【保存版】はじめての採用ピッチ資料作成マニュアル

採用ピッチ資料とは、企業のビジョン、カルチャー、仕事内容、働く環境などをまとめ、応募者に「この会社で働くイメージ」を持ってもらうための資料です。特に、スタートアップや中小企業など、知名度だけでは戦えない企業にとっては、採用活動における「顔」ともいえる存在です。

近年の採用市場は、企業が人材を選ぶ時代から、候補者が企業を選ぶ時代へと変化しています。この中で、自社の魅力をわかりやすく伝える採用ピッチ資料は、選考への応募を促す強力なツールです。内容が充実していれば、「この会社で働きたい」と感じてもらいやすくなり、説明会や面接の参加率向上にも直結します。

逆に、内容が薄く、構成や表現が曖昧な資料では、応募者に「印象に残らない会社」として捉えられ、辞退やミスマッチの原因になりかねません。だからこそ、採用ピッチ資料は単なる説明スライドではなく、「優秀な人材に選ばれるための戦略資料」として位置づける必要があります。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

採用ピッチ資料の例(抜粋版)

なお本記事に登場する企業名・担当者名および資料内容は、機密保持契約に基づき、実際の内容から変更しております。ご了承くださいませ。

採用ピッチ資料の役割

採用ピッチ資料は、さまざまな採用フェーズで効果を発揮します。たとえば、スタートアップが成長フェーズで社員を募集する際、まだ世間的な認知度が低いため、社内の雰囲気や働き方を可視化して伝える必要があります。また、新卒採用では、学生が企業を選ぶ基準が「将来のビジョンとの共鳴」に変わっており、資料の質がその判断材料になります。

中途採用でも、即戦力人材は複数社からオファーを受けることが多いため、企業側からの情報発信力が合否を左右します。実際、採用がうまくいかない企業の多くは「自社の魅力がうまく伝えられていない」という課題を抱えています。つまり、いかに素晴らしい制度や働き方があっても、応募者にそれが届いていなければ意味がありません。

採用ピッチ資料は、こうした情報ギャップを解消し、企業の魅力を見える化するための手段です。採用説明会、ダイレクトリクルーティング、求人サイトの補足資料など、多くの場面で活用できるため、スタートアップにとっても大企業にとっても、絶対に備えておくべき重要な資料として扱われています。

採用ピッチ資料の構成要素

採用ピッチ資料は、企業が優秀な人材に選ばれるためのツールです。ただ情報を並べるのではなく、「ここで働きたい」と思わせるストーリーが重要です。ここでは、実際に資料を構成する項目ごとに、どのような内容を記載すべきかを解説します。

表紙

最初のスライドは、企業の第一印象を決める顔です。会社名に加え、ブランドカラーを活かしたビジュアルでインパクトを与えましょう。キャッチコピーやスローガンを添えることで、企業の世界観や大切にしている価値観が一目で伝わる構成が理想です。このパートでは、視覚的なデザインだけでなく「この企業に触れたい」と思わせる感情の入り口を設計します。

MVV(ミッション等)

企業が「何のために存在し、どこを目指し、どんな価値観で動いているのか」を明確に語るセクションです。ミッションでは企業が「なぜ存在するのか」という存在意義や使命を、ビジョンでは企業が「将来どうなりたいか」という理想像や未来像を、バリューでは企業や社員が大切にする価値観・行動規範を示します。候補者が「この理念に共感できるか」「自分がここで働く意味はあるか」を判断する材料になります。

商品・サービス紹介

このセクションでは、企業が展開しているビジネスの概要を説明します。どんな課題に対して、どのような価値を提供しているのかを明快に伝えることが大切です。業界のポジションや社会的意義を記すことで、応募者は「この会社は社会にどう貢献しているのか」「この仕事は何のために存在しているのか」が理解しやすくなります。図解や事例を使って、シンプルかつインパクトのある説明を心がけましょう。

実績・成長データ

応募者が気にするのは、「この会社は成長しているのか?」という点です。この項目では、ユーザー数、売上高、取引先数、導入実績、資金調達の状況など、成長や信頼性を証明できる定量的データを提示しましょう。また、第三者評価(受賞歴やメディア掲載実績など)があれば、それも説得力を高めます。数字だけでなく、「なぜ伸びたのか」や「次にどこを目指すのか」といったストーリーも添えると、より魅力的です。

社風・カルチャー紹介

どんな人たちが、どんな空気感で働いているのかを伝えるパートです。企業の雰囲気や価値観、組織文化を、写真・社員の声・社内イベントなどを通じて可視化しましょう。「上下関係がフラット」「挑戦を歓迎する文化」など、他社との違いが伝わるよう、抽象的な言葉に頼らず具体的な行動例を載せることが重要です。企業文化は「合う/合わない」を左右する最大のポイントなので、曖昧にせず、ありのままを伝える誠実さが信頼につながります。

働き方・制度

応募者にとって、「どんな働き方ができるのか」「生活との両立は可能か」などは大きな関心事です。このセクションでは、勤務体系(リモートワーク、フレックスタイム等)、休暇制度、福利厚生、育休・産休取得実績などを詳しく記載しましょう。また、制度の「建前」だけでなく、実際の利用実績や社員の活用事例を紹介すると、リアルさが増します。「この会社なら楽しく働けそう」と感じてもらうことが目的です。

社員の声・インタビュー

実際に働いている社員のリアルな声は、資料全体に人間味を与えます。年代や部署の異なる複数名のインタビューを掲載し、仕事のやりがいや、入社後のギャップ、転職理由などを語ってもらいましょう。「社員が語る言葉」は、候補者の心に最も響く要素です。

募集職種と仕事内容

具体的に「どんな仕事をしてもらうのか」を明示する項目です。業務内容、チーム構成、使用するツール・技術、期待する役割などを詳細に書き、応募者が自分のスキルと照らし合わせて判断できるようにしましょう。「求める人物像」も、スキル面だけでなく価値観や思考スタイルまで踏み込んで記載することで、ミスマッチの防止につながります。

選考フロー・応募方法

資料の最後に向けて、具体的な行動に誘導するための導線を作ります。書類選考から面接、オファー面談までの流れを簡潔に示し、所要時間や選考期間も記載します。また、応募方法(Webフォーム、メール、カジュアル面談の案内など)を明記し、最後までスムーズにアクションできるようにすることが重要です。「少しでも気になった方はお気軽にご連絡ください」といった柔らかい呼びかけも効果的です。

クロージング

最後のスライドでは、資料全体のまとめとして企業メッセージを添えるとともに、問い合わせ先を明記します。メールアドレス・電話番号・採用ページURL・SNSアカウントなどを記載し、候補者がすぐに次のステップへ進めるようにします。「あなたの挑戦をお待ちしています」といった未来志向の一言で締めくくることで、印象をポジティブに終えることができます。

デザインと表現テクニック

採用ピッチ資料は内容だけでなく、「見せ方」も重要です。テキスト中心の資料では、読み手に負担がかかり、印象にも残りにくくなります。そこで意識したいのが、スライド1枚ごとに1メッセージを心がける構成と、図解・写真・グラフを活用したビジュアル訴求です。

たとえば、「働き方の柔軟性」を訴求する際には、リモートワーク中の社員の写真や、勤務時間帯の自由度をグラフで示すと、直感的に理解してもらいやすくなります。また、企業理念はキャッチコピー風に表現することで印象に残りやすくなります。

カラー設計も大切です。自社のコーポレートカラーを基調としつつ、差し色にアクセントカラーを使うことで、統一感のある資料に仕上がります。フォントは可読性を重視し、余白を適度に取って「見やすさ」と「洗練された印象」を両立させましょう。

他にも、「社員の実名・顔写真・コメント」などのリアリティある要素を入れると、資料全体が生きたものになります。視覚・言語の両面から、「この会社で働くイメージ」を鮮やかに伝えることが成功のポイントです。

やはり、洗練させた資料のほうが印象に残り、応募者の興味を引きやすいですよね。自分が応募者の立場であると仮定して、きちんとワクワクできるのか。これを一つのボーダーラインとして、採用ピッチ資料の品質を追い求めましょう。

運用と改善のポイント

案外見落とされがちですが、採用ピッチ資料は作って終わりではありません。資料を運用しながら継続的にブラッシュアップすることが、成果につながります。

資料を活用したあとには、候補者からの反応を積極的に回収しましょう。面談時の質問内容や辞退理由などから、「伝わっていない情報」や「誤解されやすい点」を洗い出すことで、改善のヒントが得られます。社内の現場社員からのフィードバックも貴重です。

また、資料の一部を採用サイトやSNSで再利用することで、採用ピッチ資料に対する印象も測ることができますし、同時にブランディング効果も高めることもできます。近年、スライドをそのまま切り出してInstagramやX(旧Twitter)で発信する企業も増えています。

継続的な改善・修正・再活用によって、採用ピッチ資料は「使い捨ての広報資料」から、「採用力を底上げする武器」へと進化します。常にアップデートを意識する姿勢が、成果に直結します。

すぐに使えるテンプレート

採用ピッチ資料をうまく作るには、優れた事例を真似るのが一番の近道です。

私たちが作成したテンプレートをいくつかご用意したので、ぜひ使ってみてください。記載されている文章を調整すれば、時間をかけずにプロフェッショナルな採用ピッチ資料を完成させることができます。

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まとめ

本記事では、採用ピッチ資料の基本から構成要素、デザインの工夫、活用法までを体系的に解説してきました。現代の採用市場では、企業が応募者を見極めるだけでなく、「企業自身が選ばれる存在であるか」が問われています。採用ピッチ資料は、その第一歩となる重要なツールです。

資料作成の際には、理念・事業・カルチャー・働き方・職種情報・選考フローといった要素を丁寧に盛り込み、ビジュアル面でも印象的に仕上げることが鍵です。また、一度作って終わりではなく、運用と改善を繰り返すことで、より多くの共感と応募を得られるようになります。

企業の魅力を「自分ごと」として感じてもらうために、採用ピッチ資料は最前線で活躍する語り手です。ぜひ、戦略的かつ実践的な資料作成に取り組んでみてください。

ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!
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