リッツカールトンのクレドとは?事例から学ぶ成功のポイント

リッツカールトンのクレドとは?事例から学ぶ成功のポイント

顧客満足度の高い企業として知られるホテルチェーンのリッツカールトンは、その卓越したサービスの裏側に「クレド」という考え方を持っています。

クレドは「信条」を意味しており、企業にとって揺らぐことのないゴール、あるいはゴールに到達するための方法として機能してくれます。
単なる接客スキルやマニュアルだけでは説明できない、一貫した高品質な体験を実現できている理由は、このクレドにあります。

本記事では、リッツカールトンのクレドの全体像を整理したうえで、ゴールドスタンダードと呼ばれる理念体系や、実際の浸透施策、現場での実践エピソードまでを具体的に解説します。
さらに、こうした内容から、自社に活かすための成功のポイントについても整理していきます。

リッツカールトンのクレドを理解することは、単なる事例研究にとどまらず、クレドを通して組織の行動を変える仕組みを学ぶことにつながります。ぜひ最後までご覧いただき、自社の経営や組織づくりに活かしてみてください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

クレドとは

クレドとは、企業における「信条」を意味する言葉であり、日々の意思決定や行動の拠り所となる考え方です。
企業にとってのゴールを示していることもあれば、ゴールに到達するために守るべきルール、あるいはその両方を示していることもあります。

語源はラテン語のcredoにあり、「信じる」という意味を持っています。
単なるスローガンやお飾りの言葉ではなく、社員一人ひとりが現場で迷ったときにどう判断すべきか、何を優先すべきかを示す実践的なルールとして機能する点が特徴です。

企業活動においてはすべてをルール化することは難しく、個々の判断に委ねられる場面も多く存在します。
だからこそ、共通の信条としてクレドを持つことで、組織全体の行動に一貫性をもたらし、企業のゴールに向かって一直線に進んでいくことができるわけです。

なお、クレドの細かな定義や、関連する用語との違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

リッツカールトンのクレドとは

さて、このようにクレド(信条)は、企業にとって日々の意思決定や行動の品質を左右し、それが結果として企業の成長そのものを左右します。
そして、このクレドを最も上手に活用できている企業の代表例が、世界中にホテルチェーンを展開するリッツカールトンです

世界中どのホテルにおいても高い品質のサービスが提供されている背景には、このクレドが組織全体に深く浸透していることがあります。
重要なのは、クレドが単なるお飾りの理念として掲げられているのではなく、日々の業務の中で繰り返し確認され、実際の行動に落とし込まれている点です。

クレドがあることで、スタッフ一人ひとりが自律的に判断しながらも、組織として一貫したサービスを実現できています。

リッツカールトンのクレド
ザ・リッツ・カールトンは、お客様への真心のこもったおもてなしと快適さを最優先に考える場所です。
私たちは、お客様に常に温かくリラックスした、それでいて洗練された雰囲気をお楽しみいただけるよう、最高級のパーソナルサービスと設備をご提供することをお約束いたします。
リッツ・カールトンでの体験は、五感を刺激し、幸福感をもたらし、お客様の言葉にならない願いやニーズさえも満たします。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

リッツカールトンのゴールドスタンダード

ここで注目すべきは、クレドは単独で作成して終わりというわけではないという点です。
例えば、クレド(信条)として掲げた内容だけでは、具体性が乏しくて内容をイメージできないかもしれません。あるいは、具体的な行動にまで落とし込まれておらず、実践されないかもしれません。

それは、リッツカールトンにおいても同様です。
そのため、リッツカールトンでは「ゴールドスタンダード」と呼ばれる企業理念のなかにクレドを位置付け、他の概念と一緒に体系化しています。

本章では、ゴールドスタンダードに含まれる6つの構成要素を理解することで、クレドを通して社員の意識・行動を変えるための仕組みを考えていきましょう。

リッツカールトンのゴールドスタンダード
The Credo
(クレド)
リッツカールトンにとって最も大切にすべき信条であり、企業としてのゴールを示す。
Motto
(モットー)
クレドを実践するうえで理解しておくべき大原則を示す。
Three Steps of Service
(サービスの3ステップ)
クレドを具体的行動に落とし込んだものであり、サービス提供の流れにあわせて3項目に整理している。
Service Values
(サービスバリュー)
クレドを具体的行動に落とし込んだものであり、いつでも実践すべき行動を12項目に整理している。
The 6th Diamond
(第6のダイアモンド)
クレドを実践するために必要な考え方であり、5ダイアモンド(5つ星)を超える唯一無二の価値を生み出す方法を整理している。
The Employee Promise
(従業員への約束)
従業員への一方的な要求だけではなく、従業員への約束を示す。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

The Credo(クレド)

クレドは、リッツカールトンにとって最も大切にすべき信条であり、企業としてのゴールを示しています。

ここでは、単にサービスを提供するのではなく、お客様の期待を超え、言葉にならないニーズまで満たすことが求められています。

リッツカールトンでは、このクレドがあることで現場のスタッフはマニュアルに依存することなく、自ら考え、主体的に行動し、感動するような顧客サービスを提供することができるようになります。

ザ・リッツ・カールトンは、お客様への真心のこもったおもてなしと快適さを最優先に考える場所です。
私たちは、お客様に常に温かくリラックスした、それでいて洗練された雰囲気をお楽しみいただけるよう、最高級のパーソナルサービスと設備をご提供することをお約束いたします。
リッツ・カールトンでの体験は、五感を刺激し、幸福感をもたらし、お客様の言葉にならない願いやニーズさえも満たします。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

Motto(モットー)

モットーは、クレドを実践するうえで理解しておくべき大原則を示しています。

リッツカールトンでは、クレドがゴールを示しているのに対して、モットーはそのゴールに向かうための原則を示しています。
顧客だけではなく、スタッフ自身も紳士淑女として振る舞うことが求められており、顧客を卓越した視点でサポートするという思想が根底にあります。

このモットーがあることで、単なるサービス提供者ではなく、視座高く誇りを持って行動する文化が醸成されています。

ザ・リッツ・カールトンでは、「紳士淑女の皆様にサービスを提供する紳士淑女」というモットーを掲げています。このモットーは、全スタッフが提供する先を見越したサービスを象徴しています。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

Three Steps of Service(サービスの3ステップ)

サービスの3ステップは、クレドを具体的行動に落とし込んだものであり、サービス提供の流れにあわせて3項目に整理されています。

挨拶からニーズの把握、そしてお見送りまでの一連の流れを明確に定義することで、誰が対応しても一定以上のサービス品質を担保できる仕組みになっています。

クレドやモットーは抽象的な理念でしたが、本項目では具体的な行動レベルまで設計されている点が特徴であり、日々の業務の中で自然とクレドが実践されるようになっています。

●温かく誠実な挨拶をしましょう。お客様の名前を使いましょう。
●お客様一人ひとりのニーズを先読みし、満たしましょう。
●心温まるお別れ。温かいお別れの言葉を述べ、お客様の名前を呼んでください。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

Service Values(サービスバリュー)

サービスバリューは、クレドを具体的行動に落とし込んだものであり、いつでも実践すべき行動を12項目に整理している。

顧客対応だけでなく、チームワークや責任感、自己成長といった観点まで含まれており、どのような姿勢で仕事に向き合うべきかが明確に示されています。

「サービスの3ステップ」はサービスの流れごとに行動が定義付けられていましたが、本項目では流れを問わず実践すべき行動が定められているため、両者が揃うことでよりクレドを体現しやすくなります。

●私は強固な顧客関係を築き、リッツ・カールトンの生涯顧客を創造します。
●私は常に、お客様の明示的および暗示的なご要望やニーズに真摯に対応いたします。
●私は、お客様一人ひとりにユニークで記憶に残る、パーソナルな体験を提供し、ザ・リッツ・カールトンの神秘性を高める権限を与えられています。
●私は、ザ・リッツ・カールトン・コミュニティ・フットプリントを推進する上での自分の役割を理解しています。
●私は常に、リッツ・カールトンでの体験を革新し、向上させる機会を模索しています。
●私はお客様の問題に責任を持ち、即座に解決します。
●私は、お客様と従業員同士のニーズを満たすために、チームワークと相互支援を重視した職場環境を構築しています。
●私は継続的に学び、成長する機会に恵まれています。
●私は、自分に影響を与える仕事の計画に関わっています。
●私は自分のプロフェッショナルな外見、言葉遣い、そして振る舞いに誇りを持っています。
●私は、お客様、同僚、そして会社の機密情報と資産のプライバシーとセキュリティを保護します。
●私は、一切妥協のない清潔さを維持し、安全で事故のない環境を作り出す責任を負っています。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

The 6th Diamond(第6のダイアモンド)

第6のダイアモンドは、クレドを実践するために必要な考え方であり、5ダイアモンド(5つ星)を超える唯一無二の価値を生み出す方法を整理しています。

一般的な5つ星評価は設備やサービスの水準といった機能的な価値、そして顧客対応などの感情的なつながりを中心に評価されますが、第6のダイアモンドはそれを超えた「神秘性」が感じられるような感動体験を意味しています。

つまり、マニュアルでは再現できない震えるほどの感動を、現場のスタッフが主体的に生み出していくことが重要だとされているのです。

●神秘性
●感情的なつながり
●機能性

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

The Employee Promise(従業員への約束)

従業員への約束は、従業員への一方的な要求だけではなく、従業員への約束を示しています。

ここまで説明した内容は「会社から従業員に対する期待」を示すものですが、それだけでは一方通行になってしまいます。
そのため、リッツカールトンでは従業員もまた尊重されるべき存在であると位置付け、「会社から従業員への約束」として、成長機会や働きやすい環境を提供することを宣言しています。

このように、企業と従業員が相互に信頼関係を築くことで、スタッフが自発的に顧客へ価値を提供する文化が生まれ、結果として高いサービス品質が実現されています。

ザ・リッツ・カールトンでは、従業員一人ひとりが、お互いへの、そしてお客様へのサービス提供において最も重要な存在です。
信頼、誠実さ、尊敬、高潔さ、そして献身という原則を適用することで、私たちは個々の社員と会社双方の利益のために、才能を育成し、力を与えます。
ザ・リッツ・カールトンは、すべての人を尊重し、生活の質を高め、個々の願望を実現し、ザ・リッツ・カールトンの神秘性を強化する文化を育んでいます。

出所:同社HP「FOUNDATIONS OF OUR BRAND」より引用(弊社が和訳)

リッツカールトンの代表的な浸透施策5選

ここまでの説明で、リッツカールトンのゴールドスタンダードがいかに体系化されているかを感じ取れたはずです。
クレドが単なる絵空事ではなく、現場に落とし込まれるためにしっかりと仕組み化されていると言い換えてもよいでしょう。

しかし、こうした体系的な理念を整理したとしても、それだけでは不十分です。
クレドは掲げるだけでは意味がなく、社内に浸透させて人々の意識・行動を変えてこそ価値があります。

本章では、リッツカールトンで実践されている浸透施策を5つ見ていきましょう。
クレドを絵に描いた餅で終わらないためにも、浸透施策にこそ力を入れるべきです。

クレドカードの活用

リッツカールトンでは、クレドやサービスバリューなどを記載した「クレドカード」を全スタッフが常に携帯しています。

このカードには、ゴールドスタンダードがまとめられており、いつでも確認できる状態になっています。
日々の業務の中で迷ったときにも即座に立ち返ることができ、意思決定・行動の軸として機能してくれます。

単に理念を掲げるだけではなく、物理的に持ち歩かせることで、クレドを行動レベルにまで落とし込んでいる点が特徴と言えるでしょう。
リッツカールトンの代表的な浸透施策と言えます。

徹底したクレド発信

リッツカールトンでは、クレドを一度伝えて終わりにするのではなく、あらゆる場面で繰り返し発信しています。
会議や日常のコミュニケーションの中でもクレドに触れる機会を意図的に増やすことで、社員が自然とクレドを意識する環境をつくっています。

このように、接触回数を増やし続けることで、クレドは単なる言葉ではなく、組織の共通言語として根付きます。
すぐに効果が出るわけではないですが、根気強く取り組まなくてはなりません。

スタッフに2,000ドルを提供

リッツカールトンでは、スタッフ一人ひとりに一定の裁量を与えており、その象徴的な仕組みが「2,000ドルの権限」です。

これは、顧客満足のためであれば、上司の承認を得ることなく最大2,000ドルまで自由に使えるという制度です。
現場で発生するさまざまな状況に対して、その場で社員が判断して迅速に対応できるように設計されています。

この制度により、スタッフはマニュアルに縛られることなく、自ら考えた最適な行動を取ることができます。
結果として、顧客の期待を超える体験が生まれやすくなり、リッツカールトンならではの高いサービス品質が実現されています。

デイリーミーティングの実施

リッツカールトンでは、毎日のデイリーミーティングを通じてクレドの浸透を図っています。

このミーティングでは、クレドの読み合わせだけでなく、実際のサービス事例の共有や振り返りが行われています。
社員目線に立つと、具体的なエピソードを通じて、クレドがどのように現場で実践されているのかを理解することが可能です。

日々繰り返し実施することで、クレドが実際の行動に結びついたものとして定着していきます。
この積み重ねが、スタッフ一人ひとりの判断力とサービス品質を底上げしていると言えるでしょう。

評価制度への組み込み

リッツカールトンでは、クレドに沿った行動が評価制度にも組み込まれています。

単に成果や売上といった結果だけでなく、どのような姿勢で業務に取り組んだか、クレドをどれだけ体現できているかが評価対象となります。
これにより、社員は日常の行動の中で常にクレドを意識するようになります。

評価制度とクレドが連動していることで、理念と実務の間にズレが生まれにくくなります。
結果として、組織全体として価値観が統一され、持続的に高いサービス品質を維持できる仕組みが構築されます。

リッツカールトンのクレド実践エピソード5選

ここまで見てきた通り、リッツカールトンではクレドを単なる理念として掲げるのではなく、現場で実践される仕組みとして徹底的に落とし込んでいます。

その結果として生まれているのが、顧客の期待を超える数々のサービスです。
本章では、実際に知られている代表的なエピソードを通じて、クレドがどのように現場で機能しているのかを見ていきましょう。

これらの事例は特別な人材や偶然によるものではなく、クレドという仕組みによって再現されている点にこそ価値があります。

ぬいぐるみでワクワクを演出

ある家族が宿泊した際、子どもが大切にしていたぬいぐるみをホテルに忘れてしまいました。

連絡を受けたスタッフはすぐにぬいぐるみを探し出し、ただ返送するのではなく、プールサイドでくつろいでいる様子や、スパで過ごしている様子などを写真に収めました。そして、写真とともにぬいぐるみを返送したのです。

この対応により、子どもはぬいぐるみが楽しく過ごしていたと感じ、大きな喜びを得たのは言うまでもありません。
クレドに基づき、「言葉にならないニーズ」を満たした代表的な事例です。

アレルギー対応の特別メニュー

ある顧客が重度のアレルギーを持っていたため、レストランで食事ができるか不安を抱えていました。

これに対し、シェフとサービススタッフが連携し、既存メニューにとらわれず、その顧客専用の料理を一から設計しました。調理工程や食材の管理にも細心の注意を払い、安心して食事を楽しめる環境を提供しています。

単に既存の枠組み内で要望に応えるのではなく、「不安を取り除く」という本質的なニーズに応えて行動した点が、リッツカールトンらしい対応と言えるでしょう。

雨に濡れないようにする工夫

突然の雨が降り出した際、エントランスのスタッフは屋内で待機するのではなく、自ら外に出て、到着する車のドアが開くタイミングに合わせて傘を差し出しました。

さらに、単に傘を渡すのではなく、車から建物内まで濡れないように寄り添いながら誘導し、手荷物がある場合には濡れないよう別のスタッフがサポートに入ることもあります。

このように、顧客が「困る前」に能動的に行動し、複数人で連携して体験全体を設計している点が特徴です。
クレドに基づき、マニュアルではなく、その場で最適な動きを判断しているからこそ実現できる対応です。

言葉が通じなくても誠実に

言語が通じない外国人顧客がチェックインに訪れた際、スタッフは無理にマニュアル通りの言葉で説明するのではなく、身振りや表情、指差しを使って丁寧に案内しました。

例えば、客室までの案内では実際に歩いて見せながら説明し、館内施設についてもパンフレットに丸を付けて視覚的に伝えるなど、その場で独自の工夫を加えています。

さらに、顧客の表情や反応を細かく観察し、不安そうな様子があれば繰り返し確認するなど、安心感を重視した対応が取られています。
マニュアル通りの言葉を使うのではなく、「理解させること」を優先する姿勢に、クレドの本質が表れています。

フライト遅延への対応

深夜にフライト遅延で到着した顧客に対しては、スタッフは通常のチェックイン対応にとどまらず、疲労を考慮した特別な配慮を行うこともあります。

到着時間に合わせて軽食と温かい飲み物を事前に用意し、チェックイン手続きも簡略化することで、できるだけ早く客室で休めるようにするといった具合です。
さらに、翌日の予定に影響が出ないよう、レイトチェックアウトや朝食時間の調整なども柔軟に提案することもあるようです。

単に「遅れた顧客にネガティブな対応をする」のではなく、「顧客体験全体を最適化させる」という発想で行動している点が、リッツカールトンならではの対応です。

事例から学ぶ成功のポイント

ここまで見てきた通り、リッツカールトンのサービスは、個人のホスピタリティや偶然によって生まれているものではありません。

クレドを中心とした理念体系と、それを現場に浸透させる仕組みが組み合わさることで、誰が対応しても高い品質を再現できる状態がつくられているわけです。
重要なのは「綺麗な言葉を飾ること」ではなく、「現場で実践できる状態をつくること」でしかありません。

ここからは、ここまで説明したリッツカールトンの事例を踏まえて、自社でクレドを活用するためのポイントを整理していきます。
本記事の集大成として、必ず身につけておくべき内容です。しっかりと読み込んで理解していきましょう。

なお、クレドの作り方や浸透施策などを含め、クレドについて体系的に理解したい方はこちらの記事をご覧ください。

クレドだけを作ってはいけない

クレドを作成すること自体は、それほど難しいことではありません。

しかし、多くの企業が陥るのは、クレドだけを作って満足してしまうという状態です。
言葉としては美しくても現場で活用されなければ意味はなく、社内にあるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)といった概念との関係性が整理されなければ混乱が生じてしまいます。

リッツカールトンが優れているのは、クレドを単体で存在させるのではなく、ゴールドスタンダードという形で体系化したうえで、具体的な行動や制度と結びつけている点です。
クレド作成は単体作業ではなく、関連する概念と整合させ、上手く仕組みを構築することにこそが重要です。

クレドは浸透させてこそ価値がある

クレドは掲げるだけでは意味がなく、組織に浸透して初めて機能します。

リッツカールトンでは、クレドカードの携帯、デイリーミーティング、評価制度などを通じて、日常業務の中で繰り返し触れる仕組みを構築しています。
こうした取り組みにより、スタッフは自然とクレドを意識するようになり、無意識のうちに行動へと反映されていきます。

クレドは一度伝えただけで浸透することはなく、継続的に発信し続けることが不可欠です。
時間をかけて文化として定着させることが、クレド浸透の鍵となります。

クレドに正解はない

クレドの内容に唯一の正解はありません。

企業の事業内容や組織文化、目指す方向性によって、最適なクレドは大きく異なります。
リッツカールトンのクレドはあくまで一つの成功事例であり、そのまま模倣すればうまくいくわけではありません。

重要なのは、何を目的としてクレドを作成し、クレドを浸透させるためにはどのような理念体系が最適かを考えることです。
クレドだけ、あるいはクレドと他概念のセットなど、どのような考え方であれば目的を達成できるのかを逆算することが大切です。

まとめ|リッツカールトンのクレドから学ぼう

リッツカールトンの事例から分かるのは、クレドは理想論ではなく、本気で取り組むことができれば組織の行動を変える強力な仕組みになるという点です。

クレドを中心に据え、それを具体的な行動や制度に落とし込み、日々の業務の中で繰り返し実践することで、組織全体に一貫した価値観が浸透していきます。
そして、その積み重ねこそが、顧客の期待を超える体験を生み出し、企業としての競争力を高めることにつながります。

ぜひ本記事の内容を参考に、自社に合ったクレドのあり方を考え、組織の成長につなげてみてください。
正しく活用することができれば、クレドはあなたの会社を大きく前進させることができるはずです。

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