提案資料の成功事例5選|成果につながる構成と作り方を徹底解説

提案資料の成功事例5選|成果につながる構成と作り方を徹底解説


近年、多くの企業が提案資料の質を重視するようになっています。営業やプレゼン、採用、補助金申請、投資家説明など、あらゆるビジネスシーンで資料の完成度が結果を左右する場面が増えたためです。

製品やサービスの内容が同じでも、提案書の構成やデザイン次第で、伝わり方には大きな差が生まれます。これは単なる資料作成スキルの問題だけではなく、相手の理解と納得をどれだけ設計できるかという考え方の問題でもあります。

特に、以前は営業担当者のトークスキルや人間関係が重視されていましたが、近年は提案前の資料段階で判断される機会が増えています。オンライン商談やリモート提案の普及によって、資料そのものが営業担当者の代弁者となるケースも珍しくありません。つまり、提案資料は「もう一人の営業マン」として機能しているのです。

このコラムでは、実際に成果を上げた提案資料の成功事例をもとに、構成・デザイン・ストーリー設計のコツを解説します。読み終えるころには、自社の資料をどのように改善すれば伝わる資料へと変えられるかが明確になるはずです。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

成果を生む提案資料の共通点とは?

成果を出している提案資料には、いくつかの明確な共通点があります。具体的には「構成の整理」「相手目線の設計」「視覚的なわかりやすさ」「ストーリー性」の4つです。これらはどの業種にも共通する成功要素です。

まず、構成が整理されていること。良い資料は、見た瞬間に内容の流れが理解できます。課題の提示から解決策、そして効果の説明までが一貫しており、どのページでも迷いがありません。多くの企業が失敗する原因は、言いたいことを詰め込みすぎて、論理の軸がぼやけることにあります。構成をシンプルに保つことで、相手は安心して読み進めることができます。

次に重要なのが相手目線です。提案資料を作る際、多くの担当者は「自社が伝えたいこと」から考えがちですが、成果を出す企業は「相手が知りたいこと」から逆算して作っています。顧客の課題や目的に合わせて、必要な情報を取捨選択しているのです。結果として、読み手にとって「自分のための提案」に感じられ、信頼が生まれます。

さらに、視覚的なわかりやすさも欠かせません。グラフや図解、写真、アイコンを適切に使い、文字量を最小限に抑えることで、情報が直感的に理解できます。視覚情報は感情にも訴えるため、理解だけでなく感覚的な印象にも影響を与えます。

最後に、ストーリー性です。成果を上げる資料は、単なる説明の羅列ではなく、「課題 → 解決策 → 成果」という筋道が自然につながっています。人は論理だけではなく、物語の流れに共感して行動を起こすため、このストーリー設計が成果に直結します。

提案資料の成功事例①:BtoB営業で受注率が2倍になったケース

あるITソリューション企業は、提案資料の刷新をきっかけに受注率を約2倍に伸ばしました。

以前の資料は製品機能の説明が中心で、ページ数も多く、顧客が結局何を得られるのかが見えづらいものでした。担当者自身も、これでは読まれないと感じていました。

そこで同社は、資料を顧客課題に基づいたストーリー型構成に変更しました。冒頭では市場の変化と顧客の課題を定義し、その後で自社の解決策を提示。さらに導入後の成果を具体的な数値で示しました。構成は、現状の問題 → 解決の方向性 → 解決策の詳細 → 効果の証明 → 導入プロセスの5段階に整理され、1枚ごとに明確な目的を持たせました。

また、全体のデザインも刷新し、1スライド1メッセージを徹底。図解やイラストを多用し、専門用語を減らして読みやすくしました。特に、導入事例ページには実際の顧客ロゴと数値を掲載し、信頼性を高めました。

結果、資料を見た段階で、導入後のイメージが具体的にわかると評価され、商談の初期段階での離脱率が大幅に減少。従来の成約率25%が50%に向上しました。成功の要因は、機能説明中心から、顧客の課題解決中心に切り替えた点にあります。

提案資料の成功事例②:スタートアップが投資家を惹きつけたピッチ資料

次は、資金調達を目指すスタートアップの事例です。

この企業は新しいモビリティサービスを展開しており、ピッチイベントでの印象が弱いことに悩んでいました。以前の資料は、事業の魅力よりもテクノロジーの仕組みに重点を置いており、投資家にビジネスとしてのスケールが伝わっていなかったのです。

改善後のピッチ資料では、冒頭に、社会課題の提示・ビジョンの明確化を置き、共感を呼ぶ構成に変えました。課題を定量データで示し、その上で自社サービスの意義を、社会をどう変えるかという視点から語るようにしました。さらに、収益モデル・市場規模・チーム体制を図解で表現し、投資判断に必要な情報を簡潔に提示しました。

また、デザインにもこだわり、ブランドカラーを軸に統一感を出しました。余白を活かした構成により、スタートアップらしい先進的な印象を演出しました。

この結果、プレゼン後の質疑応答が活発化し、3社のベンチャーキャピタルから資金調達に成功しました。投資家からは情熱と市場性の両方が伝わったと高評価を得ました。この成功のポイントは、事業の仕組みではなく、未来の絵を描いた点にあります。

提案資料の成功事例③:補助金申請で採択率を高めた構成

ある製造業の中小企業は、補助金の申請資料を改善することで採択率を大幅に向上させました。

以前は、製品の特徴や導入目的を羅列しただけの資料を提出していましたが、審査官が最も重視する社会的意義・費用対効果が不十分でした。

改善の際には、構成を課題 → 目的 → 事業内容 → 効果 → 実現可能性に整理し、特に効果の部分を重視しました。グラフや数値を使い、どれほどの成果が期待できるのかを視覚的に伝えました。また、専門用語の多さを見直し、誰が読んでも理解できる表現に修正しました。

この取り組みによって、同社の補助金申請は前年の不採択から一転、採択に成功。審査官からも、内容が具体的でわかりやすいと評価されました。補助金のような公式文書でも、論理的な構成とビジュアル化が重要であることを示す好例です。

提案資料の成功事例④:採用プレゼンで学生の共感を得た企業

採用活動でも、提案資料の質は結果を左右します。あるIT企業は、学生向け説明会でのエントリー率を高めるため、採用資料を刷新しました。

以前の資料は会社概要や福利厚生の説明が中心で、どこにでもある内容でした。学生には響かず、エントリー数が伸び悩んでいました。

新しい資料では、働く人のリアルなストーリーを中心に再構成しました。最初に企業理念を語り、その後、実際に活躍している社員のエピソードをスライド化。さらに、会社の成長ビジョンと社員のキャリア形成をリンクさせることで、共感を引き出す設計にしました。

結果、説明会後のエントリー率は前年比160%に上昇。学生アンケートでも「話の流れが分かりやすい」「共感できた」という声が多く寄せられました。採用資料も提案資料の一種であり、共感と納得を生むストーリー設計が、成果の鍵を握ることが分かります。

提案資料の成功事例⑤:自治体向け入札提案で選ばれた中小企業の工夫

地方自治体の入札案件に挑戦した中小建設会社の事例です。

従来の提案書では、施工実績や技術力の説明に終始していましたが、競合他社との差別化ができず、落札には至りませんでした。

改善後の資料では、自治体職員が重視する、地域への貢献・安全性・コスト管理の3要素を中心に再構成しました。冒頭には地域住民の生活を守るというミッションを掲げ、社会的価値を打ち出しました。また、文章だけでなく、現場の写真や図面を整理して、ビジュアルで信頼感を伝えました。

さらに、他社比較表を作成し、自社の強みを客観的に示したことも効果的でした。結果、評価点が大幅に上がり、初めての入札で落札を獲得。行政関係の資料でも、論理的構成と社会性の訴求が重要であることを示す好例です。

成功事例に共通する「構成設計」と「ストーリー構築」のコツ

5つの事例を通して見えてくる共通点は、成功する提案資料には「意図のある構成」と「感情を動かすストーリー」が必ず存在するということです。どの企業も、最初から完璧な資料を作っていたわけではなく、「何を、誰に、どう伝えるか」を徹底的に整理した結果、成果を上げています。

構成設計の基本は、情報を問題提起 → 解決策 → 根拠 → 成果 → 行動提案という流れで組み立てることです。読み手が自然に理解しやすく、最後に行動したくなる心理的導線を作るのがポイントです。

ストーリー構築では、数字や図解などの論理的要素と、感情に訴えるエピソードを組み合わせることが効果的です。顧客や社会の課題を最初に提示し、その課題を自社の存在意義と結びつけることで、共感と納得を同時に生み出すことができます。

まとめ|相手の理解プロセスに合わせて資料を設計する

目的、相手、ゴールを明確にし、それに沿って構成を設計することで、資料は単なる説明書から、成果を生みだしてくれるツールへと変わります。

重要なのは、自社の視点ではなく、相手の理解プロセスに合わせて資料を設計すること。見た目だけ整えても伝わらなければ意味がありません。今回紹介した事例のように、構成とストーリーを意識することで、提案資料は確実に成果へとつながります。 提案資料とは、単なる紙面上の情報ではなく、企業の信頼を形にするものです。1枚1枚のスライドに意図を持たせることが、ビジネスを動かす第一歩です!

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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