創業計画書を作成する際、事業内容や売上計画に比べて軽視されがちなのが「従業員」の項目です。
人数を記載するだけの簡単な欄に見える一方で、実は融資担当者が事業の実行体制や継続性を判断するうえで重要なチェックポイントでもあります。
人手が足りない計画になっていないか、逆に人件費が過大になっていないか、事業規模に見合った体制が組まれているかといった点は、すべてこの項目が関係します。
本コラムでは、創業計画書における「従業員」の位置付けを整理したうえで、必ず押さえておきたい2つの要素と具体的な書き方について解説します。
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や事業計画作成に関する豊富な経験を有する。
そもそも創業計画書の「従業員」とは
日本政策金融公庫から資金を調達する際、多くの方が記載しなくてはいけないのが創業計画書です。創業計画書は専用のフォーマットが用意されており、以下10つの項目に沿って記載していくことで自身の創業計画をまとめることができます。

その中でも「従業員」は、想定する事業計画に合致した人的体制かどうかを確認するための項目です。
どれだけ魅力的な事業計画であっても、それを実行する人手が不足していたり、逆に人件費が重すぎたりすると、計画としての実現性は低く評価されてしまいます。
本項目を記載する際は、創業計画書全体、特に事業規模や人件費との矛盾が生じていないかに注意するようにしましょう。「従業員」は簡単そうに見えて、他項目とも密接に関係する難しいポイントです。

「従業員」で押さえるべき2つの必須要素
本項目においては、常勤役員の人数、そして従業員数の2つに分けて情報を記載していくことになります。何といっても、本項目だけではなく、創業計画書の全体像を踏まえた際に、他項目と矛盾しないことが大切です。例えば、事業規模や人件費などの項目です。
それでは、具体的にどのように記載していけばいいのでしょうか。「洋風居酒屋」の創業計画書を例に挙げて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
「従業員」の書き方|①常勤役員の人数
常勤役員とは、代表者自身を含め、事業運営に日常的に関与する役員を指します。
創業初期においては、基本的に代表者1名のみを常勤役員として記載するケースが多く見られます。そして、ここで重要なのは、実態に合った人数を正直に記載することです。
1名の代表者が現場業務から営業、管理までを担う場合は、常勤役員1名で十分に合理的な体制といえます。一方で、事業規模が大きく、複数の意思決定者が常時関与する体制であれば、その人数を反映させる必要があります。
常勤役員の人数は、人件費や役員報酬の算定にも直結するため、後続の資金計画や損益計画との整合性を意識しながら記載することが大切です。
なお、法人ではない場合、常勤役員の欄は記載する必要がありません。個人事業主などが該当します。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「従業員」の書き方|②従業員数の書き方
従業員数では、3ヵ月以上継続して雇用する者を記載します。その際、家族従業員とパート従業員の内訳も記載するようにしましょう。
この項目では、単に人数を書くのではなく、なぜその人数が必要なのかを自分自身が説明できる状態になっていることが重要です。例えば、店舗型ビジネスであれば、営業時間や営業日数に対して必要な人員が確保されているかが確認されます。
少なすぎる人数は業務が回らない印象を与え、多すぎる人数は人件費負担が重い計画として評価される可能性があります。
本項目についても、創業計画書の他項目、特に事業規模や資金計画との整合が確認されます。一貫性のある内容に仕上げましょう。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「従業員」の記載に関するQ&A
最後に、「従業員」の項目を埋める際に、よくある質問をまとめました。ご一読いただき、自分の記載に問題がないかチェックしてみてください。
Q. 創業時点でまだ採用していない場合でも、従業員数は記載する必要がありますか
A. 記載する必要があります。創業計画書の「従業員」は、現時点で雇用している人数を報告する欄ではなく、事業を成立させるために必要な人員体制を示す項目です。実際の採用前であっても、どのような体制で事業を運営していく想定なのかを明確にすることで、融資担当者は事業の実行可能性を判断できます。むしろ、採用計画が一切示されていない場合は、事業運営の具体性が不足していると見られる可能性があります。
Q. パートやアルバイトも従業員として記載すべきでしょうか
A. はい、記載すべきです。雇用形態に関わらず、事業運営に関与する人員はすべて従業員として扱われます。特に飲食業や小売業、サービス業では、パートやアルバイトが売上を支える重要な戦力になるケースが多いため、記載がないと実態に合わない計画と判断されかねません。人件費計算との整合性を保つ意味でも、漏れなく記載することが重要です。
Q. 家族に手伝ってもらう予定の場合、どのように記載すればよいですか
A. 家族であっても、事業に継続的に関与するのであれば「家族従業員」として正直に記載しましょう。家族だからといって記載しないのは避けるべきです。融資担当者は、実際に誰がどの業務を担うのかを重視しています。家族従業員を記載することで、代表者1人に過度な負担がかからない体制であることを示せる場合もあります。
Q. 創業当初は代表者1人だけで運営する予定ですが、問題ありませんか
A. 問題ありません。事業内容や規模によっては、代表者1人でスタートする計画は十分に現実的です。ただし、その場合は「本当に1人で回るのか」という点を融資担当者がイメージできる必要があります。営業時間、業務内容、事務作業の量などを考慮し、無理のない運営体制であることを自分自身が説明できるようにしておくことが重要です。
Q. 従業員数が少ないと、評価が下がることはありますか
A. 単純に人数が少ないから評価が下がるわけではありません。重要なのは、事業内容と人員体制が整合しているかどうかです。必要な業務を十分にカバーできる人数であれば、少人数でも問題ありません。一方で、明らかに業務量に対して人員が不足している場合は、計画の甘さとして評価が下がる可能性があります。
Q. 逆に、従業員数が多いと有利になりますか
A. 従業員数が多いこと自体が有利になることはありません。むしろ、売上規模に対して人員が多すぎる場合は、人件費負担が重い計画と判断される可能性があります。創業初期は特に、最小限の人員でスタートし、売上の伸びに応じて増員する計画のほうが、現実的で評価されやすい傾向にあります。
Q. 従業員の役割や担当業務まで書く必要はありますか
A. 創業計画書のフォーマット上、従業員欄には役割まで細かく書く必要はありません。ただし、自分自身の中では、誰がどの業務を担うのかを明確にしておくことが重要です。面談時に質問される可能性もあるため、業務分担が説明できる状態にしておくことで、計画の信頼性が高まります。
Q. 従業員数と人件費の関係はどの程度重視されますか
A. 非常に重視されます。従業員数は人件費と直結しており、損益計画の妥当性を判断する重要な要素です。人数だけが記載されていても、人件費との整合性が取れていなければ、計画全体の信頼性が下がってしまいます。従業員欄と人件費計画は必ずセットで見直すようにしましょう。
Q. 従業員の記載で最も大切な考え方は何ですか
A. 最も大切なのは、実態に即して無理のない体制を正直に示すことです。多く見せようと人数を増やしたり、逆に少なく書いて人件費を抑えようとしたりすると、計画全体に不自然さが生まれます。事業を本当に回せる体制かどうかという視点で整理することが、融資担当者からの信頼につながります。
「従業員」の業種別記入例・テンプレート
ここまでで、どのような「従業員」が高く評価されるのかご理解いただけたと思います。最後に、業種別の記入例・テンプレートをご紹介しておきましょう。
さまざまな業種の記入例・テンプレートをご利用いただけますので、よろしければこちらのコラムにも遊びに来てください。
創業計画書の他項目について知りたい方はこちら
今回ご紹介した項目以外にも、記載方法について詳しく知りたい方は以下のコラムもご参照ください!
まとめ|「従業員」をマスターしよう!
創業計画書における「従業員」は、単なる人数記載の項目ではありません。事業を実行し、継続していくための体制が現実的に組まれているかを示す重要なパートです。
常勤役員の人数や従業員数はいずれも、事業内容や売上計画、人件費と密接につながっています。そのため、本項目を丁寧に整理することで、計画全体の整合性が高まり、融資担当者にとっても安心感のある創業計画書になります。
実態に即した人員体制を正直に整理し、無理のない計画として示すことを意識しながら、本項目を仕上げていきましょう!
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