VMVとは?MVVとの違いや使い分け、企業事例まで解説

VMVとは?MVVとの違いや使い分け、企業事例まで解説

不確実で流動的な時代が到来した結果、企業活動の「軸」を求める動きが強まってきました。
その中で注目されているのが、ビジョン(将来の理想的な姿)・ミッション(果たすべき使命)・バリュー(大切にしたい価値観)です。

これらのキーワードの使い方としては、ビジョン・ミッション・バリューで並べる「VMV」、そしてミッション・ビジョン・バリューで並べる「MVV」などがあります。
しかし、VMV・MVVの違いが分からず、どちらを採用すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

VMVとMVVは、いずれも企業のゴールと、ゴールに至るための方法を示すフレームワークであることは変わりません。
しかし、その背景にある考え方は異なっており、両者の違いを理解したうえで選んでいく必要があります。

本記事では、VMVとMVVの基本的な意味や違いを整理したうえで、それぞれのメリット・デメリットや使い分けの考え方、さらに企業事例まで分かりやすく解説します。
VMVを採用するのか、MVVを採用するのか、あるいは別の考え方にするのか。自社にとって最適な考え方を見つける参考としてご活用ください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)とは

VMVとは、ビジョン・ミッション・バリューの順番で、企業のゴールとそこに至る方法を整理する考え方です。
最大の特徴は、将来の理想的な姿であるビジョンを起点とする点にあります。

まず「どのような状態を実現したいのか」というビジョン(将来の理想的な姿)で具体的なゴールを描き、その実現のために果たすべき使命としてミッションを定義し、日々の行動指針としてバリューを設定していきます。
つまり、具体的な未来像から出発する構造になっています。

この考え方の強みは、目指す先が明確でイメージしやすい点です。

例えば、「世界中の人をコーヒーで笑顔にする」というミッション(果たすべき使命)を最初に提示しても、抽象的でなかなかイメージがつきにくいかもしれません。
一方、最初に「コーヒー生産・販売のプラットフォームを作る」というビジョン(将来の理想的な姿)を提示されると、目指す先が具体的でイメージもしやすいのではないでしょうか。

特に、スタートアップのように「これから何を目指すのか」を強く打ち出したい場面では、有効に機能しやすい考え方と言えるでしょう。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは

MVVとは、ミッション・ビジョン・バリューの順番で、企業のゴールとそこに至る方法を整理する考え方です。
こちらは、果たすべき使命であるミッションを起点とする点に特徴があります。

まず「なぜこの事業を行うのか」「どのような価値を提供するのか」という使命を定義し、その延長線上に将来の理想像としてビジョンを描き、行動指針としてバリューを設定します。

この構成の強みは、論理展開が分かりやすい点です。
遠い将来のミッション(果たすべき使命)、近い将来のビジョン(将来の理想的な姿)、そして現在の行動指針として機能するバリュー(大切にしたい価値観)へと時系列でつながっていきます。
そのため、社員にとっても理解しやすく、納得感を得やすい構造になっています。

特に、組織規模が大きくなった企業においては、使い勝手の良いフレームワークと言えるでしょう。

VMVとMVVの違い|メリット・デメリット

VMVとMVVの違いは単なる並び順ではなく、企業の目指す先の起点を何にするか、そして具体性と論理性のどちらを重視するかという点にあります。

すでに述べましたが、VMVは具体的なビジョン(将来の理想的な姿)からスタートするため、目指す先がイメージしやすいというメリットがあります。
しかし、「ビジョン→ミッション→バリュー」という展開は、時系列として整理すると「近い将来→遠い将来→現在」という流れになるため、論理のつながりが分かりにくいと感じるかもしれません。

一方、MVVはミッション(果たすべき使命)を起点にビジョンやバリューへと整理していくため、「遠い将来→近い将来→現在」という時系列に沿った流れになっており、論理展開が分かりやすい点がメリットです。
ただし、出発点であるミッションは遠い将来を示すため抽象的になりやすく、最終的に目指す姿がイメージしにくくなる可能性もあります。

つまり、VMVは「具体性が強くてイメージしやすい」、MVVは「論理性が強くて理解しやすい」として覚えておきましょう。

VMVとMVVの使い分け|どちらを採用すべきか

VMVとMVVはどちらが優れているという答えはなく、組織として何を重視するかによって使い分けるべきです。
特に、具体性を重視したい場合はVMVが適しており、論理性を重視したい場合はMVVが適していると言えます。

ただし、最も重要なのは、言葉や並び順そのものではありません。
定義した内容が社内で共通言語として機能し、社員の行動にまで落とし込まれているかどうかが本質です。

そのため、どちらが正しいかではなく、自社にとって浸透しやすいかたちはどちらかという観点で選択することが重要です。
VMVやMVVという言葉そのものに価値はなく、極論ではありますが、どちらを選んでも浸透しさえすれば大差ないとさえ言うことができます。

VMVとMVVの企業事例

ここまでで、VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について、理解いただけたのではないでしょうか。

ここからは、VMV・MVVに関する企業事例を3つずつ確認することで、理解を深めていきましょう。

VMVの企業事例3選

まずは、VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)の企業事例をご紹介します。

いずれもスタートアップ気質を持った企業であり、ビジョン(将来の理想的な姿)を強調して組織を前に進めようとしていることが感じられます。

企業概要
HRテクノロジー、マッチング、投資事業を展開。人と企業の出会いを創出し、社会全体の機会最大化を目指す。

ビジョン
(Vision)
まだ、ここにない、出会い。
より速く、シンプルに、もっと近くに。
ミッション
(Mission)
Follow Your Heart
バリュー
(Value)
・新しい価値の創造 / Wow the World
・個の尊重 / Bet on Passion
・社会への貢献 / Prioritize Social Value

理念の解説
リクルートホールディングスのMVVは非常にシンプルで分かりやすい王道の構成になっています。
「まだ、ここにない、出会い。」はCMなどでもよく耳にします。

出所:同社HPより抜粋

企業概要
短時間勤務と即日報酬を可能にするスキマバイトアプリを提供。人手不足の解消と柔軟な働き方の実現を同時に推進。

ビジョン
(Vision)
「はたらく」を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる
ミッション
(Mission)
一人ひとりの時間を豊かに
バリュー
(Value)
・理想ファースト
前提にとらわれず、あるべき姿から逆算し更なる高みを目指そう

・オールスクラム
自身の責務を果たすだけでなく、チームや会社の成功にも全力を注ごう

・バトンツナギ
できたことは仕組み化し、未来のタイミーを強くしよう

・やっていき
失敗を恐れず、大胆に挑戦し泥臭くやりぬこう

理念の解説
スキマ時間を活用した新しい働き方を提供するタイミーを体現したMVVです。

出所:同社HPより抜粋

企業概要
デザイン、占い、ビジネス相談など幅広いスキルを個人間で取引できるスキルマーケットを運営。個人が活躍できる経済圏を形成。

ビジョン
(Vision)
個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する。
ミッション
(Mission)
一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる
バリュー
(Value)
・One Team, for Mission
・Beyond Borders
・Fairness Mind

理念の解説
何よりも個人を大切にするという同社の事業や、大切にしたい思いが伝わってきます。

出所:同社HPより抜粋

MVVの企業事例3選

次は、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の企業事例をご紹介します。

大企業が中心の事例となっていますが、ミッション(果たすべき使命)から時系列順に目指す先・到達方法を伝えることで、多種多様な社員がいても伝わるような内容になっています。

企業概要
暮らしと産業双方に関わる多様な事業ポートフォリオを保有。分社化による意思決定スピードを高め、環境負荷低減やウェルビーイング向上に寄与する製品・サービスを開発。社会課題解決と事業成長の両立を志向。

ミッション
(Mission)
Life tech & ideas 人・社会・地球 を 健やかにする。
ビジョン
(Vision)
人を想う技術と創造力でくらしを支えるベストパートナー
バリュー
(Value)
お客様に寄り添い、考え抜きます。
くらしと調和する技術を追求します。
柔軟な発想で、常にオペレーションを進化させます。

理念の解説
これらのミッション・ビジョン・バリューに、次のような文章も続きます。
人:一人ひとりに寄り添い、その人にあった「くらしの質」の向上
社会:社会活動を維持・向上する安心安全な「くらしインフラ」の提供(空気・水・光・電気・食)
地球:省エネ・資源保全が可能な商品・クリーンエネルギー創出・利活用による脱炭素・循環経済への貢献

出所:同社HPより抜粋

企業概要
社会インフラ、産業機械、ITプラットフォームを統合したソリューションを展開。エネルギー、都市開発、ヘルスケア分野など、幅広い領域まで事業を拡大。グローバル市場で「社会イノベーション企業」を標榜。

ミッション
(Mission)
優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
ビジョン
(Vision)
日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。
バリュー
(Value)
・和
・誠
・開拓者精神

理念の解説
日立製作所のMVVは、ミッション(果たすべき使命)とバリュー(ミッション実現のために大切にしていく価値)の後に、ビジョン(これからのあるべき姿)という構成で整理されています。

出所:同社HPより抜粋

企業概要
通信と投資の二本柱で成長。AI群戦略を掲げ、ロボティクス、IoT、自動運転など次世代産業に出資・育成。長期視点の資本政策とスピード経営でテクノロジー主導の産業変革をリード。

ミッション
(Mission)
情報革命で人々を幸せに
ビジョン
(Vision)
世界の人々から最も必要とされる企業グループ
バリュー
(Value)
・No.1
・挑戦
・逆算
・スピード
・執念

理念の解説
ソフトバンクは、ミッションを「理念」という言葉で表現しており、その下にビジョンがあります。
また、ビジョンの下には「戦略」があり、各概念がきちんと整理されているのが分かります。

出所:同社HPより抜粋

VMVに関するよくある質問

本記事の集大成として、VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)に関して、よく寄せられる質問をまとめておきましょう。

各質問に関しては、詳細を解説した記事も掲載しておきます。VMVや周辺領域に関する知識を深めてください。

VMVやMVV以外にもある?

実は、今回ご紹介したVMVやMVV以外にもさまざまな組み合わせが存在します。
例えば、ミッションとバリューのみを組み合わせてシンプルにしたMV型、あるいはビジョンとバリューのみを組み合わせたVV型などです。

いずれにしても、本記事でご紹介した通り、企業が目指すゴールと到達方法の表現には正解は存在しません。
各組み合わせの特徴を踏まえたうえで、自社にマッチしたものを採用し、それを社内に浸透させられることができれば、いずれを採用しても問題ありません。

VMVやMVVの作り方は?

基本的には、①プロジェクトチームを組成し、②現状整理を行い、③あるべき方向性を定めてキーワードを導出し、④キーワードからVMVやMVVを策定し、⑤徹底的に社内に浸透させる、というステップで進んでいきます。

特に注意していただきたいのは、何度もお伝えしている通り、VMVやMVVは浸透しなければ意味がないという点です。
作成時に社員を巻き込んで自分事化を促し、最終的な浸透に向けた追い風を作っておくなど、常に浸透を見据えて作成活動を進めましょう。

VMVやMVVの浸透方法は?

VMVやMVVの作成自体は難しくなく、多くの企業も取り組むことができています。
しかし、社内にしっかりと浸透させられている企業は極めて少ないのが実情です。

そのため、徹底した経営陣のコミットメント、アワード開催、研修実施、個人理念の作成、採用・評価制度への落とし込み、浸透状況のモニタリング・改善、浸透組織の設置など、徹底的に浸透活動に取り組む必要があります。

パーパスとは?

パーパスとは「存在意義」を意味しており、企業が何のために存在するのかというゴールを示してくれます。

ミッションの「果たすべき使命」と極めて近しい概念ですが、ミッションが「わたしたちは〇〇しなければいけない」という外部からの要請に基づくものであることに対し、パーパスは「わたしたちは〇〇するためにある」という内発的な動機に基づくものです。

しかし、実際のビジネスの世界においては、両者が厳密に区別されていることは多くありません。
まずは、「パーパスやミッションはおおよそ同義であり、いずれも遠い将来のゴールを示している」という理解があれば十分でしょう。

まとめ|言葉自体にこだわる必要はない

VMVとMVVは、いずれも企業のゴール・到達方法を整理するためのフレームワークであり、その違いは単なる並び順ではなく、どこを起点に考えるか、そして具体性と論理性のどちらを重視するかにあります。

VMVはビジョン(将来の理想的な姿)を起点とすることで目指す先がイメージしやすく、ゴールを強く打ち出したい場合に適しています。
一方、MVVはミッション(果たすべき使命)を起点とすることで論理展開が分かりやすく、組織内の納得感を得やすい点が特徴です。

しかし、最も重要なのはVMVかMVVかという言葉の違いではありません。
定義した内容が社内で共通言語として機能し、社員の意思決定や行動にまで落とし込まれているかどうかが本質です。

そのため、「どちらが正しいか」で判断するのではなく、「自社にとって浸透しやすく、機能するかたちはどちらか」という観点で最適な形式を選択するようにしましょう。

MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

関連記事