【日本政策金融公庫】創業融資の必要書類とは|創業者向けに徹底解説

【日本政策金融公庫】創業融資の必要書類とは|創業者向けに徹底解説

日本政策金融公庫の創業融資は、これから事業を始める人や創業して間もない人が利用しやすい制度として広く知られています。しかし実際に申請を進めようとすると、多くの創業者が最初の段階でつまずくことになります。

その理由として最も多いのが、必要書類がわからず、何をどの順番で準備すればよいのかが把握できないことにあります。書類準備は創業融資のなかでも最も重要なステップであり、早期に着手し、正確に整えていくことで審査のスムーズさが本当に大きく変わります。

本コラムでは、日本政策金融公庫の創業融資で必要となる書類を整理し、それぞれの役割や作成時の注意点をわかりやすく解説します。必要書類を正しく理解して準備することで、創業融資の審査をよりスムーズに進めることができ、事業開始に向けた大きな一歩を踏み出すことができます。

申込者の属性に合わせた①~③の「必須書類」、そして「人によっては必要になる書類」という分類で、細かく見ていきましょう!

対象者必要書類
必須書類①(新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を終えていない方)創業計画書
必須書類②(事業開始後税務申告を終えている方)企業概要書
確定申告書・決算書(法人営業の方)
申告決算書(個人営業の方)
必須書類③(全員が対象)運転免許証、マイナンバーカード、パスポート
人によっては必要になる書類最近の試算表(法人営業の方で、事業開始後または税務申告後6ヵ月以上経過している場合)
法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人営業の方)
許認可証(飲食店など許可・届出等が必要な事業を営んでいる方)
日本公庫電子契約サービス利用申込書(電子契約サービスをはじめて利用する方)
送金先口座の預金通帳(表紙・見開き1ページ目)(電子契約サービスをはじめて利用する方)

なお、わたしたち「Business Jungle 創業計画書作成」と一緒に創業計画書を作成したい方は、いつもでご連絡ください。日本政策金融公庫の創業融資において、最も重要になる創業計画書を4,800円から作成代行させていただきます!

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や事業計画作成に関する豊富な経験を有する。

必須書類①(新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を終えていない方)

開業前や開業して間もなく、まだ税務申告をしていない方は、実績がない分、創業計画書が審査の中心になります。事業内容、市場や顧客、売上見込み、資金計画などを整理し、日本政策金融公庫が事業の実現可能性と準備状況を判断するための土台となる書類です。

創業計画書

創業計画書の役割は非常に広く、創業者の想いや事業内容を丁寧に言語化し、公庫の担当者が理解できる形でまとめることにあります。

言ってみれば、事業の構造を可視化する作業であり、市場環境、顧客像、商品やサービスの強み、価格設定、売上の予測値、必要となる経費、資金繰りなど、多様な要素を整理する必要があります。創業者自身が明確に理解していなければ説明できないため、計画書を作る作業は融資成功や事業成功に直結します。

創業計画書が審査において高く評価されるためには、数字の説明が論理的であることが欠かせません。売上の根拠が曖昧であれば事業の将来を正確に予測できず、返済能力の判断が難しくなってしまいます。逆に、顧客数の見込や購買頻度、単価などが具体的に算出されていれば、担当者は事業の実現性を高く評価しやすくなります。

また、創業者の経歴やスキルが事業内容と連動している場合、その関連性を記載することも重要です。経験や専門知識が事業の成功を支える裏付けとして評価されるため、創業者の強みを余すことなく計画書に盛り込むことが望まれます。

創業計画書は単なる書類以上に、融資や事業の成否を左右する重要な設計図としての側面を持っています。

日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード」より引用

必須書類②(事業開始後税務申告を終えている方)

すでに事業を開始し税務申告を終えている方は、過去の実績に基づいて審査されます。企業概要書で事業の全体像を示し、確定申告書や決算書(または申告決算書)で売上や利益、費用構造などを確認されます。これらの書類を通じて、事業の継続性と返済能力が評価されます。

企業概要書

企業概要書は事業の全体像を分かりやすくまとめた書類であり、公庫の担当者が事業内容を把握するための基本情報となります。

この書類には、事業の概要、サービスや商品の特徴、ターゲット顧客、事業の強み、競合との違いなどが整理されて記載されます。創業計画書ほど詳細ではありませんが、事業の方向性や市場での位置付けを示すうえで重要な役割を持ちます。

企業概要書の魅力は、事業の核心を簡潔に伝える力がある点にあります。審査担当者は多くの案件を担当するため、短時間で事業の全体像を把握できる資料は非常に重宝されます。同時に、企業概要書の内容が決算書などの他の資料と整合しているかどうかも評価ポイントとなるため、書類間の一貫性にも目を配っておく必要があります。

企業概要書が適切に作成されていれば、面談時にも説明がしやすくなり、事業内容が相手に伝わりやすくなるというメリットがあります。過不足のない情報を整理し、事業の魅力が自然と伝わるように構成することが重要です。

日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード」より引用

確定申告書・決算書(法人営業の方)

法人が申請する場合、確定申告書や決算書が必要になります。これらの書類は、過去の業績を確認し、収益性や財務状況を判断するための重要な資料です。売上や利益がどのように推移しているのか、営業活動が安定しているのか、資金繰りが健全かどうかなど、事業の実態がすべて数字として現れます。

決算書は、貸借対照表や損益計算書などで構成されており、企業の財務状況を総合的に判断するための重要なデータです。負債のバランスや資産構成、内部留保の状況など、企業の健全性を示す要素が詳細に記載されているため、公庫はこれらの情報を細かく読み込みます。

過去の実績が十分でない場合でも、改善の兆しが見える数値があれば評価されることもあります。たとえば、売上は横ばいだが利益率が改善している、費用が適切に削減されているなど、事業改善の努力が表れているかどうかも大切な評価ポイントです。決算書や申告書はそのまま提出するのではなく、必要に応じて補足説明を添えることで、事業の理解を深めてもらうことができます。

申告決算書(個人営業の方)

個人事業主の場合、申告決算書が提出書類として求められます。この書類は、個人で営む事業の収入や費用を記載しており、事業の収益性や財務状況を確認するために使用されます。税務申告の内容と事業実態に整合性があるかどうかを判断する材料となるため、非常に重要な資料です。

個人事業主は法人と比べて事業規模が小さいケースが多いため、収益の安定性が審査に影響することがあります。しかし、収益がまだ安定していない段階でも、事業が成長している兆しや、顧客の獲得が進んでいるなど前向きな要素があれば評価されることもあります。

申告決算書は数字がすべてを物語るため、その数字の背景を説明できるように準備しておくことが重要です。売上が伸び悩んだ時期があるならその理由、支出が一時的に増えたならその背景を整理しておくことで、面談での信頼度を高めることができます。

必須書類③(全員が対象)

創業前かどうかに関わらず、すべての申込者に共通して求められるのが本人確認書類です。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどを用いて、氏名や住所、生年月日が申込内容と一致しているかを確認します。融資取引の安全性を確保するうえで欠かせない基本書類です。

運転免許証、マイナンバーカード、パスポート

本人確認書類として提出できる代表的なものが運転免許証、マイナンバーカード、パスポートです。どれも写真付きの本人確認書類であり、氏名、住所、生年月日などの基本情報が記載されているため、融資審査における確認資料として非常に重要な役割を果たします。

住所変更が反映されていない免許証を提出すると、追加資料が必要になり手続きが停滞する原因になります。また、マイナンバーカードやパスポートも有効期限内かを事前にチェックしておくことが望ましいです。

本人確認書類は融資に直結する書類ではないものの、審査の入口をクリアするためには欠かせない資料です。特に電子契約やオンライン手続きでは、本人確認情報の正確性がそのまま手続きの進みやすさに影響するため、最優先で準備しておくことをおすすめします。

人によっては必要になる書類

業種や事業形態、申請方法によっては、追加の書類が必要になります。試算表で直近の業績を示したり、法人の履歴事項全部証明書で登記内容を確認したり、許認可証で営業許可の有無を証明したりします。電子契約を利用する場合は、専用申込書や送金先口座の通帳コピーが求められることもあります。

最近の試算表(法人営業の方で、事業開始後または税務申告後6ヵ月以上経過している場合)

試算表は、直近の業績や財務状況を把握するための資料であり、事業開始後一定期間が経過している法人にとっては非常に重要な資料となります。決算書が過去の情報を反映しているのに対し、試算表はより最新の事業状況を確認できるため、公庫の担当者はその内容を細かくチェックします。

試算表から読み取れるのは、売上の推移、費用構造、利益率、資金繰りの状況など、企業の現在の体力とも言える要素です。審査では、成長の兆しが見えるかどうか、経費の管理が適切かどうかなどが評価されます。試算表の数字に大きな変動がある場合は、その背景を説明できるようにしておくことが重要です。

試算表を正確に作成しておくことで、事業の健康状態を客観的に示すことができ、融資の信頼性が高まります。試算表を普段から整備しておく習慣は、審査だけでなく経営の改善にも役立つため、非常に重要です。

法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人営業の方)

法人として申請する場合、履歴事項全部証明書や登記簿謄本が提出書類として求められます。これらの書類は法人の正式な登録情報を示すものであり、代表者の情報、所在地、資本金、設立年月日、事業目的など、企業の基本事項が記載されています。

これらは企業の身分証明書のような役割を果たし、融資の審査において企業の信頼性を確認するための基礎的な資料です。申請情報に虚偽がないかどうかを確認する意味でも、非常に重要な書類です。また、住所変更などがある場合には、変更登記が反映されている必要があるため、事前に内容の確認を行うことが大切です。

履歴事項全部証明書や登記簿謄本は法務局で取得する必要があり、取得までに時間がかかる場合もあるため、早めの準備が必要です。正確な法人情報を提供することで、審査の信頼性も高まります。

許認可証(飲食店など許可・届出等が必要な事業を営んでいる方)

事業によっては、許認可がなければ営業できない業種があります。飲食業、美容業、不動産業などがその代表例であり、これらの業種で創業融資を申請する際には、許認可証の提出が必須となります。営業許可が下りていない状態では事業が開始できないため、審査の前提を満たさないことになります。

公庫は事業の実現可能性を重視するため、許認可の取得状況は非常に重要な評価ポイントです。許認可が未取得の段階で申請した場合、審査が進んでも融資実行は許可取得後となることが多く、創業時期が遅れる原因にもなります。

許認可が必要な事業を行う場合には、創業融資の申請より先に許認可取得のスケジュールを立てておくことが重要です。準備の進捗状況を説明できれば、創業者としての準備姿勢が高く評価される場合もあります。

日本公庫電子契約サービス利用申込書(電子契約サービスをはじめて利用する方)

日本政策金融公庫の融資手続きでは、電子契約サービスを利用することができます。このサービスは契約の効率化を目的としており、書類の郵送や来店を減らすことができる便利な仕組みです。しかし、初めて利用する場合には、電子契約サービス利用申込書を提出して登録手続きを行う必要があります。

電子契約を利用するメリットは、契約までのスピードが向上し、書類の紛失リスクを抑えられる点にあります。また、遠方にいる創業者や、事業が忙しく来店が難しい場合でも、スムーズに手続きを進めることができます。

利用申込書には個人情報や口座情報などを記載するため、正確に記入する必要があります。情報に不備があると手続きが止まるため、提出前に慎重に確認しておくことが重要です。

送金先口座の預金通帳(表紙・見開き1ページ目)(電子契約サービスをはじめて利用する方)

電子契約サービスを利用する場合、融資金が振り込まれる口座の確認が必要となります。預金通帳の表紙と見開きページのコピーを提出することで、口座名義、番号、金融機関名などを確認します。振込先の情報に誤りがあれば融資実行が遅れるため、非常に重要な手続きです。

口座名義が申請者本人と一致している必要があり、名義違いがある場合は事前に修正を行う必要があります。また、法人の場合は法人名義の口座であることが求められるため、創業者は法人設立後すぐに口座を開設しておくことが望ましいです。

通帳の情報は金融機関の手続きとも連動するため、最新の状態にしておくことが重要です。電子契約のスムーズな進行のためにも、早めに準備しておくことをおすすめします。

まとめ

日本政策金融公庫の創業融資を申し込む際に必要となる書類は、創業前後の状況や事業形態によって大きく異なります。創業前なら創業計画書が中心となり、すでに税務申告を終えている場合には決算書や企業概要書が求められます。さらに、すべての申請者に共通して本人確認書類が必要であり、業種や利用サービスによって追加の書類が必要になることもあります。

書類の不備や不足は審査の遅延につながるだけでなく、審査結果に影響する場合もあります。本記事で整理した項目を参考にしながら、自身の事業状況に合った書類を一つずつ準備していくことが重要です。早期の段階で必要な書類を把握しておけば、申請から融資実行までをスムーズに進めることができ、創業への第一歩を確実に踏み出すことができます。

本記事を参考にして、ぜひスムーズに融資を通過してください。応援しています!

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