事業計画を作成しようとすると、多くの方が最初につまずくのが数字の部分です。
事業アイデアやサービス内容は説明できても、売上・費用・利益についてどのように数字に落とし込めばよいのか分からないという声は少なくありません。
そこで重要になるのが、事業計画における財務モデルです。
財務モデルは、単なる数字の一覧ではなく、事業がどのようにお金を生み、どのように成長していくのかを整理するための設計図のような役割を持ちます。
本コラムでは、事業計画の財務モデルとは何かという基本から、初心者でも取り組める作り方、具体的な構成要素、作成時の注意点までを、テンプレートもご紹介しながら解説します。
これから事業計画を作成する方、融資や資金調達を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業計画書作成や事業戦略立案に関する豊富な経験を有する。
事業計画の財務モデルとは
事業計画の財務モデルとは、Excelなどの表計算ソフトを用いて、数年分の財務計画を自動的に試算できるよう設計した数値モデルのことです。
売上や費用、利益を構成する要素を分解して一覧化し、各要素の数値を入力することで、将来の利益や税金、最終的な収支の見通しを一括して確認できる仕組みになっています。
単に数年分の財務計画を立てるのではなく、事業の成長や変化に合わせて前提条件を自由に変更・再計算できる点が特徴です。
例えば、売上単価や数量、固定費の増減などを変更すると、売上や費用、利益が自動的に再計算されるため、さまざまなシナリオを検証することができます。

なぜ事業計画に財務モデルが必要なのか
事業計画に財務モデルが必要とされる最大の理由は、事業の成り立ちや将来性を、感覚ではなく数字で説明するためです。
どれほど魅力的な事業アイデアであっても、売上や費用、利益の構造が整理されていなければ、事業として成立するかどうかを判断することはできません。
財務モデルを作成することで、売上がどのように積み上がり、どのタイミングで費用が発生し、最終的にどれくらいの利益が残るのかを事業開始前後で確認できます。
その結果、事業が始まる前でも黒字化するまでの期間や、無理のない成長ペースを把握することができます。事業開始後も、実績と計画を比較することで、早い段階で軌道修正を行うことが可能になるでしょう。
また、銀行や投資家などの第三者に対して事業計画を説明する際にも、財務モデルは欠かせません。
資金を提供する側が知りたいのは、事業内容そのもの以上に、その事業が継続的に収益を生み、返済やリターンを生み出せるかどうかです。
根拠のある数値で整理された財務モデルがあることで、事業の実現性や計画の妥当性を客観的に伝えることができます。
このように、事業計画における財務モデルは、事業を始める前だけでなく、事業を継続・成長させていくための拠り所としても重要な役割を果たします。
事業の可能性を正しく見極め、現実的な計画を立てるために、財務モデルは欠かせない存在といえるでしょう。

事業計画の財務モデルの作り方
財務モデルは、思いつきで数字を入力していくのではなく、段階的に事業の構造を整理していく作業です。
そのため、いきなり細かい金額を入力するのではなく、①まずは財務モデル全体の構成を決めたうえで、②抜け漏れがないように数値・算出根拠を埋め、③最後に算出結果を踏まえて数値を調整していくことが大切です。
全体像を押さえたうえで段階的に作成することで、無理のない財務モデルに仕上げることができ、手戻りも減らすことができます。
それでは、①から③の各ステップについて見ていきましょう。
①全体構成を決める
最初に行うべきは、財務モデルの全体構成を決めることです。構成が固まることで、その後の数値入力や修正がスムーズになります。
まずは各列のタイトルとして「分類」「項目」「単位」「年数(5年~10年程度)」「算出根拠」などを埋めていきましょう。
そして、「分類」や「項目」の列には、売上から始まり、費用、利益、税金、当期純利益などをどの順番で整理するかを明確にします。
この段階では、記載内容の抜け漏れがないかを確認することが重要です。特に、売上であれば客単価×客数、費用であれば給与手当・広告宣伝費・賃料など、どこまで細かく正確に分解できるかが、最終的な試算結果の妥当性を左右します。
②数値・算出根拠を埋める
構成が決まったら、各項目に具体的な数値を入力していきます。数値は、感覚値ではなく、可能な限り統計情報などの信頼できるデータを使用しましょう。
また、このとき必ず意識したいのが算出根拠の明記です。算出根拠が整理されていることで、後から見直す際や第三者に説明する際の説得力が高まります。
これが結果として、財務モデルの品質や運用性を劇的に向上させますので、面倒に思わずに全力で取り組んでください。
③最終的な算出結果を踏まえて再試算・最終化する
すべての数値を入力したら、算出結果を全体で確認します。
利益が過度に大きくなっていないか、赤字が長期間続いていないかなど、現実的な計画になっているかを検証します。
必要に応じて前提条件を見直し、再試算を行いながら調整しましょう。この工程を繰り返すことで、実行可能性の高い財務モデルへと仕上げることができます。

財務モデルの基本構成要素
それでは、実際に財務モデルを作成する際は、どのような内容を埋めていく必要があるのでしょうか。
ここでは、財務モデルに並ぶ主要な項目をまとめていきます。
多くの項目はどのような事業でも登場する定型的な項目ですが、売上・売上原価・販管費といった項目は自分自身で検討・細分化する必要があるため、特に注意して埋める必要があります。
それでは、詳しく見ていきましょう。
売上【重要】
売上は事業活動によって得られる収入の合計であり、財務モデルの内容を大きく左右します。
単に「売上」として計上してしまうと計算が大雑把になってしまうため、絶対に避けましょう。「売上」を構成する「〇〇事業」、そして「〇〇事業」を構成する単価・販売数量・稼働率などにまで分解し、論理的に試算可能な粒度で試算することが重要です。
売上設定の妥当性次第で、財務モデル全体の妥当性が決まります。全力で取り組むようにしてください。

売上原価【重要】
売上原価は、売上を生み出すために直接発生する費用です。事業ごとに登場する項目が大きく異なるため、項目を漏れなく洗い出せているかが重要です。
例えば、商品の仕入費、製造にかかる材料費・人件費、外注先への支払費用、商品加工費、仕入時の送料、業務委託費、販売用コンテンツの制作費などが該当しますが、サービス業の場合は項目数・割合ともに小さくなるでしょう。
いずれも売上が発生しなければ生じない費用である点が共通しており、売上との因果関係を意識して整理し、原価率が業界平均などと比較して適切かどうかも併せて確認する必要があります。

売上総利益
売上総利益は、売上から売上原価を差し引いた金額です。
「商品・サービスの稼ぐ力」を示す重要な指標であり、価格設定や原価構造に無理がないかを判断する基準になります。

販売費及び一般管理費(販管費)【重要】
販管費は事業運営に必要な間接的な費用であり、売上原価と同様、事業ごとに登場する項目が大きく異なるため、しっかりと洗い出すようにしましょう。
例えば、製造などに直接関わらない従業員の人件費、事務所や店舗の家賃、広告宣伝費、通信費、水道光熱費、消耗品費、システム利用料、支払手数料、交通費、接待交際費、保険料などが含まれます。

営業利益
営業利益は、売上総利益から販管費を差し引いた金額です。
「本業の稼ぐ力」を示す指標で、金融機関や投資家が特に重視するポイントの1つです。

営業外収益または営業外費用
営業外収益・費用は、本業以外で発生する収益や支出です。
営業外収益の例としては、受取利息、受取配当金、補助金収入、助成金収入、為替差益などが挙げられます。一方、営業外費用には、支払利息、借入金に係る手数料、為替差損、雑損失などが含まれます。

経常利益
経常利益は、営業利益に営業外収益・費用を加味した利益です。
「本業以外も含めた稼ぐ力」を示す指標であり、営業利益と同様に重要な数値です。

特別利益または特別損失
特別利益・特別損失は、一時的かつ例外的に発生する収益や損失です。
特別利益の例としては、固定資産の売却益、保有株式の売却益、保険解約返戻金、災害補償金、補助金の臨時収入などが挙げられます。一方、特別損失には、固定資産の売却損や除却損、減損損失、災害による損失、訴訟関連費用などが含まれます。

税引前当期純利益
税引前当期純利益は、税金を計算する前段階の利益です。
ここまでで、事業活動全体による成果が一通り、数値として整理されます。

法人税、住民税及び事業税
法人税、住民税及び事業税は、税引前当期純利益をもとに算出される税金です。
国や地方自治体によって設定されている税率などの前提条件を財務モデルに組み込んでおくことで、各種前提の変更時にも再試算が容易になります。

当期純利益
当期純利益は、すべての費用と税金を差し引いた後に最終的に残る利益です。
事業の成果、返済原資や将来投資の余力を判断するうえで、事業計画の中核となる数値です。

事業計画の財務モデルを作成する際の2つの注意点
ここまでで、事業計画における財務モデルの作り方はご理解いただけたと思います。
しかし、実際に作成する際は気を付けるべきポイントが2つありますので、ご紹介しておきましょう。
誰が見ても理解でき、1度限りの作成ではなく継続運用にも耐えられる内容に仕上げることが重要です。ぜひ、財務モデルを作成する際は念頭においてください。
誰が見ても理解できる算出根拠を記載する
財務モデルでは、各数値についてなぜその金額になるのかが分かる算出根拠を「必ず」「詳しく」整理します。算出根拠が曖昧なままでは、第三者に説明できず、計画全体の信頼性も低下してしまいます。
事業計画の財務モデルを作成したばかりの頃は、自分の頭にも算出根拠が残っているかもしれませんが、時間が経てば忘れてしまいます。長期的に見ると算出根拠を書いていたほうが絶対に利点が大きいため、面倒に思わずに取り組むようにしてください。
直接入力(青文字)・関数計算(黒文字)のセルを分類する
財務モデルでは、前提条件として直接入力する数値と、計算式によって自動算出される数値を明確に分けて管理することが重要です。
直接入力セルは青文字、関数計算セルは黒文字などの色分けなどで区別しておくことで、前提条件を変えたい際にどこを修正すれば結果が変わるのかが一目で分かります。この場合、黒文字は一切手を加えず、青文字さえ修正すればいいといった具合です。
戦略コンサルティング会社やファンド会社などでもルール化されている、信頼できる運用ルールであるため、遵守するようにしましょう。

事業計画の財務モデルを自分で作るなら|テンプレート付
事業計画の財務モデルについて、しっかりと解説させていただきました。
しかしながら、いざ自分で最初からすべてを設計しようとしても、きっと迷ってしまうでしょう。そこで有効なのが、あらかじめ基本構成や計算式のサンプルが整ったテンプレートを活用する方法です。
テンプレートを使えば、記載されている内容を削除・追加し、項目や数値を順に埋めていくだけで、オリジナルの財務計画を作成できます。
こちらに冒頭からご紹介している財務計画のテンプレートをご用意させていただきましたので、ぜひご活用くださいませ。
事業計画の財務モデルをプロに依頼するなら
事業内容が複雑な場合や、銀行融資や投資家への説明を強く意識する場合は、プロに依頼する選択肢も有効です。第三者の視点で財務モデルを設計することで、数字の矛盾や見落としを防ぎ、説得力のある高品質な事業計画に仕上げることができます。
わたしたちBusiness Jungleでは、事業内容の整理から財務モデルの設計、資金調達を見据えた数字構成まで、一貫してサポートしています。単なる数字作成にとどまらず、事業の方向性や成長ストーリーが伝わる財務モデルを重視している点が特長です。
確度の高い事業計画を作成したい場合は、専門的な支援を活用することで、計画の完成度を一段高めることができます。
財務モデルのみの作成、事業計画書も含めた作成など、ご要望に応じて支援させていただきます。ご興味がある方は、ぜひBusiness Jungleにご連絡ください。
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まとめ
事業計画の財務モデルは、事業がどのように収益を生み、どのように成長していくのかを可視化するための重要な設計図です。
売上や費用、利益を分解し、算出根拠とともに整理することで、事業の実現性や継続性を判断できるようになります。
特に、売上・売上原価・販管費といった主要項目をどこまで具体的に分解・設計できるかが、財務モデル全体の精度を左右します。また、前提条件を容易に変更して再試算できる構成にしておくことで、汎用的に活用できるモデルになるでしょう。
初めて財務モデルを作成する場合は、テンプレートを活用しながら段階的に埋めていくことで、無理なく取り組んでください。
本コラムを参考に、自身の事業に合った財務モデルを設計し、納得感のある事業計画づくりに役立てていただければ幸いです。
そして、最後に一言だけ!
Business Jungleと一緒に財務モデルや事業計画書を作成したい方はぜひご連絡ください。刺さる財務モデル・事業計画書を9,800円から作成代行させていただきます!

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