創業計画書を作成する際、「取引先・取引関係等」は軽視されがちな項目です。
創業段階では取引先が決まっていない場合も多く、どこまで書けばよいのか分からないと感じる方も少なくありません。
しかし実際には、本項目は事業の継続性や資金繰りの安定性を判断するための重要な判断材料となるため、決して妥協はできません。
本コラムでは、創業計画書における「取引先・取引関係等」の位置付けを整理したうえで、押さえておくべき用語や具体的な書き方を分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や事業計画作成に関する豊富な経験を有する。
そもそも創業計画書の「取引先・取引関係等」とは
日本政策金融公庫から資金を調達する際、多くの方が記載しなくてはいけないのが創業計画書です。創業計画書は専用のフォーマットが用意されており、以下10つの項目に沿って記載していくことで自身の創業計画をまとめることができます。

その中でも「取引先・取引関係等」は、事業がどのような相手と、どのような条件でお金のやり取りを行うのかを確認するための項目です。
販売先や仕入先がどの程度分散しているか、回収や支払の条件が無理のない内容になっているかといった点から、融資担当者は資金繰りリスクや事業の安定性を見ています。決して手を抜いていい項目ではないため、全力で取り組むようにしてください。

「取引先・取引関係等」で理解しておくべき用語
まずは、本項目を記載するにあたって、理解しておくべき用語を整理しましょう。すでに馴染みのある方もいらっしゃるかもしれませんが、事業に慣れていない場合は初めて出会う言葉もあるはずです。
「洋風居酒屋」の創業計画書を例に挙げて、それぞれ詳しく見ていきます。
取引先のシェア
取引先のシェアとは、売上や仕入が特定の取引先にどの程度依存しているかを示す割合のことです。
一部の取引先に売上や仕入が集中している場合、その取引先との関係が崩れた際に事業へ大きな影響が出る可能性があるため、可能であれば仕入れ先を分散させるほうがよいでしょう。
一方、仕入先を集中させることで割引が適用されるようなケースもあるため、バランスを見極めて記載内容を決めましょう。
融資担当者は、このシェアを見ることで、事業の安定性やリスク分散の度合いを判断しています。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
掛取引の割合
掛取引の割合とは、現金取引ではなく、後日まとめて代金を回収・支払する取引の割合を指します。
掛取引が多いほど、売上は立っていても手元資金が不足するリスクが高まります。創業期においては、無理のない掛取引割合になっているかが重要なチェックポイントとなります。
「黒字ではあるものの、手元にお金がないから倒産した」という黒字倒産の話は、あなたにとって関係のない問題ではありません。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
手形割合/手形のサイト
手形割合とは、取引において手形決済(商品やサービスの代金を現金や振込ですぐに支払うのではなく、約束手形を用いて後日支払う取引方法)が占める割合のことです。手形のサイトとは、手形を受け取ってから現金化されるまでの期間を指します。
手形取引がある場合、資金が実際に入金されるまで時間がかかるため、資金繰りへの影響を考慮した計画になっているかが確認されます。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
回収・支払の条件
回収条件は、売上代金をどのタイミングで回収するかを示す条件です。支払条件は、仕入代金や経費をどのタイミングで支払うかを示す条件です。
回収よりも支払が先行する条件になっていないか、なっていたとしても資金繰りに無理がないかが、本項目を通じてチェックされます。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「取引先・取引関係等」で押さえるべき4つの必須要素
それでは、基本的な用語も理解できたところで、具体的な中身に入っていきましょう。
難しく感じるかもしれませんが、販売先、仕入先、外注先、人件費の支払という4点を順番に整理していけば、自然と事業の流れが見えてきます。
「取引先・取引関係等」の書き方|①販売先
販売先では、商品やサービスをどのような相手に販売するのかを具体的に記載します。法人向けなのか個人向けなのか、特定の取引先を想定しているのか、不特定多数への販売なのかを明確にしましょう。
創業時点で実際の取引先が決まっていない場合でも、想定している顧客層や販売チャネルを具体的に示すことで、事業の現実性を伝えることができます。
また、特定の販売先に売上が集中する計画になっている場合は、その理由や取引継続性について説明できる状態にしておくことが重要です。融資担当者は、売上の安定性や過度な依存リスクがないかという視点でこの項目を確認しています。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「取引先・取引関係等」の書き方|②仕入先
仕入先では、原材料や商品、サービスをどこから仕入れるのかを具体的に記載します。特定の仕入先がある場合は、その仕入先の属性や取引形態を簡潔に整理し、安定的に調達できる見込みがあることを示しましょう。
また、仕入先が1社に限定されている場合は、その理由や代替となる調達手段があるかどうかを自分自身で整理しておくことが重要です。仕入が滞ると事業全体が停止してしまうため、融資担当者は仕入体制の安定性を重視しています。
創業時点で仕入先が未確定の場合でも、想定している仕入ルートや業界慣行を踏まえた説明ができれば、事業の現実性を伝えることが可能です。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「取引先・取引関係等」の書き方|③外注先
外注先では、業務の一部を外部に委託する予定があるかどうかを記載します。製造、施工、デザイン、システム開発、清掃など、外注を想定している業務内容と、その理由を整理しておきましょう。
外注を活用する場合は、業務量に応じてコストを調整できる体制であることを念頭に置いておくと、計画の柔軟性が評価されやすくなります。一方で、外注比率が高すぎる場合は、品質管理や利益率への影響を説明できる状態にしておく必要があります。
外注先がない場合は、本項目は空欄で問題ありません。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「取引先・取引関係等」の書き方|④人件費の支払
人件費の支払では、従業員に対して給与や報酬をどのような条件で支払う予定かを記載します。月末締め翌月払い、当月払いなど、支払サイクルを明確にしておきましょう。
人件費は毎月必ず発生する固定費であるため、支払条件が資金繰り計画と整合しているかどうかが重要な評価ポイントになります。売上の入金タイミングよりも先に人件費の支払いが発生する場合は、その資金をどのように確保するのかを自分自身で整理しておく必要があります。
無理のない支払条件が設定されていることを示すことで、創業後も安定した事業運営ができる計画であると融資担当者に伝えることができます。

出所:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 創業計画書記入例 洋風居酒屋」より引用
「取引先・取引関係等」の業種別記入例・テンプレート
ここまでで、どのような「取引先・取引関係等」が高く評価されるのかご理解いただけたと思います。最後に、業種別の記入例・テンプレートをご紹介しておきましょう。
さまざまな業種の記入例・テンプレートをご利用いただけますので、よろしければこちらのコラムにも遊びに来てください。
創業計画書の他項目について知りたい方はこちら
今回ご紹介した項目以外にも、記載方法について詳しく知りたい方は以下のコラムもご参照ください!
まとめ|「取引先・取引関係等」をマスターしよう!
創業計画書における「取引先・取引関係等」は、単なる取引先の一覧ではありません。
誰と、どのような条件で取引を行い、どのようにお金が動く事業なのかを示すことで、事業の安定性や資金繰りの現実性を裏付ける重要な項目です。
本項目を丁寧に整理することで、売上計画や資金計画との整合性が高まり、創業計画書全体の信頼性も大きく向上します。
取引の実態を冷静に見つめ、無理のない取引関係として整理することを意識しながら、本項目を仕上げていきましょう!
わたしたち「Business Jungle 創業計画書作成」は、勇気を出して創業しようとしている、あるいは既に創業しているあなたを応援しています。
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