スタートアップにミッション・ビジョン・バリューは必要!事例50選や作り方まで解説

スタートアップにミッション・ビジョン・バリューは必要!事例50選や作り方まで解説

ミッション(果たすべき使命)、ビジョン(将来の理想的な姿)、バリュー(大切にしたい価値観)。
これらは頭文字をとってMVVと呼ばれ、企業の目指す先とそこに至る方法を示します。

そして、MVVが企業内外での共通言語となり、企業の成長ドライバーとして機能してくれます。
誰もが知る大企業であれば、MVVを備えていない企業はほとんどないでしょう。

しかし、これらは本当にスタートアップにとって必要なのでしょうか。

本記事では、ミッション・ビジョン・バリューの必要性について、スタートアップ目線で整理していきます。
事例50選や作り方はもちろん、近年注目される概念であるパーパスとの違いなどについても解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

スタートアップにおけるミッション・ビジョン・バリューとは

スタートアップにとって、ミッション・ビジョン・バリューが必要なのかを判断するためには、そもそもミッション・ビジョン・バリューがどのような意味を持つのかを理解する必要があります。

ミッション・ビジョン・バリューを一言で述べるのであれば、「企業の目指す先とそこに至る方法」です。
本章では、各概念の定義について簡単に触れておきます。

ミッションとは

ミッションは「果たすべき使命」と訳され、企業として進んでいく方向を示してくれます。
スタートアップが何のために創業され、何をゴールに活動していくのかと言い換えてもよいでしょう。

例:世界中の知識を、言語や環境を問わず誰もがアクセスできる形にする

ビジョンとは

ビジョンは「将来の理想的な姿」と訳され、企業として進む先に具体性を与えてくれる効果があります。
ミッションだけでは遠い未来すぎて抽象的となり、誰かをワクワクさせることが難しくなる傾向にあります。しかし、ビジョンがあればより一層手触り感のある将来を描くことができ、スタートアップに活力を与えてくれます。

例:一人ひとりの学びの履歴と興味に基づき、最適な本や教材が自動的に届く社会を実現する

バリューとは

バリューは「大切にしたい価値観」と訳され、ミッションやビジョンを成し遂げるために守るべきルールを示します。
目指す先だけ示されても、どのようにたどり着けばいいか分かりません。バリューを通してスタートアップにルールを与えることで、組織がより効率的に進むことができるようになります。

例:①学び手中心のサービス設計、②知の多様性を尊重、③常に成長し続ける姿勢

近年注目されているパーパスとは

ミッション・ビジョン・バリューに加え、近年よく聞く概念でもあるパーパスについても補足しておきましょう。

パーパスは「存在意義」と訳され、スタートアップとして何を目的として存在しているのかを示します。
そして、勘のよい方は気がついたかもしれませんが、ミッション(果たすべき使命)と極めて近しい概念でもあります。

両者の厳密な違いを整理すると、パーパスは「私たちは〇〇するためにある」というかたちで内的動機(自分のうちから湧き上がってくる動機)をもとに定められるものであり、ミッションは「私たちは〇〇しなくてはならない」というかたちで外的動機(外部からの要請)をもとに定められるものです。

しかしながら、実際の使われ方としては、ミッションを存在意義として定義し、内的動機を表現している企業も数え切れないほどあります。
あるいは、ミッションとパーパスを両方掲げている企業や、いずれかだけ掲げている企業、別の表現を採用している企業もある状態です。

そのため、パーパス(存在意義)とミッション(果たすべき使命)はおおよそ同義であり、両方ともスタートアップとして目指す先を示すと考えておけばいいでしょう。

なお、本記事では、この後ミッション・ビジョン・バリューという言葉が度々登場しますが、それらにはパーパスも含まれると理解して読み進めてください。

今回ご紹介したミッションとパーパスの正確な違いも含め、ミッション・ビジョン・バリューやパーパスについて基本から詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

スタートアップにミッション・ビジョン・バリューが必要な理由

ここまでで、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に関する基本的な知識は身につけることができました。
ここからは、これらの考え方がスタートアップにとって必要となる理由について見ていきます。

まず、ミッション・ビジョン・バリューの必要性が高まっている背景として、経営を取り巻く時代変化があります。
具体的には、「利益最大化を目指す時代」であったこれまでの経営が、社会や環境の変化によって「社会的意義や信頼を軸にした経営が求められる時代」に変わっていきました。

ミッション・ビジョン・バリューはこのような時代において、スタートアップとしてどのような価値を提供し、社会に還元していくのかを社内外に示す手段として重要視されているわけです。

しかし、スタートアップの目線に立つと、次のような声がよく挙がってくるのも事実です。

スタートアップから寄せられるミッション・ビジョン・バリューに対する疑問・不満
そもそもMVVは大企業にしか必要ない
うちは一人社長/小規模組織だから関係ない
スタートアップは少人数の組織なので、MVVがなくても対話だけで問題を解消できる
MVVを押し付けることで、社員の自発的な行動がなくなったり、モチベーションの低下につながる

このような意見は十分に理解できますが、それでもスタートアップにとってミッション・ビジョン・バリューは極めて重要な存在であり、きちんと策定のうえ、社内に浸透させるべきだと言うことができます。

その理由は、スタートアップがミッション・ビジョン・バリューを定めることで、①企業としての「ゴール」がブレなくなる、②ゴールにたどり着くための「文化」が生まれる、③成長初期だからこそ「浸透」しやすい、という3つの理由に集約されます。

この後は、各理由について詳しく見ていきます。

理由①:企業としての「ゴール」がブレなくなる

まず、スタートアップがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を導入すると、事業推進のなかで進むべき方向を間違えなくなります。

スタートアップは企業としての土台が定まっていないからこそ、日々試行錯誤の連続です。
この事業で完璧だと思っていてもピボット(事業転換)する必要が生じたり、資金調達や競合動向に合わせて柔軟な対応を求められたりといった具合です。

この道中において、ミッション・ビジョン・バリューが定まっていれば、やるべきこと・やらないことが即座に判断でき、結果としてリソースの分散や無駄な方向転換を防ぐことができます。

特に、スタートアップは余計なしがらみがないからこそ何でもできてしまうため、「やってみたけど本当にこれでいいのか」という状況に陥りがちです。
こうした事態を避けるために、ミッション・ビジョン・バリューは大きな役割を担ってくれます。

理由②:ゴールにたどり着くために必要な「文化」が生まれる

次に、スタートアップがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を導入すると、これまで個人の集まりであった組織が、ゴールにたどり着くための共通言語を持った組織へと生まれ変わります。

そもそも組織とは「複数の人が、共通の目的を達成するために、役割分担やルールのもとで協働している集団」として定義されますが、スタートアップにとっては「個人の集合体」という認識のほうが強いのではないでしょうか。

このような中、ミッション・ビジョン・バリューを通じてゴールや大切にしたい価値観を明示・浸透させることができれば、組織はより強力な推進力を得ることができます。

あえて策定しないことで各人に自由意思を与え、モチベーションを高く事業を進めることもできますが、それではあらゆる意思決定のたびに役員陣が「会社としてOKか」を確認・承認する必要が生じ、ゴール達成に向けて極めて非効率になります。

ミッション・ビジョン・バリューを備えつつ、各個人のモチベーションを最大化するための仕組みづくりを行っていくほうが、組織としての強みを最大限発揮できるようになるはずです。

理由③:成長初期だからこそ「浸透」しやすい

ここまでさまざまな内容を述べてきましたが、正直に申し上げてMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)がなくても、組織の初期段階である従業員数が10~20名程度までは、創業者や役員陣が従業員との対話を繰り返すことで組織として上手に機能させることは可能かもしれません。

一方、スタートアップとしてさらなる組織拡大を行い、社会に貢献していくことを志すのであれば、初期段階でミッション・ビジョン・バリューを策定のうえ、浸透に努めることをおすすめします。

大企業など既に特有の色がついてしまっている組織を変える労力は極めて大きいです。
多くの大企業のケースでは、作成したミッション・ビジョン・バリューを組織に浸透させるまでは3年前後かかることが多いです。

一方、スタートアップは良い意味で「白紙」の状態であり、どのような色にも染まることができます。
組織が小さい段階でミッション・ビジョン・バリューの策定および浸透に取り組み、今のうちから同じ方向を、同じ考え方で目指すことができる組織を作るべきです。

スタートアップのミッション・ビジョン・バリューの事例

ここまでの説明で、スタートアップであってもMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定すべきであることがお分かりいただけたかと思います。

そのうえで、本章では実際に有名スタートアップがどのようなミッション・ビジョン・バリューを掲げているのか見ていきましょう。

各社ともシンプルなメッセージが多く、かつMVVという概念を自分たちで上手に解釈して、アレンジしているのが分かるはずです。

最初は小さかったスタートアップも、MVVを成長ドライバーとして、誰もが知る企業にまで成長しました。
ぜひ、あなたのスタートアップのMVVを決める参考にしてください。

note

企業概要
クリエイターがコンテンツを自由に発信・販売できる場を提供。企業や自治体の情報発信にも活用され、コミュニティ形成やブランド構築を後押し。

ミッション
(Mission)
だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。
ビジョン
(Vision)
noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる。
バリュー
(Value)
・クリエイター視点で考えよう / Creator First
・多様性を後押ししよう / Promote Diversity
・クリエイティブでいこう / Be Creative
・つねにリーダーシップを / Leadership
・すばやく試そう / Try First
・おおきな視点で考えよう / Think Big

理念の解説
大きなミッション、より具体的なビジョン、そしてそれを実現するための明確なバリューという構成が分かりやすいです。

出所:同社HPより抜粋

出前館

企業概要
国内フードデリバリーの草分け的存在。加盟店・配達員ネットワークを拡大し、地域飲食店の販路拡大と消費者利便性向上を両立。

ミッション
(Mission)
テクノロジーで時間価値を高める
ビジョン
(Vision)
地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ
バリュー
(Value)
・ホスピタリティ(おもてなし)
・チャレンジ(挑戦)
・クリエイティビティ(創造)

理念の解説
短くシンプルなMVVです。出前なので食事をテーマにしたMVVかと思いきや、テクノロジーや時間価値といった幅広いテーマを扱っている点も面白いです。

出所:同社HPより抜粋

ランサーズ

企業概要
フリーランス人材と企業をつなぐオンラインプラットフォーム。業務委託、クラウドソーシング、スキルマッチングなど多様な契約形態に対応。

ミッション
(Mission)
個のエンパワーメント
ビジョン
(Vision)
For Business
10x your business with Lancers
すべてのビジネスを「ランサーの力」で前進させる

For Individual
Be your own boss with Lancers
誰もが自分らしく才能を発揮し、「誰かのプロ」になれる社会をつくる
バリュー
(Value)
・すべてはユーザーのために
・101をやり切る
・あるべきで考え、大胆に行動する
・アクション・アジャイル
・チームクリエイター

理念の解説
ランサーズのビジョンは、「For Business」と「For Individual」という2つに分けている点がユニークです。

出所:同社HPより抜粋

Sansan

企業概要
名刺データを企業の営業資産に変えるクラウドサービスを展開。AI解析で顧客接点を可視化し、営業効率を向上。

ミッション
(Mission)
出会いからイノベーションを生み出す
ビジョン
(Vision)
ビジネスインフラになる
バリュー
(Value)
・仕事に向き合い、情熱を注ぐ
・Lead the customer
・体験を想像する
・意思と意図をもって判断する
・最速を目指す
・グロースマインドセット
・感謝と感激を大切にする
・変化を恐れず、挑戦していく

理念の解説
シンプルなミッション・ビジョンを備えつつ、バリューが多数存在することで組織として大切にしている価値観が伝わってきます。またこれら以外にも前提条件「Premise」として、「セキュリティと利便性を両立させる」を掲げています。

出所:同社HPより抜粋

タイミー

企業概要
短時間勤務と即日報酬を可能にするスキマバイトアプリを提供。人手不足の解消と柔軟な働き方の実現を同時に推進。

ミッション
(Mission)
一人ひとりの時間を豊かに
ビジョン
(Vision)
「はたらく」を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる
バリュー
(Value)
・理想ファースト
前提にとらわれず、あるべき姿から逆算し更なる高みを目指そう

・オールスクラム
自身の責務を果たすだけでなく、チームや会社の成功にも全力を注ごう

・バトンツナギ
できたことは仕組み化し、未来のタイミーを強くしよう

・やっていき
失敗を恐れず、大胆に挑戦し泥臭くやりぬこう

理念の解説
スキマ時間を活用した新しい働き方を提供するタイミーを体現したMVVです。

出所:同社HPより抜粋

ココナラ

企業概要
デザイン、占い、ビジネス相談など幅広いスキルを個人間で取引できるスキルマーケットを運営。個人が活躍できる経済圏を形成。

ミッション
(Mission)
一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる
ビジョン
(Vision)
個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する。
バリュー
(Value)
・One Team, for Mission
・Beyond Borders
・Fairness Mind

理念の解説
何よりも個人を大切にするという同社の事業や、大切にしたい思いが伝わってきます。

出所:同社HPより抜粋

メルカリ

企業概要
フリマアプリを中心にCtoC取引を活性化。キャッシュレス決済「メルペイ」や物流サービス「メルカリポスト」で利用体験を改善。リユース文化を浸透させ、循環型経済の発展に寄与。

ミッション
(Mission)
あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる
Circulate all forms of value to unleash the potential in all people
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・Go Bold 大胆にやろう
・All for One 全ては成功のために
・Be a Pro プロフェッショナルであれ
・Move Fast はやく動く

理念の解説
メルカリはバリューだけではなく、「Our Foundations ファンデーション」として、Sustainability・Inclusion & Diversity・Trust & Openness・Customer Perspectiveを掲げています。
意識的であることによって発揮されるバリューに対し、ファンデーションは特定の一人ではなく組織全体で育み、大切にする空気のようなものと定義しています。

出所:同社HPより抜粋

SmartHR

企業概要
クラウド人事労務ソフトを提供し、入社手続き、勤怠、給与計算、法定帳票作成を一元管理。人事データを分析し、従業員体験の向上や戦略人事の実現を支援。

ミッション
(Mission)
well- working
労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・まずやってみる人がカッコイイ
・人が欲しいものを超えよう
・ためらう時こそ口にしよう

理念の解説
SmartHRは、分かりやすいミッションやバリューを策定するだけではなく、より一層社内に浸透するようにバリューを体現したロゴも作成しています。ぜひご覧になってみてください。

出所:同社HPより抜粋

その他スタートアップの事例一覧

なお、本記事では代表的なスタートアップの事例のみご紹介させていただきました。
大企業やパーパスを組み合わせた企業など、他にも事例を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

スタートアップにおけるミッション・ビジョン・バリューの作り方

それでは、実際にスタートアップがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成する際は、どのように取り組んでいく必要があるのでしょうか。

ここでは、作成に必要な5つのステップを、スタートアップ目線で解説していきます。
プロジェクトを発足して現状整理し、あるべき方向性を策定のうえミッション・ビジョン・バリューに落とし込み、社内に浸透させていくという基本の流れを理解していきましょう。

①プロジェクトの発足・活動準備

まずはミッション・ビジョン・バリューの作成に必要な準備を行います。
活動目的を明確化し、プロジェクトチームを組成したうえで、MVVに対する基礎知識を身につけておきましょう。

20名以下のスタートアップであれば全員を巻き込んでプロジェクトを開始しましょう。
こうすることで、全員が納得でき、意識・行動の変化に直結するようなMVVを作り上げることができます。

また、1人社長であれば1人で作成しても構いません。
20名より多ければ、中核メンバーのみで素案を作成し、その後に全社員に対して投票を依頼して最終決定するなど、可能な限り全員を巻き込んだ検討が欠かせません。

②現状の整理

自社の置かれている現状を正しく理解できなければ、この先どこに進んでいくべきかも分かりません。
そのため、ここでは社員アンケートや関係者ヒアリング、市場・競合・自社調査などを通じて、自社が現在どのような立ち位置にあるのかを整理していきます。

市場からは何を求められているのか、競合のミッション・ビジョン・バリューはどのようなものなのか、自社内ではどのようなことが大切にされているのか、といった情報を整理していきましょう。

③あるべき方向性の策定

多くの場合、すぐにミッション・ビジョン・バリューを作成してしまうケースが多いですが、それではうまく作成することができません。
まずは、「どのような言葉にするか」ではなく、「どのような中身にすべきか」という方向性の議論から始めることが近道です。

現状の整理を踏まえて、スタートアップとして何を目指していきたいのか、その際に守るべきルールは何なのかを、キーワードレベルで落とし込んでいきましょう。

④MVVの策定

スタートアップとしての方向性が定まれば、やっとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成することができます。
あるべき方向性の検討で登場したキーワードを組み合わせ、3案程度のMVVを決め、最終的な1案に絞り込んで社内外に公表しましょう。

MVVは作ること自体が目的ではなく、社内に浸透させ、社員の意識・行動を変えることが目的です。
そのため、MVVの作成においてはできる限り多くの社員を巻き込み、当事者意識を醸成することがポイントになります。

⑤MVVの浸透施策の企画・実行

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、作成して終わりではなく、むしろここからが本番です。
作成したMVVをどのように社内に浸透させていくかという施策を企画し、計画的に実行していきましょう。

社員アンケートを通じて、きちんと浸透しているかを定点観測することも効果的です。

ミッション・ビジョン・バリューの作成方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

スタートアップにおけるよくある失敗・予防策(策定編)

ここまでで、スタートアップにとって、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)がどれほど大切であり、どのように作成していけばいいか分かりました。

スタートアップこそ、ミッション・ビジョン・バリューを策定・浸透させる必要があります。
しかし、それは簡単な取り組みではなく、スタートアップが陥りがちな罠がいくつも存在します。

本章ではミッション・ビジョン・バリューの策定時におけるよくある失敗を3つ、次章では浸透時におけるよくある失敗を2つご紹介します。
それぞれ、予防策もあわせてご紹介しておりますので、MVVの策定・浸透に取り組む際は注意してください。

まずは、策定時における失敗・予防策から見ていきましょう。

①経営陣だけで作成する

【よくある失敗】経営陣だけで策定した結果、従業員の共感が得られない。
【予防策】従業員も巻き込んで策定せよ!

創業したばかりで数名の組織であれば全員でMVVを策定すればよいですが、20名以上の規模になってくるとなかなか難しくなってしまいます。
しかしながら、このような場合でも、ワークショップ形式で全社員に参加してもらい、全員で一緒に策定することをおすすめします。

確かに参加人数が多くなればなるほど策定の手間も大きくなってしまいますが、何よりも重要なことは、従業員全員がMVVに対して納得感を持つことです。
納得感を持ってくれなければ、誰も行動に移してくれません。

その点に関して、ワークショップなどを通して全社員参加型でMVVを策定できれば、「自分も関与したMVV」として社員が自分事として受け止めてくれ、結果として行動に直結させることができます。

②複雑で覚えられない

【よくある失敗】言葉が分かりにくく複雑で覚えられない。
【予防策】シンプルで覚えやすい言葉を、できる限り少数項目で掲げよ!

スタートアップは事業に対する思いがあまりにも強いため、策定されるMVVの内容が長く複雑になる傾向があります。

しかしながら、MVVの目的は策定そのものではなく、社内に思いを浸透させて「行動」に繋げることです。
そのため、強い思いを凝縮して、誰でも分かりやすく、シンプルで覚えやすい内容にしましょう。

特に、バリュー(大切にしたい価値観)の数は多くなりがちですが、できれば3個程度、多くとも5~6個までにしておきましょう。

③事業との関連性・具体性がない

【よくある失敗】策定した文章が事業内容や顧客価値と乖離している。
【予防策】文章は事業内容や顧客価値との関連性・具体性を持たせよ!

スタートアップとして大きな夢を描くあまり、自分たちの事業や顧客から遠い内容を策定してしまうケースも散見されます。

例えば、チョコレートメーカーが「世界を幸せにする」というミッションを掲げたとしても、抽象的過ぎて腹落ち感がありません。
一方、「生産者・購買者の双方をフェアにつなげ、先進国から発展途上国のテーブルすべてを美味しいチョコレートで満たす」というミッションを見ると、少しワクワクしないでしょうか。

このように、事業との関連性・具体性を担保した文章にすることで、社内外にとって腹落ち感のある、つまり行動につながるMVVにすることができます。

スタートアップにおけるよくある失敗・予防策(浸透編)

次に、浸透時の失敗・予防策をご紹介します。

本記事では何度も言葉にしていますが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の肝は「浸透」にあります。
お飾りのMVVを掲げ、社員から落胆させる内容にしないためにも、全力で浸透活動に取り組むようにしましょう。

①浸透させるための言動がない

【よくある失敗】浸透を促すような言動がない。
【予防策】策定内容を体現するような言動を実践せよ!

MVVに関して、最もよく見られる過ちが「策定して終わり」になってしまっていることです。

例えば、あなたが所属するスタートアップでMVVの策定ワークショップが開かれ、代表から「本日策定したMVVを実践してください!」と言われたとしましょう。
そして、その後1年間、代表からMVVについて一切言及がなければ、あなたはMVVという存在自体を忘れて実践することもなくなるでしょう。

このような状況を避けるためにも、経営陣が中心となって事あるごとにMVVの実践について叫び、社員に浸透させていく必要があるのです。
例えば最近では、TeamsやSlackの絵文字に自社のMVVを盛り込むという面白い事例も増えています。

②制度に落とし込まれていない

【よくある失敗】浸透を促すような制度に落とし込まれていない。
【予防策】採用制度・評価制度・表彰制度などに落とし込め!

策定したMVVを浸透させるための方法として、経営陣が毎日の言葉・行動で示していくということも非常に重要ですが、それだけでは不十分です。
きちんと社内の制度に落とし込んでこそ、仕組み化されて社内に浸透していきます。

具体的には、採用時の評価項目にMVVとの合致性を設け、質疑応答でMVVへの共感を問うことなどが挙げられます。
他にも、定期的な社員評価においてMVVの実践度合いを問い、いかに好成績であろうともMVVの実践度合いが低い者に対しては、低い評価を付けるといったことも有効な手段です。
あるいは、年に1度の表彰制度を始めて、MVVに最も合致した行動をとった方を表彰してもよいでしょう。

このように、制度面でもMVVの浸透を促す工夫をすることで、かたちだけの標語にならない、意味あるMVVに昇華させることができます。

なお、ミッション・ビジョン・バリューの浸透施策について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ|スタートアップもミッション・ビジョン・バリューは必要

スタートアップにとってMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、単なるお飾りではなく、企業の成長を導いてくれる羅針盤です。

スタートアップとして目指す先を示すことで、日々の意思決定や行動の基準が定まり、創業期特有のスピード感を保ちながらも、一貫性のある成長が可能になります。
さらに、MVVに共感した仲間が集まることで文化が形成され、組織としての結束力や推進力も高まります。

創業初期は規模が小さいためMVVを浸透させやすく、後の急成長フェーズにおいてMVVを作成することと比較して、極めてスムーズにあるべき組織を形成することができます。
だからこそ、スタートアップは早期の段階でMVVを策定し、制度や日常の行動に組み込むことで、長期的かつ持続可能な成長への土台を築くことが必要です。

「うちはスタートアップだから関係ない」ではなく「スタートアップだからこそ、ミッション・ビジョン・バリューを早期に策定・浸透させなければいけない」というマインドで、組織の成長を実現していきましょう。

もし、MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

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