営業活動において最初に顧客の目に触れるのは営業資料です。そのフォーマットが整っているかどうかで、商談がスムーズに進むか、あるいは途中で相手の関心を失うかが大きく左右されます。
営業資料は会社の信頼を映し出す鏡でもあり、内容や構成が不十分だと「準備不足の会社」という印象を与えてしまいます。逆に、整理されたフォーマットで作られた資料は、相手に安心感を与え、説得力を持って行動を促す力を発揮します。
本記事では、営業資料フォーマットの基本から成果を高める理由、必須要素、無料テンプレート、デザインの工夫、失敗を防ぐ方法、作成の手段比較、改善のチェックリストまでを徹底的に解説します!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
営業資料フォーマットとは?初心者でもわかる基本解説
営業資料フォーマットとは、営業資料を効率的に、かつ効果的に作成するための「型」や「設計図」を指します。
あらかじめ枠組みを定めておくことで、誰が作成しても一定以上の品質を保つことができ、情報の抜け漏れも防げます。営業資料の本来の目的は、自社の特徴を一方的に伝えることではなく、顧客が抱える課題を理解し、それに対する解決策を提示して信頼と納得を引き出すことにあります。
フォーマットを導入するメリットは3つに整理できます。
第1に、一貫性が保たれる点です。統一されたフォーマットで作られた資料は会社全体のブランドイメージを整え、顧客に安心感を与えます。
第2に、効率性が高まる点です。ゼロから資料を考える必要がなくなり、定められた枠に情報を入力するだけで完成度の高い資料が仕上がります。
第3に、改善が容易になる点です。フォーマットがあることで評価や修正がしやすく、PDCAを回すことで営業資料の質を継続的に高められます。
初心者が理解しておくべき重要なことは、営業資料フォーマットに唯一の正解は存在しないという点です。業界や商材、顧客層によって最適な構成は異なります。だからこそ、基本的なフォーマットを理解した上で、自社や顧客に合わせて柔軟に調整することが成果につながるわけです。

フォーマットが成果を左右する理由
営業資料のフォーマットは単なる見た目やデザインの問題ではなく、商談の成果を大きく左右する要素です。なぜなら、顧客が受け取る印象や理解のしやすさは、資料の構成や情報の並び順に大きく依存するからです。人は論理的な流れに沿って情報を与えられると納得しやすく、逆に雑然とした資料に接すると「この会社は準備不足ではないか」と不安を覚えます。
営業資料の流れが整理されていると、顧客は自然に理解を積み上げていけます。課題を提示し、その解決策を説明し、裏付けとして実績を示し、最後に具体的な提案へとつなげる流れは、最も説得力のあるストーリー展開です。こうしたストーリーを保証するのがフォーマットの役割であり、内容が同じでも伝え方次第で結果が大きく変わることは珍しくありません。
さらにフォーマットは、営業担当者の力量を補う効果もあります。経験の浅い担当者でもフォーマットに沿って資料を作成すれば、必要な情報を漏れなく整理でき、商談でも自信を持って説明できます。ベテランにとっては効率化の基盤となり、会社全体としては営業品質の均一化と底上げを実現できます。

営業資料フォーマットの必須要素(会社紹介・サービス内容・実績・事例)
成果につながる営業資料には、必ず盛り込むべき基本要素があります。特に会社紹介、実績、サービス内容、事例紹介は外せません。
まず会社紹介は信頼感を生む基盤です。顧客は取引相手の会社について十分に理解したいと考えています。会社の沿革、理念、組織規模、所在地といった基本情報を簡潔にまとめることで、安心感が得られます。ここで重要なのは、単なる情報の羅列ではなく、自社がどんな価値を社会に提供してきたかをストーリーとして伝えることです。例えば「創業から何年でどのような実績を積み上げてきたのか」を時系列で示せば、企業としての信頼性を直感的に理解してもらえます。
次にサービス内容です。自社の製品やサービスが持つ特徴を列挙するのではなく、顧客の課題をどう解決できるのかを中心に説明することが大切です。例えば「コスト削減に効果的」と伝える際には、「年間でどの程度削減できるのか」という具体的な内容を示すと説得力が格段に増します。サービスの強みを機能的な面と感情的な面の両方から伝えると、より印象に残りやすくなります。
3つ目の要素は実績です。営業資料の中で最も説得力を持つ部分といっても過言ではありません。導入企業数、契約継続率、顧客満足度などを数値で明確に示すと、言葉以上に強いインパクトを与えます。加えて、受賞歴や外部機関の認定など、第三者から評価された実績を提示すれば客観性が増し、さらに信頼が高まります。実績を記載する際には、単なる数字だけでなく「どのような課題を解決したか」という背景も添えると、相手が自分ごととして捉えやすくなります。
最後に事例紹介です。実際にサービスを利用した顧客がどのように課題を解決したかを物語として示すことで、相手は自分の状況に置き換えてイメージしやすくなります。具体的な顧客のコメントを添えればリアリティが生まれ、強力な説得材料となります。成功事例だけでなく、課題を乗り越えるプロセスを示すことで「この会社は本当に伴走してくれる」という信頼感を築けます。
こうした要素をバランスよく盛り込み、論理的な順序で配置することで、営業資料は単なる説明資料から、顧客を動かす資料へと進化します。

無料で使える営業資料テンプレート一覧
営業資料を効率的に準備するには、無料で提供されているテンプレートを活用するのが有効です。
PowerPointやGoogleスライドには標準でビジネス向けテンプレートが用意されており、構成が整った状態から編集を始められます。また、CanvaやSlidesgo、Slides Carnivalなどのオンラインサービスでも、多彩なデザインのテンプレートを無料で利用できます。
テンプレートを選ぶ際は、編集のしやすさやデザインのシンプルさに注目することが重要です。複雑な装飾や派手な色使いはかえって内容を伝えにくくする場合があります。さらに日本語対応かどうかも確認すべきポイントです。海外のテンプレートはフォントが合わず、表示が崩れることも少なくありません。
テンプレートはそのまま使うのではなく、自社のブランド要素を組み込むことで独自性を強調できます。ロゴやブランドカラーを反映させるだけで、他社との差別化が図れ、標準的なデザインでもオリジナリティのある営業資料に仕上がります。
私たちが作成したテンプレートもご用意しておりますので、ぜひご活用ください!
見やすいデザインとレイアウトのコツ
どれほど内容が充実していても、デザインが見づらければ顧客に伝わりません。見やすい資料を作るにはいくつかの基本を押さえることが重要です。
まず、スライド1枚には1つのメッセージを盛り込むことを徹底し、情報を詰め込みすぎないようにします。フォントも1種類に絞り、統一感を出すことで洗練された印象を与えられます。配色はメインカラー1色とサブカラー2色以内にまとめ、ブランドカラーを活用することで独自性を持たせられます。
また、文字だけでなく図表やアイコンを適切に使うことで、情報を直感的に伝えやすくなります。複雑な説明も、図解を添えれば理解が早まり、商談の場での説明もスムーズになります。こうしたデザインとレイアウトの工夫は、資料全体の完成度を大きく引き上げます。

営業資料フォーマット作成でよくある失敗と対策
営業資料作成でよくある失敗は、情報を盛り込みすぎてしまうことです。何でも詰め込もうとすると、結局何を伝えたいのかがぼやけてしまい、相手は混乱します。必要な要点に絞り、詳細は口頭や補足資料で補う方が効果的です。
もう1つの失敗は、顧客視点を欠いた資料です。自社の強みや特徴ばかりを語っても、顧客にとってのメリットが見えなければ響きません。顧客の課題を明確にし、その解決策として自社サービスを提示する流れが重要です。
さらに、データや実績の不足も大きな弱点です。客観的な数字がなければ説得力を欠きます。実際の成果数値や導入効果を明確に示すことが必要です。
最後に、デザインのバラつきも失敗の一因です。フォントや配色が統一されていないと稚拙な印象を与えてしまいます。
これらの失敗は、あらかじめフォーマットを整備し、チェックリストを用いて確認することで防げます。

自作・テンプレート・外注の比較
営業資料を準備する方法には、自作、テンプレートの活用、外注の3つがあります。
自作は最もコストを抑えられる方法ですが、作成者のスキルに左右され、品質にばらつきが出やすいという課題があります。小規模な案件やスピードが求められる場面では有効です。
テンプレートを活用する方法は、効率と品質のバランスが良く、初心者にも適しています。ただし、汎用的なデザインであるため、独自性に欠けやすい点は工夫が必要です。ロゴやブランドカラーを反映させることで解決できます。
外注はプロのデザイナーに依頼する方法で、完成度の高い資料を作れる点が最大の強みです。特に競合提案や大規模案件では効果を発揮しますが、費用や納期の制約が伴います。
自社の状況に応じて3つの方法を使い分けることが理想です。

営業資料フォーマットを改善するチェックリスト
営業資料は作成して終わりではなく、改善を繰り返すことで完成度が高まります。確認すべき点は多岐にわたります。
まず情報が顧客視点で整理されているかを点検し、スライドごとのメッセージが明確になっているかを確認します。
データや実績が具体的に示されているかも重要です。説得力を補強するためには、数字や事例が不可欠です。
デザイン面ではフォントや配色に統一感があるかを確認します。ばらつきがあると、それだけで印象を損ねます。
さらに、資料を読んだ顧客が次に何をすべきかがはっきり示されているかも欠かせないチェックポイントです。問い合わせや契約など、明確な行動につながる導線を用意しておくことで、営業資料は成果へ直結します。
営業資料を作成する前後で、こうした改善余地が残されていないかしっかりとチェックするようにしてください!

まとめ|フォーマットを活用して成果につなげる方法
営業資料フォーマットは、営業活動を成功に導くための基盤です。基本的な構成や流れを理解し、自社に最適化して使うことで、誰でも成果につながる資料を効率よく作成できます。
本記事ではフォーマットの基本から成果を左右する理由、必須要素やテンプレート、デザインの工夫、失敗の回避法、作成手段の比較、改善のチェックリストまでを解説しました。
営業資料は一度作って終わりではありません。実際の商談での反応を取り入れて修正を加え、継続的に磨き上げていくことが大切です。フォーマットを活用すれば、初心者でも迷わずに説得力ある資料を作ることができ、商談全体の成果を飛躍的に高めることができます。 この記事を参考にして、今日からフォーマットを取り入れ、自社の営業活動を次のレベルへ引き上げていきましょう!
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