マニュアルデザイン完全ガイド|気を付けるべきポイント10選

マニュアルデザイン完全ガイド|気を付けるべきポイント10選


業務の効率化や社員教育、さらには顧客対応に至るまで、マニュアルは企業活動を支える基盤です。

しかし、せっかく作成したマニュアルが読まれなかったり、使いにくく放置されたりすることは少なくありません。その原因の多くは、デザインへの配慮不足にあります。フォントや配色、情報整理や図解の工夫ひとつで、マニュアルのわかりやすさは大きく変わります。

本記事では、成果に直結するマニュアルデザインの観点を10項目に分けて徹底解説します。具体的な工夫と改善のポイントを理解すれば、自社のマニュアルを「伝わる資料」へと進化させることができるはずです!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

はじめに|マニュアルデザインは成果に直結する

マニュアルは単なる作業手順を記録した資料ではなく、業務の標準化や教育の効率化、顧客満足度の向上を担う重要なツールです。そして、その成果を大きく左右するのが「デザイン」です。

文字ばかりが並ぶマニュアルは読む気を削ぎ、理解度を低下させます。逆に、構成が整理され、図解や写真を取り入れたデザインは、直感的に理解でき、実務に活用されやすくなります。

デザインの力が成果に直結する理由は、人間の認知特性にあります。人は視覚から得られる情報を重視し、全体像を把握しながら細部を理解します。整理されていないマニュアルはその流れを妨げ、学習効率を低下させます。さらに、現場でマニュアルが参照されないまま属人的な作業が続けば、品質のばらつきやミスにつながります。

成果を出すマニュアルは、誰が読んでも同じように理解し、同じ行動が取れることを目指すべきです。そのためには、読み手の視点に立ち、理解の流れに合わせてデザインを設計する必要があります。フォント、配色、レイアウト、図解、写真、ナビゲーション、そしてデジタル対応まで、総合的に工夫されたマニュアルこそが成果を最大化するのです。

マニュアル資料のあるべき構成・ストーリー

わかりやすいマニュアルを作成するには、まず全体の構成をどう設計するかが重要です。マニュアルは単なる情報の寄せ集めではなく、読者が自然に理解を深められるストーリーを持つべきです。

基本的な流れは、目的と概要の提示から始まり、具体的な手順や方法を説明し、最後に注意点や参考情報で締めくくる構成が理想です。たとえば、新人教育用のマニュアルであれば「業務の目的→全体像→個別手順→チェック項目」という流れにすると、全体と細部のバランスがとれ、理解がスムーズになります。

ストーリー性を持たせるためには「なぜその手順が必要なのか」を伝えることも効果的です。単に「この手順を行う」と指示するだけではなく「この作業を行うことで品質が安定する」といった背景を補足すると、学習者は納得しやすく、実行のモチベーションも高まります。

また、章ごとに見出しを工夫し、読者が全体の流れを把握しやすいように目次を整備することも欠かせません。構成とストーリーは、マニュアルの使いやすさを根本から決定づける要素であり、デザインの第一歩といえるでしょう。

それでは、マニュアルのデザインを考えるうえで重要となるポイントを、10つ見ていきましょう!

ポイント1:情報の整理と章立てで理解の流れを作る

マニュアルの使いやすさは、情報の整理度合いで大きく変わります。内容があちこちに散らばっていたり、章立てが不明確だったりすると、読者は必要な情報を探すのに時間を浪費します。これでは業務効率化どころか混乱を招きます。

情報整理の基本は「目的ごとに分類すること」です。業務マニュアルなら「基本ルール」「作業手順」「トラブル対応」「FAQ」といった章立てが考えられます。読者が知りたいことにすぐアクセスできるように、論理的なグルーピングを行うのです。

また、1章の中で複数の情報を扱う場合は、見出しや小見出しを活用し、段階的に整理します。読者はタイトルを見て内容を推測しながら読むため、見出しの設計はマニュアルの地図にあたります。

さらに、情報の重要度に応じて強調や優先順位を示す工夫も有効です。必須事項は太字や枠で強調し、補足的な内容は別欄にまとめるなど、視覚的にわかる工夫を取り入れることで、理解の流れを自然に作り出せます。

ポイント2:フォントと文字サイズで読みやすさを確保する

フォントと文字サイズは、マニュアルの可読性を左右する重要な要素です。読みづらいフォントや極端に小さい文字は、読む気を削ぎ、誤解や読み飛ばしにつながります。

一般的には、本文にはゴシック体のような視認性の高いフォントを用い、タイトルや見出しには太字を使うと効果的です。文字サイズは本文が14ポイント程度、見出しが18ポイント程度が標準とされますが、媒体や閲覧環境によって最適解は変わります。

また、フォントは1種類までに制限することが基本です。あまりに多くのフォントを混在させると、全体の統一感が崩れ、資料全体が稚拙に見えてしまいます。

文字間隔や行間も重要なポイントです。行間が詰まりすぎると窮屈で読みづらく、広すぎると文章がバラバラに見えてしまいます。適度な余白を設けることで、読み手は情報を快適に処理できます。

読みやすいマニュアルは、フォント選びと文字サイズの調整によって支えられているといっても過言ではありません。

ポイント3:配色と余白のバランスで視認性を高める

配色と余白は、マニュアルの第一印象と視認性を大きく左右します。適切な配色は情報を強調し、余白は情報を整理する役割を果たします。

まず配色については、コントラストを明確にすることが基本です。文字色と背景色が近すぎると読みづらくなるため、黒文字に白背景といった高コントラストが推奨されます。また、アクセントカラーを1色取り入れることで重要部分を強調でき、視線を効果的に誘導できます。

次に余白の使い方です。余白は「無駄なスペース」と誤解されがちですが、情報を整理して見やすくするための大切なデザイン要素です。文字や図を詰め込みすぎると、情報量に圧倒されて読みにくくなります。適度な余白を設けることで、内容が呼吸し、読者は安心して情報を受け取れます。

さらに、色使いはブランドのイメージとも連動させると効果的です。企業カラーをアクセントに活用することで、資料全体に統一感と信頼感を与えることができます。

ポイント4:図解・イラスト・アイコンで直感的に伝える

マニュアルの目的は、読者に正しく理解してもらうことです。そのために有効なのが図解やイラスト、アイコンの活用です。

文章だけで説明すると複雑に感じる内容も、図で表せば一目で理解できます。例えば、フローチャートは手順の流れを視覚的に示すのに効果的です。イラストは具体的な動作や位置関係を伝えるのに役立ち、アイコンは注意点や操作ボタンなどを直感的に識別させます。

ただし、図やイラストは必要以上に多用すると逆効果です。ページがごちゃつき、視線が分散してしまいます。情報を補完する目的で適切に配置し、文章と図の関係を明確にすることが大切です。

また、アイコンのデザインは統一性を意識しましょう。異なるスタイルのアイコンを混在させると、かえって混乱を招きます。同じテイストで揃えることで、視覚的な一貫性が生まれ、直感的な理解を助けます。

ポイント5:写真やスクリーンショットで実務を具体化する

写真やスクリーンショットは、実際の手順を具体的に示すために欠かせない要素です。特に操作マニュアルや業務マニュアルでは、実物を見せることで理解度が飛躍的に高まります。

例えば、ソフトウェアの操作説明では、スクリーンショットに操作箇所を赤枠で示すだけで、言葉以上に直感的な理解が得られます。製造現場での作業マニュアルでも、工具の持ち方や部品の位置を写真で示せば、未経験者でも正しく作業できます。

注意点としては、画質の低い写真は逆効果になることです。ぼやけた写真や小さすぎるスクリーンショットはかえって混乱を招きます。また、個人情報や社内機密が写り込まないように配慮する必要があります。

写真やスクリーンショットを適切に配置することで、マニュアルは抽象的な指示書から、誰でも実務に直結できる手引きへと進化します。

ポイント6:見出し・ナビゲーションで検索性を向上させる

現代のマニュアルは、情報量が増加しているため「必要な情報にすぐたどり着けるか」が重要になっています。そのために欠かせないのが、見出しとナビゲーションの工夫です。

見出しは内容を要約するラベルの役割を持ちます。抽象的な言葉ではなく、具体的で一目で内容がわかる見出しを設定することで、読者は迷わず目的の情報に到達できます。

ナビゲーションは、目次やリンクを通じて資料全体を移動しやすくする仕組みです。デジタルマニュアルでは、目次をクリックすると該当ページにジャンプできる機能や、検索ボックスを設けると利便性が格段に高まります。

検索性を高めることは、読者のストレスを軽減するだけでなく、実務のスピード向上にも直結します。特に業務現場では「すぐに答えが見つかるかどうか」が成果に大きく影響します。

ポイント7:紙とデジタルで異なる最適デザインを考える

マニュアルは紙媒体とデジタル媒体のどちらで提供されるかによって、デザインの最適解が異なります。

紙マニュアルは持ち運びや書き込みがしやすい反面、更新が難しく、分厚くなると扱いづらいという欠点があります。そのため、紙媒体では情報を厳選し、図表や箇条を中心に簡潔にまとめることが求められます。

一方、デジタルマニュアルは更新が容易で検索性に優れているため、情報量を豊富に載せられます。しかし画面サイズによって見え方が異なるため、レイアウトや文字サイズには特別な配慮が必要です。

どちらの形式にも一長一短があり、利用環境に応じて設計を最適化することが成果につながります。紙とデジタルの特性を理解した上でデザインを考えることが重要です。

ポイント8:モバイル対応やレスポンシブ設計で利便性を広げる

業務現場ではパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからマニュアルを参照するケースが増えています。そのため、モバイル対応やレスポンシブデザインが必須となっています。

文字や画像が小さすぎて見にくいと、現場での利用価値が下がります。画面サイズに応じてレイアウトが最適化されるレスポンシブ設計を取り入れることで、どんなデバイスからでも快適に利用できます。

また、モバイル端末での閲覧を想定し、スクロールのしやすさやタップ操作のしやすさにも配慮する必要があります。ボタンやリンクは十分な大きさを確保し、誤操作を防ぐことが大切です。

モバイル対応は単なる利便性の向上にとどまらず、現場の生産性や教育効率を高めるための必須条件といえるでしょう。

ポイント9:多言語化・アクセシビリティ対応で利用者を拡大する

グローバル化が進む現代では、マニュアルを多言語に対応させることも重要です。翻訳は直訳ではなく、文化や慣習に配慮したローカライズを行うことで初めて正しく機能します。

また、アクセシビリティ対応も欠かせません。視覚障害者に配慮したフォントや色使い、音声読み上げへの対応など、誰でも使えるマニュアルを目指すことが、企業の信頼性を高めます。

特に公共サービスや大規模な製品マニュアルでは、アクセシビリティは法的にも求められる場合があります。利用者を限定しないデザインは、社会的な責任を果たすとともに、より広い顧客層にリーチするための戦略でもあります。

ポイント10:継続的にデザインを改善する

マニュアルデザインは一度完成させて終わりではなく、継続的に改善することで価値を発揮します。

現場で実際に使われる中で、理解しにくい部分や見づらい箇所が見えてきます。利用者からのフィードバックを定期的に収集し、改善に反映する仕組みを整えることが重要です。また、利用状況をデータで把握できる仕組みを導入すれば、どのページがよく参照され、どの部分が使われていないかを可視化できます。

さらに、技術の進化や業務内容の変化に合わせてデザインも柔軟に見直す必要があります。動画やインタラクティブ要素を取り入れるなど、新しい手法を積極的に導入することで、常に最適なマニュアルを提供し続けることができます。

まとめ|成果を出すマニュアルデザインの実践ステップ

マニュアルは企業活動を支える基盤であり、その成果を左右するのがデザインです。本記事で紹介した10のポイントを意識すれば、マニュアルは「読まれない資料」から「活用される資産」へと変わります。

情報整理、フォント、配色、図解、写真、ナビゲーション、媒体の特性、モバイル対応、多言語化、そして継続的な改善。これらを総合的に取り入れることで、誰にでもわかりやすく、現場で成果につながるマニュアルを実現できます。 大切なのは、マニュアルを単なる文書として扱うのではなく、組織全体の知識を共有し、成長させる仕組みと捉えることです。今日から自社のマニュアルを見直し、改善に取り組むことで、業務効率や顧客満足度の向上に直結する成果が得られるはずです!

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