共通して言えるのは「資料の目的と相手に合わせたデザインを意識すること」です。プレゼンや営業資料では説得力、サービス紹介や採用ピッチでは共感、IRやホワイトペーパーでは信頼性と専門性、研修やマニュアルでは実用性が重視されます。
優れたデザインを参考にすることで、自分の資料に不足していた視点や工夫を取り入れられます。ただし重要なのは、そのまま真似るのではなく、自分の目的や相手に合わせて調整することです。参考事例はあくまでヒントであり、最終的に自分のメッセージが伝わる資料になっているかが大切です。
パワポデザインは誰でも学び、改善できます。今日紹介したポイントを踏まえて参考事例を活用すれば、初心者でも短期間で伝わるおしゃれなスライドを作れるようになります。次の資料作成の際には、ぜひ本コラムで紹介した考え方を活かしてみてください!
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