農業は、作物を育てる仕事として語られることが多い一方で、実際には市場と強く結びついた事業です。
どれだけ丁寧に育てたとしても、価格や需要の変動によって収益は大きく左右されます。天候や自然条件だけでなく、流通や販売環境といった外部要因が、経営結果に直接影響する点が農業の特徴です。
そのため農業を事業として検討している場合は、事業計画書を通して市場・生産・販売の関係を整理しておくことで、農業を感覚ではなく構造として捉えることができるようになります。
ちなみに、今回ご紹介させていただく事業計画書は初心者向けの簡易的な内容になりますが、自分なりに改善余地を考えていくことで、より良い事業計画書に仕上げることができます。
こちらはわたしたちBusiness Jungleの事業計画書サンプルですが、デザインなどを工夫すれば、こんな資料も手に入るかもしれません!
Business Jungleと一緒に、こんな事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
農業の事業計画書テンプレート
さっそくですが、本コラムをご覧になってくださった方のために、事業計画書のテンプレートからプレゼントさせていただきます。こちらは、コラムの中でご紹介させていただく内容をまとめたものになっておりますので、ぜひご活用ください!
ただし、テンプレートはあくまでも「こういう風に書けばいい」という例示に過ぎません。あなたの事業にとって、最適な記載内容があるはずですので、本コラムの内容をきちんと理解したうえで、テンプレートをもとに改善を繰り返していきましょう。
そうすることで、あなただけの最高の事業計画書が完成するはずです。頑張ってください!
事業計画書の10つの構成要素
まず、事業計画書に決まりきった型はありません。しかしながら、事業計画書に盛り込まれることが多い基本的な項目は存在します。
本コラムでは、日本政策金融公庫の創業計画書で登場する10つの項目を例にとり、それぞれについて詳しく見ていきます。これらの構成要素を網羅することができれば、事業計画書としては大きな抜け漏れがなくなるはずです。
難しく感じるかもしれませんが、ひとつひとつ丁寧に見ていけば怖がることはありません。
自分自身の事業整理のため、金融機関に提出するためなど、事業計画書を作成する理由はさまざまですが、こうした要素をおさえれば、あなたの目的はきっと達成されるでしょう。
| 構成要素 | 概要 | ||
| ①創業の動機 | 「なぜ創業しようと思ったのか」という、事業に対する根源的な思いを整理します。 | ||
| ②経営者の略歴等 | 経営者の簡単な経歴を、資格保有や許認可取得の状況とあわせて整理します。 | ||
| ③取扱商品・サービス | どのような事業を行い、なぜその事業が成立するのかを、市場・競合・自社の差別化ポイントといった観点から整理します。 | ||
| ④従業員 | 常勤役員や一般的な従業員など、人員状況を整理します。 | ||
| ⑤取引先・取引関係等 | 販売先・仕入先・外注先など、取引関係を整理します。 | ||
| ⑥関連企業 | 自社に関連する企業を、自分自身あるいは配偶者が経営している場合は整理します。 | ||
| ⑦借入の状況 | 借入を行っている場合は、代表者個人の借入状況を含めて整理します。 | ||
| ⑧必要な資金と調達方法 | 事業で必要になる設備資金と運転資金、そしてそれらをどのように調達するかを整理します。 | ||
| ⑨事業の見通し | 創業当初から1年後(または事業が軌道に乗った後)の財務計画を、算出根拠と合わせて整理します。 | ||
| ⑩自由記述欄 | 他項目では表現できていない事業のアピールポイントを整理します。 | ||
農業の記入例① 創業の動機
創業の動機では、農業を始めたい理由そのものよりも、なぜ農業を事業として選んだのかを整理します。
農業は、努力が必ず成果に直結する分野ではなく、価格変動や天候不順といった外部要因の影響を強く受けます。
そうした不確実性を前提としたうえで、自分が主体となってどのような農業を行っていきたいのかを言語化することが重要です。安定性を求めるのか、変動を受け入れながら工夫することに価値を見出すのかによって、事業の方向性は大きく変わるはずです。
この項目では、自分が農業を志した思いをこれまでの経験に基づいて整理することで、創業後の判断がぶれにくくなります。

農業の記入例② 経営者の略歴等
経営者の略歴では、栽培経験の年数や作物の種類だけでなく、これまでどのような環境で何をしてきたのかを整理します。
農業の経験がある場合は、家族経営なのか、法人農業なのか、委託作業が多い環境だったのかによって、身についているスキルや経験は異なります。
また、農業以外での経験も重要な要素です。販売、交渉、数値管理、段取りといった経験は、農業経営において直接的に活かされるはずです。
略歴は実績を示すためではなく、自分が何に慣れているのかを把握するための項目です。得意な局面と苦手な局面を整理することで、現実的な事業計画につながります。

農業の記入例③ 取扱商品・サービス
取扱商品・サービスでは、市場の動きや競合の状況を整理したうえで、自社がどの領域を担うのかを決めていきます。
地域内でどの作物が多く生産されているのか、価格が安定しているのか、あるいは供給過多になっていないかといった点を把握することが出発点になります。
次に、競合となる生産者や産地の特徴を整理します。規模で勝負しているのか、品質や希少性で評価されているのか、販路を自前で持っているのかによって、自社が同じ土俵で戦うべきかどうかの判断が変わります。競合と同じやり方を選ぶのか、あえて異なる方向を選ぶのかを明確にすることが重要です。
市場と競合を踏まえたうえで、自社がどの作物を、どの販売先に向けて、どのような形で提供するのかを整理します。取扱商品・サービスは生産内容の説明ではなく、市場の中での自社の立ち位置を示す戦略として記載することが求められます。

農業の記入例④ 従業員
従業員の項目では、人数を通して、チームとしてどのような役割分担で事業を推進していくのかを整理します。
農業では、天候や生育状況によって作業内容や優先順位が頻繁に変わります。特定の人に判断が集中していると、その人が不在の際に作業が滞るリスクがあります。そのため、どの判断を誰が行い、どこまでを現場で任せるのかを整理しておく必要があるわけです。
従業員計画は人手不足を補うためのものではなく、変化に対応できる体制をつくるための設計として考えることが重要です。

農業の記入例⑤ 取引先・取引関係等
取引先・取引関係等では、販売先・仕入先・外注先を分けて整理します。
販売先については、どの市場に依存しているのか、その依存度が経営にどのような影響を与えているかを把握することが重要です。
仕入先については、種苗、肥料、資材など、安定供給が前提となる要素を整理します。価格だけでなく、納期や供給の柔軟性が事業継続に影響する点を意識する必要があります。
外注先としては、収穫作業や運送、加工など、自社で対応しきれない工程を担う先を整理します。
取引関係を役割ごとに整理することで、農業事業全体の構造が立体的に見えてきます。

農業の記入例⑥ 関連企業
関連企業の項目では、代表者や関係者が農業以外の事業を行っている場合、その内容を整理します。
たとえば、加工業や飲食業、不動産業などを並行して行っている場合、繁忙期が重なったり、資金や人員の配分に影響が出たりする可能性があります。こうした他事業についても捉えることで、農業単独ではなく、関連企業全体として事業を整理することができるようになります。
なお、関連企業が存在しない場合は、本項目を記載する必要はありません。

農業の記入例⑦ 借入の状況
借入の状況では、法人としての借入だけでなく、代表者個人の借入を含めて整理します。
農業では設備投資や初期費用が大きくなりやすく、個人の借入が事業運営に影響するケースも少なくありません。
借入を洗い出すことで、現在の経営判断がどのような資金的制約の上に成り立っているのかが見えてきます。返済負担が大きい場合、作付けの選択や販売先の決定に無意識の偏りが生じることもあるでしょう。
本項目は、借入の多寡を評価するためのものではなく、現状を正確に把握するための土台となる項目です。借入状況を整理することで、将来の設備投資や経営の在り方を冷静に検討しやすくなります。

農業の記入例⑧ 必要な資金と調達方法
必要な資金と調達方法では、設備資金と運転資金を分けて整理します。
設備資金では、農機具や施設、設備など、どの生産工程を支えるための投資なのかを明確にします。すべてを最初から整えるのではなく、段階的に導入する前提で整理する視点が重要です。
運転資金については、収穫まで収入が得られない期間をどう支えるかを中心に考えます。人件費や資材費、燃料費など、時期によって集中する支出を洗い出し、余裕を持った設計になっているかを確認します。
調達方法では、自己資金を中心として、不足する分をどのように補っていくのかを検討します。
必要な資金を役割ごとに整理したうえで調達方法を考えることで、無理のない資金計画につながります。

農業の記入例⑨ 事業の見通し
事業の見通しでは、売上・原価・費用をそれぞれ洗い出し、収支構造を整理します。
売上については、作物ごとの販売単価や販売量を把握し、どの作物や販路が収益の中心になっているかを明確にします。原価では、種苗費や肥料費、外注費など、生産量に応じて増減する費用を整理します。費用については、人件費や設備維持費など、売上に関係なく発生する支出を含めて確認します。
これらを踏まえて収支計画を立てることで、どの水準であれば事業が成り立つのかが見えてきます。

農業の記入例⑩ 自由記述欄
自由記述欄では、これまでの項目では表現しきれなかった考え方や、農業事業を行ううえで大切にしたい姿勢を整理します。数値や構造では表しにくい判断基準を言語化することが、この項目の役割です。
たとえば、品質への向き合い方、取引先との距離感、規模拡大に対する考え方などは、他の項目では断片的になりがちです。本項目では、それらを一つの考えとしてまとめることができます。
これまで整理してきた内容と一貫性を持たせることで、農業事業としての考え方がより明確になるでしょう。

まとめ
農業の事業計画書は、収穫量や売上を約束するための資料ではありません。自然条件や市場環境と向き合いながら、どのように事業を成立・発展させるのかを整理するためのものです。
全体を通して重要なのは、思い通りにいかない状況を前提に、どのように事業を組み立てるかを言語化することです。
事業計画書は一度作って終わりではなく、環境の変化に応じて見直しながら使い続けることで、経営判断の土台として機能します。
構造を理解し、自分たちに合った農業の形を整理することで、無理のない、継続可能な事業運営につながっていきます。本コラムを参考にして、ぜひ最高の事業計画書を作成してください。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
わたしたちBusiness Jungleでは、事業計画書の作成をお手伝いしております。
今回ご紹介した「簡易版の事業計画書」はもちろん、パワーポイントを使用した以下のような「本格版の事業計画書」も作成可能です。ぜひ、私たちと一緒に、最高の事業計画書を作成しましょう。
本格版の事業計画書(記載内容はサンプル)
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※簡易版の事業計画書は、日本政策金融公庫の「創業計画書」のフォーマットに基づいて作成させていただきます
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