ピッチデックのテンプレート完全ガイド|今すぐ使えるひな形とスライド構成例

ピッチデックのテンプレート完全ガイド|今すぐ使えるひな形とスライド構成例


資金調達を目指すスタートアップにとって、ピッチデックは投資家への第一印象を決定づける資料です。ところが、ゼロから構成を考えると膨大な時間がかかり、情報の整理に迷いが生じてしまうことも多いでしょう。

そんなときに役立つのがピッチデックのテンプレートです。テンプレートを使えば、投資家が知りたい要素を漏れなく盛り込みつつ、スムーズに資料を作成できます。

本記事では、テンプレートを配布させていただいたうえで、投資家を惹きつけるために必須とされる9枚のスライドを取り上げ、それぞれの役割や作り方のポイントを解説します。ぜひ最後までご覧ください!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

はじめに|ピッチデックのテンプレート配布

ピッチデック テンプレートを活用する最大の利点は、構成があらかじめ整理されている点です。スタートアップの多くは限られたリソースで資金調達を進めなければならず、短期間で完成度の高い資料を用意することが求められます。テンプレートを利用すれば、資料の骨格が既に整っているため、あとは自社の情報を埋め込むだけで効率的に仕上げることができます。

さらに、テンプレートは投資家の視点に基づいて設計されている点も重要です。会社概要やビジョンから始まり、課題、ソリューション、市場規模、競合分析、ビジネスモデル、実績、チーム体制など、一貫したストーリーで事業の魅力を伝える構造になっています。この流れを守ることで、投資家は自然と事業の全体像を理解でき、判断しやすくなります。

ここでご紹介するピッチデックは基本の型になりますので、自社に適した形で修正することを忘れないでくださいね!

ダウンロードはこちら(他にもテンプレートがたくさん!)


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ピッチデックの必須スライド9枚

投資家が知りたい情報は多岐にわたりますが、最低限カバーすべき要素は9つに整理できます。会社概要、ビジョン、課題、ソリューション、市場規模、競合環境、ビジネスモデル、実績、チーム体制です。これらを順序立てて提示することで、投資家は短時間で事業の強みや成長可能性を把握できます。

特に重要なのは、情報の過不足をなくすことです。会社概要やビジョンが不十分であれば信頼を失い、課題やソリューションが不明確なら事業価値が伝わりません。市場規模やビジネスモデルが曖昧であればリターンを想像できず、実績やチームが弱ければ実行力に疑念を持たれます。

9枚のスライドをバランスよく作成することは、投資家の信頼を得るための必須条件です。

スライド①:会社概要

会社概要はピッチデックの入口であり、投資家が最初に触れる情報です。会社名、設立年、所在地、事業領域、主要メンバーの名前などを簡潔にまとめ、まずは基本的な信頼を得ることを目的とします。

ここで効果的なのは、事業の進捗を示すマイルストーンを簡単に添えることです。例えば、設立から現在までにどのような開発や提携を進めてきたのかを年表形式で示すと、投資家は事業の成熟度を直感的に把握できます。また、受賞歴やメディア掲載実績があれば、会社の信用力を高める要素として追加するのも良いでしょう。

会社概要はシンプルでありながら、投資家が「もっと詳しく知りたい」と思えるきっかけを与えるスライドです。

スライド②:ビジョン

ビジョンは、事業が将来的に目指す姿を投資家に示すスライドです。短期的な収益よりも、中長期的にどのような社会的価値を創出するのかを語ることがポイントです。

説得力を高めるためには、抽象的な理想ではなく、事業戦略とつながった具体的な未来像を提示する必要があります。たとえば「誰もが安心して利用できる医療データ基盤を整備する」といった表現であれば、投資家は事業の方向性と社会的意義を同時に理解できます。

また、ビジョンはチームの熱意を示す場でもあります。投資家は数字だけでなく、創業者の情熱や信念に共感して出資を決断することも多いため、心を動かすメッセージを盛り込むことが大切です。

スライド③:課題

課題スライドは、事業の存在意義を示す最も重要な部分のひとつです。解決すべき問題が曖昧では、投資家は事業の必要性を感じません。

課題を提示する際には、ユーザーが直面する不便や社会的な問題を具体的に示し、データや事例で裏付けることが欠かせません。統計データ、調査レポート、実際の顧客の声を活用することで、課題の深刻さを客観的に伝えられます。

また、課題の大きさは市場の魅力と直結します。解決する価値が大きければ大きいほど、投資家は事業の可能性に注目します。課題スライドはソリューションにつなげる導線であり、投資家を納得させる説得力を持たせることが必要です。

スライド④:ソリューション

課題に続いて提示するソリューションスライドは、事業の中核をなす部分です。自社の製品やサービスを具体的に紹介し、なぜこの解決策が最適なのかを示します。

効果的な方法は、利用シーンを描写することです。顧客がどのようにサービスを利用し、課題を解決しているのかをストーリーで説明すれば、投資家は導入後の姿をイメージできます。さらに、他社との差別化要素や独自技術を加えることで、競争優位性を強調できます。

ソリューションスライドは、投資家が「この会社の事業なら市場に受け入れられる」と確信するための決定打となります。

スライド⑤:市場規模

市場規模は投資家が投資判断を下すうえで最も注目する情報の一つです。事業がどれだけ大きな市場で戦えるのかを具体的に示す必要があります。

一般的には、TAM(総市場)、SAM(サービス可能市場)、SOM(実際に獲得可能な市場)の三層構造で説明します。これにより、市場の大きさと自社が実際に狙える範囲が明確に整理されます。また、信頼性のある調査会社や業界レポートのデータを引用し、根拠を示すことが不可欠です。

市場規模が大きく、さらに成長率が高いことを証明できれば、投資家は将来的なリターンを期待できます。市場規模スライドは、資金調達の説得力を左右する重要な要素です。

スライド⑥:競合環境

競合環境を示すスライドでは、自社がどのような立ち位置にあるのかを明確にする必要があります。投資家は必ず競合分析を行うため、この情報をしっかり提示することは信頼性を高めます。

直接競合だけでなく、代替手段も含めて比較することが効果的です。顧客が現状どのように課題を解決しているかを示すと、自社のソリューションの優位性が際立ちます。競合マトリックスを活用し、視覚的にポジションを示すとより分かりやすくなります。

競合との差別化が曖昧だと、投資家は模倣リスクを懸念します。価格、機能、利便性、ブランド力など、自社の強みを具体的に示すことが重要です。

スライド⑦:ビジネスモデル

ビジネスモデルは、事業がどのように収益を生み出すかを投資家に示すスライドです。収益源が明確でなければ、どれほど市場が大きくても投資対象にはなりにくいでしょう。

ここでは、顧客層と収益の仕組みを簡潔に示す必要があります。サブスクリプションモデル、広告モデル、マッチング手数料、ライセンス販売など、自社に当てはまる方式を具体的に説明します。さらに、収益性を高める要素やスケーラビリティを示すと投資家の期待を高められます。

加えて、CAC(顧客獲得コスト)とLTV(顧客生涯価値)の関係、利益率、コスト構造に触れると、持続可能性の高さを証明できます。

スライド⑧:実績

実績スライドは、事業の信頼性を裏付ける最も強力な武器です。投資家はアイデアよりも実績を重視するため、可能な限り数値を用いて成長を示すことが重要です。

売上高、ユーザー数、成約率、継続率などをグラフで提示し、右肩上がりの成長を明確に示すと説得力が増します。導入企業や顧客の声、成功事例を補足すれば、市場での受容性を直感的に理解してもらえます。

もし実績が十分でない場合でも、PoCやβ版でのテスト結果を提示すれば「市場検証が進んでいる」と示せます。投資家は仮説よりもデータを重視するため、実績スライドは資金調達において欠かせません。

スライド⑨:チーム体制

チーム体制のスライドでは、事業を実行する人材の強さを示します。投資家は最終的に「このチームに任せられるか」で判断するため、非常に重視される部分です。

主要メンバーの経歴、専門分野、過去の実績を簡潔に紹介しましょう。経営陣の役割が補完的であることを示せば、実行力の高さをアピールできます。また、外部アドバイザーや提携企業を記載することで、信頼性をさらに補強できます。

投資家は「優れたチームなら困難を乗り越えられる」と考えています。そのため、スキルセットだけでなく熱意やビジョンへの共感も伝えることが重要です。

まとめ|テンプレートを活用してピッチデック作成

ピッチデックは投資家に事業の可能性を伝えるための最重要資料です。本記事で紹介した9枚のスライドをテンプレートとして活用すれば、資金調達に必要な情報を過不足なく整理できます。

会社概要からチーム体制までを一貫したストーリーで展開すれば、投資家は短時間で事業の価値を理解できます。さらに、デザインを整え、具体的なデータや実績を盛り込めば、説得力は格段に高まります。 テンプレートは作成効率を高めるだけでなく、投資家の視点で資料を整理する枠組みでもあります。自社の強みを最大限に表現するために、ぜひテンプレートを活用し、完成度の高いピッチデックを仕上げてください!

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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