本記事では、「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を整理したい」「自社の理念を再定義したい」「他社の事例を参考にしたい」という方に向けて、有名企業が公開しているMVVの企業例を集めました。
MVVは企業ごとに定義や表現方法が異なり、組み合わせにも独自性があります。
ここで紹介する事例を比較することで、各社がどのように理念を設計し、経営や日常の行動に結びつけているかを理解できるようになるはずです。
MVVに関する基本的な知識もご紹介しておりますので、事例を先に見たい方は目次を参照してください。
本記事でMVVについて学び、自社でMVVを検討・見直す際のヒントとして活用していきましょう。
なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定
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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?
まず、企業例を紹介する前にMVVの定義を整理しておきましょう。
一言で表すと、ミッションは「果たすべき使命」、ビジョンは「将来の理想的な姿」、バリューは「大切にしたい価値観」を指します。
大きな時間軸で考えると、遠い未来にミッションがあり、そのミッションをより具体的に描いた近い将来像がビジョンです。そして、それらを実現するための判断基準や行動原則がバリューと言い換えると理解しやすいです。
もう少しだけ詳しく見ていきましょう。

ミッションとは「果たすべき使命」
ミッションは、果たすべき使命と訳され、「私たちが果たすべきことは何か?」という問いに対する答えと言うことができます。
例えば、とある投資案件が短期的に収益は見込まれないような場合でも、自社のミッションに整合する場合は投資が実行され、その反対にミッションに整合しない案件は投資が実行されません。
このようにミッションが明確であれば、自社で意思決定・行動する際の判断基準がブレなくなります。
そして、ゴールに向かってブレなく進むことができれば、組織全体での推進力が生まれます。
ビジョンとは「将来の理想的な姿」
ビジョンは、将来の理想的な姿と訳され、「私たちはどのような姿になっていないといけないのか?」という問いに対する答えと言うことができます。
ミッションは自分たちのあらゆる判断の拠り所でしたが、これだけでは抽象的すぎて何を目指すべきか分かりません。
しかし、ミッションを踏まえて、一層具体的なビジョンを定義してあげると、自分たちの意思決定・行動の一つ一つがどこに向かうための取り組みであるかが明確になります。
バリューとは「大切にしたい価値観」
バリューは、大切にしたい価値観と訳され、「ゴールを実現するうえで守るべきことは何か?」という問いに対する答えと言うことができます。
ミッションやビジョンといった目指す先を示すだけでは、何よりも大切な実現につながりません。そして、実現に向けては「行動」を変えてこそ意味があるのです。
組織に属するメンバーの行動を変え、実現に向けて最大効率で組織を機能させるための指針がバリューになります。
パーパス(存在意義)とミッション(果たすべき使命)はおおよそ同義
そして、最後によく混同される概念であるパーパ勘のよいても整理しておきます。
まず、パーパスは存在意義と訳され、「私たちは何のために存在するのか」という問いに対する答えと言うことができます。
ここで勘のよい方は、パーパス(存在意義)とミッション(果たすべき使命)の違いは何かと思ったかもしれません。
そして結論を述べると、両者はわずかな違いはあっても、多くの場合は同義として使用されると考えて問題ありません。
事実として、MVVやパーパスの解釈は企業によってさまざまであり、定義はあくまでも目安として考えるべきです。
MVVに唯一の正解はなく、各社が自社らしい形を模索していると言い換えてもよいかもしれません。
そのため、あなたの場合においても、変にMVV・パーパスという言葉や定義にこだわる必要は一切なく、この後紹介する企業例を踏まえながら、自分らしいMVV・パーパスを考えてみてください。

なお、ミッションとパーパスの厳密な違いについてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はご覧ください。
MVVやパーパスが必要な理由・メリット
ここまでMVVやパーパスに触れてきましたが、そもそもなぜMVVやパーパスを作る必要があるのでしょうか。
簡潔に述べると、その答えは「企業が成長していくための羅針盤になるから」です。
MVVやパーパスという共通ゴールがあるからこそ、組織は全員が同じゴールに向かって、同じ方法で進んでいくことができます。
しかし、MVVやパーパスがなければ、共通言語が失われ、全員が異なるゴールに向かっていってしまいます。
このような構造から、企業成長を実現して社会に価値を提供するためにも、MVVやパーパスは必要になるのです。

MVVの型
さて、MVVに唯一の正解は存在しませんが、実際は企業ごとに多様な組み合わせで活用されています。
重要なのは、目指すべき方向とそこに到達するための道筋を、誰にでも理解できる形で示すことです。
言葉にはこだわりすぎず、自社の文化や事業に合った形でMVVを設計することがポイントとなります。
MVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)
最も一般的な構成です。使命、将来像、価値観をそれぞれ明確に言語化しており、目指す先が抽象的になってしまうことを避けるために、ビジョンを組み合わせたい方におすすめです。
VMV型(ビジョン・ミッション・バリュー型)
ビジョンを先に示し、ミッションをその達成手段として位置付ける構成です。基本的な考え方はMVV型と変わりませんが、具体的な将来像を特に強調したい方におすすめです。
MV型(ミッション・バリュー型)
使命と価値観のみを定義するシンプルな構成です。果たすべき役割を全面に出してバリューのみを組み合わせているため、説明重視ではなく分かりやすさを重視したい方におすすめです。
VV型(ビジョン・バリュー型)
将来像と価値観だけを示す構成です。これもMV型と基本的な考え方は同じですが、将来の理想的な姿を全面に出しつつ、分かりやすさを重視したい方におすすめです。
理念を明示しないケース
実は、明確なMVVを設定していない企業も存在します。経営者の言葉や事業戦略を通して方向性を示している場合もあり、何かしらの強い意思があれば採用し得る例外的な事例です。

ちなみに、今回はMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に絞って解説させていただきましたが、パーパスを含めた型や事例についても知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
企業例:MVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)
ここからは、実際の事例を見ていきましょう。
MVV型は最も一般的な構成です。使命、将来像、価値観をそれぞれ明確に言語化しており、目指す先が抽象的になってしまうことを避けるために、ビジョンを組み合わせたい方におすすめです。
トヨタ自動車
企業概要
世界トップクラスの自動車メーカー。次世代モビリティの社会実装を目指し、EV、燃料電池車、自動運転など新技術開発に積極投資。交通安全やカーボンニュートラルにも注力し、移動体験そのものの革新を狙う。
| ミッション (Mission) | わたしたちは、幸せを量産する。 だから、ひとの幸せについて深く考える。 だから、より良いものをより安くつくる。 だから、1秒1円にこだわる。 だから、くふうと努力を惜しまない。 だから、常識と過去にとらわれない。 だから、この仕事は限りなくひろがっていく。 | ||
| ビジョン (Vision) | 可動性を社会の可能性に変える。 不確実で多様化する世界において、トヨタは人とモノの「可動性」=移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることをふやす。そして、人類と地球の持続可能な共生を実現する。 | ||
| バリュー (Value) | トヨタウェイ ソフトとハードを融合し、パートナーとともにトヨタウェイという唯一無二の価値を生み出す。 【ソフト】 よりよい社会を描くイマジネーションと人起点の設計思想。現地現物で本質を見極める。 【ハード】 人とモノの可能性を高める装置。パートナーとともにつくるプラットフォーム。これらをソフトによって柔軟に、迅速に変化させていく。 【パートナー】 ともに幸せをつくる仲間(顧客、社会、コミュニティ、社員、ステークホルダー)を尊重し、それぞれの力を結集する。 | ||
理念の解説
ミッションが「幸せの量産」という大きなテーマでありますが、ビジョンに「可動性」というキーワードを出してトヨタらしさと具体性を出しています。また、トヨタウェイという独自の考え方もユニークです。
出所:同社HPより抜粋
パナソニック ホールディングス
企業概要
暮らしと産業双方に関わる多様な事業ポートフォリオを保有。分社化による意思決定スピードを高め、環境負荷低減やウェルビーイング向上に寄与する製品・サービスを開発。社会課題解決と事業成長の両立を志向。
| ミッション (Mission) | Life tech & ideas 人・社会・地球 を 健やかにする。 | ||
| ビジョン (Vision) | 人を想う技術と創造力でくらしを支えるベストパートナー | ||
| バリュー (Value) | お客様に寄り添い、考え抜きます。 くらしと調和する技術を追求します。 柔軟な発想で、常にオペレーションを進化させます。 | ||
理念の解説
これらのミッション・ビジョン・バリューに、次のような文章も続きます。
人:一人ひとりに寄り添い、その人にあった「くらしの質」の向上
社会:社会活動を維持・向上する安心安全な「くらしインフラ」の提供(空気・水・光・電気・食)
地球:省エネ・資源保全が可能な商品・クリーンエネルギー創出・利活用による脱炭素・循環経済への貢献
出所:同社HPより抜粋
日立製作所
企業概要
社会インフラ、産業機械、ITプラットフォームを統合したソリューションを展開。エネルギー、都市開発、ヘルスケア分野など、幅広い領域まで事業を拡大。グローバル市場で「社会イノベーション企業」を標榜。
| ミッション (Mission) | 優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する | ||
| ビジョン (Vision) | 日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。 | ||
| バリュー (Value) | ・和 ・誠 ・開拓者精神 | ||
理念の解説
日立製作所のMVVは、ミッション(果たすべき使命)とバリュー(ミッション実現のために大切にしていく価値)の後に、ビジョン(これからのあるべき姿)という構成で整理されています。
出所:同社HPより抜粋
楽天グループ
企業概要
オンラインショッピング、金融、通信、デジタルメディアを相互連携させたエコシステム戦略を構築。ポイント経済圏を拡張し、ユーザー接点を最大化。国内外で新領域へ進出し、生活インフラとしての存在感を高める。
| ミッション (Mission) | イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントする | ||
| ビジョン (Vision) | グローバル イノベーション カンパニー | ||
| バリュー (Value) | 楽天主義 楽天グループのあり方を明確にすると同時に、全ての従業員が理解し実行する価値観・行動指針が「楽天主義」です。「ブランドコンセプト」「成功のコンセプト」の2つで構成されています。 【ブランドコンセプト】 ・大義名分 -Empowerment- ・品性高潔 -気高く誇りを持つ- ・用意周到 -プロフェッショナル- ・信念不抜 -GET THINGS DONE- ・一致団結 -チームとして成功を掴む- 【成功のコンセプト】 ・常に改善、常に前進 ・Professionalismの徹底 ・仮説→実行→検証→仕組化 ・顧客満足の最大化 ・スピード!!スピード!!スピード!! | ||
理念の解説
楽天主義というバリューを、ブランドコンセプトと成功のコンセプトという2つで構成している点が特徴的です。
ミッション・ビジョンもシンプルで分かりやすいです。
出所:同社HPより抜粋
ソフトバンクグループ
企業概要
通信と投資の二本柱で成長。AI群戦略を掲げ、ロボティクス、IoT、自動運転など次世代産業に出資・育成。長期視点の資本政策とスピード経営でテクノロジー主導の産業変革をリード。
| ミッション (Mission) | 情報革命で人々を幸せに | ||
| ビジョン (Vision) | 世界の人々から最も必要とされる企業グループ | ||
| バリュー (Value) | ・No.1 ・挑戦 ・逆算 ・スピード ・執念 | ||
理念の解説
ソフトバンクは、ミッションを「理念」という言葉で表現しており、その下にビジョンがあります。
また、ビジョンの下には「戦略」があり、各概念がきちんと整理されているのが分かります。
出所:同社HPより抜粋
キリンホールディングス
企業概要
飲料・医薬・バイオ領域でポートフォリオを展開。健康志向の高まりに対応し、機能性飲料や食品を強化。持続可能な社会実現に向け、原料調達から製造・販売まで環境配慮を徹底。
| ミッション (Mission) | キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します | ||
| ビジョン (Vision) | 食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる ※2027年の目指す姿:ビジョン | ||
| バリュー (Value) | 熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉 | ||
理念の解説
キリンでは、ビジョンを都度都度更新しており、「2027年の目指す姿:ビジョン」を設計しています。
MVV、特にビジョンは策定して終わりではなく、時代に合わせてアップデートすることも多々あります。
出所:同社HPより抜粋
全日本空輸(ANA)
企業概要
国内最大の航空ネットワークを運営。安全運航と顧客満足を最優先に、ラウンジやデジタルサービスまでを設計。国際線拡充とアライアンス活用でグローバルを強化。
| ミッション (Mission) | 安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します | ||
| ビジョン (Vision) | ワクワクで満たされる世界を 私たちは、空からはじまる多様なつながりを創り、社員・お客様・社会の可能性を広げていきます。 | ||
| バリュー (Value) | ・安全(Safety) 安全こそ経営の基盤、守り続けます。 ・お客様視点(Customer Orientation) 常にお客様の視点に立って、最高の価値を生み出します。 ・社会への責任(Social Responsibility) 誠実かつ公正に、より良い社会に貢献します。 ・チームスピリット(Team Spirit) 多様性を活かし、真摯に議論し一致して行動します。 ・努力と挑戦(Endeavor) グローバルな視野を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦します。 | ||
理念の解説
ANAは「グループ経営理念」と称してミッションを、「グループ経営ビジョン」と称してビジョンを、「グループ行動指針」としてバリューを制定しています。
また、ANA創立70周年を機に、経営ビジョンを刷新しています。
出所:同社HPより抜粋
note
企業概要
クリエイターがコンテンツを自由に発信・販売できる場を提供。企業や自治体の情報発信にも活用され、コミュニティ形成やブランド構築を後押し。
| ミッション (Mission) | だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。 | ||
| ビジョン (Vision) | noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる。 | ||
| バリュー (Value) | ・クリエイター視点で考えよう / Creator First ・多様性を後押ししよう / Promote Diversity ・クリエイティブでいこう / Be Creative ・つねにリーダーシップを / Leadership ・すばやく試そう / Try First ・おおきな視点で考えよう / Think Big | ||
理念の解説
大きなミッション、より具体的なビジョン、そしてそれを実現するための明確なバリューという構成が分かりやすいです。
出所:同社HPより抜粋
デジタル庁
企業概要
行政手続きや社会インフラのデジタル基盤整備を担う行政機関。官民データ連携やマイナンバー活用を進め、国民視点で利便性と透明性を高める政策を推進。
| ミッション (Mission) | 誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。 | ||
| ビジョン (Vision) | ・優しいサービスのつくり手へ。 ・大胆に革新していく行政へ。 | ||
| バリュー (Value) | ・一人ひとりのために ・常に目的を問い ・あらゆる立場を超えて ・成果への挑戦を続けます | ||
理念の解説
政府機関らしく、全国民のことを考え抜いたMVVであると感じられます。一方、デジタル関連の取り組みを行っているゆえか、先進的な印象も受けます。
出所:同社HPより抜粋
三井物産
企業概要
世界規模で事業投資を行う総合商社。食料、金属、機械、ICTなど多岐にわたる分野で事業開発を推進。GX(グリーントランスフォーメーション)やサステナビリティを重要テーマに据える。
| ミッション (Mission) | 世界中の未来をつくる 大切な地球と人びとの、豊かで夢あふれる明日を実現します。 | ||
| ビジョン (Vision) | 360° business innovators 一人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループ。 | ||
| バリュー (Value) | ・変革を行動で ・多様性を力に ・個から成長を ・真摯に誠実に | ||
理念の解説
総合商社と聞くと少し保守的な印象を受けますが、三井物産のMVVは革新的な印象を与えてくれます。
出所:同社HPより抜粋
弥生
企業概要
中小企業や個人事業主向けに会計・給与・請求クラウドを提供。金融機関連携や確定申告支援機能を拡充し、経理負担を軽減するソリューションを展開。
| ミッション (Mission) | 日本の中小企業、個人事業主、起業家の事業を支える社会的基盤(インフラ)として、日本の発展に能動的に貢献します | ||
| ビジョン (Vision) | 共有・共生・共創の力を活かし、お客さまの事業の立上げと発展の過程で生まれるあらゆるニーズにお応えする「事業コンシェルジュ」 | ||
| バリュー (Value) | ・お客さまの夢のために お客さまの夢を実現するために、お客さまの立場に立ち、弥生がやるべきことを真摯に考え、着実に実行します ・チーム弥生として よりよいソフトウェアとサービスを提供するために、個々が尊重しあい、皆の力を融合したチーム弥生として、チャレンジし続けます ・末長いお付き合いを 共生の精神で、想いをともにするすべての方と、末長いお付き合いを目指します | ||
理念の解説
他企業よりも少し長いMVVですが、その分熱い思いが伝わってきます。これもMVVの一つの表現方法でしょう。
出所:同社HPより抜粋
出前館
企業概要
国内フードデリバリーの草分け的存在。加盟店・配達員ネットワークを拡大し、地域飲食店の販路拡大と消費者利便性向上を両立。
| ミッション (Mission) | テクノロジーで時間価値を高める | ||
| ビジョン (Vision) | 地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ | ||
| バリュー (Value) | ・ホスピタリティ(おもてなし) ・チャレンジ(挑戦) ・クリエイティビティ(創造) | ||
理念の解説
短くシンプルなMVVです。出前なので食事をテーマにしたMVVかと思いきや、テクノロジーや時間価値といった幅広いテーマを扱っている点も面白いです。
出所:同社HPより抜粋
ランサーズ
企業概要
フリーランス人材と企業をつなぐオンラインプラットフォーム。業務委託、クラウドソーシング、スキルマッチングなど多様な契約形態に対応。
| ミッション (Mission) | 個のエンパワーメント | ||
| ビジョン (Vision) | For Business 10x your business with Lancers すべてのビジネスを「ランサーの力」で前進させる For Individual Be your own boss with Lancers 誰もが自分らしく才能を発揮し、「誰かのプロ」になれる社会をつくる | ||
| バリュー (Value) | ・すべてはユーザーのために ・101をやり切る ・あるべきで考え、大胆に行動する ・アクション・アジャイル ・チームクリエイター | ||
理念の解説
ランサーズのビジョンは、「For Business」と「For Individual」という2つに分けている点がユニークです。
出所:同社HPより抜粋
DeNA
企業概要
モバイルゲームを主力としながら、スポーツ球団経営、医療ヘルスケア、オートモーティブ領域へ事業多角化。AI活用や研究開発に積極投資。
| ミッション (Mission) | 一人ひとりに想像を超えるDelightを | ||
| ビジョン (Vision) | DeNAは、インターネットやAIを自在に駆使しながら一人ひとりの人生を豊かにするエンターテインメント領域と日々の生活を営む空間と時間をより快適にする社会課題領域の両軸の事業を展開するユニークな特性を生かし挑戦心豊かな社員それぞれの個性を余すことなく発揮することで世界に通用する新しいDelightを提供し続けます | ||
| バリュー (Value) | DeNA Promise あらゆる行動を通じて、社会に約束するDeNAの提供価値 ・プロダクト、サービスへのこだわり ・共存共栄の精神 ・挑戦と誠実さ ・社会の公器にふさわしい透明性 ・多様な社員が活躍し成長する環境作り ・持続可能な企業活動の推進 DeNA Quality DeNAで働くすべての人の日々の行動や判断の拠り所とする、共有の価値観 ・「こと」に向かう ・球の表面積 ・全力コミット ・発言責任・透明性 ・みちのりを楽しもう | ||
理念の解説
DeNAは、バリューを「DeNA Promise」と「DeNA Quality」の2つに分けて表現している点が特徴的です。
出所:同社HPより抜粋
セブンイレブン
企業概要
日常の生活圏に密着した店舗網を展開。消費者ニーズに応える商品開発と物流網を構築し、24時間営業による利便性を提供。
| ミッション (Mission) | 次の便利の扉を開き、世界中に豊かな暮らしを実現する | ||
| ビジョン (Vision) | ・価値ある商品・サービスを通じて、健康な社会を実現する ・地域と共に生きる社会を実現する ・環境に配慮した循環型社会を実現する ・多様な人財が活躍し、幸せな社会を実現する | ||
| バリュー (Value) | ・挑戦・変革 ・自律・自立 ・共創・共感 ・信頼・誠実 ・感謝・貢献 | ||
理念の解説
セブンイレブンは、MVVの他にも「目指す姿」として「明日の笑顔を 共に創る Building a joyful future, together.」を掲げています。
出所:同社HPより抜粋
三井住友フィナンシャルグループ
企業概要
銀行を中核とする総合金融グループ。リスク管理と収益性のバランスを重視し、法人・個人・海外事業の成長を追求。
| ミッション (Mission) | ・お客様に、より一層価値あるサービスを提供し、お客様と共に発展する ・事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る ・勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る ・社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する | ||
| ビジョン (Vision) | 最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー | ||
| バリュー (Value) | ・Integrity ・Customer First ・Proactive&Innovative ・Speed&Quality ・Team“SMBC Group” | ||
理念の解説
金融機関らしく少しお堅めの印象を受けますが、それが誠実さも体現しています。
出所:同社HPより抜粋
Sansan
企業概要
名刺データを企業の営業資産に変えるクラウドサービスを展開。AI解析で顧客接点を可視化し、営業効率を向上。
| ミッション (Mission) | 出会いからイノベーションを生み出す | ||
| ビジョン (Vision) | ビジネスインフラになる | ||
| バリュー (Value) | ・仕事に向き合い、情熱を注ぐ ・Lead the customer ・体験を想像する ・意思と意図をもって判断する ・最速を目指す ・グロースマインドセット ・感謝と感激を大切にする ・変化を恐れず、挑戦していく | ||
理念の解説
シンプルなミッション・ビジョンを備えつつ、バリューが多数存在することで組織として大切にしている価値観が伝わってきます。またこれら以外にも前提条件「Premise」として、「セキュリティと利便性を両立させる」を掲げています。
出所:同社HPより抜粋
企業例:VMV型(ビジョン・ミッション・バリュー型)
ビジョンを先に示し、ミッションをその達成手段として位置付ける構成です。基本的な考え方はMVV型と変わりませんが、具体的な将来像を特に強調したい方におすすめです。
リクルートホールディングス
企業概要
HRテクノロジー、マッチング、投資事業を展開。人と企業の出会いを創出し、社会全体の機会最大化を目指す。
| ビジョン (Vision) | まだ、ここにない、出会い。 より速く、シンプルに、もっと近くに。 | ||
| ミッション (Mission) | Follow Your Heart | ||
| バリュー (Value) | ・新しい価値の創造 / Wow the World ・個の尊重 / Bet on Passion ・社会への貢献 / Prioritize Social Value | ||
理念の解説
リクルートホールディングスのMVVは非常にシンプルで分かりやすい王道の構成になっています。
「まだ、ここにない、出会い。」はCMなどでもよく耳にします。
出所:同社HPより抜粋
タイミー
企業概要
短時間勤務と即日報酬を可能にするスキマバイトアプリを提供。人手不足の解消と柔軟な働き方の実現を同時に推進。
| ビジョン (Vision) | 「はたらく」を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる | ||
| ミッション (Mission) | 一人ひとりの時間を豊かに | ||
| バリュー (Value) | ・理想ファースト 前提にとらわれず、あるべき姿から逆算し更なる高みを目指そう ・オールスクラム 自身の責務を果たすだけでなく、チームや会社の成功にも全力を注ごう ・バトンツナギ できたことは仕組み化し、未来のタイミーを強くしよう ・やっていき 失敗を恐れず、大胆に挑戦し泥臭くやりぬこう | ||
理念の解説
スキマ時間を活用した新しい働き方を提供するタイミーを体現したMVVです。
出所:同社HPより抜粋
ココナラ
企業概要
デザイン、占い、ビジネス相談など幅広いスキルを個人間で取引できるスキルマーケットを運営。個人が活躍できる経済圏を形成。
| ビジョン (Vision) | 個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する。 | ||
| ミッション (Mission) | 一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる | ||
| バリュー (Value) | ・One Team, for Mission ・Beyond Borders ・Fairness Mind | ||
理念の解説
何よりも個人を大切にするという同社の事業や、大切にしたい思いが伝わってきます。
出所:同社HPより抜粋
企業例:MV型(ミッション・バリュー型)
使命と価値観のみを定義するシンプルな構成です。果たすべき役割を全面に出してバリューのみを組み合わせているため、説明重視ではなく分かりやすさを重視したい方におすすめです。
ファーストリテイリング(ユニクロ)
企業概要
ユニクロやGUを展開する世界的アパレル企業。サステナブル素材やサプライチェーン改善に取り組み、服づくりの責任を重視。LifeWearコンセプトを世界に発信し、衣料を通じて社会課題の解決を目指す。
| ミッション (Mission) | ファーストリテイリンググループは 本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します 独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・お客様の立場に立脚 ・革新と挑戦 ・個の尊重、会社と個人の成長 ・正しさへのこだわり | ||
理念の解説
ファーストリテイリングでは、ミッション・バリューに加えて、「ステートメント」や「私の行動規範」も設けています。
このように、MVVに捉われる必要はなく、独自の解釈で目指す先・行動規範を定義することも大正解です。
出所:同社HPより抜粋
資生堂
企業概要
スキンケア、メイク、フレグランスなど幅広いブランドを展開。R&D拠点を世界に持ち、先端技術と美意識を融合した製品を開発。美を通じたウェルビーイングの向上と社会課題解決を掲げる。
| ミッション (Mission) | BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・PEOPLE FIRST ・DIVERSITY ・ART & SCIENCE ・JAPANESE AESTHETICS ・UNCOMPROMISING QUALITY ・OMOTENASHI | ||
理念の解説
資生堂ではバリューを「OUR DNA」と呼称し、それだけではなく「OUR PRINCIPLES (TRUST 8)」として以下の項目を挙げています。
THINK BIG / TAKE RISKS / HANDS ON / COLLABORATE / BE OPEN / ACT WITH INTEGRITY / BE ACCOUNTABLE / APPLAUD SUCCESS
出所:同社HPより抜粋
三菱商事
企業概要
世界六大州に拠点を持つ総合商社。資源・インフラから消費財・食品まで多岐にわたる事業を投資・運営。エネルギー転換、食料安定供給、デジタルプラットフォーム構築を通じて長期的な社会価値創造を志向。
| ミッション (Mission) | 三綱領 ・所期奉公 事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。 ・処事光明 公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。 ・立業貿易 全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。 | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・企業活動の目的 三菱商事は、事業を通じ、企業価値の向上を図るとともに、有用なサービス・商品を安全性にも配慮して創出・提供し、物心共に豊かな社会の実現に努める。 ・公明正大な企業活動 当社は、企業活動の展開に当たり、諸法規、国際的な取決め及び社内規程を遵守するとともに、社会規範に沿った責任ある行動をとる。 ・人権・社員の尊重 当社は、人権を尊重し、差別を行わない。また、人材育成を通じて企業活力の維持・向上を図るとともに、社員の人格・個性を尊重する。 ・情報の管理・公開 当社は、企業情報を適切に管理するとともに、ステークホルダーを含め社会一般からの正しい理解を得、透明性の保持を図るため、情報を適時・適切に公開する。 ・地球環境への配慮 当社は、地球環境に配慮しない企業は存続しえないとの認識に立ち、企業活動のあらゆる面において地球環境の保全に努め、持続可能な発展を目指す。 ・社会貢献活動 当社は、社会の一員として、より良い社会の実現に向けて積極的に社会貢献活動を行う。また、社員による自発的な社会貢献活動を支援する。 | ||
理念の解説
「三綱領」は、1920年の三菱第四代社長岩崎小彌太の訓諭をもとに、1934年に旧三菱商事の行動指針として制定されたものです。歴史ある企業らしく、古くから大切にしている考え方を現代でも適用しています。
出所:同社HPより抜粋
メルカリ
企業概要
フリマアプリを中心にCtoC取引を活性化。キャッシュレス決済「メルペイ」や物流サービス「メルカリポスト」で利用体験を改善。リユース文化を浸透させ、循環型経済の発展に寄与。
| ミッション (Mission) | あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる Circulate all forms of value to unleash the potential in all people | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・Go Bold 大胆にやろう ・All for One 全ては成功のために ・Be a Pro プロフェッショナルであれ ・Move Fast はやく動く | ||
理念の解説
メルカリはバリューだけではなく、「Our Foundations ファンデーション」として、Sustainability・Inclusion & Diversity・Trust & Openness・Customer Perspectiveを掲げています。
意識的であることによって発揮されるバリューに対し、ファンデーションは特定の一人ではなく組織全体で育み、大切にする空気のようなものと定義しています。
出所:同社HPより抜粋
LINEヤフー
企業概要
検索、メッセンジャー、広告、EC、Fintechを統合し、日本最大級のインターネットサービス企業に。生活動線を網羅する多様なサービスでユーザー接点を確保し、データ活用で新価値を創出。
| ミッション (Mission) | 「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。 | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・ユーザーファースト ・やりぬく ・少数精鋭 | ||
理念の解説
ミッションとバリューのシンプルで分かりやすい構成です。またこれらの考え方は、LINEやヤフーに関連するさまざまな企業に共有・実践されています。
出所:同社HPより抜粋
オムロン
企業概要
センシング&コントロール技術を核にFA機器、社会システム、ヘルスケア機器を展開。生産現場の自動化やエネルギー効率改善、予防医療分野で存在感を高める。
| ミッション (Mission) | われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・ソーシャルニーズの創造 私たちは、世に先駆けて新たな価値を創造し続けます。 ・絶えざるチャレンジ 私たちは、失敗を恐れず情熱をもって挑戦し続けます。 ・人間性の尊重 私たちは、誠実であることを誇りとし、人間の可能性を信じ続けます。 | ||
理念の解説
ミッションとバリューのシンプルで分かりやすい構成です。社会に価値を還元しようという、オムロンらしい強い思いを感じさせます。
出所:同社HPより抜粋
SmartHR
企業概要
クラウド人事労務ソフトを提供し、入社手続き、勤怠、給与計算、法定帳票作成を一元管理。人事データを分析し、従業員体験の向上や戦略人事の実現を支援。
| ミッション (Mission) | well- working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。 | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・まずやってみる人がカッコイイ ・人が欲しいものを超えよう ・ためらう時こそ口にしよう | ||
理念の解説
SmartHRは、分かりやすいミッションやバリューを策定するだけではなく、より一層社内に浸透するようにバリューを体現したロゴも作成しています。ぜひご覧になってみてください。
出所:同社HPより抜粋
ブリヂストン
企業概要
世界最大のタイヤメーカー。タイヤの開発・販売に加え、デジタル技術を活用した予防保全やフリートマネジメントを展開。サーキュラーエコノミーを意識した事業モデルを推進。
| ミッション (Mission) | 最高の品質で社会に貢献(Serving Society With Superior Quality) | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | ・誠実協調(Integrity and Teamwork) ・進取独創(Creative Pioneering) ・現物現場(Decision-Making Based on Verified, On-Site Observations) ・熟慮断行(Decisive Action after Thorough Planning) | ||
理念の解説
創業者が社是として制定した「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命として宣言しています。
出所:同社HPより抜粋
企業例:VV型(ビジョン・バリュー型)
将来像と価値観だけを示す構成です。これもMV型と基本的な考え方は同じですが、将来の理想的な姿を全面に出しつつ、分かりやすさを重視したい方におすすめです。
マツリカ
企業概要
営業支援クラウドSFA/CRM「Mazrica Sales」などを提供。営業活動を可視化し、データ活用で組織の生産性を高める。
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | 創造性高く遊ぶように働ける環境を創る | ||
| バリュー (Value) | Creativity 理想を諦めず考え抜こう Liberty 枠に囚われるな Diversity 違いは価値である Initiative やらされ仕事はつまらない Open コミュニケーションを諦めない Challenge 情熱を燃やして挑戦しよう Enjoy 楽しむことを忘れるな | ||
理念の解説
珍しいビジョン・バリュー型の企業理念です。とはいえ、目指す先とそこに至るための価値観という、シンプルな構成と言えるでしょう。
出所:同社HPより抜粋
企業例:理念を明示しないケース
実は、明確なMVVを設定していない企業も存在します。経営者の言葉や事業戦略を通して方向性を示している場合もあり、何かしらの強い意思があれば採用し得る例外的な事例です。
任天堂
企業概要
独創的な家庭用ゲーム機とソフトを開発・販売。マリオやゼルダなど世界的IPを活用し、世代や国境を超えて楽しめる体験を創造。
| ミッション (Mission) | (なし) | ||
| ビジョン (Vision) | (なし) | ||
| バリュー (Value) | (なし) | ||
理念の解説
実は任天堂には、明確なミッションやビジョン、バリューがありません。任天堂の3代目社長で、「ファミコン帝国の総帥」として知られていた山内溥氏は、「社是・社訓は邪魔だ」と明言しました。
企業の舵取りをする方法はMVVだけではなく、何よりも自社が考え抜いて、信念に基づいて行動していればまったく問題ありません。これも正解の一つのかたちです。
MVVに必要な3つの条件
ここまでMVVの役割や企業事例について整理してきましたが、MVVは単に言葉として掲げればよいというものではありません。
実際に組織の方向性を示す指針として機能させるためには、いくつかの重要な条件を満たしている必要があります。
ここでは、経営学者ピーター・ドラッガーがミッションの重要性を説明する際に示した考え方をもとに、MVVを定める際に必要な3つの条件を見ていきましょう。
条件1:市場の機会・ニーズ
One asks first, what are the opportunities, the needs?
第一に問うべきは、「どんな機会があり、どんなニーズが存在するのか」である。
MVVは企業の理想や価値観を表すものですが、それが社会や市場の現実と大きく離れてしまっては意味がありません。
例えば「環境に悪影響を与えるが快適な車を作る」など、社会に求められていない領域を目指してしまえば、企業の羅針盤として機能しにくくなってしまうでしょう。
そのため、MVVを考える際には、まず社会の変化や市場の機会を見極めることが重要です。
どのような価値が求められているのかを理解したうえで方向性を定めることで、MVVは現実に根ざした指針になります。
条件2:自社にとっての整合性
Then, do they fit us? Are we likely to do a decent job? Are we competent? Do they match our strengths?
第二に考えるべきは、「それは自分たちにふさわしい機会なのか」である。私たちの強みと合致し、十分に力を発揮できる領域かどうかを確認しなければならない。
市場に機会が存在していたとしても、それが自社の強みと結びついていなければ意味がありません。
企業にはそれぞれ、技術、経験、人材、ブランドなどの独自の強みがあります。MVVは、それらの強みを活かして価値を生み出せる領域と整合している必要があります。
例えば、キャンプ事業を展開する企業が、いきなり「AI事業で世界を変える」言っても共感を得られません。
もし自社の能力とかけ離れた方向性を掲げてしまうと、MVVが組織の中でも受け入れられず、意思決定の指針として機能しなくなってしまいます。
条件3:強い信念
Do we really believe in this?
第三に確かめるべきは、「私たちはその取り組みに本気で価値を感じ、心から取り組めるのか」である。
MVVは経営陣だけでなく、組織のメンバーが心から納得できる内容である必要があります。
理念として掲げられていても、社員がその意義を理解できず共感していなければ、日々の行動や意思決定の場面で意識されることはありません。
企業が長期的に同じ方向へ進み続けるためには、理念に対する強い信念が欠かせません。
「とにかく金儲けをがんばります」という企業に対して、社員はワクワクしてくれるでしょうか。

MVVの作り方5ステップ
MVVは、思いつきで言葉を作れば完成するものではありません。
企業の現状や将来の方向性を整理したうえで、組織全体で言語化し、継続的に浸透させていく必要があります。
ここでは、MVVを効果的に作り、組織に定着させるための5つのステップを紹介します。
特に、「作って終わり」「浸透せずに絵に描いた餅になる」という失敗が本当に多いため、そうならないように意識して進めていきましょう。
なお、パーパスについては言及していませんが、パーパスを作る際、あるいはMVVと組み合わせる際も同様の手順で進めていけば大丈夫です。
ステップ1:プロジェクトの発足・活動準備
MVVの策定は、まずプロジェクトとして正式に立ち上げ、これからの計画を策定するところから始まります。
最初に行うべきは、なぜMVVを作るのかという目的を明確にすることです。そのうえで活動計画を作成し、スケジュールや役割分担を整理しましょう。
さらに、プロジェクトチームを組成し、これから検討を進めていくうえでの土台として、MVVに関する基本知識を身につけておくことも重要です。
最初の準備を丁寧に行うことで、後の議論や意思決定がスムーズに進むようになります。
ステップ2:現状の整理
次に行うのが、自社を取り巻く現状を整理し、どの方向に進むべきなのかを見極めるためのインプットを獲得することです。
いきなりMVVの言葉を考えるのではなく、まず企業の現在地を客観的に把握することが重要です。
具体的には、既存MVVがあれば浸透度の確認、社員アンケートやヒアリングによる意識調査、市場・競合・自社分析などを通じて、自分たちの立ち位置を整理します。
ステップ3:あるべき方向性の整理
次は現状分析によって得られた情報をもとに、企業として目指すべき方向性を整理します。
市場環境の変化や競争状況、自社の強みや弱みなどを踏まえ、将来的にどのような企業でありたいのかを整理していきます。
ここで定めた方向性が、後にMVVを言語化する際の土台となり、現状と目指す先を結びつける役割を果たしてくれます。
少し遠回りな気がするかもしれませんが、結果的に回り道をしたほうがゴールに早くたどり着けます。
ステップ4:MVVの策定
方向性が定まった段階で、いよいよMVVを具体的な言葉として作っていきます。
ミッション、ビジョン、バリューの候補を複数作成し、議論や検討を重ねながら最終案を決定していきます。
この際に重要なのは、できるだけ多くの社員を巻き込みながら進めることです。
社員が策定プロセスに参加することで、自分事として理念を捉えやすくなり、その後の社内浸透が格段に進みやすくなります。
ステップ5:MVVの浸透施策の企画・実行
MVVは作って終わりではなく、組織の中で実際に活用されて初めて意味を持ちます。
そのため、社内外に理念を共有し、行動に結びつけるための浸透施策が欠かせません。
例えば、社内イベントや研修、評価制度への反映、経営メッセージの発信などを通じて、社員がMVVを理解・納得し、何よりも実践できる環境を作ります。
さらに社員アンケートなどで定期的に浸透度を確認し、改善を続けていくことが重要です。
作るするだけでは状況は何も変わりません。最終的な「行動」を変えることに徹底的にこだわりましょう。

各ステップの詳細については、以下の記事でまとめています。
MVVに関するよくある質問
さて、ここまででMVVに関する事例や基本知識は身につけられたはずです。
最後に、MVVに関してよくある質問と回答を整理しましたので、おさらいの意味も込めて理解しておきましょう。
Q. MVVとは何ですか?
MVVとは、Mission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Value(バリュー)の頭文字を取った言葉です。ミッションは企業が果たすべき使命、ビジョンは将来の理想的な姿、バリューは大切にしたい価値観を意味します。
これらを整理することで、企業の方向性や意思決定の基準を明確にすることができます。
Q. MVVやパーパスは必ず作るべきですか?
必ずしもすべての企業がMVVやパーパスを定めているわけではありません。実際に、明確なMVVやパーパスを掲げていない企業も存在します。
ただし、多くの企業では組織の方向性を共有するためにMVVやパーパスを活用しています。自社の状況や文化に合わせて、必要性を考えながら設計することが重要です。
Q. ミッションとパーパスの違いは何ですか?
一般的には、ミッションは企業が果たす使命を示し、パーパスは企業の存在意義を示す概念と説明されます。
しかし、ミッションとパーパスは近い意味で使われることが多く、企業によっては同義として扱われることもあります。ただし、定義は企業ごとに異なるため、形式にこだわりすぎる必要はありません。
Q. ミッションとパーパスのどちらを採用すべきですか?
組織の中でしっかりと言葉の意味が定義されている限り、どちらを採用しても問題ありません。大切なのはどのような言葉を使うかではなく、どのように組織の中の意識を変え、行動を変えていくかです。
そのための手段として、ミッションが扱いやすければミッションでよいですし、パーパスを使用しても、あるいは両方使用しても問題ありません。
Q. MVVはどのような型を採用すればいいですか?
MVVの構成に絶対的な正解はありません。一般的にはミッション・ビジョン・バリューの3つを定める形式が多いですが、ビジョンを中心にする企業や、ミッションとバリューのみを定義する企業もあります。
重要なのは形式ではなく、組織の方向性が分かりやすく示されていることです。
Q. MVVはどのように作ればいいですか?
MVVは思いつきで言葉を決めるのではなく、①プロジェクトの発足・活動準備、②現状の整理、③あるべき方向性の策定、④パーパスの策定、⑤浸透施策の企画実行、という5ステップで進めていくことをおすすめします。
最終的な目標は策定そのものではなく、策定したうえで組織の行動を変えていくことであるため、それだけは忘れずに取り組むようにしましょう。
Q. MVVは誰が作るべきですか?
最終的な責任は経営陣にありますが、策定プロセスにはできるだけ多くの社員を巻き込むことが望ましいです。
社員が議論に参加することで、自分たちの理念として理解しやすくなり、その後の社内浸透も進みやすくなるためです。
遠回りに見えるかもしれませんが、組織の中の行動を変えるためには最短ルートになります。
Q. MVVは一度作れば終わりですか?
MVVは一度作って終わりではありません。
社会環境や事業内容の変化に合わせて見直されることもあります。特にビジョンは、企業の成長や市場の変化に応じてアップデートされることが多いです。
なお、浸透活動という観点では終わりはなく、絶えず浸透に向けた取り組みを行っていくことになります。
Q. MVVを浸透させるにはどうすればいいですか?
MVVは社内で共有され、日々の行動や意思決定に反映されて初めて意味を持ちます。
社内研修や評価制度への反映、経営メッセージの発信などを通じて、社員が理解し納得できる環境を整えることが重要です。継続的な取り組みによって、理念は組織文化として定着していきます。
まとめ|MVVに正解はない
いかがでしたでしょうか。
本記事で見てきた通り、企業ごとにミッション・ビジョン・バリューの解釈や構成は異なり、それぞれが自社の文化や事業に合わせて設計しています。そこから分かるように、MVVに唯一の正解は存在しません。
自社が目指す先と、その実現手段を明確に描き、自分たちらしいMVVをつくり上げていくことが大切です。
そのうえで、絵に描いた餅で終わらせないためにも、絶えず浸透活動に取り組んでいくことが欠かせません。
本記事でご紹介した内容を踏まえ、ぜひMVVの策定・浸透を行ってください。
組織の軸が定まるだけで、組織の活力は大きく変わるはずです。
もし、MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

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