パーパス企業例20選|有名企業の事例一覧から意味・作り方まで解説

パーパス企業例20選|有名企業の事例一覧から意味・作り方まで解説

本記事では、「自社の存在意義を言語化したい」「パーパスを見直したい」「他社の取り組み事例を知りたい」という方に向けて、有名企業が掲げるパーパスの事例や、パーパスに関して理解しておくべき基礎知識をご紹介します。

パーパスは企業ごとに解釈や表現方法が異なり、理念の位置づけや言葉選びもさまざまです。
だからこそ、基本的な知識を身につけたうえで事例を参照したうえで、自分たちの取り組みに活かしていく必要があります。

本記事を参考に、各社がどのように存在意義を定義し、経営や行動指針に落とし込んでいるかを理解し、自社で検討する際のヒントにしてください。

なお、本記事ではパーパスの基本についてもご説明していますが、「まずは企業事例を知りたい!」という方は、目次から事例紹介に移動してください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

パーパスとは?

具体的な企業例を紹介する前に、まずはパーパスについて正しく理解しておきましょう。

パーパスとは「私たちは何のために存在するのか」という企業の存在意義を示す概念です。
組織が社会にどのような価値を提供し続けたいかという、他者から強要されるものではなく、自らが自発的に取り組みたい・取り組むべきだと考える、内発的な動機を明文化したものです。

パーパス
(Purpose)
企業の存在意義。
「私たちは何のために存在するのか」という問いに対する答え。

パーパスについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

一方、パーパスと同様に、しばしば耳にする概念としてMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)があります。
パーパスとMVVの違いについても理解しておく必要があるでしょう。

端的に述べると、ミッションは「果たすべき使命」、ビジョンは「将来の理想的な姿」、バリューは「大切にしたい価値観」を意味します。
ミッションが遠い未来の目的地だとすれば、ビジョンはその目的地をより具体化した近い将来のゴール、バリューはそのゴールに向かうための判断基準といえます。

ミッション
(Mission)
果たすべき使命。
「私たちが果たすべきことは何か?」という問いに対する答え。
ビジョン
(Vision)
将来の理想的な姿。
「私たちはどのような姿になっていないといけないのか?」という問いに対する答え。
バリュー
(Value)
大切にしたい価値観。
「ゴールを実現するうえで守るべきことは何か?」という問いに対する答え。

MVVとパーパスの違いとは?

ここで、出てくるのが「MVVとパーパスはどう違うのか?」という疑問です。
「存在意義」を示すパーパスと似ているのは、「果たすべき使命」を示すミッションですが、実はパーパスとMVVの関係性は明確に定義されているわけではありません。

あえて厳密に分けるのであれば、パーパス(存在意義)が「〇〇するためにある」という内発的動機(自分のうちから湧き上がってくる動機)に基づいていた目指す先であり、ミッション(果たすべき使命)は「〇〇しなければいけない」という外発的動機(外部から求められた結果として起こる動機)に基づいた目指す先を意味するでしょう。

しかしながら、おおよそパーパス(存在意義)とミッション(果たすべき使命)は同義で使用されるケースが多く、重要なことはこれらの言葉の定義にこだわりすぎることではなく、自社にとって納得感のある形に落とし込むことです。

この後、実際にパーパスの企業例をご紹介させていただきますので、「この企業はこういうふうに存在意義や将来像を表現しているのか」と理解し、自社のパーパスやMVVを検討する際のヒントとして活用してください。
パーパスやMVVには唯一の正解は存在しないからこそ、自社に合った形を模索することが大切です。

MVV・パーパスの違いについてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はご覧ください。

MVVやパーパスが必要な理由・メリット

ここまでMVVやパーパスについて整理してきましたが、なぜ企業はこれらを定める必要があるのでしょうか。
その理由は、組織として進む方向を明確にするためです。

企業には多くの社員や部署が存在し、それぞれが異なる業務を担っています。
その中で、何を目指しているのか、どのような価値を社会に提供するのかが共有されていなければ、判断や行動の基準がばらばらになってしまいます。

MVVやパーパスは、組織にとっての共通の考え方を示すものです。
これがあることで、社員一人ひとりが日々の意思決定や行動を同じ方向にそろえることができます。

企業が長期的に成長し、社会に対して価値を提供し続けるためにも、MVVやパーパスは重要な役割を果たします。
組織の軸を明確にすることで、変化の多い環境の中でも一貫した経営を実現できるようになるわけです。

パーパスの型

パーパスを使用して「目指す先」と「目指す先に至る手段」を明示する際は、さまざまな表現方法がありますが、一般的にはPMVV型・PVV型・PV型の3つの型を使用するケースが多いです。

PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー型)
MVVにパーパス「存在意義」を追加した論理性重視の構成です。
概念が複数登場して覚えるのは大変になりますが、しっかりと説明することができ、各概念の定義を整理・浸透させられる方におすすめです。

PVV型(パーパス・ビジョン・バリュー型)
MVVのミッション「果たすべき使命」が、パーパス「存在意義」に置き換わった構成です。
「存在意義だけではゴールが遠すぎて実感がない」、「もう少し具体的なゴールも設定しておきたい」という方におすすめです。

PV型(パーパス・バリュー型)
シンプルに、「存在意義」と「大切にしたい価値観」という構成です。
ゴールとそこに至るための方法という分かりやすい組み合わせであるため、「直感的に理解できる方針にしたい」という方におすすめです。

どの型が優れているという優劣はないため、自社が目指す方向に合致する型、あるいは自社で浸透させる際にスムーズに受け入れられる型を選ぶようにしましょう。

ちなみに、今回はパーパスに絞って解説させていただきましたが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を含めた型や事例についても知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

企業例:PMVV型(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー型)

それでは、さっそくパーパスの企業例を見ていきましょう。
まずは、PMVV型(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー型)を採用している企業例のご紹介です。

PMVV型は、MVVにパーパス「存在意義」を追加した論理性重視の構成です。
概念が複数登場して覚えるのは大変になりますが、しっかりと説明することができ、各概念の定義が整理・浸透させられる方におすすめです。

三井住友トラスト・ホールディングス

企業概要
銀行、信託、資産運用、不動産など幅広い金融サービスを提供する信託グループ。資産管理や年金運用、相続・不動産関連サービスなどを通じて、個人・法人の資産形成や資産承継を支援している。信託機能を強みに多様な金融ニーズに対応している。

パーパス
(Purpose)
託された未来をひらく
~信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる~
ミッション
(Mission)
全てのステークホルダーのWell-being向上に貢献してまいります。
・高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
・信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。
・信託グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待に応えてまいります。
・個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場を提供してまいります。
ビジョン
(Vision)
三井住友トラストグループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行機能、資産運用・管理機能、不動産機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る信託グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
バリュー
(Value)
・お客様本位の徹底
・社会への貢献
・組織能力の発揮
・個の確立
・法令等の厳格な遵守
・反社会的勢力への毅然とした対応

理念の解説
パーパス・ミッション・ビジョン・バリューをすべて組み合わせた企業理念です。
情報量が積み上がり、複雑にはなってしまいますが、その分論理的に会社が大切にしていることを伝えることができます。

出所:同社HPより抜粋

第一三共ヘルスケア

企業概要
第一三共グループのヘルスケア事業会社として、一般用医薬品やヘルスケア製品の開発・販売を行っている。日常の健康管理やセルフメディケーションを支える商品を提供している。

パーパス
(Purpose)
世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する
ミッション
(Mission)
私たちは生活者満足度の高い製品・サービスを継続的に生み出しより健康で美しくありたい人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献します
ビジョン
(Vision)
2030年ビジョン
OTC医薬品、機能性スキンケア・オーラルケア・食品を中心に人生100年時代のQOLを支え、独創的な製品と情報で新たな価値を生み出し、サステナブルな社会の発展に貢献する日本発コンシューマーヘルスケア企業
バリュー
(Value)
コア・バリュー(Core Values)<グループ共通>
・Innovation
・Integrity
・Accountability

コア・ビヘイビア(Core Behaviors)<グループ共通>
・Be Inclusive & Embrace Diversity
・Collaborate & Trust
・Develop & Grow

理念の解説
企業として大切にしていることを、丁寧に説明しています。
他にも、「コーポレートスローガン」や「私たちの宣言」といった独自の考え方を用いています。

出所:同社HPより抜粋

企業例:PVV型(パーパス・ビジョン・バリュー型)

PVV型は、MVVのミッション「果たすべき使命」が、パーパス「存在意義」に置き換わっています。
「存在意義だけではゴールが遠すぎて実感がない」、「もう少し具体的なゴールも設定しておきたい」という方におすすめです。

花王

企業概要
パーソナルケア、ホームケア、化粧品、ケミカルなどの事業を展開。生活者の習慣づくりを支援し、環境負荷低減やサステナブル調達も実践。研究開発力を活かし新たな市場価値を創造。

パーパス
(Purpose)
豊かな共生世界の実現
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
人をよく理解し期待の先いく企業に
バリュー
(Value)
・正道を歩む
・よきモノづくり
・絶えざる革新

理念の解説
バリューの下には「共生視点」「現場起点」「個の尊重と力の結集」「果敢に挑む」という行動規範を設定しています。
繰り返しになりますが、パーパス・MVVには正解がないため、自社が納得できるかたちであれば王道からはみ出してもまったく問題ありません。

出所:同社HPより抜粋

武田薬品工業

企業概要
世界70カ国以上で事業を展開する製薬企業。重点領域は消化器、希少疾患、腫瘍、血液、神経科学など。研究開発と海外進出に投資し、患者中心のヘルスケアを推進。

パーパス
(Purpose)
タケダは、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するために存在します。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。
私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けます。
バリュー
(Value)
・患者さんに寄り添い (Patient)
・人々と信頼関係を築き (Trust)
・社会的評価を向上させ (Reputation)
・事業を発展させる (Business)

理念の解説
少し抽象的で遠い将来に思えるパーパスも、ビジョンを交えることで具体的になっています。
とにかく健康や患者のために、全力で取り組んでいく企業であることがしっかりと理解できます。

出所:同社HPより抜粋

日本航空(JAL)

企業概要
安全・安心を最優先に国内外航空輸送を提供。マイルを活用した会員プログラムや旅行事業も展開。CO₂排出削減、SAF導入など環境負荷低減にも注力。

パーパス
(Purpose)
多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来を実現し、世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指します。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
思い描く未来の社会:
私たちが思い描く未来の社会は、心はずむつながりが社会全体に広がるサステナブルでウェルビーイングな未来です。

JAL Vision 2035:
JALグループの強みを生かした価値を提供し、Sustainable Well-being Futureの実現に貢献してまいります。
バリュー
(Value)
第1部 すばらしい人生を送るために
・第1章 成功方程式(人生・仕事の方程式)
・第2章 正しい考え方をもつ
・第3章 熱意をもって地味な努力を続ける
・第4章 能力は必ず進歩する
第2部 すばらしいJALとなるために
・第1章 一人ひとりがJAL
・第2章 採算意識を高める
・第3章 心をひとつにする
・第4章 燃える集団になる
・第5章 常に創造する

※「JALフィロソフィ(全員が持つべき意識・価値観・考え方)」より抜粋

理念の解説
JALはパーパスを中心に据え、2035年を目指したビジョンを設計しています。一定期間経過ごとに、新しいビジョンが策定されることも特徴的です。
そのうえで、パーパス・ビジョンの下に、「経営戦略」「Our Strength」「価値創造の基盤」などを整備しており、非常にユニークな理念と言えるでしょう。

出所:同社HPより抜粋

三菱UFJ銀行

企業概要
国内最大のメガバンク。法人融資、個人資産運用、国際金融など幅広いサービスを展開。デジタルバンキングや海外ネットワーク拡充にも力を入れる。

パーパス
(Purpose)
世界が進むチカラになる。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
・お客さまの期待を超えるクオリティを、グループ全員の力で
・お客さま・社会を支え続ける、揺るぎない存在に
・世界に選ばれる、アジアを代表する金融グループへ
バリュー
(Value)
・信頼・信用 Integrity and Responsibility
・プロフェッショナリズムとチームワーク Professionalism and Teamwork
・挑戦とスピード Challenge and Agility

理念の解説
MUFGグループが経営活動を遂行するにあたっての最も基本的な姿勢として「MUFG Way」を掲げており、すべての活動の指針としています。
こうした独自のネーミングも、パーパスやMVVの事例ではよく見られます。愛着が湧くため、単なるスローガンではなく行動につながる確率が上がるかもしれません。

出所:同社HPより抜粋

企業例:PV型(パーパス・バリュー型)

次に見ていく企業は、PV型(パーパス・バリュー型)を採用した事例です。

こちらは、シンプルに「存在意義」と「大切にしたい価値観」という構成を採用しています。
ゴールとそこに至るための方法という分かりやすい組み合わせであるため、「直感的に理解できる方針にしたい」という方におすすめです。

ソニーグループ

企業概要
ゲーム、音楽、映画、半導体、エレクトロニクスなど多岐にわたり事業展開。クリエイティブと技術を融合し、感動体験を提供。イメージセンサーやエンタメ分野で世界的リーダー。

パーパス
(Purpose)
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。

・多様性
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。

・高潔さと誠実さ
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。

・持続可能性
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。

理念の解説
パーパスとバリュー(同社ではSony’s Purpose & Valuesと呼称)というシンプルな構成です。2019年に策定したパーパスであり、日本で最も有名なパーパスの一つです。
ソニーグループほどの大企業であれば、さまざまな要素を盛り込みたくなるものですが、あえて絞りに絞って、洗練された要素のみを残しています。

出所:同社HPより抜粋

サントリーホールディングス

企業概要
酒類・飲料・食品・健康事業を展開。「水と生きる」をスローガンに環境活動を推進。グローバルブランド育成や研究開発で新市場を開拓。

パーパス
(Purpose)
人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命の輝き」をめざす。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・Growing for Good
・やってみなはれ
・利益三分主義

理念の解説
有名な「やってみなはれ」をバリューの一つに掲げています。パーパスとバリューという、非常にシンプルで分かりやすい構成になっています。
「人間の生命の輝き」という独自のキーワードが、自社らしさを際立たせています。

出所:同社HPより抜粋

オリンパス

企業概要
消化器内視鏡や治療機器で世界シェアを持つ医療機器メーカー。早期診断や低侵襲治療技術を普及させ、患者負担軽減に貢献。

パーパス
(Purpose)
世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現
Making people’s lives healthier, safer and more fulfilling
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・患者さん第一 Patient Focus
・イノベーション Innovation
・実行実現 Impact
・共感 Empathy
・誠実 Integrity

理念の解説
こちらもパーパスとバリューという分かりやすい組み合わせです。
また英語でも表記していることで、国内だけでなく国外に向けた意気込みも感じられます。海外の事業費率が高いオリンパスだからこそ、海外に対するこだわりが見えてきます。

出所:同社HPより抜粋

サイボウズ

企業概要
グループウェア「kintone」「Garoon」などを開発し、チームワークあふれる社会を目指す。柔軟な働き方や組織文化変革を先導。

パーパス
(Purpose)
チームワークあふれる社会を創る
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・理想への共感
・多様な個性を重視
・公明正大
・自主自律
・対話と議論

理念の解説
サイボウズでは、バリューという言葉を使用せず、「文化 -Culture-」という言葉を使用しています。また、「これからも、社内の状況や時代の変化にあわせて表現を検討し、メンバー全員が納得できる生きた企業理念へとアップデートを続けていく予定です。」と明言している点も特徴的です。
一度決めたら貫き通すこと、あるいは時代の変化に合わせて在り方を変えていくこと。この両方とも、パーパスやMVVとして間違っていません。

出所:同社HPより抜粋

ユーグレナ

企業概要
微細藻類ユーグレナを活用した食品、化粧品、バイオ燃料を展開。サステナビリティや食料・エネルギー問題の解決に挑戦。

パーパス
(Purpose)
人と地球を健康にする
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
7倍速
Turn it up to 7.
最速で一歩を踏み出し、やり切る

ちぎれるほど
Burst with imagination and energy.
これ以上ないと言えるまで考えに考え抜いて

あ・た・ま
Bright, Witty, and Forward-Thinking
いつでも「明るく楽しく前向きに」

理念の解説
ユーグレナは、上記のパーパスやバリューに加え、「ユーグレナ・フィロソフィー」として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げています。
概念が増えることで浸透せず、行動につながりにくくなることも懸念されますが、一方でより組織の考え方が際立つ可能性もあります。自社の状況に合わせながら、対応を考えていくとよいでしょう。

出所:同社HPより抜粋

ライオン

企業概要
オーラルケアや洗剤、衛生用品を展開。生活習慣改善と予防啓発を通じて健康寿命の延伸を支援。研究開発にも注力。

パーパス
(Purpose)
より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する
(ReDesign)
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・価値は顧客が決める
・自分の心に従い、自ら動こう
・スピードは世界を救う
・化学反応を起こそう
・変化こそ、私たちを進化させる

理念の解説
ライオンは、バリューではなく、「BELIEFS 信念」という言葉を使っています。またこれら以外にも、「DNA 創業から受け継ぐ想い」として「愛の精神の実践」を掲げている点も特徴的です。
繰り返しになりますが、パーパスやMVVに正解はないため、自分たちの考えに基づいて実践していくことが何よりも大切です。

出所:同社HPより抜粋

東京海上ホールディングス

企業概要
損害保険・生命保険を中心に国内外で保険事業を展開するグローバル保険グループ。事故や災害、事業リスクなどに備える保険商品やサービスを提供し、企業や個人のリスク管理を支えている。世界各国で保険ビジネスを展開している。

パーパス
(Purpose)
お客様や社会の“いざ”をお守りする
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。
・お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。
・株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。
・社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。
・良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。

理念の解説
シンプルで力強いパーパスと、「経営理念」という言葉で表現されるバリューを備えています。
他にも「東京海上グループが提供する価値」や「東京海上グループのあるべき姿」についても整理しており、独自性の溢れる考え方です。

出所:同社HPより抜粋

ネスレ

企業概要
食品・飲料分野で世界的に事業を展開する企業。コーヒー、チョコレート、乳製品、ペットフードなど幅広い商品を提供している。ネスカフェやキットカットなどのブランドを通じて、食と栄養に関する商品を世界各国で販売している。

パーパス
(Purpose)
食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・自分自身に対する敬意
・他者に対する敬意
・多様性に対する敬意
・私たちの後に続く世代に対する敬意

理念の解説
シンプルな構成ですが、バリューが「~に対する敬意」という表現で統一されている点が特徴的です。
規則性があり、覚えやすく、同社らしい言葉遣いです。

出所:同社HPより抜粋

JT

企業概要
たばこ事業を中核に、食品や医薬などの事業も展開する企業。世界各国でたばこ製品を販売するグローバル企業として事業を拡大してきた。加熱式たばこなど新しい製品分野にも取り組んでいる。

パーパス
(Purpose)
心の豊かさを、もっと。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
【4Sモデル】
お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく

■4Sモデルを通じ、中長期の持続的な利益成長を実現
・お客様に新たな価値・満足を継続的に提供
・中長期的視点から、将来の利益成長に向けた事業投資を実行

■4Sモデルの追求が、中長期に亘る企業価値の継続的な向上につながり、4者のステークホルダーにとって共通利益となるベストなアプローチであると確信

理念の解説
JTは独自の4Sモデルを採用しており、これがバリューにあたると想定されます。
独自の考え方を取り入れても、それが自社にとって最適であればまったく問題ありません。

出所:同社HPより抜粋

小松製作所

企業概要
建設機械や鉱山機械の開発・製造・販売を行うメーカー。油圧ショベルやブルドーザーなどの製品を提供し、建設や資源開発の現場を支えている。ICTやデータ技術を活用した建設ソリューションも展開している。

パーパス
(Purpose)
ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・挑戦する
高い志を持ち、失敗を恐れることなく、革新のために挑戦し続ける

・やり抜く
困難にあっても決して諦めず、責任を持って最後までやり遂げる

・共に創る
多様な価値観や個性を認め合い、互いに敬意を持ち、win-win精神で協働することで新たな価値を創出する

・誠実に取り組む
常に誠実に正しく行動し、信頼される存在であり続ける

理念の解説
小松製作所は、パーパスやバリューの他にも「私たちの約束」や「私たちの戦略」も掲げています。
パーパスやMVVに正解はありません。

出所:同社HPより抜粋

富士フイルム

企業概要
写真フイルム技術を基盤に、医療、ヘルスケア、半導体材料など多様な分野へ事業を拡大している企業。医療機器や電子材料、化粧品などの分野で事業を展開し、独自の技術を活かした製品を提供している。

パーパス
(Purpose)
地球上の笑顔の回数を増やしていく。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
わたしたちはすべての活動に“オープン、フェア、クリア”の精神で臨みます。

理念の解説
シンプルで分かりやすいパーパスやバリューです。
「Value from Innovation」というコーポレートスローガンも掲げていますが、全体的に短く覚えやすい点が特徴的です。

出所:同社HPより抜粋

オリックス

企業概要
リース事業を起点に、金融、不動産、エネルギーなど多角的な事業を展開する企業。企業の設備投資支援や不動産開発、再生可能エネルギー事業など幅広い分野でビジネスを行っている。

パーパス
(Purpose)
変化に挑み、柔軟な発想と知の融合で、未来をひらくインパクトを。
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・多様性を力に変える。
・挑戦をおもしろがる。
・変化にチャンスを見出す。

理念の解説
王道のPV型(パーパス・バリュー型)といった構成です。
やはり、情報量を絞ると、それだけ覚えること・実践することも容易になります。

出所:同社HPより抜粋

第一生命グループ

企業概要
生命保険事業を中心に、国内外で保険サービスや資産運用事業を展開する保険グループ。個人・法人向けの生命保険商品を提供し、長期的な資産形成やリスク保障を支える金融サービスを提供している。

パーパス
(Purpose)
共に歩み、未来をひらく
多様な幸せと希望に満ちた世界へ
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・いちばん、人を考える
・まっすぐに、最良を追求する
・まっさきに、変革を実現する

理念の解説
第一生命グループは、パーパスやバリューとあわせて、ブランドメッセージとして「一生涯のパートナー お客さま第一主義」も掲げています。

出所:同社HPより抜粋

NEC

企業概要
ITサービスや通信インフラ、AIなどを中心に事業を展開するICT企業。企業や官公庁向けにシステム構築やネットワーク、クラウドサービスを提供し、社会インフラを支えるデジタル技術を展開している。

パーパス
(Purpose)
Orchestrating a brighter world
ミッション
(Mission)
(なし)
ビジョン
(Vision)
(なし)
バリュー
(Value)
・創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」
・常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重
・あくなきイノベーションの追求

理念の解説
他にも、「Code of Values(行動基準)」や「Code of Conduct(行動規範)」を掲げています。
複雑にはなってしまいますが、社内に浸透し、実践できれば非常に強力な武器になります。

出所:同社HPより抜粋

パーパスに必要な3つの条件

ここまで、さまざまな企業例について整理してきましたが、各事例では共通する3つの条件があります。
「パーパスは作りさえすれば何でもいい」というわけではないのです。

ここでは、経営学者のピーター・ドラッガーがミッション(果たすべき使命)の重要性について語った内容を引用して、パーパスが満たすべき条件を見ていきましょう。

条件1:市場の機会・ニーズは十分にあるか?

One asks first, what are the opportunities, the needs?
第一に問うべきは、「どんな機会があり、どんなニーズが存在するのか」である。

例えば、あなたの会社が「世界一の電卓を作る」というパーパスを掲げたらどう思うでしょうか。
スマホで簡単に計算ができる時代において、電卓という需要が少ないモノを作ることに誰もワクワクしてくれないでしょう。

パーパスは、市場の機会・ニーズがあるところで定めるべきなのです。

条件2:自社にとって整合性があるか?

Then, do they fit us? Are we likely to do a decent job? Are we competent? Do they match our strengths?
第二に考えるべきは、「それは自分たちにふさわしい機会なのか」である。私たちの強みと合致し、十分に力を発揮できる領域かどうかを確認しなければならない。

市場の機会・ニーズがあると言っても、スマホゲームを提供している会社が「世界一の自動車を作る」というパーパスを掲げた場合はどう思うでしょうか。
きっと、スマホゲームと自動車が遠すぎて、策定したパーパスも腑に落ちないでしょう。

このように、パーパスは自社の取り組んでいること・取り組もうとしていることと関連していなくてはいけません。

条件3:強い信念に基づいているか?

Do we really believe in this?
第三に確かめるべきは、「私たちはその取り組みに本気で価値を感じ、心から取り組めるのか」である。

あなた自身、自分が興味がないことに全力で取り組むことはできるでしょうか。
きっと短期的にはできても、1年・10年・50年といった長期では取り組むことができないはずです。

これはパーパスについても当てはまります。
あなたが、あるいは社員が熱狂できる内容でなければ、パーパスは絵に描いた餅になってしまいます。

パーパスの作り方5ステップ

最後に、パーパスを作り、そして浸透させる方法も整理しておきましょう。
パーパスだけではなく、MVVなどを作る場合も同様のステップが採用されます。

基本的には、5つのステップに沿って策定・浸透させていきます。
パーパスは作って終わりではなく、浸透させてこそ(行動を変えてこそ)価値があるという点は忘れないでください。

ステップ1:プロジェクトの発足・活動準備

プロジェクトの活動目的を明確化して活動計画を作り、プロジェクトチームを組成のうえ、メンバーはMVV・パーパスに関する基礎的な知識を身に付ける必要があります。


重要視されることが少ない本ステップですが、プロジェクトの成功を左右する極めて重要な取り組みです。全力で取り組むようにしましょう。

ステップ2:現状の整理

社員アンケートやヒアリング、市場・競合・自社調査を通じて、自社の現状を客観的に理解し、自社のあるべき方向性を定める際のインプットを獲得します。


闇雲に調査してしまうと際限がないため、「MVV・パーパスの策定・浸透に資する調査」という発想を念頭に置き、意味のない膨大な調査には絶対にならないようにしてください。

ステップ3:あるべき方向性の整理

現状整理で把握したこれからの市場・競合の動向や自社の強み・弱みを踏まえ、将来的に自社がどのような姿を描くべきかという方向性を定めます。


現状調査結果からMVV・パーパスまでの距離は離れているため、その前段としてあるべき方向性を定めることで、MVV・パーパス策定がグッと簡単かつ効果的になります。

ステップ4:MVV・パーパスの策定

ここまできて、やっとMVV・パーパスの作ります。
策定方法はさまざまありますが、何よりも重要なことはできるだけ多くの社員を巻き込んで自分事化してもらうことです。

これにより作成の手間は大きくなりますが、その後のMVV・パーパスの浸透における円滑さが段違いに向上します。

ステップ5:MVV・パーパスの浸透施策の企画・実行

人間は、物事を「認識」「理解」「納得」することで、はじめて自分事化して行動を変えます。この3つの壁を突破して具体的な行動変革に繋げるため、活動に終着点はありません。

根気強く、継続的に浸透施策に取り組んでいきましょう。
なお、浸透施策の企画自体はMVV・パーパス策定に先んじて実施しておくとスムーズです。

各ステップの詳細については、以下の記事でまとめています。
記事内ではミッション・ビジョン・バリューという記載になっていますが、これらをパーパスとして読み替えればそのまま適用できます。

パーパスに関するよくある質問

最後に、パーパスに関してよくある質問をまとめておきましょう。
ここまで登場した考え方のおさらいも含まれていますので、復習という意味でも簡単に目を通しておきましょう。

Q. パーパス経営とは何ですか?

企業が社会に対してどのような価値を提供する存在なのかという存在意義を明確にし、その考え方を経営判断や事業活動の軸として活用していく経営手法です。パーパスを中心に意思決定を揃えることで、組織の方向性や社員の行動に一貫性を生み出します。

Q. パーパスとMVVの違いは何ですか?

パーパスは企業が社会の中で果たす存在意義を示す概念であり、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は具体的な使命や将来像、行動指針を整理した経営の枠組みです。特に、パーパスとミッションの境界線は曖昧であり、自分たちで定義を解釈できていれば、どちらを使用しても問題ありません。

Q. 既にあるMVVをパーパスに変更すべきですか?

既存のMVVが自社の存在意義や社会との関係を十分に表現できているのであれば、必ずしもパーパスに変更する必要はありません。重要なのは名称ではなく内容です。自社の社会的役割や目指す未来を明確に表現できているかどうかを重視して、あまり言葉にこだわりすぎないようにしましょう。

Q. パーパスを作るメリットは何ですか?

パーパスを明確にすることで、企業が目指す方向性や存在意義が共有され、意思決定や行動に一貫性が生まれます。また、社員や求職者の共感やエンゲージメントを高める効果もあり、組織のモチベーション向上や長期的な企業価値の向上につながります。

Q. パーパスはどのようにして作ればいいですか?

①プロジェクトの発足・活動準備、②現状の整理、③あるべき方向性の策定、④パーパスの策定、⑤浸透施策の企画実行、という5ステップで進めていくことをおすすめします。いきなりパーパスを作り込むのではなく、段階的に作り上げ、浸透させていくことが大切です。

Q. パーパスは誰が作るべきですか?

最終的な意思決定は経営層が担うことが多いですが、策定プロセスにはできるだけ多くの社員を巻き込むことが重要です。社員が議論に参加することでパーパスへの理解と共感が深まり、作った後の浸透や行動変化につながりやすくなります。

Q. 良いパーパスの条件は何ですか?

良いパーパスは、市場や社会のニーズに応えていること、自社の強みや事業との整合性があること、そして社員や経営者が本気で信じて取り組める内容であることが重要です。この3つがそろって初めて、組織を動かす指針として機能してくれます。

まとめ|パーパスに正解はない

いかがでしたでしょうか。
本記事では、企業例を中心に、パーパスについて徹底解説させていただきました。

ご紹介したとおり、企業ごとにパーパスの言葉や表現方法は異なり、それぞれが自社の歴史や文化、事業領域に合わせて独自に設計しています。
これが示しているのは、パーパスに唯一の正解はないということです。

重要なのは、自社がどんな社会課題を解決したいのか、どんな未来をつくりたいのかを深く考え、それを社員や顧客が共感できる形で言語化することです。
存在意義を明確にすることで、組織の意思決定や行動が一貫し、社員のモチベーションやエンゲージメントも高まります。

ぜひ、今回の企業例をヒントに、自社らしいパーパスを見出し、未来に向けた指針として育てていってください。

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