クリニックや診療所での開業を考えたとき、診療内容や専門分野、どのような医療を提供したいのかという点は比較的明確になりやすい一方で、それを事業としてどのように整理すればよいのかで悩むケースは少なくありません。医療は公共性が高く、使命感や専門性が重視される分、経営という視点を後回しにしてしまうことも多く見られます。
しかし、クリニックは医療機関であると同時に、継続的に運営していく事業体でもあります。患者数の見込み、スタッフ体制、設備投資、資金繰りなどを十分に整理しないまま開業すると、理想としていた医療を続けること自体が難しくなる可能性があります。良い医療を提供し続けるためには、現実的な事業設計が不可欠です。
そのため、クリニックにおける事業計画書は、単に外部に提出するためだけの書類ではなく、自分自身が診療方針と経営の両面を整理するための重要な資料としても位置づけることが大切です。
医療と経営を切り離すのではなく、両立させるための整理として事業計画書を活用することが、安定した診療所運営につながります。
ちなみに、今回ご紹介させていただく事業計画書は初心者向けの簡易的な内容になりますが、自分なりに改善余地を考えていくことで、より良い事業計画書に仕上げることができます。
こちらはわたしたちBusiness Jungleの事業計画書サンプルですが、デザインなどを工夫すれば、こんな資料も手に入るかもしれません!
Business Jungleと一緒に、こんな事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
クリニック(医院・診療所)の事業計画書テンプレート
さっそくですが、本コラムをご覧になってくださった方のために、事業計画書のテンプレートからプレゼントさせていただきます。こちらは、コラムの中でご紹介させていただく内容をまとめたものになっておりますので、ぜひご活用ください!
ただし、テンプレートはあくまでも「こういう風に書けばいい」という例示に過ぎません。あなたの事業にとって、最適な記載内容があるはずですので、本コラムの内容をきちんと理解したうえで、テンプレートをもとに改善を繰り返していきましょう。
そうすることで、あなただけの最高の事業計画書が完成するはずです。頑張ってください!
事業計画書の10つの構成要素
まず、事業計画書に決まりきった型はありません。しかしながら、事業計画書に盛り込まれることが多い基本的な項目は存在します。
本コラムでは、日本政策金融公庫の創業計画書で登場する10つの項目を例にとり、それぞれについて詳しく見ていきます。これらの構成要素を網羅することができれば、事業計画書としては大きな抜け漏れがなくなるはずです。
難しく感じるかもしれませんが、ひとつひとつ丁寧に見ていけば怖がることはありません。
自分自身の事業整理のため、金融機関に提出するためなど、事業計画書を作成する理由はさまざまですが、こうした要素をおさえれば、あなたの目的はきっと達成されるでしょう。
| 構成要素 | 概要 | ||
| ①創業の動機 | 「なぜ創業しようと思ったのか」という、事業に対する根源的な思いを整理します。 | ||
| ②経営者の略歴等 | 経営者の簡単な経歴を、資格保有や許認可取得の状況とあわせて整理します。 | ||
| ③取扱商品・サービス | どのような事業を行い、なぜその事業が成立するのかを、市場・競合・自社の差別化ポイントといった観点から整理します。 | ||
| ④従業員 | 常勤役員や一般的な従業員など、人員状況を整理します。 | ||
| ⑤取引先・取引関係等 | 販売先・仕入先・外注先など、取引関係を整理します。 | ||
| ⑥関連企業 | 自社に関連する企業を、自分自身あるいは配偶者が経営している場合は整理します。 | ||
| ⑦借入の状況 | 借入を行っている場合は、代表者個人の借入状況を含めて整理します。 | ||
| ⑧必要な資金と調達方法 | 事業で必要になる設備資金と運転資金、そしてそれらをどのように調達するかを整理します。 | ||
| ⑨事業の見通し | 創業当初から1年後(または事業が軌道に乗った後)の財務計画を、算出根拠と合わせて整理します。 | ||
| ⑩自由記述欄 | 他項目では表現できていない事業のアピールポイントを整理します。 | ||
クリニック(医院・診療所)の記入例① 創業の動機
クリニック開業の創業動機では、医師としてどのような医療を提供したいのかという考えが出発点になることが一般的です。地域医療に貢献したい、患者一人ひとりに丁寧に向き合いたい、専門性を活かした診療を行いたいといった思いは、動機として自然なものです。
事業計画書では、その思いをもう一段具体化し、なぜ開業という形を選んだのかを整理することが重要になります。勤務医としての経験の中で感じてきた課題や、診療体制への違和感、時間の使い方や患者対応に関する問題意識などを振り返ることで、開業の必然性が見えてきます。
単に独立したいという理由ではなく、現在の医療環境の中で、このクリニックという形でなければ実現できない医療があるという整理を行うことで、創業の動機が診療方針や経営判断と結びついたものになります。
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クリニック(医院・診療所)の記入例② 経営者の略歴等
経営者の略歴では、医師としての経歴を中心に整理することになりますが、単なる勤務先や年数の羅列に終わらせないことが重要です。この項目では、これまでの経験がどのように今回のクリニック運営に活かされるのかを示す視点が求められます。
専門分野での診療経験、症例数、チーム医療への関わり方などは、診療の質を裏付ける要素になります。また、後輩指導や診療体制の構築に関わった経験は、スタッフマネジメントにもつながります。
医療現場以外での経験、例えば研究活動、学会運営、院内業務改善なども、クリニック経営に活かせる要素です。この経験があるからこそ、この診療所を安定して運営できるという流れを意識して整理することが大切です。
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クリニック(医院・診療所)の記入例③ 取扱商品・サービス
取扱商品・サービスに該当するのは、クリニックの場合、提供する診療内容そのものです。そのため、どの診療科目を扱うのかだけでなく、どのような診療スタイルを採用するのかまで含めて整理する必要があります。一般診療を中心にするのか、専門性の高い診療を行うのかによって、必要な設備や人員体制は大きく異なります。
また、対象とする患者層を整理することも重要です。地域住民を幅広く受け入れるのか、特定の年齢層や疾患に重点を置くのかによって、診療時間、予約制の有無、待ち時間への配慮の仕方も変わってきます。診療内容と運営方法は切り離せない要素です。
保険診療を中心にするのか、自由診療を取り入れるのかについても、慎重な整理が必要です。収益構造や患者との関係性に大きく影響するため、自分がどのような医療を継続的に提供したいのかという考えと結びつけて整理することが、この項目の重要なポイントになります。
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クリニック(医院・診療所)の記入例④ 従業員
従業員の項目では、開業時点での現実的な人員体制を整理することが重要です。
クリニックでは、医師だけでなく、看護師、医療事務、受付スタッフなど、多様な役割が存在します。それぞれの役割を明確にすることで、診療が円滑に進む体制を示すことができます。
どの業務を誰が担うのか、診療時間帯によって体制をどう変えるのかといった点を整理することで、日々の運営イメージが具体化します。無理に少人数で回そうとすると、医療の質やスタッフの負担に影響するため、現実的なバランスが求められます。
将来的な増員を見据える場合でも、まずは開業時点で無理なく運営できる体制を前提に考えることが重要です。人件費は経営に大きな影響を与える要素であるため、慎重に整理する必要があります。

クリニック(医院・診療所)の記入例⑤ 取引先・取引関係等
この項目では、クリニック運営に関わる取引関係を整理します。
販売先という概念は一般的な事業とは異なりますが、診療報酬の請求先や、患者との関係性を含めて整理すると理解しやすくなります。
仕入先としては、医療機器、医薬品、消耗品、検査関連サービスなどが挙げられます。安定供給が可能か、特定業者への依存度が高すぎないかといった点も考慮が必要です。
清掃や設備保守、ITシステムの管理などを外部に委託する場合は、その範囲を整理しておくことで、クリニック運営の全体像が明確になります。

クリニック(医院・診療所)の記入例⑥ 関連企業
関連企業が存在する場合は、その関係性を整理します。代表者や関係者が別の医療法人や事業を運営している場合、資本関係や取引関係があれば簡潔にまとめます。
関連企業が存在しない場合は、本項目を記載する必要はありません。事実関係を整理することが目的であり、無理に内容を補足しなくても大丈夫です。

クリニック(医院・診療所)の記入例⑦ 借入の状況
借入の状況では、開業にあたっての借入内容と返済状況を整理します。クリニックは初期投資が大きくなりやすいため、借入の有無や規模は経営に直結します。
借入がある場合は、返済が診療所運営に過度な負担を与えないかを冷静に整理することが重要です。月々の返済額だけでなく、長期的な資金繰りとの関係も含めて考える必要があります。
自分自身が資金の状況を正確に把握していることが、安定した経営判断につながります。

クリニック(医院・診療所)の記入例⑧ 必要な資金と調達方法
必要な資金と調達方法では、クリニック開業に必要となる設備資金と運転資金を分けて整理します。
内装工事、医療機器、電子カルテなどのシステム導入費用は大きな金額になりやすいため、漏れなく洗い出すことが重要です。
運転資金については、開業直後は患者数が安定しないことを前提に、余裕を持った設定が求められます。人件費、家賃、消耗品費など、固定的に発生する費用を中心に考えることで、資金不足のリスクを減らすことができます。
調達方法については、自己資金と借入のバランスを整理し、返済に追われる経営にならないよう慎重に考えることが大切です。資金計画を言語化することで、開業後の判断もしやすくなります。
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クリニック(医院・診療所)の記入例⑨ 事業の見通し
事業の見通しでは、診療所としてどのように患者数が推移していくかを整理し、最終的な収益計画として落とし込みます。開業直後から安定した患者数を想定するのではなく、徐々に認知が広がっていく前提で考えることが重要です。
売上は診療単価と患者数をもとに整理し、季節変動や診療科目ごとの特性も考慮します。費用面では、人件費や設備維持費など、固定費を過小評価しないことが重要です。
数字を通じて現実を把握することで、無理のない診療体制の検討や経営判断が可能になります。
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クリニック(医院・診療所)の記入例⑩ 自由記述欄
自由記述欄では、診療を通じて大切にしたい考え方や、長期的な診療所運営の方向性を整理します。地域との関わり方、患者との向き合い方など、数値では表しにくい要素を言語化する場になります。
これまで整理してきた内容と矛盾がないように意識しながら、診療所としてどのような存在でありたいのかをまとめることが重要です。事業全体を俯瞰し、自分自身の考えを整理する場として活用します。
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まとめ
クリニックや診療所の事業計画書は、開業前に自分自身の考えを整理し、同時に第三者にも説明できる状態にしておくための重要な資料です。医療の質と経営の安定は切り離せるものではなく、どちらも丁寧な整理が必要になります。
創業の動機から資金計画、事業の見通しまでを一貫して整理することで、診療所運営の全体像が明確になります。書きながら考え、考え直しながら整理する過程そのものが、安定したクリニック経営につながります。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
わたしたちBusiness Jungleでは、事業計画書の作成をお手伝いしております。
今回ご紹介した「簡易版の事業計画書」はもちろん、パワーポイントを使用した以下のような「本格版の事業計画書」も作成可能です。ぜひ、私たちと一緒に、最高の事業計画書を作成しましょう。
本格版の事業計画書(記載内容はサンプル)
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※簡易版の事業計画書は、日本政策金融公庫の「創業計画書」のフォーマットに基づいて作成させていただきます
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