IR資料は、企業が投資家に向けて自社の価値や将来性を伝えるための資料です。
しかし、初めて作成する際には、どの情報を載せればよいのか、どのように構成すれば読みやすくなるのかなど、数多くの悩みが生まれます。特にIR資料は通常の会社紹介資料とは異なり、戦略の妥当性、財務データの透明性、リスク開示の正確さなど、投資家が判断する要素を徹底的に整理する必要があります。
適切な流れで作成すれば、企業の魅力はより正しく伝わり、投資家からの信頼獲得につながります。一方で、情報の欠落や説明の一貫性不足があると、企業への誤解を招き、資金調達や市場での評価に影響する可能性があります。
このコラムでは、初めてIR資料を作る担当者でも実践できるように、作成手順を丁寧に解説しながら、投資家が特に重視するポイントを明確にしていきます。資料づくりの基礎から、よくある失敗例、改善のヒントまでを体系的にまとめた内容になっているため、IR資料作成が初めての方にも安心して活用いただけます。
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
IR資料の目的・役割とは
IR資料の目的は、企業の価値を客観的かつ正しく伝え、投資家に理解してもらうことです。単なる情報の羅列ではなく、企業の方向性や成長力を明確に示し、信頼性のある説明を行うことが求められます。
企業の将来性を判断するために、投資家は事業モデル、市場環境、財務状況、競争優位性など、複数の視点を持って資料を読み進めます。そのため、IR資料には、読み手が短時間で全体を理解できるように、論点が整理され一貫した構成が必要となります。
また、IR資料は企業の誠実さを示す役割も担っています。ポジティブな情報だけを強調するのではなく、リスクや課題も適切に開示することで、投資家からの信頼が高まります。透明性を保ちながら正確な情報提示を行うことが、長期的な関係構築につながります。
企業の成長戦略を実現するために、IR資料は資本市場とのコミュニケーションツールとして欠かせない存在であり、その完成度が企業評価に直結するといっても過言ではありません。

投資家がIR資料で重視するポイント
投資家が注目するのは、単なるデータの多さではなく、企業としての主張が明確であり、数字と戦略が矛盾なくつながっているかどうかです。
まず重視されるのは、企業が何を目指し、どのように成長していくのかというストーリーです。このストーリーが整理されていない資料は、読み手の理解を妨げ、信頼を損なうことがあります。
財務情報も非常に重要です。売上や利益の推移、セグメント別構成、KPIなどは、企業の現状と将来性を判断する鍵となるため、分かりやすい図表で提示することが求められます。また、数字の背景や要因を適切に説明できている資料は、投資家からの信頼を得やすくなります。
さらに、リスクや課題への対応をどの程度正確に開示しているかも注目されます。リスクを意図的に隠す資料は不信感を与えるため、誠実に開示しつつ、今後の対応方針を示すことが評価につながります。投資家は短時間で資料を読み判断するため、IR資料は見やすさ、論理性、透明性の3つを高いレベルで満たす必要があります。
さて、ここからはIR資料の実際の作成手順について詳しく見ていきましょう。

作成手順①:目的と投資家に伝えたいメッセージを整理する
IR資料を作成する際、まず取り組むべきなのは、企業として何を伝えたいのかを明確にすることです。目的が曖昧なまま作り始めると、情報の取捨選択ができず、伝えたいことがぼやけた資料になってしまいます。
最初に整理すべきメッセージは3つあります。自社の目指す世界、企業の現状、目指す世界に至るための成長戦略です。これらを言語化しておくこと、その後の具体的な資料内容の検討がスムーズになります。逆に、このステップを省略すると、資料全体が一貫性を欠き、読み手が混乱しやすくなります。
また、投資家が何を知りたいのかを把握することも重要です。財務安定性、市場の成長性、競争上の優位性など、投資家目線での論点を意識しながらメッセージを整理することで、より評価される資料になります。
IR資料の価値は、企業が伝えたいことと、投資家が知りたいことが一致しているかどうかで大きく変わります。このステップが資料全体の品質を左右するといっても過言ではありません。

作成手順②:全体の構成(ストーリーライン)を設計する
IR資料の質を大きく左右するのが、資料全体のストーリーラインです。情報がどれだけそろっていても、並べる順番や流れが適切でなければ、投資家は企業の全体像を理解できません。むしろ、ストーリーが不自然であったり、論点が飛んでしまっていたりすると、資料全体の信頼性が損なわれることもあります。そのため、IR資料作成では、最初にどの順番で何を伝えるのかを丁寧に設計することが欠かせません。
ストーリーラインを設計する際に重要なのは、読み手が知りたい順番を優先することです。企業が言いたいことではなく、投資家が理解しやすい流れをつくることがポイントです。投資家はまず企業の立ち位置を把握し、その上で未来の成長イメージをつかみたいと考えているため、先に述べた通り、自社の目指す世界、企業の現状、目指す世界に至るための成長戦略という順番を採用しておくと無難でしょう。
また、章ごとに役割を明確にすることも大切です。事業概要の章では企業の存在意義や提供価値を伝え、市場環境の章では外部要因を整理し、戦略の章では今後の方向性を示し、財務の章では数値による裏付けを与えます。各章が独立して役割を持ちながら、全体として一つの物語としてつながっている構成が理想的です。ストーリーラインが整っている資料は読みやすく、企業としての一貫性もより強く伝わります。

作成手順③:必要な情報(事業・市場・財務・戦略・リスクなど)を収集する
構成が決まったら、資料に必要な情報を収集します。IR資料には多くの情報が必要ですが、重要なのは網羅性と正確性です。情報の抜け漏れがある資料は、投資家からの信頼を損なう可能性があります。
まず必要なのは、事業内容やビジネスモデルに関する情報です。どのような価値を提供し、どの市場で戦っているのかを明確にすることが求められます。次に、市場規模や競争環境などの外部要因も整理します。これらは企業の成長性を判断する重要な情報です。
財務情報も欠かせません。売上・利益・キャッシュフローなどの基本データに加え、セグメント別の情報や主要KPIも整理します。また、リスク情報は重要ですが、不安感を与えないよう客観的かつ誠実にまとめることが大切です。
情報が適切に収集されていれば、後のスライド作成や図表作成がスムーズに進み、資料全体の質が大幅に向上します。

作成手順④:スライドごとに論点を1つに絞り読みやすいレイアウトに整える
IR資料は視覚的な分かりやすさも重要です。特にスライド形式の場合、1枚に複数の主張を詰め込みすぎると読み手が混乱しやすくなります。スライドごとに論点を1つに絞ることで、投資家に伝えたいメッセージが明確になります。
また、読みやすいレイアウトを意識することで、資料の信頼性は大幅に高まります。余白を適切に取り、視線が自然に重要情報へ誘導される配置にすることがポイントです。タイトル、図表、文章がバランスよく並んだスライドは、理解しやすく、読み進めやすい構成になります。
色やフォントの統一も欠かせません。統一感のないデザインは、資料全体の印象を損ない、企業の誠実さにも影響を与えます。丁寧にデザインされた資料は、読み手に安心感を与え、企業への信頼を高めます。

作成手順⑤:第三者視点でレビューし改善ポイントを洗い出す
資料がひととおり完成したら、必ず第三者にレビューしてもらうことが重要です。作成者自身では気づきにくい曖昧な表現や誤解を招く構成が見つかることがあります。レビューは資料の完成度を引き上げる重要なステップです。
特に確認すべきなのは、ストーリーの一貫性、数字の整合性、論点の明確さです。資料を初めて読む立場に立ち、どこでつまずくか、どこが分かりやすいかをチェックします。投資家視点でのレビューを意識すると、より質の高いIR資料になります。
必要に応じて、外部の専門家に意見を求めることも有効です。客観的な視点でのアドバイスは、資料に深みを与え、投資家への説得力を高めます。

初心者が陥りやすい失敗と改善ポイント
最後に、IR資料をさらに良いものに仕上げていくための方法も検討しておきましょう。
IR資料作成で多いのは、情報の過不足や説明の一貫性不足です。特に、数字の羅列だけでストーリーがない資料は、投資家が企業の魅力を理解しにくくなります。また、強みばかりを強調し、リスク開示を避ける資料も信頼性を損ないます。
改善のためには、まず資料全体を俯瞰し、企業が伝えたいメッセージが一貫しているかを確認します。次に、財務データを図表で整理し、数字の背景を分かりやすく説明します。さらに、戦略と数字の整合性を高めることで、説得力のある資料に仕上がります。
デザイン面では、余白やフォント、色使いを統一するだけでも大幅に改善されます。視認性が高まれば、投資家の理解度が向上し、資料全体の印象も良くなります。

まとめ
IR資料は、企業の価値や将来性を投資家に伝えるための最重要資料です。目的の明確化、構成設計、情報収集、レイアウト整理、第三者レビューなど、手順を踏んで作成することで、読みやすく説得力のある資料が完成します。
初心者がつまずきやすいポイントも理解しておくことで、資料の質を一気に高めることができます。企業が伝えたいメッセージと、投資家が知りたい情報を丁寧に整理し、透明性を持って開示する姿勢が信頼につながります。
正しく設計されたIR資料は、投資家とのコミュニケーションを大きく前進させ、企業価値向上にも寄与します。今回の内容を参考に、質の高いIR資料作成に取り組んでみてください。
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