資料作成の手順を徹底解説|初心者でも迷わない完全ガイド


ビジネスの現場では、提案書、営業資料、報告書、マニュアル、研修スライド、投資家向けピッチなど、資料はあらゆる場面で必要とされます。資料は単なる「情報の集まり」ではなく、読み手に理解させ、納得させ、行動してもらうためのコミュニケーションツールです。実際、プレゼンや営業の成功は資料の質に左右されることが多く、見やすく説得力のある資料はそれだけで信頼感を生みます。

しかし、多くの人が資料作成に苦手意識を持っています。何から手をつければよいかわからず、気づけばスライドが膨大な枚数になったり、逆に内容が薄くて中身が伝わらなかったりする経験は誰しもあるはずです。時間をかけたのに結果につながらない資料になってしまうと、モチベーションも下がってしまいます。

だからこそ、正しい手順を知っておくことが重要です。本コラムでは、初心者でも迷わず進められるよう、準備から構成作成、本文作成、デザイン、チェック、改善までを一つひとつ丁寧に解説します。読み終えたころには、資料作成の全体像が頭に描けるようになり、今後の作業効率と成果が格段に高まるはずです。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

資料作成前の準備|目的とターゲットを明確にする

資料作りで最も重要なのは、作り始める前の準備です。まず、この資料を作る目的を明確にしましょう。単なる情報提供なのか、意思決定のためなのか、行動を促すためなのかによって、書き方や内容の深さが変わります。たとえば社内会議用の報告資料であれば、進捗や数字を簡潔にまとめることが求められますが、営業提案書であれば、相手を説得するためのストーリー構成やビジュアルが必要になります。

ターゲットの想定も欠かせません。誰に見せる資料なのか、相手の知識レベルや関心事、課題は何かを具体的に考えます。経営層向けなら結論とインパクトを重視、現場向けなら実行可能性や手順の具体性が重視されます。相手が読みながら抱きそうな疑問を想像し、先回りして答えを盛り込むことで、説得力が高まります。

さらに、目的とターゲットを明確にすることで、資料全体のトーンや分量の目安も決まります。10分間のプレゼン用ならスライドは10枚前後が目安ですし、詳細な報告書なら文章量を増やして読み物として成り立つようにする必要があります。この段階でゴールを設定しておくことが、後の効率を大きく左右します。

構成作成|ストーリーを組み立てる

目的とターゲットが決まったら、次に取り組むべきは全体のストーリー作りです。ここでいきなりスライド作りに入ってしまうと、情報がバラバラに並び、論理が飛び飛びになったり、伝えたいメッセージが弱まったりする原因になります。まずはパソコンに向かう前に、紙やテキストエディタで章立てや見出しを整理し、全体の骨格を描く作業から始めましょう。

構成作成では「起承転結」を意識すると、自然に流れが生まれます。冒頭で現状や課題を提示して相手の関心を引き、次に原因や背景を丁寧に説明して理解を深めます。そのうえで、解決策としての提案を示し、最後に導入後の効果や期待できる成果、次に取るべきアクションを提示することで、読み手が納得しやすいストーリーになります。特に営業資料や提案書では、「顧客の課題 → 自社の解決策 → 期待できるメリット → 次のステップ(検討や契約)」という王道の流れが強い説得力を生みます。

この段階でアウトラインをしっかり作成し、関係者と事前に合意を取っておくと、後から方向性が変わって大幅に作り直すリスクを防げます。さらに、ストーリーボードを作るイメージで、各スライドに載せるメッセージを一言で書き出しておくと、後のスライド作成が非常にスムーズになります。どのページに何を置くかが明確になるため、作業時間の短縮にもつながり、資料全体の一貫性も高まります。

情報収集と整理|必要なデータと素材を集める

良い資料は、良質な情報の積み重ねによって生まれます。

最初に、どんな情報が必要なのかをリストアップしましょう。自社の売上データ、顧客属性、成功事例や失敗事例、業界レポート、競合のプレスリリース、信頼できる統計データ、政府や業界団体の発表資料など、幅広い情報源から集めると内容が充実します。一次情報(自社で持つデータや現場ヒアリング)と二次情報(外部の調査レポートや論文)をバランスよく取り入れることで、資料の説得力が格段に高まります。

情報を集めたら、目的に沿って整理します。単に集めただけの情報を並べると、資料が散漫になり、何を伝えたいのかがわからなくなります。「この情報は結論を補強しているか」「相手にとって理解しやすいか」を基準に取捨選択しましょう。不要な情報は思い切って削り、残した情報も優先順位をつけて並べ替えます。

また、データはできるだけ視覚化して提示すると効果的です。数字を羅列するよりも、棒グラフや円グラフ、フローチャートなどを使うと直感的に理解できます。もし十分なデータがない場合は、社内の簡易アンケートを取る、現場のヒアリング結果をまとめるなど、自分で一次情報を補う方法もあります。これにより、資料が単なる情報の集積ではなく、現場の声や事実に基づいた信頼性の高い内容になります。

スライド・本文作成|分かりやすく、見やすく作るコツ

いよいよ資料作りの具体的なステップです。ここで意識したいのは「1スライド1メッセージ」の原則です。1枚の中に複数の論点やデータを詰め込みすぎると、どこに注目すべきか分からず、聞き手が混乱します。テーマが複数ある場合はスライドを分割し、ページごとに一貫したメッセージを載せることで、自然と理解が深まります。

文章は短く、簡潔に、そして論理的に構成します。長い文章は途中で区切り、段落ごとに意味を持たせると読みやすくなります。重要なキーワードや数字は太字や色で強調し、自然と目に入るように配置すると効果的です。

図解やグラフの活用も積極的に行いましょう。複雑な関係性やプロセスを図にすることで、文字だけでは伝わりにくい情報が一瞬で理解されます。たとえば売上推移は折れ線グラフ、シェア比較は円グラフ、プロジェクトの進行状況はガントチャートなど、目的に応じて表現方法を変えるとさらに伝わりやすくなります。

さらに、スライド全体のテンポも重要です。プレゼンを行うシーンを想定し、話すスピードや間を考えながら情報量を調整します。あえて余白を作ったり、ページを分けたりすることで、聞き手が考える時間を確保できます。発表者が説明しやすいスライド構成にすることで、プレゼンの説得力がさらに高まります。

デザイン調整|フォント・色・レイアウトの整え方

資料のデザインは、単なる見た目の装飾ではなく、情報をわかりやすく伝えるための大切な仕掛けです。まず取り組むべきはフォントの統一です。見出し、本文、注釈のフォントやサイズ、太さに一貫性を持たせることで、視覚的に整理された印象を与えます。資料全体でフォントが混在すると、落ち着きがなく読みづらくなるため、最初にルールを決めておくと後から迷わずに済みます。

色の選び方も大きなポイントです。コーポレートカラーやテーマカラーを基準に、メインカラー、サブカラー、アクセントカラーを決め、2〜3色以内に抑えるとまとまりが出ます。強調したい数値やキーメッセージだけをアクセントカラーで目立たせると、視線誘導がスムーズになります。逆に色を多用すると、重要度のメリハリがなくなり、相手がどこに注目すべきかわかりづらくなるため注意が必要です。

レイアウトでは、余白を積極的に残すことが重要です。情報を詰め込みすぎると窮屈に見え、読む側が疲れてしまいます。見出しや図、本文の間に適度なスペースを確保し、視線の流れが自然に動くよう配置を調整します。情報の階層を意識して、見出しは大きく、補足情報は小さくすることで、重要な要素が自然と先に目に入るスライドになります。

写真やアイコンを使うと視覚的にわかりやすくなり、単調さを防ぐ効果がありますが、やりすぎると散漫になるためバランスが大切です。すべてのページで使うのではなく、要点を示す箇所や、説明が長くなりがちな部分に絞って活用すると、全体が引き締まります。最終的には「デザインが主張しすぎず、内容を引き立てているか」を確認し、情報伝達を補助する役割に徹しているかどうかを意識しましょう。

チェックと改善|誤字脱字、論理の整合性、視覚的統一

資料が完成したら、仕上げとして徹底的に見直します。まずは誤字脱字や数字の誤りをチェックし、元データと照らし合わせて正しい情報が載っているかを確認します。数字の桁や単位の間違いは特に信頼を損ないやすいため注意が必要です。

次に、論理の流れや整合性を確認します。スライドごとに論点が飛んでいないか、結論と根拠がかみ合っているか、前後のページで矛盾がないかを見直します。自分が作った資料は内容を知っているため、客観的に判断しにくいものです。声に出して読んだり、第三者に見てもらったりすると、曖昧な表現やわかりづらい箇所に気づきやすくなります。

最後に、デザイン面の統一感をチェックします。フォントサイズ、色の使い方、図表のスタイル、タイトル位置などにバラつきがないかを一枚ずつ確認しましょう。細かいズレや不揃いは資料全体の印象を損ねます。できれば一晩おいてから見直すと、冷静に判断でき、完成度をさらに高めることができます。最終的に「この資料を見た相手が想定どおりの行動を取れるか」をもう一度考え、必要なら最後の微調整を加えて仕上げましょう。

まとめ|効率よく作るために今日からできること

資料作成は、正しい手順を踏めば誰でも効率的に高品質なアウトプットを作れます。目的とターゲットを決め、ストーリーを組み、情報を集め、スライドを作り、デザインで整え、最後にチェックする。このプロセスを繰り返すことで、資料作成スキルは確実に上達します。

まずは次に作る資料で、目的とターゲット、ストーリーを紙に書き出すことから始めましょう。それだけで構成が考えやすくなり、作業時間が短縮されます。資料作りに追われる時間から解放され、本当に大切な仕事に集中できるようになるはずです。

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

関連記事