日本政策金融公庫の創業融資は、創業期における代表的な資金調達手段として多くの創業者が利用しています。
事業を立ち上げるタイミングでは自己資金だけではまかないきれない費用が発生し、設備投資、開業準備費、運転資金など、事業の軌道に乗るまでの資金を確保することが大きな課題になります。そのため、公的な融資制度に頼ることは極めて自然な判断であり、創業期の成功に直結する重要なアクションと言えます。
しかし、創業融資の審査は誰でも簡単に通るものではありません。申請した創業者の約半数が希望どおりの融資を受けられず、計画自体の見直しを迫られるケースも少なくありません。
融資に落ちた企業の多くは、準備が不足していたり、事業の根拠が弱かったり、説明が適切でなかったりといった共通の課題を抱えています。このような状況を踏まえると、創業融資に挑む人が押さえるべきポイントは、ただ計画書を作るだけではなく、審査の本質を理解し、融資担当者に伝わる形で準備を整えることです。
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資の通過率が約50%と言われる理由を深く掘り下げ、なぜ半数の創業者が落ちてしまうのかを明確にしたうえで、どのようにすれば通過率を高められるかを総合的に解説します。ぜひ最後までご覧ください!
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や事業計画作成に関する豊富な経験を有する。
創業融資の通過率は50%程度
日本政策金融公庫の創業融資に関する正確な通過率は公式発表されていませんが、融資支援を行う専門家や実務家の間では、実際の通過率は50%前後と考えられています。この数値は決して低すぎるというわけではありません。しかし、創業融資は他の融資制度と比べると取得しやすいと言われる一方で、二人に一人は通過できていない現実があります。
この通過率の背景には、創業者が置かれている状況や準備の差が大きく影響しています。十分に準備を整え、事業計画に根拠を示した創業者であれば高い確率で通過できますが、準備不足の人は審査で不利になりやすいという特徴があります。また、創業者の経験不足や自己資金の少なさ、信用情報の問題など、創業者ごとの事情も通過率の数値に影響しています。
創業融資は書類審査と面談の双方で総合的に判断されるため、見せ方や話し方も重要になります。数値だけを見ると半分が落ちてしまうという印象になりますが、裏を返せば、審査で求められるポイントをしっかり押さえれば通過率は十分に上げられるということでもあります。
創業融資においては準備の質が結果を大きく左右するため、正しい方向で準備を進めることが何より重要です。次の章からは、創業融資に通過できない理由を、4つ解説しています。裏を返せば、これらのポイントには絶対に気を付けるべきということ。注意して確認していきましょう。

通過率が下がる理由①:創業計画書の品質が低い
創業計画書は、創業融資における最も重要な書類です。
この書類は事業の将来性や収益性、創業者の理解度を判断する資料であり、審査担当者が事業の全体像を把握する際の中心となります。しかし、多くの創業者が書類作成に十分な時間をかけられず、内容の浅い計画書を提出してしまうため、審査で不利な評価を受けてしまうケースが少なくありません。
創業計画書で最も多い問題は、売上計画や費用計画に根拠が不足していることです。どれくらいの客数を見込むのか、どの価格帯で販売するのか、どのように集客するのかといった基本的な計画があいまいなままだと、計画の実現可能性に疑問が生まれます。また、市場調査が不十分でターゲットが不明確だったり、競合分析が浅かったりすると、事業の成長性を見通すことができないと判断されてしまいます。
さらに、創業者の経験と事業内容の関連性が弱い場合や、運営体制が曖昧な場合も審査でマイナスの評価につながります。創業計画書は単なる申請書ではなく、事業の説得力を示すための最重要資料であるため、質の低い計画書は通過率を大きく下げてしまいます。まずは計画書の完成度を高め、客観的に見ても納得できる内容に仕上げることが不可欠です。

通過率が下がる理由②:面談で上手く説明できない
創業融資の面談は、創業計画書の内容を補足し、創業者の理解度や姿勢を確認する重要なプロセスです。
面談は単なる形式的な場ではなく、創業計画書に書かれている内容が正しく理解されているか、事業の将来性を具体的に語れるかを確認するために実施されています。そのため、面談で十分に説明ができない場合、事業の実現可能性が低いと評価されてしまうことがあり、通過率が下がる原因となります。
面談で多い失敗は、計画書の内容を自分の言葉で説明できず、質問に対する回答が曖昧になってしまうこと。事業の収益構造や集客方法、価格設定、リスク対応などの基本的な質問に対し、すぐに答えられない状態は準備不足と判断されやすく、審査担当者の不安を招きます。また、売上根拠や市場シェアの見込みなどの数値に関する質問に明確に答えられない場合も計画の信頼性が弱いと判断されます。
面談は創業者の真剣さや熱意を示す場でもあり、事業への理解が深ければ自然と言葉に説得力が生まれます。計画書の内容を丸暗記するのではなく、なぜその計画に至ったのかという背景まで説明できるよう準備することで、面談での印象が大きく改善し、通過率を高めることにつながります。

通過率が下がる理由③:自己資金が少ない
自己資金は、公庫が審査を行う際に特に重視する評価ポイントの一つです。
創業融資の申請時に自己資金が少ないと、事業への準備姿勢が不十分だと判断される可能性があります。また、借入金に依存しすぎた資金計画は返済リスクが高くなるため、返済能力に不安があると評価されやすく、通過率が下がります。
一般的には、事業に必要な資金の三割程度を自己資金で用意するのが理想とされています。もちろん例外はありますが、自己資金が全くない、あるいは極端に少ない場合は、融資の審査で不利になりやすいのが現実です。創業者自身がどれだけ事業に向けて準備してきたかを示す指標として、自己資金は非常に重要です。
自己資金が少ない場合、審査担当者は事業が軌道に乗るまでの運転資金が不足する可能性を懸念します。創業直後は売上が安定しないことも多く、資金繰りが厳しくなると廃業のリスクが高まります。そのため、自己資金が多い創業者ほど事業が安定しやすいと判断され、融資が通りやすくなります。創業融資を検討している場合は、申請前にできるだけ自己資金を蓄積しておくことが非常に効果的です。

通過率が下がる理由④:未払いや滞納がある
創業融資の審査では、創業者の信用情報が確認されます。税金の未払い、クレジットカードの延滞、ローンの滞納など、過去の金融履歴に問題がある場合、返済能力に疑問があると判断されるため、通過率が大きく下がります。信用情報は金融機関が最も慎重に確認する項目の一つであり、たとえ小さな延滞であっても繰り返していた場合にはマイナスの評価につながります。
特に、税金や社会保険料の滞納は特に厳しく評価されます。税金を適切に納めていない状態は、事業者としての責任感や管理能力に疑問を持たれるため、融資審査では不利になります。また、クレジットカードの延滞が解消されていても、履歴が残っている場合は慎重に評価されてしまいます。
信用情報に問題がある場合は、すぐに融資を申し込むのではなく、問題を解決し信用回復に努める必要があります。数ヶ月間延滞をしない状況を続けることで評価が改善されることもあります。
しかし、こればかりは創業者側が工夫でどうにかできる領域でもないため、万全の準備のもととにかく創業融資にチャレンジしてみるという意識が大切になります。創業融資を確実に通したいのであれば、信用情報のチェックは避けて通れません。

日本政策金融公庫が重視する3つの評価観点
ここまで創業融資の通過率が下がる理由を見てきましたが、それ以外にも融資で気を付けておくべきポイントがあります。この章では、それらのポイントを具体的に見ていきましょう。
まず日本政策金融公庫の創業融資では、事業の成功可能性を判断するために3つの評価観点が重視されています。この3つの観点は審査の核心とも言える要素であり、どれか1つでも弱いと融資が通りにくくなるため、創業者は必ず理解しておく必要があります。

1つ目は事業の実現可能性です。市場規模や競合環境、顧客ニーズ、提供する商品やサービスの価値、集客方法など、事業が現実に成立するかどうかが確認されます。実現可能性が高い事業ほど高く評価され、融資の通過率が上がります。
2つ目は返済能力です。売上計画、利益計画、資金繰り計画、固定費の水準などが総合的に判断されます。現実的な計画であるかどうかが重要で、根拠の無い売上予測や過度に楽観的な計画はマイナス評価につながります。また、自己資金が十分にあるかどうかも返済能力の判断材料になります。
3つ目は創業者の姿勢と経験です。事業内容と創業者の経験が一致しているか、どれだけ準備してきたか、事業への熱意や誠実さがあるかなどが評価されます。特に創業者の姿勢は数値化できないものの、審査において非常に重要な要素であり、担当者の印象を大きく左右します。
この3つの評価軸がバランスよく整っている場合、創業融資は高い確率で通過します。逆にどれか1つでも弱点があると通過率は下がるため、事前に自分の事業をこの3つの視点から見直すことが重要です。

もし日本政策金融公庫の創業融資に落ちたら
創業融資に落ちてしまった場合でも、事業の将来が閉ざされるわけではありません。むしろ、落ちた理由を丁寧に分析し、適切に改善することで、再申請や別の融資制度で通過する可能性は十分にあります。創業融資の不通過には必ず理由があり、その原因を解消することが最も重要です。
多くの場合、融資に落ちた理由は創業計画書の根拠不足や自己資金の不足、信用情報の問題、面談での説明不足などに集約されます。これらの問題は、改善と準備によって克服できるものばかりです。
市場調査を追加で行い、売上の根拠を強化したり、補足資料を充実させたりすることで、計画の説得力を大幅に高めることができます。また、自己資金を数ヶ月かけて積み上げてから再申請することで、通過率が一気に高まることもあります。
さらに、日本政策金融公庫以外にも制度融資や信用保証協会を活用した融資があり、金融機関ごとに審査の傾向が異なります。創業計画が魅力的であれば、別の金融機関で通る可能性は十分にあります。創業融資に落ちたとしても、そこから事業を改善し、再チャレンジすることでより強い事業基盤を築くことができます。

プロに依頼した場合は通過率が90%程度に改善
創業融資を初めて申請する創業者は、自己流で準備を進めた結果、根拠の弱い計画書になってしまうことが少なくありません。一方、専門家に依頼すると通過率が大きく改善し、90%前後まで上がることもあります。これは、専門家が審査基準を理解し、計画書に必要な要素を整理しながら、事業の強みや数字の根拠を明確に示す形に仕上げてくれるためです。
さらに、面談対策や補足資料の作成を伴走してもらえることで、担当者に伝わる説明ができるようになり、計画書全体の完成度も高まります。創業融資が通らなければ開業自体が遅れてしまうため、プロのサポートによって計画の精度を高めることは合理的であり、事業の実現性を高める有効な手段と言えます。
もし自分一人では不安な場合、プロの力に頼ることも一案です。創業計画書のみの作成支援など、自分の状況に合わせた活用を、ぜひ検討してみてください。

まとめ
日本政策金融公庫の創業融資の通過率は、自分で取り組んだ場合は50%と言われており、創業融資が簡単な制度ではないことがわかります。しかし、その通過率を決める要因は創業者自身の準備状況に大きく依存するため、正しい方向で準備を進めれば通過率は大きく改善します。
通過率が下がる理由を理解し、創業計画書の品質向上、面談準備、自己資金の確保、信用情報の整理といった基本を丁寧に積み重ねることで、創業融資は決して難しいものではなくなります。もし一度落ちたとしても、改善点を見つけることで再チャレンジの成功率は大きく高まります。
創業融資は、事業の未来を切り開くための重要な資金調達手段です。創業者が本気で事業と向き合い、丁寧に準備を積み重ねることができれば、創業融資の壁は必ず乗り越えられます!
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