花屋を始めたいと考える人の多くは、花が好きであることや、美しいものを扱いたいという気持ちを出発点にします。
季節感や色合い、空間づくりへの関心は、この仕事ならではの魅力でもあります。一方で、花屋という事業は、仕入れた瞬間から価値が減っていく商品を扱う、非常にシビアな構造を持っています。
花は保存がきかず、売れ残りはそのままロスになります。売上を伸ばそうとして仕入れを増やせば、同時に廃棄リスクも高まります。そのため、感性だけで判断してしまうと、忙しさに比例して利益が減るという事態が起こりやすくなります。
事業計画書は、花の魅力を語るための資料ではなく、どのようにすれば事業として成立するのかを整理するためのものです。好きという気持ちを守るためにも、現実的な判断基準を言葉にしておくことが重要になります。
ちなみに、今回ご紹介させていただく事業計画書は初心者向けの簡易的な内容になりますが、自分なりに改善余地を考えていくことで、より良い事業計画書に仕上げることができます。
こちらはわたしたちBusiness Jungleの事業計画書サンプルですが、デザインなどを工夫すれば、こんな資料も手に入るかもしれません!
Business Jungleと一緒に、こんな事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
花屋の事業計画書テンプレート
さっそくですが、本コラムをご覧になってくださった方のために、事業計画書のテンプレートからプレゼントさせていただきます。こちらは、コラムの中でご紹介させていただく内容をまとめたものになっておりますので、ぜひご活用ください!
ただし、テンプレートはあくまでも「こういう風に書けばいい」という例示に過ぎません。あなたの事業にとって、最適な記載内容があるはずですので、本コラムの内容をきちんと理解したうえで、テンプレートをもとに改善を繰り返していきましょう。
そうすることで、あなただけの最高の事業計画書が完成するはずです。頑張ってください!
事業計画書の10つの構成要素
まず、事業計画書に決まりきった型はありません。しかしながら、事業計画書に盛り込まれることが多い基本的な項目は存在します。
本コラムでは、日本政策金融公庫の創業計画書で登場する10つの項目を例にとり、それぞれについて詳しく見ていきます。これらの構成要素を網羅することができれば、事業計画書としては大きな抜け漏れがなくなるはずです。
難しく感じるかもしれませんが、ひとつひとつ丁寧に見ていけば怖がることはありません。
自分自身の事業整理のため、金融機関に提出するためなど、事業計画書を作成する理由はさまざまですが、こうした要素をおさえれば、あなたの目的はきっと達成されるでしょう。
| 構成要素 | 概要 | ||
| ①創業の動機 | 「なぜ創業しようと思ったのか」という、事業に対する根源的な思いを整理します。 | ||
| ②経営者の略歴等 | 経営者の簡単な経歴を、資格保有や許認可取得の状況とあわせて整理します。 | ||
| ③取扱商品・サービス | どのような事業を行い、なぜその事業が成立するのかを、市場・競合・自社の差別化ポイントといった観点から整理します。 | ||
| ④従業員 | 常勤役員や一般的な従業員など、人員状況を整理します。 | ||
| ⑤取引先・取引関係等 | 販売先・仕入先・外注先など、取引関係を整理します。 | ||
| ⑥関連企業 | 自社に関連する企業を、自分自身あるいは配偶者が経営している場合は整理します。 | ||
| ⑦借入の状況 | 借入を行っている場合は、代表者個人の借入状況を含めて整理します。 | ||
| ⑧必要な資金と調達方法 | 事業で必要になる設備資金と運転資金、そしてそれらをどのように調達するかを整理します。 | ||
| ⑨事業の見通し | 創業当初から1年後(または事業が軌道に乗った後)の財務計画を、算出根拠と合わせて整理します。 | ||
| ⑩自由記述欄 | 他項目では表現できていない事業のアピールポイントを整理します。 | ||
花屋の記入例① 創業の動機
創業の動機では、なぜ数ある業種の中から花屋を選ぶのかを、生活や働き方との関係で整理します。花屋は華やかな印象とは裏腹に、仕入れ判断や廃棄、価格調整など、日々現実的な選択を迫られる場面が多い仕事です。
そのため、この項目では、花に関わる仕事を通してどのような時間の使い方をしたいのか、どの程度の不安定さを受け入れる覚悟があるのかを言語化することが重要になります。
理想像だけでなく、負担や迷いが生じた場面でも続けたいと思える理由を整理しておくことで、事業としての判断が感情に流されにくくなります。

花屋の記入例② 経営者の略歴等
経営者の略歴では、フラワーアレンジメントの技術や資格、あるいは仕入れや在庫にどう向き合ってきたかを整理すると、この事業との相性が見えてきます。花に関するスキル以外にも言及するのは、本事業が美的センスと同時に、割り切りが必要になる場面が多いためです。
花屋や関連業種での経験がある場合は、どの工程を任され、どこで判断をしてきたかを振り返ります。異業種の経験がある場合も、在庫管理や価格調整などの経験が活きることがあります。

花屋の記入例③ 取扱商品・サービス
取扱商品・サービスでは、どんな花を扱うかよりも、どこまでを扱わないかを整理することが重要です。すべてのニーズに応えようとすると、仕入れが膨らみ、ロスが増えやすくなります。
切り花、鉢物、アレンジメント、ギフトなど、それぞれ回転や廃棄リスクが異なります。見た目の魅力だけでなく、どの商品が事業を支えているのかを冷静に整理する必要があります。
商品は自分のやりたいことの表現ではなく、仕入れ判断と廃棄判断の集合体であるという視点を持つことで、事業としての現実性が高まります。

花屋の記入例④ 従業員
従業員の項目では、従業員の人数を通して、どのように作業を進めていくかを整理します。仕入れ、下処理、陳列、水替え、接客と、花屋は顧客には見えない作業が非常に多い業態です。
人を増やせば楽になるとは限らず、教育や品質管理の手間が増えることもあります。どこまでを自分で担い、どこからを任せるのかを整理しておくことが重要です。
人員計画は拡大という視点はもちろん、自分自身が疲弊しないための設計として捉えることも重要です。

花屋の記入例⑤ 取引先・取引関係等
この項目では、販売先や仕入先の関係性を中心に整理します。
販売先については、一般客だけでなく、法人需要や定期契約があるかどうかで、売上の読みやすさは変わります。イベントや季節需要への依存度も整理しておく必要があります。
仕入先についても、市場や卸先との距離感、入荷頻度、価格変動への対応などが、事業の安定性に大きく影響します。
取引関係は、売上を成り立たせるための要素としてだけでなく、その裏にある事業を継続させるための要素としても整理すると、全体像が見えやすくなります。

花屋の記入例⑥ 関連企業
関連企業が存在する場合は、その関係性を整理します。代表者や関係者が別事業を行っている場合、その内容を簡潔にまとめます。
関連企業が存在しない場合は、本項目を記載する必要はありません。本項目を通して事実関係を整理することで、事業単体ではなく、その周辺領域も含んだ総合的な事業検討が可能になります。

花屋の記入例⑦ 借入の状況
借入の状況では、設備投資や開業費用だけでなく、廃棄が発生した場合の経済的・心理的余裕も含めて考えます。花屋は、売れ残りが目に見えるため、精神的な負担が判断に影響しやすい業態です。
返済額が重いと、仕入れを減らしすぎて売場が寂しくなるなど、悪循環に陥ることがあります。金額そのものはもちろん、経営判断を縛らない借入水準かどうかを意識して整理するとよいかもしれません。

花屋の記入例⑧ 必要な資金と調達方法
必要な資金と調達方法では、冷蔵設備や什器、初期仕入れだけでなく、ロスを織り込んだ運転資金を考えることが重要です。売れない日の存在を前提にしないと、計画はすぐに崩れます。
資金調達についても、仕入れ判断の自由度を保てるかという視点で整理します。余裕のない計画は、魅力的な花を仕入れる判断を妨げる要因になります。
あまりにギリギリの計画であると、どこかで計画とのずれが生じた際に立て直しができなくなります。ある程度、余裕をもった計画が重要になるでしょう。

花屋の記入例⑨ 事業の見通し
事業の見通しでは、事業の内容を数字の面から探っていきます。
売上を積み上げる際には、廃棄がどの程度なら許容できるのかをあわせて考えておくことが大切です。花屋にとって、ロスは避けられない要素であり、それを前提にしない計画は現実的ではありません。
他にも、忙しい日と静かな日の差を織り込む必要があるでしょう。特定のイベントや曜日に売上が集中する場合、それ以外の日をどう支えるのかを考える必要があります。平均値ではなく、ある程度売上が落ち着いている日の数字を基準にすることで、無理のない見通しになります。
費用についても、仕入れ額だけでなく、時間と労力を含めて考えます。どこまでなら心身ともに続けられるのかを把握することで、撤退や縮小の判断もしやすくなります。

花屋の記入例⑩ 自由記述欄
自由記述欄では、どのような花屋であり続けたいのかを、具体的な思いと結びつけて整理します。流行を追うのか、日常使いを大切にするのかによって、仕入れや価格設定は大きく変わるでしょう。
また、売れ残った花との向き合い方や、無理な営業をしないという思いなども、この欄で言語化しておくと、日々の迷いが減ります。
将来について触れる場合も、どのような状態を維持したいのかを明確にすることで、規模拡大を目指すのか安定経営を目指すのか、将来の展望が明らかな花屋の計画になります。

まとめ
花屋の事業計画書は、花の美しさを語るためのものではなく、経営として、厳しさと折り合いをつけるための資料です。好きだからこそ、続けるための線引きをしておく必要があります。
全体を通して整理することで、自分に合った花屋経営の形が見えてきます。状況に応じて見直しながら使い続けることで、計画書は実務に根付いたものになるでしょう。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
わたしたちBusiness Jungleでは、事業計画書の作成をお手伝いしております。
今回ご紹介した「簡易版の事業計画書」はもちろん、パワーポイントを使用した以下のような「本格版の事業計画書」も作成可能です。ぜひ、私たちと一緒に、最高の事業計画書を作成しましょう。
本格版の事業計画書(記載内容はサンプル)
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※簡易版の事業計画書は、日本政策金融公庫の「創業計画書」のフォーマットに基づいて作成させていただきます
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