「事業計画書」という言葉は誰しもが聞いたことがあると思います。
その名の通り、自社の事業計画について記した書類であり、何となくイメージが付く方も多いと思います。しかし、「事業計画書がなぜ必要となるのか」といった深い部分について、正確に理解している人は極めて少ないことも事実です。
本記事では、事業計画書の作成目的や用途はもちろん、メリットや作成の基本ステップ・基本構成まで詳しく解説しております。これから事業計画書を作成しようとされている方や、事業計画書の基本について理解したい方は、絶対に理解しておくべき内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください!
ちなみに、Business Jungleと一緒に事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
そもそも事業計画書とは何か
まず、大前提の説明ですが、「事業計画書」とは事業内容について整理した書類であり、市場・競合分析や分析結果に基づく自社戦略について記載します。
事業計画書に決まりきった作成ルールはありませんが、自分や第三者が客観的に見て、分かりやすく・納得できる内容に仕上げる必要があることは言うまでもありません。市場・競合の状況を正しく分析し、自社の勝ち筋をProduct(商品・サービス)、Price(価格)、Place(販売方法)、Promotion(販促方法)などの観点で落とし込んでいきます。その他にも、活動計画・財務計画なども忘れずに盛り込みましょう。
それでは、こんな事業計画書はなぜ作成する必要があるのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう!

事業計画書の作成目的・用途とは
そもそも事業計画書とは何を目的にして作成するのでしょうか。その目的は、「第三者に事業を評価してもらうこと」と「自分の事業をより一層成長させること」の2つに整理することができます。
まず「第三者に事業を評価してもらうこと」から見ていきましょう。
事業計画書を必要とする理由はさまざまですが、代表的なのは資金調達における必要書類としての用途であり、銀行をはじめとする金融機関から融資を受けるとき、あるいは投資家から出資を受けるときなどに作成することになります。
第三者にとって、あなたの事業の良し悪しを、口頭だけで説明されても納得できません。また、第三者が社内に報告する際にも、客観的に事業を評価できる根拠がなければ手間取ってしまいます。このようなことを避けるため、事業について詳しく解説した書類として、事業計画書が必要になってくるわけです。

次に「自分の事業をより一層成長させること」を見ていきましょう。
事業計画書を作成するのは第三者に見せるためという外部起因の目的だけではなく、自分自身のためという内部起因の目的もあります。つまり、自社のあるべき事業戦略を見極めて激しい競争に打ち勝っていくために、自発的に事業計画書を作成するということです。
誰かに見せる場合と異なり、それほど外観・デザインにこだわる必要はありませんが、せっかく作成するのであれば、その後に社内外の誰かに見せることを考慮して、作り込んでおきたいところです。

事業計画書を作成する目的は、第三者あるいは自分自身のためといったように、誰に向けて作成するのかという点で異なってきます。いずれの場合においても、作成する事業計画書は定量的な根拠に基づく、誰が見ても納得できる内容にすることで、目的達成がググっと近づくことになります。
事業計画書があることで得られるメリット
このようにきちんとした目的のある事業計画書ですが、本当に作成が必要なのかという疑問がよく挙げられます。そのため、ここでは作成するメリットについて詳しく見ていきましょう。
結論として、事業計画書を作成するメリットは極めて大きく、どのような個人・法人でも絶対に作成すべきです。
金融機関や投資家からの資金調達を希望されている方は、より良い事業計画書を作成することで成功確率が向上するというメリットは言うまでもありません。しかしながら、ここで強調しておきたいことは、事業計画書を作成することで事業の成功確率も大幅向上するというメリットです。
事業計画書がないまま事業を進めることは、地図やコンパスがないにも関わらず、世界一周の航海に挑戦するようなものです。拠り所となるものがなければ、何を正解として前に進んでいいか分からなくなってしまい、結果として事業が失敗したり、本来あるべき成長スピードを実現できなくなってしまったりします。
もちろん、事業計画書があるからといって、必ず計画通りに進むわけではありません。むしろ、計画通りに進むことはほとんどないと言っても過言ではありません。
しかしながら、事業計画書があることによって「現在の状態は、あるべき理想とは差分が生じてしまっている」ということを理解し、「理想に近づくためにはどうすればいいか」という改善活動に取り組むことができます。これにより、課題特定・改善のサイクルが高速で回され、事業計画書がなかった場合と比較して、事業の成長スピードが極めて速くなります。
どのような方であっても事業計画書は作成必須であり、日々の改善活動を通じて事業計画書をアップデートし続ける。これこそが、事業計画書の作成における絶対に忘れてはいけないお作法です。
このお作法を守ることで、最大スピードでの事業成長という、事業計画書作成のメリットを受けることができます。

事業計画書を作成する際の基本ステップ
ここまで事業計画書作成の作成目的や用途、メリットについて見てきましたが、実際に事業計画書を作成する際は、どのようなステップで作成していけばいいのか悩むと思います。
そのような方のために、事業計画書を作成する際に押さえるべき6つのステップについて整理しました。これらのステップに沿って作成すれば、高品質な事業計画書を作成することができます!
①事業計画書の作成目的を整理する
まずは何のために事業計画書を作成するのかを、必ず念頭に置くようにしてください。
作成目的は「第三者に事業を評価してもらうこと」と「自分の事業をより一層成長させること」のいずれかに大別されると説明させていただきましたが、どのような目的で事業計画書を作成するかによって、作成すべき内容も大きく変わってきます。
例えば、銀行から融資を受けるための事業計画書であれば、財務面の情報を充実させるべきかもしれません。投資家から資金調達を受けるためのプレゼン資料であれば、夢やスケールを描くことに重きを置くべきでしょう。あるいは、自社のためだけに作成するのであれば、自社にとって当たり前の情報は載せる必要がないかもしれません。

②事業計画書の構成を考える
作成目的を整理した後は、その目的を達成するために最適な事業計画書の構成を考える必要があります。事業計画書の目次と言い換えてもいいかもしれません。
基本的な構成としては、市場分析・競合分析・自社戦略・活動計画・財務計画の5つが挙げられます。こうした基本を網羅しながら、目的に応じて重きを置くパートを変えたり、あるいは6つ目・7つ目などのパートを追加していくとよいでしょう。

③全体ストーリーを設計する
事業計画書の構成を考えてすぐ、事業計画書を作り込んでしまうことは悪手です。まずは、事業計画書の全体ストーリーを設計することから始めましょう。
全体ストーリーとは、事業計画書の各構成要素に記載するメッセージ(内容を端的に表現した1~2文の文章)を決め、それらをつなぎ合わせて資料全体で伝えたいことを示した文章です。事業計画書のサマリや要約とも言えます。
人間は、個別の情報を複数伝えられるよりも、一連のストーリーとして伝えられる方が格段に理解できます。また、事業計画書を作成する側としても、各構成要素を作成している途中で熱中しすぎてしまい、事業計画書全体で見たときに何を言いたいか分からない資料になってしまうことを避けるため、ストーリー設計は必要なステップです。

④各構成を埋めるための必要情報・取得方法を検討する
全体ストーリーを設計したら、各構成を埋めていくために必要な情報は何か、そしてその情報をどのように取得するかを考えておきましょう。本ステップに取り組まれない方は非常に多いですが、取り組んでおくと事業計画書作成の効率と品質が格段に向上します。
具体的には、例えば市場分析のページを作りたいのであれば、「〇〇業界の市場規模について、2010年から2020年までの経年変化を示し、その規模の大きさと安定した成長性を示す」「そして、この情報を取得するために、日本政府が公表している〇〇という統計を使用する」というような検討を行っておくイメージです。
これらを事業計画書のすべての構成要素に対して行っておくことで、作成済みの全体ストーリーをしっかりと資料として落とし込むことができます。あるいは、この検討をしておくことで、「全体ストーリーで整理した情報が取得できなさそう」といった目算も行うことができ、具体的な作業に着手する前にストーリーを軌道修正することができます。

⑤情報を取得して各構成を埋める
さあ、ここまでくれば事業計画書は完成したようなものです。後は、作成した全体ストーリーや情報収集の手段に基づいて、事業計画書を作り込んでいきます。
作成する際は、統一感を大事にしましょう。タイトルの位置、フォントの種類や大きさ、文章調や体言止めの有無、色合いなど、事業計画書に統一感があればあるほど信頼感も増していきます。
また、客観性も極めて重要です。作成している際は自分の考えが正しいと思いこんでしまいがちですが、本当にそうなのかという疑問を常に持ちます。そして、第三者が見て分かりやすいと感じるような資料に仕上げることも忘れてはいけません。

⑥全体を見直して最終化する
最後は作成した事業計画書を、複数回見直して、細部を調整していきます。
例えば誤字脱字があるだけで、読み手からすると「この人は適当に事業計画書を作成したんだな」という評価になってしまいます。ここまで頑張って作成したのに、それでは非常にもったいないです。最後まで油断せず、最高の事業計画書を完成させてください。

事業計画書のあるべき基本構成
事業計画書を作成する際の基本ステップについて、しっかりとご理解いただけたでしょうか。
最後に、基本ステップでも少し触れた「②事業計画書の構成を考える」について、あるべき基本構成をもう少し詳細に解説して終わりたいと思います。市場分析・競合分析・自社戦略・活動計画・財務計画の5つはしっかりと盛り込むようにしましょう。
作成すべき事業計画書のサンプル
市場分析
最も重要なことは、市場の規模と成長性を示すことです。自社の事業が対象とする市場の規模が小さく、将来の成長性も乏しければ、事業が成功する見込みは極めて小さくなってしまいます。そのため、市場調査を行って経年での市場推移を示すなど、規模と成長性を裏付ける根拠を提示しましょう。
また、顧客の抱えている課題についても、統計などを用いて定量的に、あるいはアンケートなどを用いて定性的に言及することで、より説得力のある事業計画書に仕上がります。

競合分析
自社の商品・サービスと競合するプレイヤーについて、できる限り詳細に一覧化し、各競合が市場においてどのようなポジションにあるのかを整理します。
具体的な方法として、ポジショニングマップと言われる市場を構成する2軸を取り、そのうえに競合を並べて、自社の勝ち筋を見極めるとよいでしょう。具体的には、飲食店のジャンル×地域という2軸で市場を分解して競合を並べ、「〇〇地域にはカジュアルイタリアンがないので、この地域にカジュアルイタリアンを出店しよう!」という自社戦略の策定に資する示唆を導き出すといった具合です。

自社戦略
市場と競合の分析結果を踏まえた自社戦略の策定こそ、事業計画書の肝と言っても過言ではありません。
最も一般的なのは、自社の勝ち筋をProduct(商品・サービス)、Price(価格)、Place(販売方法)、Promotion(販促方法)として落とし込んでいく方法です。これらの観点で自社戦略を整理できれば、抜けもれなく必要な情報を反映することができます。
Product(商品・サービス)では顧客の真の課題を解消できていること、Price(価格)では原価や競合価格を踏まえて価格設定できていること、Place(販売方法)では実店舗保有の有無・立地戦略やオフラインでの販売戦略について検討できていること、Promotion(販促方法)では集客できることを裏付ける決定的な決め手を持てていること、これらを意識して取り組むようにしましょう。

活動計画
事業計画は描いて終わりではなく、実行してこそ意味があります。そのために必要となるのが活動計画であり、おおよそ5年程度の期間にどのような活動を行うかを詳細に整理します。
事業のゴールを実現するために、一気にジャンプすることはできません。まずは1つずつ丁寧に取り組んでいく必要があり、それらを年間単位に落とし込んで取り組み内容を決定しましょう。そうすることで、より確実にゴールを実現することができ、かつ実際に活動する際、計画の実現性が大幅に向上します。

財務計画
最後に、事業計画書としては、お金の面もしっかりと表現する必要があります。
どれほどの売上を見込んでいるのか、その際の費用はどれくらい発生するのか、そして最終的な利益はどれほどになるのか。5年から10年程度のスパンで、財務計画を描きましょう。
ここで重要なことは、何となくという思い込みで数字を算出しないこと。誰が見ても納得できる算出根拠を提示できなければ、あなたの事業計画書を信じてくれる人はいないでしょう。

まとめ|事業計画書は事業成功への最初の一歩
本記事では、事業計画書の必要性について、目的・用途・基本構成といった観点で徹底的に解説させていただきました。
第三者からの資金調達を目的とする場合、自社の事業を育てることを目的とする場合に、事業計画書は必要不可欠な書類となります。作成のハードルは非常に高く、なかなか難しいと感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。しっかりと落ち着いて取り組めば心配ありません。
本記事を参照して、押さえるべきポイントを網羅した最高の事業計画書を作り上げてください!
そして、最後に一言だけ!
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