営業資料デザインの基本|初心者でも見やすく伝わる作り方

営業資料デザインの基本|初心者でも見やすく伝わる作り方


営業活動において「営業資料」は単なる補足資料ではなく、顧客に自社の価値を伝えるための強力な武器です。

とくに近年は、オンライン商談やデジタル資料のやり取りが増加し、営業担当者のプレゼン力だけでなく、資料そのもののデザイン力が成果を左右する場面が増えています。デザインが優れている営業資料は、顧客に信頼感を与え、短時間で要点を理解してもらう助けになります。逆に、見にくく整理されていない資料は「顧客目線に立っていない」と思われ、せっかくの商談機会を逃してしまうことも少なくありません。

ここで重要なのは「営業資料のデザイン」といっても、必ずしも特別におしゃれなデザインを求められているわけではないという点です。むしろ、顧客にとって「理解しやすい」「読みやすい」「信頼できる」と感じさせることが最優先であり、それは誰でも習得できる基本原則を押さえることで実現可能です。

本記事では、初心者でもすぐに実践できる営業資料デザインの基本を、視覚的な要素ごとに詳しく解説します。導入部分で全体の流れを理解し、各章で具体的なデザインの工夫を学ぶことで、明日からでも使える実践的な知識が身につくはずです。営業資料におけるデザインの役割を正しく理解し、成果につなげていきましょう!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。

営業資料におけるデザインの重要性

営業資料のデザインは、単なる見た目の美しさを超えて、顧客に与える印象や意思決定に直結する極めて重要な要素です。なぜなら、顧客は限られた時間の中で複数の選択肢を比較し、判断を下さなければならないからです。

その際に、わかりやすく整理された資料であれば「この会社は信頼できる」と感じ、逆に雑然とした資料であれば「顧客に配慮がない」「プロ意識に欠ける」といった印象を与えてしまいます。つまり営業資料のデザインは、商品やサービスの本質的な魅力を補強し、信頼性を高める重要な要素と言うことができます。

さらに、営業資料は営業担当者のスキルを標準化する効果も持ちます。経験豊富な営業担当者であれば多少デザインが弱い資料でも補うことができますが、チーム全体で成果を安定させるには誰が使っても伝わりやすい資料が不可欠です。

デザインを整えることで、プレゼンテーションの質を均質化し、組織としての営業力を底上げすることができます。また、デザインの工夫は顧客の理解スピードを上げ、商談時間を効率的に活用できる点でも大きな意味を持ちます。

営業資料のデザインは成果を左右する投資であり、軽視できない要素だといえるでしょう。

デザインの基本原則(シンプル・統一感・視認性)

営業資料デザインの基本原則は、シンプル・統一感・視認性の3つに集約されます。

まず「シンプル」とは、余計な装飾や情報を削ぎ落とし、本当に伝えたいメッセージに集中させることです。多くの初心者がやりがちな失敗は、色やイラストを盛り込みすぎて逆に見にくい資料を作ってしまうことです。営業資料は芸術作品ではなく、顧客に理解されることが目的です。削ぎ落とす勇気を持つことが大切です。

次に「統一感」です。フォントや色、図形のスタイルがページごとにバラバラだと、資料全体が素人っぽく見え、信頼性を損ないます。例えば、すべての見出しを同じフォント・同じ色で統一するだけでも、資料は一気に洗練されます。

最後に「視認性」です。顧客がスライドを見た瞬間に何を伝えたいのかが一目でわかるかどうかが勝負です。文字は十分な大きさを確保し、余白を活用して情報を整理することで、視線の流れに沿った自然な理解を促せます。

これら3つの原則を意識するだけで、初心者でも成果につながる営業資料デザインを実現できるのです。

レイアウトの作り方|視線の流れを意識する

営業資料のレイアウトは、顧客の視線の動きを考慮して設計することが重要です。人間の目は、自然と左上から右下へと流れる傾向があります。したがって、最も強調したいメッセージは左上や中央に配置し、補足情報は右下に置くと理解しやすくなります。

さらに、レイアウトはストーリー性を作り出す役割も果たします。例えば「課題 → 解決策 → 成果 → 導入メリット」といった流れを同一スライド内に配置することで、顧客は無理なく納得へと導かれます。このとき、矢印や番号などを使って視線を誘導すると、顧客は自然と意図した順番で情報を追いやすくなります。

もう1つ大切なのは「余白の活用」です。余白は単なる空きスペースではなく、情報を整理し、注目ポイントを際立たせるためのデザイン要素です。要素を詰め込みすぎず、適度な余白を取ることで見やすさが格段に向上します。初心者がレイアウトで意識すべきことは、情報を並べるのではなく、視線をデザインすることです。

配色のコツ|信頼感を与える色・避けるべき色

営業資料における配色は、顧客に与える印象を大きく左右します。

例えば、信頼感を与える色の代表は青系です。青は誠実さや安心感を想起させ、IT・金融・医療など幅広い業界で好まれます。補助的にグレーや黒を使えば落ち着いた印象を加えられます。逆に注意すべきは赤や黄色の多用です。これらは強調効果が高いものの、過剰に使うと安っぽく派手な印象を与えてしまい、信頼感を損ねるリスクがあります。

配色を決める際の基本は「メインカラー」「サブカラー」「アクセントカラー」の3色に絞ることです。これにより統一感が生まれ、見やすく整理された印象になります。たとえば、全体を落ち着いた青系でまとめ、重要部分のみ赤でアクセントをつける、といった方法が効果的です。

また、背景と文字のコントラストも重要です。白背景に薄い灰色文字は読みづらく、逆に黒背景に鮮やかな文字は視認性を高められます。配色はデザインのセンスだけでなく顧客に理解してもらうための戦略として考えることが、成果につながる営業資料の条件です。

フォント選びと文字サイズのルール

営業資料のフォント選びは、見やすさと統一感を最優先に考えます。基本は癖の少ないフォントを用い、本文や見出し、本文などで統一的に使用するのがベストです。

文字サイズについては、見出しは24pt以上、本文は18pt以上を目安にするのがおすすめです。これならオンライン商談や大画面投影でもストレスなく読めます。強調部分を太字や色で区別するのは効果的ですが、やりすぎると逆効果です。特に初心者が陥りがちなミスは、スライドごとに異なるフォントやサイズを使ってしまうことです。これでは統一感がなくなり、プロらしさが損なわれてしまいます。

また、行間や段落の間隔も調整すると、資料全体がぐっと見やすくなります。フォントや文字サイズは単なる見た目ではなく「情報をどれだけ理解しやすく伝えられるか」に直結します。基本ルールを押さえるだけで、営業資料の質は大幅に向上します。

図解やアイコンで伝わりやすくする方法

営業資料は文字情報だけでなく、図解やアイコンを取り入れることで直感的に理解できる資料に変わります。

例えば業務フローを文章で説明すると長くなりますが、矢印を使った図解にすると一目で流れが把握できます。アイコンも同様で、単なる箇条書きをアイコン付きで表現するだけで視覚的に整理され、顧客にとって理解しやすい資料となります。

ただし、注意すべきは過剰に使わないことです。アイコンや図解を多用しすぎると、かえって視線が散漫になり逆効果です。1スライド1図解を基本とし、意味のあるアイコンだけを選ぶのがポイントです。また、色やスタイルを揃えることで統一感を保ち、見やすさを確保します。

図解は記憶に残りやすい効果もあります。人は文章よりも画像やビジュアル情報を長く記憶する傾向があるため、効果的に図解を使えばプレゼン終了後も顧客の頭に残りやすくなります。営業資料における図解やアイコンは理解を助ける武器であり、初心者でも取り入れやすいデザイン手法の1つです。

よくあるNGデザインと改善例

営業資料でよく見られるNGデザインには大きく3つのパターンがあります。

1つ目は「情報過多」です。伝えたいことをすべて盛り込みすぎて、1枚に長文を詰め込み、顧客が読む気を失ってしまうパターンです。2つ目は「統一感の欠如」です。ページごとにフォントや配色が異なり、全体がちぐはぐになっているケースです。3つ目は「視認性の低さ」です。背景と文字色のコントラストが弱い、文字が小さすぎるなどで、情報が読みにくい状態になっています。

改善のポイントは「削る・揃える・強調する」の3つ。不要な情報は削ぎ落とし、全体のフォントや配色は揃え、重要な部分だけを強調する。この基本を徹底することで、見やすく整理された営業資料に変わります。例えば、長文スライドは箇条書きにまとめ、バラバラな色を3色に絞るだけで大幅に改善できます。NG事例を避けることは、初心者が短期間で営業資料の質を高める最も効果的な方法といえるでしょう。

初心者でも使える営業資料デザインの便利ツール

デザインに不安を感じる初心者でも、便利なツールを活用すればプロ並みの営業資料を作成できます。代表的なのは「Canva」や「Visme」などのオンラインデザインツールです。豊富なテンプレートが用意されており、直感的な操作で見栄えの良い資料が作れます。さらに、パワーポイントやGoogleスライドにも高品質なテンプレートが多数配布されているため、基本ルールを守りつつテンプレートを使えば初心者でも安心です。

また、グラフ作成に特化した「Infogram」や「ChartBlocks」、アイコンやイラストを探すなら「Flaticon」や「Freepik」なども便利です。こうしたツールを組み合わせれば、ゼロからデザインを考えなくても、一定以上のクオリティを短時間で実現できます。

特に営業の現場ではスピードが重要なため、ツールを活用して効率的に資料を仕上げることは大きな武器になります。初心者こそ積極的にこうしたサービスを取り入れるべきです。

まとめ|デザインを工夫して成果につなげる

営業資料のデザインは、顧客の第一印象や理解度、そして最終的な成果に直結する極めて重要な要素です。本記事で解説したように、営業資料デザインの基本は「シンプル」「統一感」「視認性」を意識することにあります。そのうえで、視線の流れを意識したレイアウト、信頼感を与える配色、読みやすいフォントと適切な文字サイズ、そして効果的な図解やアイコンの活用が成果を高めるカギとなります。

さらに、よくあるNG事例を避け、便利なツールを活用すれば、初心者でも十分にプロレベルの営業資料を作成できます。重要なのはおしゃれさではなく、顧客が理解しやすいかどうかです。 デザインを工夫するだけで、同じ内容でも伝わり方や成果は大きく変わります。営業資料は会社の信頼を背負う重要なツールです。基本原則を押さえ、継続的に改善しながら、成果を生む営業資料デザインを実践していきましょう。

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