パーパス・バリューとは?意味や事例、ミッション・ビジョンとの違いまで解説

パーパス・バリューとは?意味や事例、ミッション・ビジョンとの違いまで解説

近年の企業経営では、パーパスやバリューという言葉を目にする機会が増えています。

「存在意義」を示すパーパスと、「大切にしたい価値観」を示すバリューは、不確実性の高い時代において、企業として進むべき方向を照らす拠り所として機能してくれます。
そのため、多くの企業がパーパスやバリューの新規策定・見直しに取り組んでいます。

しかしながら、いざ取り組もうとしても「パーパスとバリューの違いが分からない」「ミッションやビジョンとどう使い分けるべきか分からない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、パーパス・バリューの意味や事例、ミッション・ビジョンとの違い、さらには実際の作り方まで体系的に解説していきます。
初めて学ぶ方であっても理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

パーパス・バリューとは

パーパスは「存在意義」を意味しており企業としてのゴールを示してくれます。
そして、バリューは「大切にしたい価値観」を意味しており、ゴールに至るための方法を示してくれます。

つまりパーパス・バリューを掲げることで、企業としてどこを目指し、どのようにたどり着けばいいのかを組織内に伝えることができるわけです。

企業は本質的に「個人の集まり」でしかなく、各個人がそれぞれ好きなように意思決定・行動してしまうと推進力が生まれにくくなります。
しかしながら、パーパス・バリューがあることで企業は「規則的な組織」に生まれ変わることができ、ゴールに向かって効率的に進めるようになります。

こうした理由から、パーパス・バリューが策定されているわけですが、本章では両者についてもう少し詳しく見てみましょう。

パーパスの意味

パーパスとは、企業がなぜ存在しているのかという「存在意義」を示す概念であり、企業にとってのゴールと言い換えられます。

単なる事業内容の説明などではなく、社会に対してどのような価値を提供するのかを言語化したものとなります。
これが企業にとってのゴールとして機能し、企業の活動の根底に位置づけられ、あらゆる意思決定の起点となります。

パーパスがなければ企業が何のために存在し、どこを目指していくべきなのかが分かりません。
そしてこれが分からなければ、企業に属する社員の足並みが揃うこともなく、非効率的な組織になってしまいます。

なお、代表的な事例としては、ソニーグループが挙げられます。
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というシンプルな内容ですが、クリエイティビティやテクノロジーといった同社を象徴するキーワードが埋め込まれています。

バリューの意味

バリューとは、企業が守るべきルールや行動基準として「大切にしたい価値観」を示す概念であり、ゴールにたどり着くための方法と言い換えることができます。

日々の業務や意思決定において、どのような考え方や行動を重視するのかを具体化する役割を持ちます。
組織の中で共通の価値観として機能することで、社員一人ひとりの行動に一貫性をもたらします。

パーパスが存在意義であるのに対し、バリューはそれを実現するためのルールと言えるでしょう。
パーパスというゴールだけが定まっていても、そこに至る方法が分からなければ、社員は何をすればいいか分かりません。そこに答えを出してくれるのがバリューです。

例えば、先ほどの事例で登場したソニーグループは、「夢と好奇心」「多様性」「高潔さと誠実さ」「持続可能性」という4つのバリューを掲げたうえで、パーパス経営を推進しています。

ミッション・ビジョンとの違い

さて、パーパスやバリューの意味については理解することができたと思います。
そのうえで、パーパス・バリューは、ミッション・ビジョンとあわせて語られることが多いため、それぞれの違いを正しく理解しておくことが重要です。

特に、バリューは「大切にしたい価値観」という分かりやすい定義ですが、パーパスの「存在意義」はミッション・ビジョンと混同されがちであるため注意が必要です。

ただし、これらの概念は企業ごとに定義が異なるケースも多く、必ずしも明確に線引きされているわけではありません。
そのため、違いを理解することと同時に、各用語をどのように使い分けるかという視点が重要になります。

ミッションとの違い

ミッションとは、企業の「果たすべき使命」を示すものです。
一般的には、外部から求められている役割や社会に対して果たすべき責任を表現することが多く、企業として何を成し遂げるのかを説明します。

これだけ聞くと、存在意義を示すパーパスとの違いに混乱してしまうかもしれません。
教科書的な違いを解説すると、パーパスは内発的に湧き上がる思いを起点としたゴールであり、外発的な動機に基づいているミッションとは区別されます。

このようにミッションとパーパスは起点となる考え方に違いがあり、一見するとパーパスのほうが優れているように感じてしまいますが、基本的に両者は大きな差がないと捉えておいて問題ありません。
実際、実務においては両者の定義を入れ替えて使用している企業も数多く存在します。

ビジョンとの違い

ビジョンとは、企業が目指す「将来の理想的な姿」を示すものです。

パーパスは存在意義を示しますが、抽象度が高くなりやすく、将来の方向性を大きく描く概念となります。
一方で、ビジョンはその将来像をより具体的な形で表現することで、方向性を明確にし、行動に移しやすくする役割を持ちます。

例えば、「人々を笑顔にする」というパーパスだけでは抽象的ですが、そこに「チョコレートを作って届けるプラットフォームを構築する」というミッションがあるだけで、ゴールが鮮明にイメージできるようになります。

しかし、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスなど、登場させる概念が増えすぎると、かえって理解に時間がかかり、混乱を招いてしまう可能性もある点には注意が必要です。
そのため、あえてパーパス・バリューのシンプルな概念のみを採用するなど、自社にとって最適な概念を取捨選択することが重要です。

各用語の関係性

まとめとして各概念の関係性を整理すると、以下の図のようになります。

ミッションは「果たすべき使命」、ビジョンは「将来の理想的な姿」、バリューは「大切にしたい価値観」、パーパスは「存在意義」です。
そして、パーパスとミッションは混同されがちですが、企業のゴールを示すという意味では同じような役割を担っており、ビジョンは企業のゴールに具体性を補完する役割があります。

重要なのは使用する言葉そのものにこだわることではなく、同じ言葉を同じ意味で組織内に浸透させ、実際の行動につなげることでしかありません。
パーパスやバリューという言葉を使用することに問題はありませんが、その言葉を使うこと自体が目的にならないようにしましょう。

なお、各用語の違いについてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はご覧ください。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・パーパスの組み合わせ

さて、ここまででMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・パーパスの意味や違いについて理解してきました。
しかし、ここで疑問に挙がってくるのが「それではどの概念を採用すればいいのか」「パーパス・バリューの組み合わせが正解なのか」といった点です。

実は、企業の目指す先とそこに至る方法を表現する際は、パーパス・バリューだけではなく、他にもさまざまな組み合わせがあり、それぞれ特徴を持っています。

その中でも、パーパス・バリューの組み合わせ(PV型)は他の組み合わせと異なり、非常にシンプルで分かりやすいというメリットが魅力です。
一方、どうしても情報量が少なくなってしまうため、細かな説明を重視したい場合は向いていません。

パーパス・バリューの組み合わせ(PV型)は分かりやすくて非常に人気ですが、どの組み合わせを採用すべきかという明確な正解はありません。
自社の状況や各組み合わせの特徴に応じて、最適な組み合わせを選びましょう。

本記事ではパーパス・バリューの組み合わせ(PV型)に絞ってご説明させていただきますが、各概念の組み合わせについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

パーパス・バリュー(PV型)の事例

ここからは、パーパス・バリュー型(PV型)の企業事例について見ていきます。
具体的な事例を参考にすることで、これまで学んできた知識を実践にも活かせる状態にしましょう。

繰り返しになりますが、パーパス・バリュー型が非常にシンプルで分かりやすく、日本を代表する多くの企業で採用されています。

確かに詳細説明には向いていないかもしれませんが、社内に浸透させて人々の行動を変えることが目的であることを踏まえると、シンプルさを最優先に考えるという発想も大正解です。

ソニーグループ

企業概要
ゲーム、音楽、映画、半導体、エレクトロニクスなど多岐にわたり事業展開。クリエイティブと技術を融合し、感動体験を提供。イメージセンサーやエンタメ分野で世界的リーダー。

パーパス
(Purpose)
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
バリュー
(Value)
・夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。

・多様性
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。

・高潔さと誠実さ
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。

・持続可能性
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。

理念の解説
パーパスとバリュー(同社ではSony’s Purpose & Valuesと呼称)というシンプルな構成です。2019年に策定したパーパスであり、日本で最も有名なパーパスの一つです。
ソニーグループほどの大企業であれば、さまざまな要素を盛り込みたくなるものですが、あえて絞りに絞って、洗練された要素のみを残しています。

出所:同社HPより抜粋

サントリーホールディングス

企業概要
酒類・飲料・食品・健康事業を展開。「水と生きる」をスローガンに環境活動を推進。グローバルブランド育成や研究開発で新市場を開拓。

パーパス
(Purpose)
人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命の輝き」をめざす。
バリュー
(Value)
・Growing for Good
・やってみなはれ
・利益三分主義

理念の解説
有名な「やってみなはれ」をバリューの一つに掲げています。パーパスとバリューという、非常にシンプルで分かりやすい構成になっています。
「人間の生命の輝き」という独自のキーワードが、自社らしさを際立たせています。

出所:同社HPより抜粋

オリンパス

企業概要
消化器内視鏡や治療機器で世界シェアを持つ医療機器メーカー。早期診断や低侵襲治療技術を普及させ、患者負担軽減に貢献。

パーパス
(Purpose)
世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現
Making people’s lives healthier, safer and more fulfilling
バリュー
(Value)
・患者さん第一 Patient Focus
・イノベーション Innovation
・実行実現 Impact
・共感 Empathy
・誠実 Integrity

理念の解説
こちらもパーパスとバリューという分かりやすい組み合わせです。
また英語でも表記していることで、国内だけでなく国外に向けた意気込みも感じられます。海外の事業費率が高いオリンパスだからこそ、海外に対するこだわりが見えてきます。

出所:同社HPより抜粋

サイボウズ

企業概要
グループウェア「kintone」「Garoon」などを開発し、チームワークあふれる社会を目指す。柔軟な働き方や組織文化変革を先導。

パーパス
(Purpose)
チームワークあふれる社会を創る
バリュー
(Value)
・理想への共感
・多様な個性を重視
・公明正大
・自主自律
・対話と議論

理念の解説
サイボウズでは、バリューという言葉を使用せず、「文化 -Culture-」という言葉を使用しています。また、「これからも、社内の状況や時代の変化にあわせて表現を検討し、メンバー全員が納得できる生きた企業理念へとアップデートを続けていく予定です。」と明言している点も特徴的です。
一度決めたら貫き通すこと、あるいは時代の変化に合わせて在り方を変えていくこと。この両方とも、パーパスやMVVとして間違っていません。

出所:同社HPより抜粋

ユーグレナ

企業概要
微細藻類ユーグレナを活用した食品、化粧品、バイオ燃料を展開。サステナビリティや食料・エネルギー問題の解決に挑戦。

パーパス
(Purpose)
人と地球を健康にする
バリュー
(Value)
7倍速
Turn it up to 7.
最速で一歩を踏み出し、やり切る

ちぎれるほど
Burst with imagination and energy.
これ以上ないと言えるまで考えに考え抜いて

あ・た・ま
Bright, Witty, and Forward-Thinking
いつでも「明るく楽しく前向きに」

理念の解説
ユーグレナは、上記のパーパスやバリューに加え、「ユーグレナ・フィロソフィー」として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げています。
概念が増えることで浸透せず、行動につながりにくくなることも懸念されますが、一方でより組織の考え方が際立つ可能性もあります。自社の状況に合わせながら、対応を考えていくとよいでしょう。

出所:同社HPより抜粋

ライオン

企業概要
オーラルケアや洗剤、衛生用品を展開。生活習慣改善と予防啓発を通じて健康寿命の延伸を支援。研究開発にも注力。

パーパス
(Purpose)
より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する
(ReDesign)
バリュー
(Value)
・価値は顧客が決める
・自分の心に従い、自ら動こう
・スピードは世界を救う
・化学反応を起こそう
・変化こそ、私たちを進化させる

理念の解説
ライオンは、バリューではなく、「BELIEFS 信念」という言葉を使っています。またこれら以外にも、「DNA 創業から受け継ぐ想い」として「愛の精神の実践」を掲げている点も特徴的です。
繰り返しになりますが、パーパスやMVVに正解はないため、自分たちの考えに基づいて実践していくことが何よりも大切です。

出所:同社HPより抜粋

東京海上ホールディングス

企業概要
損害保険・生命保険を中心に国内外で保険事業を展開するグローバル保険グループ。事故や災害、事業リスクなどに備える保険商品やサービスを提供し、企業や個人のリスク管理を支えている。世界各国で保険ビジネスを展開している。

パーパス
(Purpose)
お客様や社会の“いざ”をお守りする
バリュー
(Value)
東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。
・お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。
・株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。
・社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。
・良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。

理念の解説
シンプルで力強いパーパスと、「経営理念」という言葉で表現されるバリューを備えています。
他にも「東京海上グループが提供する価値」や「東京海上グループのあるべき姿」についても整理しており、独自性の溢れる考え方です。

出所:同社HPより抜粋

ネスレ

企業概要
食品・飲料分野で世界的に事業を展開する企業。コーヒー、チョコレート、乳製品、ペットフードなど幅広い商品を提供している。ネスカフェやキットカットなどのブランドを通じて、食と栄養に関する商品を世界各国で販売している。

パーパス
(Purpose)
食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます
バリュー
(Value)
・自分自身に対する敬意
・他者に対する敬意
・多様性に対する敬意
・私たちの後に続く世代に対する敬意

理念の解説
シンプルな構成ですが、バリューが「~に対する敬意」という表現で統一されている点が特徴的です。
規則性があり、覚えやすく、同社らしい言葉遣いです。

出所:同社HPより抜粋

JT

企業概要
たばこ事業を中核に、食品や医薬などの事業も展開する企業。世界各国でたばこ製品を販売するグローバル企業として事業を拡大してきた。加熱式たばこなど新しい製品分野にも取り組んでいる。

パーパス
(Purpose)
心の豊かさを、もっと。
バリュー
(Value)
【4Sモデル】
お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく

■4Sモデルを通じ、中長期の持続的な利益成長を実現
・お客様に新たな価値・満足を継続的に提供
・中長期的視点から、将来の利益成長に向けた事業投資を実行

■4Sモデルの追求が、中長期に亘る企業価値の継続的な向上につながり、4者のステークホルダーにとって共通利益となるベストなアプローチであると確信

理念の解説
JTは独自の4Sモデルを採用しており、これがバリューにあたると想定されます。
独自の考え方を取り入れても、それが自社にとって最適であればまったく問題ありません。

出所:同社HPより抜粋

小松製作所

企業概要
建設機械や鉱山機械の開発・製造・販売を行うメーカー。油圧ショベルやブルドーザーなどの製品を提供し、建設や資源開発の現場を支えている。ICTやデータ技術を活用した建設ソリューションも展開している。

パーパス
(Purpose)
ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く
バリュー
(Value)
・挑戦する
高い志を持ち、失敗を恐れることなく、革新のために挑戦し続ける

・やり抜く
困難にあっても決して諦めず、責任を持って最後までやり遂げる

・共に創る
多様な価値観や個性を認め合い、互いに敬意を持ち、win-win精神で協働することで新たな価値を創出する

・誠実に取り組む
常に誠実に正しく行動し、信頼される存在であり続ける

理念の解説
小松製作所は、パーパスやバリューの他にも「私たちの約束」や「私たちの戦略」も掲げています。
パーパスやMVVに正解はありません。

出所:同社HPより抜粋

富士フイルム

企業概要
写真フイルム技術を基盤に、医療、ヘルスケア、半導体材料など多様な分野へ事業を拡大している企業。医療機器や電子材料、化粧品などの分野で事業を展開し、独自の技術を活かした製品を提供している。

パーパス
(Purpose)
地球上の笑顔の回数を増やしていく。
バリュー
(Value)
わたしたちはすべての活動に“オープン、フェア、クリア”の精神で臨みます。

理念の解説
シンプルで分かりやすいパーパスやバリューです。
「Value from Innovation」というコーポレートスローガンも掲げていますが、全体的に短く覚えやすい点が特徴的です。

出所:同社HPより抜粋

オリックス

企業概要
リース事業を起点に、金融、不動産、エネルギーなど多角的な事業を展開する企業。企業の設備投資支援や不動産開発、再生可能エネルギー事業など幅広い分野でビジネスを行っている。

パーパス
(Purpose)
変化に挑み、柔軟な発想と知の融合で、未来をひらくインパクトを。
バリュー
(Value)
・多様性を力に変える。
・挑戦をおもしろがる。
・変化にチャンスを見出す。

理念の解説
王道のPV型(パーパス・バリュー型)といった構成です。
やはり、情報量を絞ると、それだけ覚えること・実践することも容易になります。

出所:同社HPより抜粋

第一生命グループ

企業概要
生命保険事業を中心に、国内外で保険サービスや資産運用事業を展開する保険グループ。個人・法人向けの生命保険商品を提供し、長期的な資産形成やリスク保障を支える金融サービスを提供している。

パーパス
(Purpose)
共に歩み、未来をひらく
多様な幸せと希望に満ちた世界へ
バリュー
(Value)
・いちばん、人を考える
・まっすぐに、最良を追求する
・まっさきに、変革を実現する

理念の解説
第一生命グループは、パーパスやバリューとあわせて、ブランドメッセージとして「一生涯のパートナー お客さま第一主義」も掲げています。

出所:同社HPより抜粋

NEC

企業概要
ITサービスや通信インフラ、AIなどを中心に事業を展開するICT企業。企業や官公庁向けにシステム構築やネットワーク、クラウドサービスを提供し、社会インフラを支えるデジタル技術を展開している。

パーパス
(Purpose)
Orchestrating a brighter world
バリュー
(Value)
・創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」
・常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重
・あくなきイノベーションの追求

理念の解説
他にも、「Code of Values(行動基準)」や「Code of Conduct(行動規範)」を掲げています。
複雑にはなってしまいますが、社内に浸透し、実践できれば非常に強力な武器になります。

出所:同社HPより抜粋

パーパス・バリュー(PV型)以外の事例

本記事ではパーパス・バリュー(PV型)に絞って事例を解説してきましたが、もちろん、これ以外の組み合わせを採用している企業も数え切れないほどあります。

そうした企業の事例について本記事で解説することはしませんが、気になる方はこちらの記事を参考にしてください。

強いパーパスに共通する3つの条件

ここまでパーパス・バリューの事例について詳しく見てきました。
どのようなメッセージが各社で受け入れられているのかご理解いただけたと思います。

しかし、パーパス・バリューは策定すればどのような内容でもいいわけではありません。
強いパーパス・バリューには共通する条件があり、それらを満たさなければお飾りのメッセージになってしまう可能性があります。

本章では、まずは強いパーパスの条件について考え、次章では強いバリューの条件について考えていきます。
せっかく言葉を考えるのであれば、組織に刺さり、浸透する内容に仕上げていきましょう。

まずは、強いパーパスの条件を、もっとも有名な経営学者の1人であるピーター・ドラッカー(Peter F. Drucker)が、ミッションの重要性について説いた以下の文章から見出していきます。

①市場の機会・ニーズがある

One asks first, what are the opportunities, the needs?
第一に問うべきは、「どんな機会があり、どんなニーズが存在するのか」である。

どれだけ立派な言葉を掲げたとしても、それが市場で求められていなければ受け入れられることはありません。
「環境に悪いが世界一かっこいい車を作るために自社はある」という思いに共感してくれる人は少ないでしょうが、「世界一環境に優しい車を作る」という思いに共感してくれる人は大勢いるはずです。

②自社にとっての整合性がある

Then, do they fit us? Are we likely to do a decent job? Are we competent? Do they match our strengths?
第二に考えるべきは、「それは自分たちにふさわしい機会なのか」である。私たちの強みと合致し、十分に力を発揮できる領域かどうかを確認しなければならない。

たとえ市場の機会・ニーズがあったとしても、自社がやる意味・やれる能力がなければ絵空事に終わります。
打ち出すメッセージが自社の強みと合致した領域であり、「この会社ならきっとやれるはず」という思いを持ってもらえるようなパーパスに対して、人々は応援したいと感じます。

③強い信念がある

Do we really believe in this?
第三に確かめるべきは、「私たちはその取り組みに本気で価値を感じ、心から取り組めるのか」である。

パーパスを実現させるには、計算や論理ではなく、何といっても熱い思いが必要です。
経営陣や社員が、自分の人生をかけてでも取り組みたいと考えるようなテーマでなければいけません。

強いバリューに共通する3つの条件

次は、強いバリューの条件を見ていきましょう。

「覚えやすい」「自社らしい」「目指す先に関係している」という3つの条件を満たすことができれば、組織から支持されるバリューに仕上がります。

①覚えやすい

バリューは掲げるだけでは一切意味がなく、社員に浸透しなければ価値がありません。
そのため、できる限り覚えやすいバリューにすることが非常に大切です。

項目数としては3~5つほどに留め、それぞれの文章も短い方がよいでしょう。
自分自身がバリューを提示される側の立場に置き換えて考えると、6個以上のバリューを長々しく説明されても理解することに時間がかかるはずです。

②自社らしい

バリューは、どこにでもあるような内容にしてはいけません。
それでは誰の心にも残らず、人の意識や行動を変えるところまでたどりつけません。

例えば「社会貢献を忘れない」というバリューは、どのような会社にも当てはまってしまい、ワクワクすることができません。
相手に共感してもらい、自分事化を促すためにも、自社らしい表現で唯一無二のバリューを作りましょう。

③目指す先に関係している

おさらいですが、パーパスは存在意義を意味しており、企業にとってのゴールになります。
そして、バリューは大切にしたい価値観を意味にしており、ゴールにたどり着くための方法を示しています。

この関係性を踏まえると、バリューの内容は、パーパスの内容と関係している必要があります。
「これらのバリューを実践することで、パーパスの実現に大きく貢献できる」と思えるようなバリューを作成しましょう。

パーパス・バリューの作り方5ステップ

最後に、パーパス・バリューを作成し、そして浸透させる方法も整理しておきましょう。

パーパス・バリューだけではなく、ミッション・ビジョンを作る場合も同様のステップが採用されます。
そのため、ここではMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・パーパスとしてセットで考えておきましょう。

MVV・パーパスは、基本的には5つのステップに沿って策定・浸透させていきます。
MVV・パーパスは作って終わりではなく、浸透させてこそ、つまり人々の行動を変えてこそ価値があるという点は忘れないでください。

①プロジェクトの発足・活動準備

プロジェクトの活動目的を明確化して活動計画を作り、プロジェクトチームを組成のうえ、メンバーはMVV・パーパスに関する基礎的な知識を身に付ける必要があります。


重要視されることが少ない本ステップですが、プロジェクトの成功を左右する極めて重要な取り組みです。
全力で取り組むようにしましょう。

②現状の整理

社員アンケートやヒアリング、市場・競合・自社調査を通じて、自社の現状を客観的に理解し、自社のあるべき方向性を定める際のインプットを獲得します。


闇雲に調査してしまうと際限がないため、「MVV・パーパスの策定・浸透に資する調査」という発想を念頭に置き、意味のない膨大な調査には絶対にならないようにしてください。

③あるべき方向性の整理

現状整理で把握したこれからの市場・競合の動向や自社の強み・弱みを踏まえ、将来的に自社がどのような姿を描くべきかという方向性を定めます。


現状調査の結果からMVV・パーパスまでの距離は離れているため、その前段としてあるべき方向性を定めることで、MVV・パーパス策定がグッと簡単かつ効果的になります。

④MVV・パーパスの策定

ここまできて、やっとMVV・パーパスの作ります。

策定方法はさまざまありますが、何よりも重要なことはできるだけ多くの社員を巻き込んで自分事化してもらうことです。

これにより作成の手間は大きくなりますが、その後のMVV・パーパスの浸透における円滑さが段違いに向上します。

⑤MVV・パーパスの浸透施策の企画・実行

人間は、物事を「認識」「理解」「納得」することで、はじめて自分事化して行動を変えます。
この3つの壁を突破して具体的な行動変革につなげるため、活動に終着点はありません。

根気強く、継続的に浸透施策に取り組んでいきましょう。

なお、浸透施策の企画自体はMVV・パーパス策定に先んじて実施しておくとスムーズです。

各ステップの詳細については、以下の記事でまとめています。
記事内ではミッション・ビジョン・バリューという記載になっていますが、これらをMVV・パーパスとして読み替えればそのまま適用できます。

まとめ|パーパス・バリューを作成しよう

本記事では、パーパス・バリューの意味や違い、ミッション・ビジョンとの関係性、さらには具体的な事例や作り方まで整理してきました。

パーパスは企業の存在意義を示し、バリューはその実現に向けた価値観を示すものです。
この2つを明確にすることで、企業としての方向性が定まり、組織全体の意思決定や行動に一貫性が生まれます。

一方で、ミッションやビジョンといった概念との違いに明確な正解はなく、企業ごとに定義や使い方が異なる点も重要なポイントです。
そのため、言葉の定義そのものにこだわるのではなく、自社の中で同じ意味で使い続け、実際の行動につなげることが何よりも大切です。

また、パーパス・バリューは掲げるだけでは意味がなく、組織に浸透させて初めて価値を発揮します。
シンプルで分かりやすい言葉で表現し、日々の意思決定や行動の中で活用される状態を目指しましょう。

本記事の内容を参考に、自社にとって最適なかたちでパーパス・バリューを整理し、組織の成長につなげていきましょう。

MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

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