MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスを策定するとき、多くの企業が直面する最初の壁は「MVVやパーパスをどのようにして組み合わせればよいか」ということです。
基本の型を理解せずに場当たり的に作ると、MVVやパーパス同士が重なったり、あるいは要素同士のつながりが表現できなかったりするため、結果として現場は混乱してしまいます。
そして、理念はポスターや社内ポータルの隅で眠るだけの存在になり、企業の羅針盤として機能しなくなります。
逆に、あらかじめ基本の型を理解したうえで議論できれば、パーパスは「存在意義」、ミッションは「果たすべき使命」、ビジョンは「将来の理想的な姿」、バリューは「大切にしたい価値観」として明確に定義され、全社員が共通言語として語ることができる状態になります。
本記事では、MVV・パーパスに関する8つの基本の型をご紹介します。
VMVやPVVをはじめとしてさまざまな組み合わせが登場しますので、基本の型を理解し、ぜひ自分の組織に合った型を見つけてください。
なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定
.png)
本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・パーパスとは?
企業が掲げるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスは、組織が目指す方向性とそこに至る手段を明確にし、社員や顧客、社会と共有することで、組織の力を最大限引き出すために活用されます。
本記事ではこうしたミッション・ビジョン・バリューやパーパスの組み合わせについてご紹介しますが、その前提として、各用語の定義を理解しておきましょう。
| ミッション 「果たすべき使命」 | 企業が世の中においてどんな役割を果たすべきかを定義します。 組織として何を成し遂げるべきかのかを描き、経営判断の原点とします。 | ||
| ビジョン 「将来の理想的な姿」 | ミッションをより具体化したゴールとして言語化します。 社員が将来像を具体的にイメージしやすくなることで、日々の行動が揃いやすくなり、組織全体が同じ方向へ進むための指針として機能してくれます。 | ||
| バリュー 「大切にしたい価値観」 | 日常の意思決定や行動の基準となります。 バリューがあることで、社員一人ひとりが迷ったときにどんな行動を選ぶべきか判断できるようになり、企業文化の一貫性が保たれます。 | ||
| パーパス 「存在意義」 | 企業が何のために存在するのかという内発的動機を表現します。 ミッションと似た概念ですが、外部から求められる使命ではなく、企業の内部から生じる「なぜ」にフォーカスしている点が特徴です。 | ||
ミッションとパーパスの違い
ここまで読んで、ミッション「果たすべき使命」とパーパス「存在意義」が非常に似ている概念だと思った方もいるかもしれません。
少し触れたように、パーパスは「私たちは〇〇するために存在する」という内発的動機に基づいているのに対し、ミッションは「私たちは〇〇しなければいけない」という外発的動機に基づいています。
こうした観点では、両者には明確な違いがあるように感じられるでしょう。
しかしながら、その境界は曖昧であり、企業によって解釈も大きく異なります。
例えば、存在意義としてミッションを使用している企業、果たすべき使命としてパーパスを使用している企業もあります。また、MVVやパーパス以外の新しい概念を登場させている企業も数多くいます。
そのため、ミッションもパーパスも、企業の「遠い未来の目指す先」を示すものとして、おおよそ同じ意味として考えると理解しやすいでしょう。
大切なのは言葉そのものではなく、組織に定義を浸透させ、所属する人材の意識・行動を変えることでしかありません。

MVVやパーパスの意味・違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。
MVV・パーパスの基本型8種類
さて、前提知識を身につけられたので、さっそく本題に入っていきましょう。
MVV・パーパスの基本の組み合わせは、おおよそ8種類に分類されます。
他にも、企業独自の考え方などさまざまな組み合わせがありますが、多くの企業ではこれらの基本型が採用されています。
これだけで分かるように、MVV・パーパスの組み合わせに唯一無二の正解はありません。
何よりも重要なことは、各組み合わせの特徴を理解し、自分たちにとって最適な選択肢を選び取ることです。
①MVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)とは
最も一般的な構成です。
使命、将来像、価値観をそれぞれ明確に言語化しており、目指す先が抽象的になってしまうことを避けるために、ビジョンを組み合わせたい方におすすめです。
②VMV型(ビジョン・ミッション・バリュー型)とは
ビジョンを先に示し、ミッションをその達成手段として位置付ける構成です。
基本的な考え方はMVV型と変わりませんが、具体的な将来像を特に強調したい方におすすめです。
③MV型(ミッション・バリュー型)とは
使命と価値観のみを定義するシンプルな構成です。
果たすべき役割を前面に出してバリューのみを組み合わせているため、説明重視ではなく分かりやすさを重視したい方におすすめです。
④VV型(ビジョン・バリュー型)とは
将来像と価値観だけを示す構成です。
これもMV型と基本的な考え方は同じですが、将来の理想的な姿を前面に出しつつ、分かりやすさを重視したい方におすすめです。
⑤PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー型)とは
MVVにパーパス「存在意義」を追加した論理性重視の構成です。
概念が複数登場して覚えるのは大変になりますが、しっかりと説明することができ、各概念の定義を整理・浸透させられる方におすすめです。
⑥PVV型(パーパス・ビジョン・バリュー型)とは
MVVのミッション「果たすべき使命」が、パーパス「存在意義」に置き換わった構成です。
「存在意義だけではゴールが遠すぎて実感がない」、「もう少し具体的なゴールも設定しておきたい」という方におすすめです。
⑦PV型(パーパス・バリュー型)とは
シンプルに、「存在意義」と「大切にしたい価値観」という構成です。
ゴールとそこに至るための方法という分かりやすい組み合わせであるため、「直感的に理解できる方針にしたい」という方におすすめです。
⑧理念を明示しないケース
実は、明確なMVVを設定していない企業も存在します。
経営者の言葉や事業戦略を通して方向性を示している場合もあり、何かしらの強い意思があれば採用し得る例外的な事例です。

①MVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)とは
最も王道の型です。
まず「私たちは何を使命とするか」というミッションを定義し、次に「将来の理想的な姿」をビジョンとして言語化、最後に「大切にしたい価値観」を示します。
メリットとしては、使命・将来像・価値基準を体系的に詳しく説明できることにあります。
デメリットとしては、使命・将来像の違いを理解することは難しいため、MVVやパーパスについて詳しくない方の理解を得ることが大変という点があります。
段階的・論理的・構造的な説明を好む企業に向いていると言えるでしょう。
トヨタ自動車やパナソニックホールディングス、日立製作所などの大企業が採用する傾向にあります。
トヨタ自動車
企業概要
自動車の開発・製造・販売を中核とし、ハイブリッドやEV、燃料電池車など電動化技術を推進。モビリティサービス、ソフトウェア、コネクテッド領域にも投資し、スマートシティ構想(Woven City)など未来の移動と社会インフラの実装を進める総合モビリティ企業。
| ミッション (Mission) | わたしたちは、幸せを量産する。 だから、ひとの幸せについて深く考える。 だから、より良いものをより安くつくる。 だから、1秒1円にこだわる。 だから、くふうと努力を惜しまない。 だから、常識と過去にとらわれない。 だから、この仕事は限りなくひろがっていく。 | ||
| ビジョン (Vision) | 可動性を社会の可能性に変える。 不確実で多様化する世界において、トヨタは人とモノの「可動性」=移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることをふやす。そして、人類と地球の持続可能な共生を実現する。 | ||
| バリュー (Value) | トヨタウェイ ソフトとハードを融合し、パートナーとともにトヨタウェイという唯一無二の価値を生み出す。 【ソフト】 よりよい社会を描くイマジネーションと人起点の設計思想。現地現物で本質を見極める。 【ハード】 人とモノの可能性を高める装置。パートナーとともにつくるプラットフォーム。これらをソフトによって柔軟に、迅速に変化させていく。 【パートナー】 ともに幸せをつくる仲間(顧客、社会、コミュニティ、社員、ステークホルダー)を尊重し、それぞれの力を結集する。 | ||
理念の解説
ミッションが「幸せの量産」という大きなテーマでありますが、ビジョンに「可動性」というキーワードを出してトヨタらしさと具体性を出しています。また、トヨタウェイという独自の考え方もユニークです。
出所:同社HPより抜粋

②VMV型(ビジョン・ミッション・バリュー型)とは
ビジョン「将来の理想的な姿」を最初に提示してワクワク感を与え、その姿を実現するために「果たすべき使命」としてミッションを位置付ける組み合わせです。
メリットとしては、MVV型と同様、使命・将来像・価値基準を体系的に詳しく説明できることにあり、そのうえでビジョンが最初に掲げられることで将来像を具体的にイメージすることができます。
デメリットとしては、MVV型と同様、使命・将来像の違いを分かりやすく理解することが難しいため、MVVやパーパスについて詳しくない方の理解を得ることが大変という点があります。
段階的・論理的・構造的な説明を好み、そのうえで将来の理想的な姿を前面に押し出したい企業に向いていると言えるでしょう。
リクルートホールディングスやタイミー、ココナラといった企業が採用しています。
リクルートホールディングス
企業概要
HRテクノロジー、マッチング&ソリューション、戦略投資を展開。個人と企業の最適な出会いをテクノロジーで支援。
| ビジョン (Vision) | まだ、ここにない、出会い。 より速く、シンプルに、もっと近くに。 | ||
| ミッション (Mission) | Follow Your Heart | ||
| バリュー (Value) | ・新しい価値の創造 / Wow the World ・個の尊重 / Bet on Passion ・社会への貢献 / Prioritize Social Value | ||
理念の解説
リクルートホールディングスのMVVは非常にシンプルで分かりやすい王道の構成になっています。
「まだ、ここにない、出会い。」はCMなどでもよく耳にしますね。
出所:同社HPより抜粋

③MV型(ミッション・バリュー型)とは
ミッション「果たすべき使命」とバリュー「大切にしたい価値観」のみを言語化しています。
ミッションを重要視しつつ、シンプルに目指す先・そこに至る方法でまとめた構成です。
メリットとしては、何といってもシンプルで分かりやすいことが挙げられます。
デメリットとしては、目指す先の説明ボリュームが小さくなってしまうため、説明を重視する方にとっては理解しにくい可能性があります。
抽象的な使命を前面に出しつつ、シンプルに目指す先・そこに至る方法を明示したい企業に向いていると言えるでしょう。
ファーストリテーリング(ユニクロ)などの大企業から、メルカリなどのチャレンジングな企業まで幅広く採用しています。
メルカリ
企業概要
フリマアプリを中心にマーケットプレイス事業を展開。キャッシュレス(メルペイ)や物流連携で循環型消費を促進し、個人間取引の利便性を高める。
| ミッション (Mission) | あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる Circulate all forms of value to unleash the potential in all people | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・Go Bold 大胆にやろう ・All for One 全ては成功のために ・Be a Pro プロフェッショナルであれ ・Move Fast はやく動く | ||
理念の解説
メルカリはバリューだけではなく、「Our Foundations ファンデーション」として、Sustainability・Inclusion & Diversity・Trust & Openness・Customer Perspectiveを掲げています。意識的であることによって発揮されるバリューに対し、ファンデーションは特定の一人ではなく組織全体で育み、大切にする空気のようなものと定義しています。
出所:同社HPより抜粋

④VV型(ビジョン・バリュー型)とは
ビジョン「将来の理想的な姿」とバリュー「大切にしたい価値観」のみを言語化しています。
ビジョンを重要視しつつ、シンプルに目指す先・そこに至る方法でまとめた構成です。
メリットとしては、MV型と同様、シンプルで分かりやすいことが挙げられます。
デメリットとしては、MV型と同様、目指す先の説明ボリュームが小さくなってしまうため、説明を好む方にとっては受け入れにくい可能性もあります。
具体的な将来像を前面に出しつつ、分かりやすく目指す先・そこに至る方法を明示したい企業に向いていると言えるでしょう。
次世代型営業DXプラットフォームを提供する、マツリカなどの企業が採用しています。
マツリカ
企業概要
誰でも使える、誰でも成果を出せる次世代型営業DXプラットフォームを提供。
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | 創造性高く遊ぶように働ける環境を創る | ||
| バリュー (Value) | Creativity 理想を諦めず考え抜こう Liberty 枠に囚われるな Diversity 違いは価値である Initiative やらされ仕事はつまらない Open コミュニケーションを諦めない Challenge 情熱を燃やして挑戦しよう Enjoy 楽しむことを忘れるな | ||
理念の解説
珍しいビジョン・バリュー型の企業理念です。とはいえ、目指す先とそこに至るための価値観という、シンプルな構成と言えるでしょう。
出所:同社HPより抜粋

⑤PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー型)とは
MVVにパーパス「存在意義」を追加した論理性重視の構成です。
概念が複数登場して覚えるのは大変になりますが、しっかりと説明することができ、各概念の定義を整理・浸透させられる方におすすめです。
メリットとしては、自分たちが伝えたい思いを、できる限り詳細に伝えることができる具体性にあります。
一方のデメリットは、登場する概念が多くなってしまうため、内容を理解して浸透させるのが難しいという点です。
こうした複雑性というデメリットを踏まえても、社内に浸透させられる自信がある企業に向いています。
三井住友トラスト・ホールディングスや第一三共ヘルスケアなど、大企業が採用する傾向にあります。
三井住友トラスト・ホールディングス
企業概要
銀行、信託、資産運用、不動産など幅広い金融サービスを提供する信託グループ。資産管理や年金運用、相続・不動産関連サービスなどを通じて、個人・法人の資産形成や資産承継を支援している。信託機能を強みに多様な金融ニーズに対応している。
| パーパス (Purpose) | 託された未来をひらく ~信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる~ | ||
| ミッション (Mission) | 全てのステークホルダーのWell-being向上に貢献してまいります。 ・高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。 ・信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。 ・信託グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待に応えてまいります。 ・個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場を提供してまいります。 | ||
| ビジョン (Vision) | 三井住友トラストグループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行機能、資産運用・管理機能、不動産機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る信託グループとして、グローバルに飛躍してまいります。 | ||
| バリュー (Value) | ・お客様本位の徹底 ・社会への貢献 ・組織能力の発揮 ・個の確立 ・法令等の厳格な遵守 ・反社会的勢力への毅然とした対応 | ||
理念の解説
パーパス・ミッション・ビジョン・バリューをすべて組み合わせた企業理念です。
情報量が積み上がり、複雑にはなってしまいますが、その分論理的に会社が大切にしていることを伝えることができます。
出所:同社HPより抜粋

⑥PVV型(パーパス・ビジョン・バリュー型)とは
パーパス「存在意義」を出発点に置き、将来像と価値観を加える組み合わせです。
パーパスとミッションの境界線は曖昧であるため、MVV型と大きな考え方は変わらないと考えていいでしょう。
メリットとしては、MVV型と同様、存在意義・将来像・価値基準を体系的に詳しく説明できることにあります。
デメリットとしては、存在意義や使命・将来像の違いを理解することは難しいため、MVVやパーパスについて詳しくない方の納得を得ることが大変という点があります。
ミッション(果たすべき使命)ではなく、パーパス(存在意義)という言葉を使用して、目指す先とそこに至るための方法を、丁寧に示したい企業に向いていると言えるでしょう。
花王や日本航空(JAL)といった日本を代表する企業が採用しています。
花王
企業概要
コンシューマープロダクツ(パーソナルヘルス、ホームケア、化粧品)とケミカルを展開。清潔・健康・環境に関わる製品で生活の質向上に資する取り組みを推進。
| パーパス (Purpose) | 豊かな共生世界の実現 | ||
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | 人をよく理解し期待の先いく企業に | ||
| バリュー (Value) | ・正道を歩む ・よきモノづくり ・絶えざる革新 | ||
理念の解説
バリューの下には「共生視点」「現場起点」「個の尊重と力の結集」「果敢に挑む」という行動規範を設定しています。
出所:同社HPより抜粋

⑦PV型(パーパス・バリュー型)とは
パーパス「存在意義」とバリュー「大切にしたい価値観」だけで短くまとめています。
パーパスを重要視しつつ、シンプルに目指す先・そこに至る方法でまとめた構成です。
メリットとしては、MV型やVV型と同様、シンプルで分かりやすく目指す先・そこに至る方法を伝えられることです。
デメリットとしては、ミッションやビジョンに馴染みのある方や、丁寧な説明を好む方にとっては納得しにくい可能性があります。
ミッション(果たすべき使命)やビジョン(将来の理想的な姿)ではなく、パーパス(存在意義)を羅針盤としてシンプルに説明したい企業に向いていると言えるでしょう。ソニーグループやサントリーホールディングスといった有名企業が採用しています。
ソニー
企業概要
エレクトロニクス、半導体(イメージセンサー)、音楽、映画、ゲーム(PlayStation)等の多角事業を展開。IP創出からコンテンツ流通、体験デザインまで統合し、テクノロジーとクリエイティビティでエンタテインメント価値を提供するグローバル企業。
| パーパス (Purpose) | クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。 | ||
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・夢と好奇心 夢と好奇心から、未来を拓く。 ・多様性 多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。 ・高潔さと誠実さ 倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。 ・持続可能性 規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。 | ||
理念の解説
パーパスとバリュー(同社ではSony’s Purpose & Valuesと呼称)というシンプルな構成です。2019年に策定したパーパスであり、日本で最も有名なパーパスの一つです。
出所:同社HPより抜粋

⑧企業理念なし
あえてMVV・パーパスを明文化せず、トップの言葉や経営方針で目指す先と方法を示すパターンです。
明確な理由があれば、MVV・パーパスを策定しないことも一案です。
メリットとしては、ステークホルダー(特に社員)の解釈・裁量が高くなるため、自由な雰囲気や行動が生まれやすい点にあります。
デメリットとしては、目指す先や指針がないため、ステークホルダーが組織として同じ方向を向いてくれない可能性があります。
とにかくステークホルダーに解釈・裁量を与えたい、自由な組織にしたい企業に向いていると言えるでしょう。
代表例としては、任天堂が採用しています。
任天堂
企業概要
家庭用ゲーム機(Nintendo Switch等)とゲームソフトの企画・開発・販売を手がける。独自のIPと遊びの発明で、年齢や国境を越えて楽しめるエンタテインメント体験を創出。
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | (なし) | ||
理念の解説
実は任天堂には、明確なミッションやビジョン、バリューがありません。任天堂の3代目社長で、「ファミコン帝国の総帥」として知られていた山内溥氏は、「社是・社訓は邪魔だ」と明言しました。
企業の舵取りをする方法はMVVだけではなく、何よりも自社が考え抜いて、信念に基づいて行動していればまったく問題ありません。これも正解の一つのかたちです。

基本型8種に関するよくある質問
ここまでで、MVV・パーパスに関する基本の型8種類はご理解いただけたと思います。
最後に、基本の型について特によく寄せられる質問を、4つだけご紹介させていただきます。
学んだことの復習の意味を込めて、しっかり理解しておきましょう。
MVVとパーパスの違いとは?
MVVは、ミッション(果たすべき使命)・ビジョン(将来の理想的な姿)・バリュー(大切にしたい価値観)の3つを組み合わせて、組織の方向性や行動基準を整理するフレームワークです。
一方でパーパス(存在意義)は、企業が社会に存在する根本的な理由や意味を表す概念です。
特に、ミッション(果たすべき使命)とパーパス(存在意義)は似たような概念ですが、両者の境界線は非常に曖昧で、どちらも組織が目指す先を示していると理解すれば問題ありません。
大切なのは言葉そのものではなく、組織の中で共通理解がされていて、その結果として所属する人の行動が変わるという一点です。
MVVとVMVの違いとは?
MVVとVMVの違いは、構成要素の順番に過ぎません。
MVVは「ミッション → ビジョン → バリュー」という流れで整理されており、ミッション(果たすべき使命)を起点に将来像と価値観を定義する型です。
一方、VMVは「ビジョン → ミッション → バリュー」という順番で構成され、ビジョン(将来の理想的な姿)を起点に組織の使命や行動指針を整理しています。
どちらが正しいというわけではなく、企業が何を中心に据えたいかによって適した順序が変わるだけです。
MVVとPVVの違いとは?
MVVはミッション(果たすべき使命)を起点に理念体系を構成する型ですが、PVVはパーパス(存在意義)を起点に整理する型です。
近年は、社会における企業の役割を重視する流れの中で、MVVよりもパーパスを中心に据えたPVV型を採用する企業も増えています。
しかしながら、ミッションという言葉を「存在意義」として使用している企業も多く、どちらを使えば正解というわけではありません。
結局どの型が自社にとって最適なのか?
MVV・パーパスの型に絶対的な正解はありません。
大切なのは、自社が何を最も重視しているのかを起点に考えることです。
例えば、組織の果たすべき使命を明確にしたい場合はMVV型、もう一歩具体的にした将来像を中心に据えたい場合はVMV型、存在意義を強く打ち出したい場合はPVV型が適しているかもしれません。
あるいは、説明重視であればPMVV型などがいいかもしれませんが、分かりやすさ重視であればMV型やPV型も魅力的でしょう。
こうした特徴を踏まえながら、「この方がしっくりくるな」といったように、直感的に気に入ったものを選べば問題ありません。
まとめ|MVV・パーパスの型に正解はない
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスは、単なるお題目ではなく、組織がどこを目指し、どのように行動するかを示す経営の羅針盤です。
今回紹介した8つの基本型は、理念をどう組み合わせ、どんな順番で示すかを決める代表的なパターンです。
MVV型やVMV型のようにフルセットで整える方法もあれば、MV型やVV型のようにシンプルさを重視する選択もあります。
パーパスを起点にするPVV型やPV型は、社会的意義を強く打ち出したい企業に有効ですし、あえて理念を明文化しないという選択肢も存在します。
大切なのは「どの型が正解か」ではなく、「自社の文化やフェーズに合う型はどれか」を考え抜き、言葉を実際の意思決定や行動と結びつけることです。
今回紹介した型を理解したうえで、自社にとって最も自然で、社員が胸を張って語れる言葉を選び、長期的に育てていきましょう。
なお、他にもMVVやパーパスの事例が知りたい方は、こちらで事例一覧を紹介しています。
もし、MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定
目次