本コラムをご覧になっている方の多くは、日本政策金融公庫の融資制度を活用して、居酒屋の創業を検討している方ではないでしょうか。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関であるため、実績がない方でも有利な条件で資金を調達することができます。しかしながら、融資において作成が必須となる「創業計画書」。この作成ハードルが非常に高く、困っている方も多いというのも事実です。
本コラムでは、そのような方を対象として、居酒屋の創業計画書について徹底解説させていただきます。記入例はもちろん、そのまま使用できるテンプレートまでご紹介しています。ぜひ最後までお読みいただき、あなたの夢を実現させてください!
なお、わたしたち「Business Jungle 創業計画書作成」と一緒に創業計画書を作成したい方は、いつもでご連絡ください。日本政策金融公庫の創業融資において、最も重要になる創業計画書を4,800円から作成代行させていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案や事業計画作成に関する豊富な経験を有する。
居酒屋の創業計画書のテンプレート
さっそくですが、居酒屋の創業計画書のテンプレートをご用意しておりますので、ぜひダウンロードください!
あくまでも「このように書けばいい」というイメージになりますので、自分自身で事業の特性に応じて、修正することが必要不可欠です。テンプレートを活用することで、創業計画書の検討スピードがかなり短く、かつ高品質になりますので、上手く活用いただくことをおすすめします。
日本政策金融公庫の創業計画書の概要
ここからは創業計画書の具体的な記入例について解説していきますが、まず大前提として創業計画書そのものについて、少しだけ理解しておきましょう。
創業計画書は、日本政策金融公庫で創業融資を申し込む際、新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を終えていない方は必須となる書類です。極めて重要な書類であり、創業計画書の品質が融資の成功を左右すると言っても過言ではありません。
そして、記載しなくてはいけないのは、①創業の動機、②経営者の略歴等、③取扱商品・サービス、④従業員、⑤取引先・取引関係等、⑥関連企業、⑦お借入の状況、⑧必要な資金と調達方法、⑨事業の見通し、⑩自由記述欄、の10項目であり、それぞれの項目に応じて押さえるべきポイントも異なっています。
次章からは、これらの10項目それぞれについて、細かく記入例を見ていきます。最初は理解することが難しいと感じるかもしれませんが、根気強く取り組んでいきましょう。最後まで読めば、創業計画書のイロハを理解できているはずです!

居酒屋の記入例① 創業の動機
居酒屋を開業したいと考える背景には、人とのつながりを大切にしたいという思いや、飲食の場が持つ温かさに魅力を感じてきた経験が深く関係している場合が多いです。創業の動機では、その想いが自然な言葉として伝わるように整理していきましょう。
学生時代や社会人として働く中で、仲間と食事を囲む時間の楽しさを強く感じてきたこと。お客様が笑顔で帰っていく姿に触れ、居酒屋という場所が人々の日常の疲れを癒やす役割を持っていると気づいたこと。地域に落ち着いて飲める店が少なく、自分ならもっと気軽に楽しめる場所をつくれるのではないかと思ったこと。こうした経験の積み重ねが創業のきっかけとして自然に伝わります。
さらに、料理や接客の勉強、人気店の視察、メニュー開発の試行錯誤など、開業に向けて取り組んできた行動は、計画の現実性を裏付けます。タイミングとしても、良い物件に出会った、家族の応援が得られた、地域のニーズを強く感じたなど、開業に踏み切る理由があれば動機に深みが出ます。

居酒屋の記入例② 経営者の略歴等
居酒屋は料理、接客、スピード、空間づくりなど、多くの力を必要とする業態であるため、経営者の略歴ではこれまでの経験がどのように役立つのかを自然な流れで伝えていきます。
居酒屋、飲食店、キッチン、ホールなどの業務経験があれば、接客スキル、簡単な調理技術、衛生管理、売上管理、スタッフ育成など、多くの経験を強みとして記載できます。特に居酒屋は回転率が重要であるため、ピークタイムの対応力や段取りの良さを身につけてきた経験があると説得力が生まれます。
飲食以外の経験でも、事務職での管理能力、サービス業での接客力、営業職で培ったコミュニケーション力など、居酒屋経営に必要となるスキルは数多く存在します。それらを無理なく結び付け、店づくりにどう活かしていくのかを丁寧に説明すると読みやすさが増します。
また、開業準備としてメニュー研究、接客方法の学習、資格取得、店舗視察など、自ら学び続けてきた姿勢を記載すると、誠実さと熱意が伝わる略歴になります。

居酒屋の記入例③ 取扱商品・サービス
居酒屋の取扱商品・サービスでは、料理やドリンクの特徴、店の雰囲気、提供価値など、店の個性を読み手が自然に想像できるように記載します。
看板メニューとして提供する料理の方向性。例えば、鮮魚や肉料理に特化しているのか、家庭的な料理を中心にしているのか、旬の食材を活かした構成にしているのかなど、コンセプトが伝わるようにまとめます。味付けの特徴、調理方法のこだわり、提供スピード、オペレーションの工夫なども重要な要素です。
また、居酒屋ではドリンクの構成が売上に大きく影響するため、生ビール、ハイボール、カクテル、日本酒、焼酎などの充実度や、仕入れへのこだわりも記載すると説得力が高まります。
さらに、お通しの内容、コース料理、宴会プラン、季節メニューなど、サービスの幅を説明することで、居酒屋としての運営イメージが具体的になります。店の雰囲気や客層に合わせたメニュー作りを意識していることが伝わる文章が理想です。

居酒屋の記入例④ 従業員
従業員の項目では、創業時に配置する人数だけを記載しますが、居酒屋では時間帯による忙しさの差が大きいため、現実的な人数計画が必要になります。
役員、家族従業員、パート・アルバイトなどの人数を整理し、人件費計画や営業時間との整合性が取れた内容にします。居酒屋はピークタイムの稼働が激しく、ホールとキッチンの連携が特に重要になるため、人数が少ない場合はメニュー構成を簡素化するなど、運営負荷を抑える工夫と併せて考えると良い計画になります。

居酒屋の記入例⑤ 取引先・取引関係等
居酒屋の仕入れは多岐にわたるため、どこから何を仕入れるのかを丁寧に整理します。食材はもちろん、酒類、調味料、消耗品など、数多くの取引が必要になります。
たとえば、鮮魚店、精肉業者、八百屋、調味料メーカー、酒類販売店など、それぞれの仕入れ先を分かりやすく整理すると、実務への理解が伝わります。品質、納品頻度、価格帯、安定性などの視点から選んでいることが伝わると素晴らしいです。
売上面では、現金、クレジットカード、QR決済など複数の入金手段があるため、入金サイクルの違いを踏まえたうえで検討すると、資金繰りへの意識が感じられます。居酒屋は食材・酒類の仕入れ費が大きく変動するため、価格変動リスクも念頭に置いておくようにしましょう。

居酒屋の記入例⑥ 関連企業
関連企業がある場合は、居酒屋の運営にどのように関わるのかを明確に説明します。
食品加工や総菜製造の事業があれば、仕込みを効率化できる可能性があります。農業や漁業関連の企業があれば、新鮮な食材を安定して仕入れることができます。デザイン会社やマーケティング関連の事業があれば、店舗のブランド構築やメニュー表の制作、SNS運用などを強化できます。
逆に、関連企業がない場合は記載しなくても問題ありません。重要なのは、関連がある場合にどのような相乗効果があるのかを丁寧に示すことです。

居酒屋の記入例⑦ お借入の状況
お借入の状況では、代表者の借入状況を正確に記載します。居酒屋は初期投資と運転資金が必要な業態であるため、返済計画の現実味が非常に重要になります。
住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど、個人の借入を整理し、返済負担が事業にどのように影響するかを示す必要があります。借入があることは特別な問題ではなく、返済が無理なく続けられるかどうかが最も重要です。
創業初期は売上が安定しない可能性もあるため、資金繰りと返済の両立に向けて意識を持っていることが伝わると、計画としての信頼性が高まります。

居酒屋の記入例⑧ 必要な資金と調達方法
居酒屋の開業には、厨房設備、内装工事、家具、換気設備、食器、POSレジなど、多くの設備資金が必要になります。この項目では、それぞれの費用をどのように見積もり、どのような資金でまかなうのかを丁寧に整理します。
また、運転資金として、食材費、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費、酒類の仕入れなどを計画します。居酒屋は酒類の在庫回転が早く、食材ロスも発生しやすいため、余裕を持った運転資金が望まれます。
調達方法では、自己資金、家族からの支援、金融機関からの融資などを組み合わせ、調達した資金をどの用途に充てるかを明確に記載します。資金調達の裏付けがあることで、事業の実現性が高まります。

居酒屋の記入例⑨ 事業の見通し
事業の見通しでは、売上と経費の根拠を丁寧に説明します。居酒屋の売上は客数と客単価から構成され、特にドリンク比率が高いため、想定値に根拠を持たせることが重要です。
ターゲット層、立地条件、競合店の状況、周辺の人通り、平日と休日の違いなどを踏まえ、客数を現実的に設定します。客単価は料理とドリンクの比率、宴会需要の有無などから導きます。
経費では、原価、人件費、家賃、水道光熱費、広告費、雑費など、居酒屋ならではのコスト構造を理解したうえで計算します。特に酒類の原価は変動しやすいため、余裕を持った計画が必要です。
売上が想定より下振れした場合の対応として、ランチ営業の導入、単品料理の強化、イベント開催、SNSの活用など柔軟な施策を持っていることを記載すると、読み手に安心感が生まれます。

居酒屋の記入例⑩ 自由記述欄
自由記述欄では、店として大切にしたい価値観や、創業者としての想い、居酒屋を通じて実現したいことを自由に表現します。
たとえば、一日の終わりにほっとできる場所を提供したいという想い。家族や仲間と語り合える温かい空間をつくりたいという気持ち。仕入れへのこだわり、出汁やタレの手作り、店内の雰囲気づくりなど、個性を形づくるこだわりを丁寧に言語化すると、読み手に強い印象を与えることができます。
さらに、将来的には宴会需要の拡大、新メニューの開発、テイクアウトやデリバリーへの対応、複数店舗展開など、事業の成長に向けた展望を加えると、長期的な視点を持った計画として魅力が高まります。
自由記述欄は、計画書全体を締めくくる大切な項目です。居酒屋の温かさや魅力が自然に伝わる文章に仕上げることで、計画に深みが生まれます。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、創業計画書の記入例について、テンプレートも交えながらご紹介させていただきました。
確かに創業計画書は記入が難しく、ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。しかし、各項目で押さえるべきポイントを学び、一つ一つ丁寧に乗り越えていけば大丈夫です。
記入例やテンプレートをご活用いただくことで、あなたの挑戦がより一層前に進んでいくことを心から応援しています!
わたしたち「Business Jungle 創業計画書作成」は、勇気を出して創業しようとしている、あるいは既に創業しているあなたを応援しています。
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