事業を始めようとしたとき、あるいは今ある事業をもっと大きくしたいと考えたときに、必ずと言っていいほど必要になるのが「事業計画書」です。
しかし多くの人が立ち止まってしまいます。書き方が分からない、テンプレートを見てもイメージが湧かない、記入例を見ても自分の事業に当てはめられない。このような悩みは特別なことではなく、ほとんどの創業者や事業運営者が通る道です。
事業計画書とは、事業内容について整理した書類であり、市場・競合分析や分析結果に基づく自社戦略について詳細に記載する必要があります。しかしながら、決まりきった記載ルールはありません。極端な話、自分や第三者にとって刺さる内容であれば何でもいいということです。
本記事では、初めて事業計画書を作成する方、一度挫折したけど事業計画書の作成に再チャレンジする方を対象に、創業・事業成長向けの機能をオールインワンで提供している、わたしたち「Business Jungle」を参考に、絶対に刺さる事業計画書の書き方と記入例を徹底解説しています!
本記事で作成できる事業計画書のサンプル
ちなみに、Business Jungleと一緒に事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
表紙
まず、事業計画書において表紙は外すことができません。
表紙に記載することは、自社名やタイトルが代表的であり、それだけ考えるとあまり意味のないページに思えてしまうかもしれません。
しかし、表紙の価値とはズバリ「第一印象で相手の心をつかむこと」です。表紙のデザインに惹き付けられないと、誰も読みたいと思ってくれません。反対に、表紙のデザインが充実していてワクワクするような内容であれば、相手は勝手に興味を持ってくれます。
たかが表紙と侮ることなかれ。表紙をおろそかにしてしまうと、誰も次のページを開いてくれません。

目次
事業計画書、特に10ページ以上にわたる事業計画書は、目次も欠かすことができません。
目次は読み手に対して、地図のような役割を果たしてくれます。目次がなければ、「この資料はどれくらいのボリュームなんだ」「どのような視点で各ページを見ればいいんだ」といった疑問、つまりストレスを与えてしまいます。こうした小さなストレスが、積もり積もってイケていない事業計画書に繋がってしまうわけです。
5ページから10ページ未満の事業計画書については、状況や読み手の好み(まずは全体感を把握したい人か、個別に1つずつの情報を積み上げてほしい人か)に応じて、目次を入れるかどうかを考えましょう。
5ページ未満の場合は、情報量が少ないにも関わらず目次があると違和感が生じてしまうため、盛り込むことは避けておきましょう。

エグゼクティブサマリ
忘れがちですが、エグゼクティブサマリも追加しておくと、読み手はもちろん自分にとってもさまざまなメリットがあります。
まず読み手にとっては、事業計画書全体のストーリーを最初に提示することで、その後の資料理解が格段に楽になります。通常であれば、ページを1枚1枚めくり、内容をしっかりと理解し、そして最終ページまで行かないとストーリーをつかむことができません。しかしながら、エグゼクティブサマリでストーリーを最初に理解しておけば、残りのページはストーリーと照らして簡単に理解することができます。
さらに、エグゼクティブサマリは自分にとっても大きなメリットがあります。エグゼクティブサマリがあることで、「この事業計画書で何を伝えたいのか」を自分自身が見失うことがありません。よくある失敗が、とにかくたくさんのページを詰め込んで、結局何が言いたいのか分からない資料が完成するパターンです。この失敗を、エグゼクティブサマリをつくることで避けることができるのです。
読み手のためにも、自分のためにも、エグゼクティブサマリは絶対に欠かせないページです。なお、エグゼクティブサマリは視認性を最重視して、下手にデザインを工夫するよりも、シンプルに箇条書きの文章で表現することをおすすめします。

目指す姿
これは多くの事業計画書で考慮されていない内容ですが、「目指す姿」を表現しておくと、事業計画書の品質が格段に向上します。
あなたが事業計画書を作成する理由は、事業を成功させるためです。そして、事業を成功させたいと考えている理由は、事業を通して何かしらのゴールを実現するためです。このゴールは、単純にお金儲けをするため、あるいは社会に何かしらのインパクトを与えたいためだと思いますが、それを本ページで表現します。
事業のゴールを先に提示しておくことで、読み手は「ゴールを達成するために必要十分な事業計画書になっているか」という発想で資料を読み解くことができ、事業計画書が非常に読みやすくなります。
また、単純な話ではありますが、大きな絵を描いている事業のほうが、より一層ワクワクするはずです。これもまた、読み手を惹き付け、応援してもらうための要素として機能してくれます。

市場分析(1/2):業界の規模・成長性
ここまでは事業計画書のお作法や、事業計画書の全体感に関するページでしたが、ここから一気に具体的な計画内容に入っていきます。
まず、絶対にやらなくてはいけないことは、市場を業界の規模・成長性という観点で分析すること。なぜなら、あなたの事業の規模が極めて小さく、かつ市場も縮小傾向であるのであれば、将来的に上手くいかない可能性が高く、読み手もこの観点で問題がないかをチェックしたいと考えているためです。
業界の規模・成長性を知る方法は簡単で、インターネットで「〇〇業界 市場規模」などと検索すれば大体はヒットするはずです。一方、もし検索しても出てこない場合は、自分で試算するという手段も大歓迎です。〇〇業界の市場規模=日本の人口×〇〇製品の使用率×〇〇製品の年間平均購入数×〇〇製品の価格、といった具合です。
ぜひ読み手に対して、自分の事業の規模が大きく、今後も成長していくことを示してあげてください。

市場分析(2/2):顧客の抱える課題
市場分析は、業界の規模・成長性だけで捉えてはいけません。それだけでなく、実際に商品・サービスを利用する顧客に対しても目を向ける必要があります。
あなたの事業がターゲットにしたいと考えている顧客はどのような属性を持つでしょうか。そして、一言で顧客といっても、具体的にどのような課題を抱えているのでしょうか。
市場分析では、こうした顧客像をできる限り具体化しておくことも忘れてはいけません。男性や女性といった粗い顧客像では、本当に刺さる事業内容に仕上げることはできません。例えば「〇〇に悩んでいて、〇〇をしたいと考えている30代の男性。特に地方出身者」といったように、できる限り解像度高くターゲットを見極めておくことが重要です。
可能であれば、インターネット調査やアンケート調査を通して、そうしたターゲットがあなたの妄想ではなく、定量的に裏付けられていることも示せると、なお一層良い市場分析にすることができます。

競合分析(1/2):競合の一覧
さて、市場分析が終わった後は、競合分析の時間です。
競合分析では、まずは競合を一覧化したうえで、各企業にどのような特徴があるのかといった傾向を見極めることが重要です。例えば、地域や提供機能、対象者やサービス概要など、同じような競合に見えても、構造的に整理していくことでかなり大きな違いがあることが分かります。
よくある間違いとして、何も考えずにとにかく競合を羅列するようなケースが散見されますが、それではダメです。まず、「競合は〇〇のような状態になっているから、自社はこうした切り口で勝負できるのではないか」といった仮説を持ち、その仮説を検証できるような競合に絞ってピックアップしていくことが重要です。そうしなければ、際限ない競合収集の罠にはまり、最終的に競合が集まったけど何が言えるのか分からなくなってしまいます。
仮説を持ち、それを裏付けるための情報収集を心掛けてください。

競合分析(2/2):競合のポジショニング
競合を一覧化して全体像を把握できたら、次はポジショニング分析です。
これは競合分析において非常によく利用される手法であり、競合の状況を踏まえて自社の立ち位置、つまりどのような領域で勝負を仕掛けていくかを見極めるために使用します。
基本的には、市場における競合の競争状況を適切に表現でき、かつ自社の強みが際立つような2軸を取り、その2軸上で競合や自社をマッピングすることになります。
こうすることで、競争が激しい領域を避けつつ、反対に競争が穏やかな領域を特定することができます。大小問わずさまざまな競合が争っている領域ではなく、競合が少ない空白地帯で事業を営むことこそが差別化に繋がり、ひいては事業の成功に直結します。

自社戦略(1/4):Product(商品・サービス)
ここまで長くにわたって、市場と競合について分析してきました。ここからはやっと、分析結果に基づいて自社の戦略について検討していくことになります。
まずは何といっても、Product(商品・サービス)を決めなくてはいけません。市場の規模が大きく、かつ成長性も十分あるような事業は何でしょうか。そして、競合に負けずに、自社の強みを十二分に発揮できるような事業は何でしょうか。これらを踏まえて、あなたがやりたい/やるべきと考える事業を整理し、商品・サービスとして落とし込みましょう。
価格や販売方法、販促方法については別途個別に考えていきますので、まずは商品・サービス、言い換えれば提供する価値に絞って考えることが重要です。いろいろな観点を複数同時に考えてしまうと、ブレブレな事業内容になってしまうためです。

自社戦略(2/4):Price(価格)
商品・サービスについて検討できたら、次はそれらをいくらで提供するかというPrice(価格)を検討する必要があります。
価格の決め方は3つあり、①商品・サービスの原価を踏まえて決定する方法、②競合の価格を踏まえて決定する方法、③商品・サービスが本来的に持つ価値から逆算して決定する方法です。
まずは商品・サービスの原価以上の価格に設定しなければ採算が合いません。そのうえで、競合よりも優位な価格(競合よりも低い価格か、あるいは思い切り高く設定してプレミア感を演出するか)になるように調整します。また、現状世の中に存在しないような商品・サービスであれば、難しくはありますが「この商品・サービスに対して顧客はどれほどの対価を支払うか」を調査・分析し、独自価格を設定してもよいでしょう。
価格に正解はありませんが、このような観点で検討していくことにより、論理的に最も答えに近いであろう価格を見つけることができます。ぜひチャレンジしてみてください。

自社戦略(3/4):Place(販売方法)
次の観点はPlace(販売方法)であり、どのようにして商品・サービスを販売するかを検討します。
これは、特に実店舗を持つ事業においては極めて重要な位置付けとなり、どのような立地にどれくらいの規模の店舗を、どれくらいの賃料で保有すべきかが、最終的な事業の収支を大きく左右します。
また、実店舗を持たない事業においても軽んじることはできません。ホームページを経由してオンラインで商品・サービスを提供するといっても、顧客とのコミュニケーション手段やホームページの構成など、考えることは山積みです。
なぜそのような方法で商品・サービスを提供するのかという問いに、スムーズに応えられるレベルになるまで、Place(販売方法)の検討は終わりません。

自社戦略(4/4):Promotion(販促方法)
自社戦略の最後はPromotion(販促方法)です。つまり、販売促進の方法であり、どのようにして集客するかという手段を検討することを指します。
既に事業に取り組んだことがある方なら分かると思いますが、自分が想定しているよりも、顧客獲得というものは非常に大変です。有料広告を使用したからといって、費用対効果がプラスで終わることの方が少ないでしょう。
このような中で、口コミを呼ぶための仕掛けや、コラムなどを通じたホームページへの自然流入、あるいは他社とのパートナーシップの締結など、あなたの事業に顧客を呼び込むための方法を徹底的に検討しましょう。
どんなに良い商品・サービスでも、認知されなければ利用されることはありません。スムーズな収益獲得・拡大のためにも、Promotion(販促方法)に妥協は一切許されません。

活動計画
さあ、自社戦略の検討も終わりました。後は、事業内容をより一層補強するだけです。
まず取り組まなくてはいけないのは、活動計画の策定。事業を展開していく際のステップをいくつかに分解し、5年~10年程度のスパンで何を・どのように行っていくかを表現します。
事業計画書の冒頭で目指す姿について語りましたが、その姿は一気に実現できるわけではありません。事業を取り巻く状況は日々変化し続けており、ゆえにその変化を段階的に捉えることで地に足の着いた事業展開が可能となります。
活動におけるフェーズ設定や取組期間、その期間におけるゴールなどは必要最低限のものとして、それ以外にもあなたの事業を発展させ、目指す姿を実現するための計画を具体的に整理しましょう。

財務計画(1/2):数値推移
最後に表現すべきは財務計画です。売上や当期純利益など、事業の成否を表現する数値を、5年~10年程度の時系列で整理しましょう。
やはり人間は、定性的な情報よりも、定量的な情報に対して納得感を得ます。そして、あなたがやろうとしている事業がどれほどのスケールであり、評価するに値するかは企業の成績である財務計画を通してしか判断できません。
グラフを活用し、一目であなたの事業の成績を表現してみてください。

財務計画(2/2):数値根拠
「数値推移」では最終的な結果のみを提示しましたが、その裏にある算出根拠のほうが重要と言えるかもしれません。根拠があればあるほど、人はその内容を信用し、そして計画の実現性も高くなっていきます。
損益計算書に登場するような項目を並べ、それらの時系列での変化を整理し、そして何よりも算出根拠をしっかりと記述してください。
パワーポイントなどの資料で表現することも一案ですが、その裏にはエクセルを準備しておき、いつでも各種数値を調整できるようにしておくことが重要です。特に、記載される数字については、関数で算出されるものを黒文字、直接入力したものを青文字にしておき、青文字の数値(前提条件)を変更するだけで、あらゆる試算が自動で行われるようできると完璧です。
これは、外資系戦略コンサルティング会社やファンドなどで、絶対に守るべきルールとして伝わっているものです。わたしたちのサービス(プレミアムプラン)で作成可能なエクセルのサンプルもご用意しましたので、ぜひ参考にして作成してみてください。



裏表紙
裏表紙は絶対に必要というわけではありませんが、あったほうがスマートに見え、資料の終わりを暗に示してくれる効果があります。
ロゴやメッセージを記述し、シンプルに仕上げておきましょう。もし資料だけを誰かに送付すること、資料を介して連絡してもらうことを望んでいるのであれば、連絡先情報も記述しておくとよいでしょう。

まとめ|最高の事業計画書を手に入れよう!
ここまでの非常に長い文章で頭が混乱しているかもしれませんが、まずはお疲れさまでした!
事業計画書は作成して終わりではありません。あくまでも計画でしかないため、実行に移すことが何よりも重要です。そのうえで、実行するなかで計画と異なる状況に陥ることはまったく珍しくありません。そのような状況になったとき、慌てるのではなく事業計画書を日々修正して、軌道修正を図りながら事業の成功に向かって全力で突き進んでいく必要があります。
ここまでしっかりと読み、理解することができたのであれば、最高の事業計画書はもうすぐ目の前にあります。ぜひ本記事を参考にして、最高の事業計画書を作成してください!
そして、最後に一言だけ!
Business Jungleと一緒に事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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