ビジネスの世界では、プレゼンテーション、営業提案、社内報告、研修、IR説明会など、資料を作成する機会が数え切れないほど存在します。しかし多くの人が「作成に時間がかかる」「見づらいと言われる」「内容が薄いと言われる」といった悩みを抱えています。実際、完成した資料がわかりにくいと、せっかくのアイデアや提案が正しく伝わらず、承認が得られなかったり、期待した行動につながらなかったりします。
資料作成は単なる作業ではなく、相手に情報を届け、行動を引き出すためのコミュニケーション手段です。だからこそ、作り方には明確なコツがあります。本記事では、現場ですぐに実践できる15個の具体的なポイントを紹介。構成・デザイン・チェックまでの流れを押さえることで、誰でも「伝わる資料」を作れるようになります!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
コツ① 目的とターゲットを明確にする
資料作成の第一歩は、ゴールを明確にすることです。「誰に」「何を伝え」「どんな行動を促したいのか」を最初に決めておくと、スライドの内容がぶれません。例えば、経営層向けなら意思決定に必要な数字や結論を優先し、現場メンバー向けなら具体的な手順やHow-toを丁寧に盛り込みます。
ターゲットが変われば、使う言葉や情報量も変わります。専門家向けなら専門用語を使っても良いですが、一般社員向けなら難しい言葉は避け、図解や写真を多用すると効果的です。目的とターゲットを明確にすることで、不要なスライドを作る無駄も減り、最短距離で成果を出せる資料になります。

コツ② スライド構成を整える
資料は1枚ずつ作るのではなく、まず全体像を設計しましょう。おすすめは「現状・課題 → 解決策 → 期待効果 → 次のアクション」という王道の流れ。最初にアジェンダを示して全体像を伝えると、相手はどんな話がこれから出てくるのか心構えができます。
スライド構成を整える際は、章ごとにページ数を配分することも大切です。課題説明が長すぎると聞き手は退屈しますし、解決策が短すぎると説得力を欠きます。1章あたりのページ数を均等にするよりも、「何を一番伝えたいか」に応じてボリューム配分を変えましょう。

コツ③ 1スライド1メッセージを徹底する
1枚のスライドに複数の情報を詰め込みすぎると、聞き手は「何を見ればいいのか」迷子になります。1スライドにつき1つのメッセージに絞り、見出しに結論を書くと理解が早まります。
たとえば「売上が前年比120%成長」という事実を伝えたいなら、見出しに「売上は前年比120%成長」と書き、グラフや数字は本文部分に配置します。情報が複雑な場合はスライドを分割し、ストーリーの流れで見せることで、自然に相手の理解が深まります。

コツ④ 論理展開をわかりやすくする構成テンプレート
論点が飛ぶ、順序が逆になるといった混乱は、資料が伝わらない大きな原因です。ピラミッドストラクチャー(結論→理由→詳細)やPREP法(Point→Reason→Example→Point)といった論理展開のテンプレートを使えば、説得力が高まります。
特に提案資料では「課題の明確化→解決策→効果の見積もり→行動提案」という流れを押さえると、相手が意思決定しやすくなります。あらかじめ論理展開を設計しておくと、スライド作成がスムーズになるだけでなく、発表時の説明も一貫性が生まれます。

コツ⑤ フォントと文字サイズを統一する
資料全体でフォントや文字サイズがばらばらだと、素人感が出てしまいます。見出し・本文・注釈の3種類でルールを決め、全スライドに適用しましょう。たとえば見出し32pt、本文20pt、注釈14ptなど。
統一するだけで見た目が整い、聞き手の集中力が途切れません。また、オンライン発表では小さすぎる文字が読めないこともあるので、投影環境を考慮したサイズ設定も重要です。

コツ⑥ 色使いのルールを決める
多色使いは混乱を招きます。ベースカラー、アクセントカラー、強調カラーの3色程度に絞ると全体が洗練されます。重要な情報はアクセントカラーで目立たせ、背景色と文字色のコントラストを十分に取ることで可読性が上がります。
色の意味付けも決めておくと、見た瞬間に意味が伝わります。例:赤=リスク、緑=ポジティブ、青=事実データ。全スライドで一貫して使うと、情報が瞬時に理解されやすくなります。

コツ⑦ 視線誘導を意識したレイアウトにする
人の目線は左上から右下に流れます。この特性を活かし、重要情報は左上や中央に配置、補足情報は右下へ置くと、自然に内容が頭に入ります。矢印や番号を使うと、情報の流れをさらに明確にできます。
また、要素間の間隔をそろえ、左右の余白も均等にすることで、資料全体の印象が引き締まります。視覚的に整った資料は、説得力や信頼感を高める効果があります。

コツ⑧ 図解・グラフを効果的に使う
複雑な情報はテキストだけでなく図解やグラフに落とし込むと理解が早くなります。たとえば相関関係ならマトリクス、比較なら棒グラフ、構成比なら円グラフ、と目的に応じて選びます。
グラフは見やすさが命。凡例を減らして直接ラベルを入れる、配色をそろえる、単位を明記するなどの工夫で、データの読み取りやすさを向上させましょう。

コツ⑨ 写真・アイコンで直感的に伝える
視覚的な要素は理解と記憶を助けます。たとえば人物写真を入れると親近感がわき、プロセス図にアイコンを使うと工程が直感的に理解できます。
注意点は、素材のテイストを揃えること。フリー素材でもスタイルがばらばらだと雑多に見えてしまいます。できれば同一シリーズのアイコンや、同じ色調で統一した写真を選びましょう。

コツ⑩ 情報を削る勇気を持つ(余白を活かす)
伝えたい情報をすべて詰め込みたくなる気持ちは分かりますが、情報過多は逆効果です。重要度の低い要素は思い切って削り、必要な情報だけを残すことで、メッセージが際立ちます。
余白は空間ではなく「呼吸スペース」です。情報同士の距離を空けることで、見やすさが格段に向上します。

コツ⑪ 説得力を高めるデータ活用
データは主張を裏付ける根拠です。信頼できる出典を明記し、グラフ化して見せると説得力が倍増します。比較データや推移を入れると「なぜ今行動すべきか」を強調できます。
ただし数字の羅列はNG。重要な数値だけを太字や色で強調し、結論がひと目でわかるようにしましょう。

コツ⑫ 読み手目線でのチェックを行う
資料を作った本人は思い込みが入りがちです。完成後は「初めて見る人の気持ち」で見直しましょう。専門用語が多すぎないか、ストーリーが飛んでいないか、次のアクションが明確かを確認します。
可能なら同僚や第三者にレビューしてもらい、感想や改善点をフィードバックしてもらうとさらに精度が上がります。

コツ⑬ テンプレートを活用して時間短縮
毎回ゼロから作ると時間がかかります。社内共通のフォーマットやオンラインで配布されているテンプレートを活用すれば、構成やデザインを考える時間を短縮できます。
統一されたフォントや配色が最初から設定されているため、見た目のばらつきも防げます。時間が浮いた分、メッセージや内容の質を高めることに集中できます。

コツ⑭ チームでデザインを統一する仕組みを作る
組織で資料を共有するなら、デザインガイドラインを整備しましょう。
フォント、カラー、ロゴ位置、スライドマスターなどを事前に設定した社内テンプレートを用意すると、誰が作っても統一感が出ます。ブランドイメージが保たれるだけでなく、資料レビューの負担も軽減されます。

コツ⑮ 資料完成後の最終チェック
完成した資料は必ず最終チェックを行いましょう。誤字脱字、図表のズレ、リンク切れ、ページ番号の抜け、色の統一などを確認します。印刷プレビューやPDF化して、実際の見え方を確かめるとさらに安心です。
この一手間で、信頼を損なうミスを防ぎ、安心して提出できる資料になります。

まとめ|コツをつかんで最高の資料を作ろう!
資料作成はセンスではなく、手順とコツで誰でも上達します。目的設定、論理構成、デザイン、チェックを習慣化することで、短時間で質の高い資料を作れるようになります。
今回紹介した15のコツを意識して実践することで、あなたの資料は「見やすい」「わかりやすい」「行動を引き出す」ものへと変わります。次回のプレゼンや会議でぜひ試してみてください。
ちなみに、「自分で資料を作るのは大変・・・」「プロの力を借りたい!」という方は、「Business Jungle資料作成」をご利用ください!1枚3,000円から、あっと驚く資料作成のお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。
