資金調達を検討し始めたとき、多くの方が最初に直面するのが「ピッチ資料やプレゼン資料をどう作ればいいのか分からない」という壁です。
事業内容には自信があっても、投資家が何を基準に判断しているのかが見えず、資料作成の方法も手探りになってしまうケースは少なくありません。
本記事では、資金調達の場で実際に評価されやすいピッチ資料の考え方を整理し、基本構成や作り方、事例を交えながら分かりやすく解説します。これから投資家向けのピッチ資料を作成する方にとって役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や資料作成に関する豊富な経験を有する。
資金調達におけるピッチ資料とは
資金調達におけるピッチ資料とは、投資家に対して事業の内容・魅力を短時間で理解してもらい、出資の判断材料を提供するための資料です。
単なる会社紹介やサービス説明ではなく、市場における課題、その解決策、競合との違い、成長シナリオ、そして数字の裏付けまでを整理し、投資する意義がある事業かどうかを判断してもらう役割を持ちます。
おおよそ20ページ前後のPowerPoint資料で整理されることが多く、資料の品質が投資家の行動、ひいては事業の成功を大きく左右するため、全力で取り組む必要があります。

【事例で紹介】資金調達を成功させるピッチ資料の基本構成
ピッチ資料に決まった型はありませんが、資金調達を成功させるためには網羅しておくべき構成があります。
この章では、自治体向けビジネスコンテスト開催支援サービス「自治コン」の事例を参考にしながら、基本的な構成を見ていきましょう。
表紙
表紙は、ピッチ資料の印象を決める大切な要素です。
画像を使用してインパクトを演出する、あるいは文字だけで高級感を演出するなど、事業の雰囲気に合わせて作り込みましょう。

目次
プレゼンではなく、読むためにピッチ資料を活用するのであれば、目次を入れてもよいでしょう。
目次があることでピッチ資料全体の構成を一目で理解することができますが、これは投資家に特に好まれる心遣いです。

商品・サービス(課題の解決策)
ここからは本題として、商品・サービスの内容を説明します。
いきなり商品・サービスについて語ってもよいですし、まずは課題の説明からプレゼンを始めてもよいでしょう。

課題
商品・サービスの裏側にあるのが課題です。
課題があるからこそ商品・サービスが必要とされるため、課題が存在していること、そしてその解決が求められていることを統計情報などで裏付けましょう。

競合優位性
競合との競争に勝つことができなければ、事業を提供する価値はありません。
どのような競合がいて、自社がどのようなポジションを取ることによって勝ち筋を見出すのか、きちんと説明しましょう。

ビジネスモデル
事業とは、顧客に商品・サービスを提供することで、金銭的な対価を得るものです。
その仕組みを説明することで、投資家に対して事業がどのような構造で成立するのかを示しましょう。

収益計画
売上や費用、利益といった数字は、事業の成績と言い換えることができます。
財務的に成立しない事業は永続性がなく、投資家からも評価されないため、数値根拠とあわせて収益計画を提示しましょう。

目指す姿(ビジョン/ミッション/パーパス)
事業を通してどのようなゴールを目指すのかについても、言及しておくとよいでしょう。
目指す姿を示すことで、投資家は事業の価値、そして自身が得る金銭的リターンに希望を持つことができます。

補足
投資家向けのピッチ資料では、限られた時間・紙面で説明することが求められます。
そのため、各種数値の算出根拠など、説明する余裕はないものの本編で説明するまでもない情報は、補足としてまとめておくとよいでしょう。



裏表紙
ピッチ資料の最後には裏表紙が必須です。
伝えたいメッセージや、問い合わせを誘導するための連絡先情報などを記載したうえで、「ピッチ資料の終わり」を明示しましょう。

投資家に刺さるピッチ資料の追加スライド
ここまでで説明した内容が、多くのピッチ資料で使用されている基本構成です。
しかし、ピッチコンテストや企業によって、資料に盛り込むべき内容は異なるものであり、状況に応じて自分なりにアレンジすることが大切です。ここでは、追加で作成されることが多いスライドについてご紹介しておきます。
エグゼクティブサマリ
ピッチに参加する投資家は、とにかく時間がありません。
そのような方が短時間でピッチ資料の内容を理解できるよう、資料内容を1ページにまとめたサマリを用意してもよいでしょう。
調達資金額と用途
投資家目線に立つと、出資した資金がどのように使用されるのかは気になるところです。
資金調達を目的とするのであれば、いくら集めて、何に使うのかを明示しておくと、投資家も安心するはずです。
市場の規模・成長性
どれほど優れた事業であっても、市場が魅力的でなければ事業発展は見込めません。
市場の規模が十分であり、かつ将来的な成長を見込めることも説明しておくと、地に足の着いたピッチ資料であることが伝わります。
活動計画
目指す姿は、ゼロかイチで実現できるわけではありません。
目指す姿を実現するための段階的な活動計画を整理することで、事業計画の実現性をより強固なものにすることができます。
実績
収益や表彰経験、クライアント数など、実績としてアピールできるものがあれば記載しましょう。
ピッチ資料では投資家に信頼してもらうための情報を、積極的に記載しておくべきです。
チーム体制
スタートアップであればあるほど、チーム体制は事業の成果に直結します。
ピッチ資料に描かれた内容が机上の空論ではないことを、強力かつ信頼できるチーム体制を通じて表現しましょう。

投資家向けプレゼン資料で重視される3つのポイント
投資家向けにプレゼンする際は、デザインや話し方はもちろん、「投資判断に必要な情報が過不足なく整理されているか」が厳しく見られます。投資家は短時間で複数の案件を比較しているため、感覚だけで判断することはあり得ません。
ここでは、資金調達の現場で特に重視される3つの視点を整理し、どのような点を意識して資料を作成すべきかを解説します。
投資する意義のある事業か
投資家が最初に確認するのは、その事業に投資する合理的な理由があるかどうかです。
市場にどのような課題が存在し、その課題がどれほど深刻で、商品・サービスが本当に課題を解決できるのかが明確でなければ、事業の魅力は伝わりません。
「良いサービス」であるという思いではなく、「なぜ今、この事業に資金を投じる価値があるのか」を論理的に説明できるかが重要です。
数字と根拠が示されており納得できるか
資金調達の場では、アイデアや情熱だけで評価されることはありません。
市場規模、成長率、売上計画、収益構造など、重要な要素は必ず数字で示す必要があります。また、数字そのもの以上に、その数値をどのような前提で算出しているのかという根拠が重視されます。
誰が見ても納得できる数字設計になっているかが、信頼獲得の分かれ目になります。
ストーリーのある分かりやすい資料・説明か
どれほど優れた事業でも、情報が断片的では正しく評価されません。
課題の提示から解決策、競合との差別化、成長戦略、将来像までが一貫した流れで整理されていることが重要です。投資家が資料を追うだけで、事業の全体像と価値を自然に理解できる構成になっているかが問われます。
分かりやすいストーリー設計こそが、ピッチ資料の完成度を大きく左右します。

資金調達を成功させるピッチ資料の作り方
資金調達向けのピッチ資料は、情報を並べれば完成するものではありません。
投資家がどのような視点で事業を評価するのかを踏まえ、目的から逆算して設計することで、初めて刺さる資料になります。ここでは、具体的な作成手順を順番に整理します。
①ピッチ資料の作成目的を整理する
最初に行うべきは、誰に何を伝え、どのような判断をしてもらいたいのかを明確にすることです。
資金調達額やフェーズ、想定する投資家像によって、強調すべき内容は変わります。目的が定まることで、資料全体の軸がぶれなくなります。
②ピッチ資料の構成を作成する
目的が整理できたら、次に全体構成を設計します。
何をどの順番で伝えるかによって、理解のしやすさは大きく変わります。いきなりスライドを作るのではなく、まずは目次を整理し、各目次で伝えたいことを文章化することが重要です。
③ピッチ資料の文章を作成する
構成が固まったら、デザインは一切考慮せず、各スライドの文章から作成します。
長い説明文は避け、1スライド1メッセージを意識して簡潔にまとめましょう。投資家が短時間で要点を把握できるかを基準に、伝えたい内容を削ぎ落とす視点が欠かせません。
④ピッチ資料のデザインを作成する
文章が固まった後にデザインを整えることで、手戻りなく作業を進められます。
装飾に凝りすぎる必要はなく、伝えたい情報が直感的に分かることが重要です。視線の流れや余白を意識し、内容理解を助けるようなデザインを心がけましょう。
⑤ピッチ資料を見直して最終化する
完成後は、必ず第三者目線で全体を見直します。
ストーリーに飛びがないか、数字に矛盾がないか、初見でも理解できるかなどを確認しましょう。必要に応じて修正を行い、伝わり切る状態まで磨き込んでください。

資金調達を成功させるピッチ資料の事例
ここまでで、投資家向けのピッチ資料について、詳しく理解できたと思います。
本章ではピッチ資料の事例を3つご用意いたしました。いずれのピッチ資料も、資金調達を成功させるための要素がしっかりと詰まっています。内容をご覧いただき、より具体的な資料イメージをつかんでください。
投資家向けピッチ資料の事例1
まずは、ここまでご紹介した自治体向けのビジネスコンテスト開催サービス「自治コン」のピッチ資料を再掲します。
<投資家目線の評価ポイント>
・説明と図表の記載欄が左右で統一されていて視認性がよい
・ピッチの評価項目と各スライドとの対応関係が明示されている
・本編と補足というかたちで情報に濃淡を付けている
投資家向けピッチ資料の事例2
次は、スタートアップの創業・事業成長に必要な機能を提供する、わたしたち「Business Jungle」のピッチ資料です。
<投資家目線の評価ポイント>
・自社戦略が4P(商品・サービス、価格、販売方法、販促方法)で詳細説明されている
・財務計画が極めて細かく、根拠もしっかりと明示されている
・口頭説明がなくても、誰でも・同じように内容を理解できる
投資家向けピッチ資料の事例3
最後は、AIを活用した健康増進サービスを提供する「Wellbeing Lab」のピッチ資料です。
<投資家目線の評価ポイント>
・課題と解決策という直感的に分かりやすい流れになっている
・スタートアップとして実績やチーム体制を重視している
・資金調達額と使途を説明することで投資家に安心感を与えている
投資家からの評価を得るにはプレゼン練習も大切
どれほど完成度の高いピッチ資料を用意しても、プレゼンの伝え方次第で投資家からの評価は大きく変わることを忘れてはいけません。
投資家はスライドの内容そのものだけでなく、口頭説明の内容や言葉の選び方、話すスピード、表情、質疑応答への向き合い方を通じて、企業としての信頼を見極めています。
特に重要なのは、資料に書いてある内容をそのまま読み上げるのではなく、聴衆を惹き付けながら、自分の言葉で語れるかどうかです。そのためには、事前に何度も声に出して練習し、時間配分や要点を身体で覚えることが欠かせません。
ピッチ資料は完成して終わりではなく、プレゼン練習まで含めて初めて「投資家に刺さる資料」になると考えてください。

投資家向けのプレゼン資料は自作すべきか
投資家向けのプレゼン資料は、自作すべきか、それともプロに依頼すべきかで悩む方が非常に多いポイントです。そして、結論から言えば、どちらが正解かは目的によって変わります。
自作する場合は、事業理解が深まり、自社の課題や強みを整理できるという大きなメリットがあります。自分の言葉で資料を組み立てる過程そのものが、事業を磨く時間になるためです。
一方で、資金調達を本気で成功させたい場合は、資料作成に余程の自信がない限り、プロに依頼することをおすすめします。構成の甘さや数字の弱さ、投資家視点の不足は、それだけで機会損失につながりかねません。
「Business Jungle資料作成」では、単なる資料作成にとどまらず、事業の強みや成長ストーリーを投資家目線で再設計したうえで、説得力のあるピッチ資料に仕上げます。
自作で行き詰まりを感じている方や、資金調達の成功確率を本気で高めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
本記事では、投資家の観点から、資金調達を成功させるピッチ資料の概要、基本構成、追加スライド、作成手順、事例、そしてプレゼン練習の重要性までを網羅的に解説しました。
まずは型を理解し、評価されやすい構成を押さえたうえで、自社の事業フェーズや調達目的に合わせて調整していくことが、質の高いピッチ資料への近道です。
もし資料作成に不安がある場合や、より高い確度で資金調達を成功させたい場合は、第三者の視点を取り入れることも有効な選択肢でしょう。
本記事の内容を活用しながら、投資家に刺さるピッチ資料を完成させ、次の成長ステージへと進んでください。
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