ビジネスの現場では、営業資料、提案書、IR資料、セミナー用プレゼン、採用ピッチ資料など、あらゆるシーンで「伝わる資料」の重要性が高まっています。オンライン商談やリモートプレゼンが主流となり、資料そのものが企業の顔や営業担当者の分身として機能するようになりました。その結果、資料の完成度が受注率や採用率、プレゼン評価に直接影響する時代に突入しています。
しかし実際には、社内で資料を作成する時間が取れず、見た目や構成の質に課題を抱える企業が多いのが現状です。限られたリソースで、ロジックとデザインを両立した資料を作るのは簡単ではありません。さらに、資料作成スキルを持つ人材が社内に偏っている場合、品質のばらつきも発生します。
こうした課題を背景に、近年注目を集めているのが「資料作成の外注」です。資料作成代行サービスやデザイン会社、フリーランスデザイナーが企業の代わりに構成・ライティング・デザインを行い、短期間で完成度の高い資料を提供します。特にスタートアップや中小企業では、外注を活用して営業成果を高めるケースが増えています。
外注の魅力は単に時間を節約できることではなく、専門家の知見を取り入れることで「成果が出る資料」に変えられる点にあります。本コラムでは、資料作成を外注する際のメリットとデメリットを整理し、自作との違い、判断の基準、成功のコツを詳しく解説します!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
資料作成の外注とは?依頼できる範囲と主なサービス内容
資料作成の外注とは、社内で作成していた提案資料や営業プレゼンを、外部の専門業者に依頼して制作してもらうことを指します。一般的には、構成の整理、文章のブラッシュアップ、グラフや図表のデザイン、全体のレイアウト調整などを含む「資料制作のトータルサポート」が行われます。
外注できる範囲は広く、目的や社内体制に応じて柔軟に選べます。最も一般的なのは、PowerPointなどで作成されるプレゼン資料や提案書です。企業によってはホワイトペーパー、採用パンフレット、IR説明資料、セミナー用スライドなど、用途別に依頼することもあります。
主なサービス内容としては、①ヒアリングによる目的整理、②構成案の作成、③スライドデザイン、④文章の編集・整形、⑤納品・修正対応、という流れが一般的です。ヒアリングで「誰に」「何を」「どのように伝えたいか」を明確にし、それをもとに構成とデザインを設計します。企業ロゴやブランドカラーを取り入れることも多く、統一感のある資料を短期間で仕上げることができます。
依頼先は大きく3つに分かれます。1つ目は資料作成代行サービスで、構成からデザインまでをワンストップで行うタイプ。2つ目はデザイン会社で、ブランド戦略に基づいた高品質なデザインを得意とします。3つ目はフリーランスで、費用を抑えながら柔軟に対応できるのが特徴です。
このように、資料作成の外注は手間を省くだけでなく、プロの視点で磨き上げるという価値を持ちます。社内で時間をかけて資料を作るよりも、短期間で高品質な成果物を得られることが、多くの企業に支持されている理由です。

外注のメリットまとめ
資料作成を外注する最大のメリットは、時間と品質の両方を最適化できる点です。社内のリソースを使わずに、短期間で見やすく説得力のある資料を完成させることができます。加えて、プロの視点を取り入れることで、社内だけでは気づかない改善点が明確になり、より効果的な伝え方を実現できます。
外注のメリットは大きく3つに分けられます。1つ目は「時間の節約と業務効率化」。社員が資料作成に割く時間を削減し、本来の業務に集中できるようになります。2つ目は「品質の向上」。構成やデザインの専門家が関わることで、見た目だけでなく論理性の高い資料に仕上がります。3つ目は「客観的な視点の導入」。外部の専門家が第三者の立場から内容を整理するため、読み手に伝わりやすい構成になります。
これらのメリットにより、営業活動やプレゼンの成功率が上がり、企業の印象も向上します。特に競合が多い業界では、資料の完成度そのものが受注の鍵を握ることもあります。

外注のメリット①:時間の節約と業務効率化
資料を自社で作成する場合、1枚あたり30分〜1時間、10ページなら5〜10時間はかかるのが一般的です。さらに、構成の検討やデザインの修正を含めると、20時間以上を要することも珍しくありません。外注すれば、こうした時間をすべて短縮でき、その分を営業活動や企画立案に充てることができます。
時間の節約は単なる便利さではなく、「生産性の向上」という経営的な意味を持ちます。例えば、社員の時給を3000円とした場合、20時間の資料作成は6万円の人件費に相当します。これを外注で10万円前後に置き換えたとしても、社内の労働時間を削減し、より収益性の高い業務に集中できるため、結果的にコストパフォーマンスは高くなります。
また、外注を活用することで、社内の属人化も防げます。特定の担当者しか資料を作れない状態を避け、業務を標準化できる点も大きなメリットです。短納期対応や複数案件の同時進行にも柔軟に対応できるため、組織全体のスピードアップにもつながります。

外注のメリット②:プロによるデザイン・構成の品質向上
資料作成のプロは、デザインと構成の両面で「伝わる資料」を設計します。単に見た目を整えるのではなく、情報の整理、ストーリー設計、視線誘導までを意識して構築する点が特徴です。
特に営業資料やIR資料などでは、読み手が短時間で内容を理解できることが重要です。プロはこの点を熟知しており、フォントサイズ、色のコントラスト、余白、配置など、視認性と印象を両立させたデザインを提供します。結果として、同じ情報量でも「伝わりやすさ」が格段に変わります。
さらに、外注業者は多くの企業案件を経験しているため、他社事例に基づいた最適なレイアウトやストーリーフローを提案できます。自社だけでは思いつかない切り口や表現方法が加わることで、資料全体の完成度が大幅に上がります。

外注のメリット③:客観的な視点と第三者の表現力
社内だけで資料を作ると、どうしても「作り手目線」に偏りがちです。情報を多く盛り込みすぎたり、業界用語が多くなったりして、外部の人には伝わりにくい内容になることがあります。外注の最大の強みは、この内向きの構成を第三者の視点でリフレーミングできることです。
プロは「読み手がどう感じるか」を軸に設計するため、不要な情報を削ぎ落とし、核心を短く明快に伝える構成を作ります。また、専門家はプレゼン心理や視線誘導のテクニックも理解しており、相手の理解と共感を得る流れを自然に設計できます。
この客観的視点によって、資料は「説明」から「納得」に変わります。特に投資家向け資料や採用ピッチ資料など、社外ステークホルダーを意識したプレゼンでは、この効果が顕著に現れます。

外注のデメリットまとめ
外注には明確な利点がある一方で、注意すべきデメリットも存在します。最も代表的なのは、①費用の発生、②イメージのズレ、③情報共有のリスクです。これらを理解した上で、リスクを最小限に抑える準備を行うことが成功の鍵です。
外注はコストがかかりますが、費用対効果を見極めれば投資として十分に価値があります。問題は、要件が曖昧なまま発注し、修正が繰り返されて追加費用が発生するケースです。また、社内で完成形のイメージが統一されていないと、外注先との認識齟齬が起きやすくなります。
さらに、企業によっては社内情報の取り扱いにも注意が必要です。秘密保持契約(NDA)を結び、データの共有範囲を明確に定めておくことでリスクを回避できます。
外注のデメリットを正しく理解し、リスクヘッジを講じた上で活用すれば、成果を最大化することが可能です。

外注のデメリット①:コストの発生と予算調整の難しさ
外注最大のデメリットはコストです。10〜15ページの資料で5万〜15万円、戦略設計を含む場合は20万円を超えることもあります。特に予算が限られた中小企業では、費用負担がネックになることもあります。
しかし、単純な金額だけで判断するのは危険です。外注によって社内の工数が削減され、受注率が上がることで得られるリターンを考慮すれば、むしろ経済的といえるケースも多いです。大切なのは支出ではなく、投資として捉えることです。
予算を抑える方法としては、構成は自社で作りデザインだけ外注する、またはテンプレート活用型のプランを選ぶなど、依頼範囲を絞るのが効果的です。

外注のデメリット②:イメージのズレや修正対応の手間
外注でよくあるトラブルは、完成物がイメージと違うことです。原因の多くは、発注時に目的やターゲット像を十分に伝えていないことにあります。修正が増えると納期が延び、追加費用が発生します。
これを防ぐには、最初のヒアリング時に「どのような相手に、何を伝えるための資料か」「見せたい印象は何か」を具体的に共有することが重要です。参考資料を見せたり、他社事例を提示したりするとズレが少なくなります。
また、修正依頼は抽象的ではなく、「背景色を白に」「フォントを統一」「グラフを棒グラフに変更」など具体的に伝えることで、やり取りがスムーズになります。

外注のデメリット③:情報共有やセキュリティの懸念
外注では、自社の内部情報を第三者に渡すため、情報管理のリスクが伴います。特に営業資料や事業計画書など、機密性の高い内容を扱う場合は慎重な対応が求められます。
対応策としては、NDA(秘密保持契約)の締結、データ送信時の暗号化、アクセス制限を徹底することです。また、クラウド共有では権限管理を行い、一時的なアクセス許可にとどめるのが安全です。信頼できる外注先であるか、過去の実績や評価を確認しておくことも大切です。

自作との違い|成果・スピード・クオリティの比較
自作と外注を比較すると、違いは「成果の質」と「時間の使い方」にあります。
自作はコストがかからず柔軟ですが、完成までに多くの時間が必要で、デザインや構成に限界があります。外注は費用が発生するものの、短期間で見やすく戦略的な資料を作成できます。
例えば、社員が10時間かけて作る資料の社内コストを1時間3000円で換算すると3万円相当です。外注で10万円払っても、受注率が上がればすぐに回収できるケースも多いです。また、外注資料はテンプレートとして再利用できるため、長期的なコストパフォーマンスにも優れています。
外注と自作のどちらが良いかは、目的とタイミングで判断すべきです。成果を重視する案件は外注、スピード重視の更新資料は自作という使い分けが理想です。

どんな場合に外注すべき?判断ポイントと成功のコツ
資料作成を外注すべきか判断する基準は3つあります。①目的が対外的で成果が求められる場合、②社内リソースやスキルが不足している場合、③納期が短い場合です。
外注を成功させるコツは、発注前の準備にあります。依頼内容を明確にし、資料の目的、ターゲット、希望デザイン、納期を整理してから相談することです。また、初回は部分外注(デザインのみなど)から始め、信頼できる業者を見つけていく方法もおすすめです。
さらに、修正指示を的確に出すこと、納期に余裕を持つこと、著作権やデータ納品形式を事前に確認することも重要です。外注は「丸投げ」ではなく、「共創」の姿勢で進めると、期待以上の成果を得やすくなります。

まとめ|外注は経費ではなく投資と考える
資料作成の外注は、一時的な出費ではなく、成果を最大化するための戦略的投資です。時間と品質の両面で効果があり、プロの手による資料は企業の信頼と印象を大きく高めます。
一方で、コストや情報共有のリスクもあるため、外注先の選定と準備が成功の鍵となります。目的を明確にし、適切な範囲で活用することで、外注は単なる業務代行ではなく、ビジネス成長を支えるパートナーになります。 外注を上手に使いこなすことは、企業にとって「時間の再配分」と「成果の最大化」を実現する最も合理的な手段と言えるかもしれません!
ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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