MVVはなぜ必要?意味がないと言われる理由と導入効果、事例・作り方まで解説

MVVはなぜ必要?意味がないと言われる理由と導入効果、事例・作り方まで解説

近年、多くの企業がMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を掲げるようになりました。
しかし一方で、現場では「MVVは正直意味がないのではないか」「掲げているだけで実際の行動にはつながっていないのではないか」といった声も多く聞かれます。

実際、MVVを策定したものの、社内でほとんど活用されていない、あるいはかたちだけになってしまっている企業が多いのも事実です。
では、MVVは本当に必要ないものなのでしょうか。

結論から言えば、MVVは企業にとって非常に重要な役割を持つものであり、大半の企業にとっては必要です。
ただし、その価値は「作ること」ではなく「社内に浸透して活用されること」によって初めて発揮されます。

本記事では、MVVがなぜ必要なのかという問いに対して、意味がないと言われる理由を踏まえながら、答えを整理していきます。
そのうえで、導入することで得られる効果や具体的な企業事例、実際の作り方までを体系的に解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

MVVはなぜ必要なのか

冒頭でもお伝えしましたが、本記事の結論をお伝えしておきましょう。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は多くの企業にとっては必要不可欠と言えます。
なぜなら、MVVがあることによって、企業が目指すべきゴールと到達方法が示され、それが企業を成長に導いてくれるからです。

しかしながら、MVVはただ掲げるだけでは意味がなく、社内に浸透させて、社員の意識・行動を変えられなければ意味がありません。
むしろ、きれいな言葉を並べるだけで実践が伴わなければ、社員のモチベーションを低下させる害悪とすら言えるかもしれません。

本記事ではこうした理由について、詳しく考えていきます。
まずは、そもそもMVVの意味・目的について理解することで、この後の検討の土台を作っていきましょう。

MVVの構成要素の意味・目的

MVVは、ミッション・ビジョン・バリューという3つの構成要素の頭文字を取った言葉です。

これは企業のゴールと到達方法を示すフレームワークであり、各要素にはきちんと意味・目的があります。
MVVの必要性を判断するうえで前提条件となる知識ですので、しっかりと身につけておきましょう。

ミッションとは

ミッションは「果たすべき使命」と訳され、企業がたどり着くべき最終的なゴールを示す目的があります。

企業にはゴールがなければ、どこを目指して事業活動を行っていけばいいか分からなくなります。
それが結果として、社員のモチベーション低下や、組織としての非効率を生み出してしまうため、ミッションを通じて企業のゴールを示す必要があるわけです。

ビジョンとは

ビジョンは「将来の理想的な姿」と訳され、ミッションで示した企業のゴールを具体化する目的があります。

ミッションは遠い未来のゴールであるがゆえに、どうしても抽象的になってしまうという欠点があります。
しかし、それでは社員はワクワクすることができず、結果として意識・行動も変わることがありません。

そのため、ミッションをもう一段具体化したビジョンも定義することで、企業のゴールの解像度を上げることが必要になるのです。

バリューとは

バリューは「大切にしたい価値観」と訳され、ミッションやビジョンを達成するための方法を示す目的があります。

社員はゴールを示されただけでは、どのように行動すればいいか分かりません。
あるいは、行動できたとしても、ゴールに向かうための手段としては非効率な選択をしてしまう可能性もあります。

そのため、バリューを通して、ゴール達成に必要なルールを示すことで、組織を「個人の集まり」から「同じゴールに向かって同じルールで進む規律ある集団」に変える必要があります。

なお、各構成要素について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に加え、混同されがちな概念であるパーパスについても解説しています。

MVVに意味がないと言われる理由

さて、ここまででMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に関する基礎知識を身につけることができました。

ここまでの内容を踏まえると、MVVは企業にとって必要不可欠であると考えられますが、それでも非常に多くの人が「MVVは意味がない」と感じていることも事実です。

掲げるだけのお飾りになっていたり、経営陣の本気が示されていなかったり、心に響かない内容になっているのであれば、MVVには一切の価値がありません。
本章では、MVVに意味がないと言われる理由をひも解き、MVVの導入効果を知るためのヒントを得ていきましょう。

ただのお飾りになっている

MVVを掲げているものの、それが社内で浸透せず、社員の意識・行動に影響を与えていないのであればお飾りでしかありません。

MVVは策定して終わりではなく、策定するだけでは何も価値を生み出しません。
むしろ、浸透にこそ注力すべきであり、MVVで挫折する企業の大半は浸透活動に注力できていないと言えるでしょう。

さらに踏み込めば、策定の段階から多くの社員を巻き込み、当事者意識を醸成するなど、浸透に向けた種まきも必要です。
浸透活動について深く考えられていない企業が、「MVVに意味がない」と誤解してしまうのも無理はありません。

経営陣の言動と矛盾している

MVVを社内に浸透させる責任を担うのは経営陣であり、経営陣が本気になれていない企業ではMVVは必ず形骸化します。

多くの企業の経営陣は、策定の段階ではやる気を出して取り組むのですが、策定した内容を社内に発表してからは何も言動が変わっていません。
「MVVは大切である」「これで会社を変える」と意気込んでいた経営陣が何も実践していなければ、それを見た社員のモチベーションが下がることは言うまでもないでしょう。

事あるごとにMVVについて言及し、自らの意識・行動もMVVに基づくものにできない限り、MVVは「経営陣が最初だけ張り切っているよ・・・」という失望に変わります。

心に響く言葉になっていない

MVVを作った後の浸透活動だけではなく、MVVの内容自体も重要です。
どの会社にも当てはまるような内容、自社にはマッチしない内容、長すぎて覚えられない内容、といった条件を満たしてしまうMVVは心に響きません。

MVVは自分の会社だからこその内容であり、かつシンプルで覚えやすくなければ共感できず、社員の意識・行動が変わることはないのです。
魂のこもっていないMVVに対しては、誰もワクワクすることができません。これでは、MVV本来の価値が発揮されることもなくなってしまいます。

MVVの導入効果(社内向け)

ここまでで、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が意味がないと言われる理由について整理してきました。
では、正しく導入し、社内に浸透させることができた場合、どのような効果が得られるのでしょうか。

その答えは、MVVを策定のうえ浸透させることで、強固かつ意思決定の早い組織ができ、それが社外のステークホルダーを惹き付け、最終的な企業の成長につながるという好循環を実現できるようになります。

こうしたことを踏まえると、これから起業する人や小規模スタートアップはMVVを策定しないわけにはいかないでしょうし、大企業においては策定済みのMVVが形骸化していないかというチェックが必須となるでしょう。

それでは、MVVが企業にもたらす効果を、「社内に対する効果」と「社外に対する効果」に分けて、それぞれ2つずつ見ていきます。
まずは「社内に対する効果」からご紹介していきましょう。

組織文化・結束力の強化

MVVが明確であれば、社員は同じゴールや価値観を共有することができます。
これにより、部門や役職を越えた協力が生まれ、組織として力強く前進できるようになります。

また、目の前の業務だけでなく、中長期的に目指したい世界の実現に向けて一丸となって進む組織文化が育ち、組織のあらゆる機能が強化されます。
共通のゴールに向かって、共通のルールで向かっていく組織が強いことは、直感的にもご理解いただけるはずです。

意思決定の迅速化・一貫化

MVVが組織全体の「共通言語」として根付くことで、あらゆる意思決定・行動における判断の軸が揃います。

現場レベルであっても、役員レベルであっても「これはわたしたちのMVVに沿っているか」を基準に判断できるため、ゴールに直結する意思決定がスピーディーに実行可能になります。

迅速な対応力が備わることは、変化の激しい市場における競争優位性にも直結します。
質の高い意思決定を、高速で行えることは、変化の激しい時代における企業の成長要件となるはずです。

MVVの導入効果(社外向け)

MVVは、「組織文化・結束力の強化」や「意思決定の迅速化・一貫化」という社内向けの恩恵をもたらすだけではありません。

MVVは、社外のステークホルダーに対しても、信頼を構築してさまざまな支援につなげるためのキーワードとなります。
本章では、MVVが社外に対してもたらす効果を2つ見ていきましょう。

信頼性・ブランド価値の向上

MVVは社内だけではなく、社外に対しても大きな効果を発揮します。
その代表例として、企業の明確なゴールや価値観を示すことで、顧客や投資家、取引先からの信頼を獲得することができます。

また、MVVに基づく一貫した行動は「この企業は何を大切にしているか」を外部に強く印象づけ、ブランドへのロイヤルティを高めてくれます。

このように信頼を獲得し、ブランド価値を向上させることは、外部のステークホルダーからの購買や投資といったサポートを得ることに直結します。
MVVを通して手にすることができる見えない価値は、計り知れないものがあるはずです。

採用力の向上と人材定着

採用・育成の観点でも、MVVが企業にもたらす効果は非常に大きいものがあります。
具体的には、理念に共感する人材が集まることで採用段階から価値観の一致が前提となり、ミスマッチによる早期離職が減少し、入社後のエンゲージメントも高くなります。

組織を羽ばたかせてくれる人材が集まる「人材の質の向上」を成し遂げると同時に、「採用・教育コストの削減」という恩恵にも直結するわけです。
組織を前に進めていくのは人であり、そうした人の価値を最大化させるという点で、MVVの魅力は十分あると言えるでしょう。

MVVを形骸化させないポイント

ここまでで、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が企業にもたらす効果について理解することができました。
しかし、本記事で何度もお伝えしている通り、これらの効果はMVVを策定しただけでは決して得ることはできません。

むしろ、多くの企業ではMVVを掲げたものの、時間の経過とともに忘れられ、形骸化してしまっているのが実情です。
そのため、MVVを本当に機能させるためには、形骸化させないためのポイントを押さえたうえで運用していくことが不可欠となります。

本章では、MVVを「掲げるだけの言葉」で終わらせず、「行動の拠り所」として活用するために必要なポイントを3つ解説します。

浸透させて意識・行動を変える

MVVを機能させるために最も重要なのは、社内に浸透させることです。

MVVは策定した瞬間に価値が生まれるものではなく、社員一人ひとりの意識や行動に影響を与えてはじめて意味を持ちます。
そのため、日常業務の中で繰り返しMVVに触れる機会を設けたり、評価制度やマネジメントに組み込んだりすることで、継続的に意識させる仕組みを作る必要があります。

また、例えば以下のような浸透ワークショップなどを通じて、自分の業務とMVVを結びつける機会を設けることも重要でしょう。
こうした取り組みによって、MVVが「会社のもの」から「自分の行動の基準」へと変わっていき、社員の意識・行動の変化につながります。

トップのコミットメントを示す

MVVの浸透において、経営陣の姿勢は極めて重要です。

どれだけ優れたMVVを策定しても、経営陣自身がそれに基づいた意思決定や行動を取っていなければ、社員は決して本気で受け止めません。
むしろ、「言っていることとやっていることが違う」という不信感を生み、逆効果になることさえあります。

そのため、経営陣は日々の発言や意思決定の中でMVVに言及し続けること、そして自らが率先して体現することが求められます。
トップが本気であることが伝わったとき、初めて組織全体にMVVが浸透していきます。

刺さる言葉に仕上げる

MVVの内容そのものも、浸透の成否を左右する重要な要素です。

どの企業にも当てはまるような抽象的な表現や、長すぎて覚えられない言葉では、社員の心に残ることはありません。
また、自社の実態とかけ離れた内容では、共感を得ることも難しくなります。

そのため、MVVは「自社らしさ」が反映されたものであり、かつシンプルで覚えやすい言葉に仕上げることが重要です。
社員が自然と口にできるレベルまで言語化されてはじめて、MVVは日常の中で使われるようになります。

言葉に魂が宿ったとき、MVVは単なる理念ではなく、組織を動かす力を持つ存在へと変わるわけです。

MVVの企業事例6選

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の必要性や、MVVを形骸化させないための方法について、ご理解いただけたでしょうか。

本章では、ここまで学んできたことをより実践的につかむために、MVVの企業事例を6選ご用意しております。
「こんなMVVがあるんだ」「こうしたMVVであれば浸透しやすいんだ」という観点で流し読みするだけで構いませんので、事例を参考にして知識を深めていきましょう。

パナソニック ホールディングス

企業概要
暮らしと産業双方に関わる多様な事業ポートフォリオを保有。分社化による意思決定スピードを高め、環境負荷低減やウェルビーイング向上に寄与する製品・サービスを開発。社会課題解決と事業成長の両立を志向。

ミッション
(Mission)
Life tech & ideas 人・社会・地球 を 健やかにする。
ビジョン
(Vision)
人を想う技術と創造力でくらしを支えるベストパートナー
バリュー
(Value)
お客様に寄り添い、考え抜きます。
くらしと調和する技術を追求します。
柔軟な発想で、常にオペレーションを進化させます。

理念の解説
これらのミッション・ビジョン・バリューに、次のような文章も続きます。
人:一人ひとりに寄り添い、その人にあった「くらしの質」の向上
社会:社会活動を維持・向上する安心安全な「くらしインフラ」の提供(空気・水・光・電気・食)
地球:省エネ・資源保全が可能な商品・クリーンエネルギー創出・利活用による脱炭素・循環経済への貢献

出所:同社HPより抜粋

日立製作所

企業概要
社会インフラ、産業機械、ITプラットフォームを統合したソリューションを展開。エネルギー、都市開発、ヘルスケア分野など、幅広い領域まで事業を拡大。グローバル市場で「社会イノベーション企業」を標榜。

ミッション
(Mission)
優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
ビジョン
(Vision)
日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。
バリュー
(Value)
・和
・誠
・開拓者精神

理念の解説
日立製作所のMVVは、ミッション(果たすべき使命)とバリュー(ミッション実現のために大切にしていく価値)の後に、ビジョン(これからのあるべき姿)という構成で整理されています。

出所:同社HPより抜粋

ソフトバンクグループ

企業概要
通信と投資の二本柱で成長。AI群戦略を掲げ、ロボティクス、IoT、自動運転など次世代産業に出資・育成。長期視点の資本政策とスピード経営でテクノロジー主導の産業変革をリード。

ミッション
(Mission)
情報革命で人々を幸せに
ビジョン
(Vision)
世界の人々から最も必要とされる企業グループ
バリュー
(Value)
・No.1
・挑戦
・逆算
・スピード
・執念

理念の解説
ソフトバンクは、ミッションを「理念」という言葉で表現しており、その下にビジョンがあります。
また、ビジョンの下には「戦略」があり、各概念がきちんと整理されているのが分かります。

出所:同社HPより抜粋

キリンホールディングス

企業概要
飲料・医薬・バイオ領域でポートフォリオを展開。健康志向の高まりに対応し、機能性飲料や食品を強化。持続可能な社会実現に向け、原料調達から製造・販売まで環境配慮を徹底。

ミッション
(Mission)
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します
ビジョン
(Vision)
食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる
※2027年の目指す姿:ビジョン
バリュー
(Value)
熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉

理念の解説
キリンでは、ビジョンを都度都度更新しており、「2027年の目指す姿:ビジョン」を設計しています。
MVV、特にビジョンは策定して終わりではなく、時代に合わせてアップデートすることも多々あります。

出所:同社HPより抜粋

note

企業概要
クリエイターがコンテンツを自由に発信・販売できる場を提供。企業や自治体の情報発信にも活用され、コミュニティ形成やブランド構築を後押し。

ミッション
(Mission)
だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。
ビジョン
(Vision)
noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる。
バリュー
(Value)
・クリエイター視点で考えよう / Creator First
・多様性を後押ししよう / Promote Diversity
・クリエイティブでいこう / Be Creative
・つねにリーダーシップを / Leadership
・すばやく試そう / Try First
・おおきな視点で考えよう / Think Big

理念の解説
大きなミッション、より具体的なビジョン、そしてそれを実現するための明確なバリューという構成が分かりやすいです。

出所:同社HPより抜粋

三井物産

企業概要
世界規模で事業投資を行う総合商社。食料、金属、機械、ICTなど多岐にわたる分野で事業開発を推進。GX(グリーントランスフォーメーション)やサステナビリティを重要テーマに据える。

ミッション
(Mission)
世界中の未来をつくる
大切な地球と人びとの、豊かで夢あふれる明日を実現します。
ビジョン
(Vision)
360° business innovators
一人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループ。
バリュー
(Value)
・変革を行動で
・多様性を力に
・個から成長を
・真摯に誠実に

理念の解説
総合商社と聞くと少し保守的な印象を受けますが、三井物産のMVVは革新的な印象を与えてくれます。

出所:同社HPより抜粋

なお、他にもMVVの企業事例を見たい方はこちらの記事をご覧ください。

MVVの作り方

各社の事例について見てきましたが、実際にMVVを作成する際の流れも見ておきましょう。

まずは作成の準備をしたうえで現状の立ち位置を見極め、あるべき方向性を定めたうえでMVVに落とし込み、そして浸透施策を企画・実行するというステップが基本です。

しかし、繰り返しになりますが、MVVは策定するだけでよいというわけでは決してありません。
策定の段階から社内浸透を見据え、多くの社員を巻き込んで当事者意識を醸成していくことがポイントになります。

①プロジェクトの発足・活動準備

MVVの策定は、企業の方向性を決定する重要なプロジェクトです。

そのため、まずは目的やゴールを明確にし、どのようなアウトプットを目指すのかを整理する必要があります。
あわせて、経営陣だけで進めるのではなく、現場メンバーも含めたプロジェクトチームを編成し、組織全体で取り組む体制を整えることが求められます。

また、スケジュールや進め方、役割分担なども事前に設計しておくことで、後工程の手戻りを防ぐことができます。
策定段階から浸透を見据え、多くの社員を巻き込むことが社内浸透の鍵となります。

②現状の整理

次に、自社の現状を正しく把握することが求められます。

具体的には、社員アンケートやヒアリングを通じて、現在の価値観や課題、強み・弱みを整理していきましょう。
また、市場環境や競合の状況についても分析し、自社がどのような立ち位置にあるのかを客観的に捉えることが重要です。

こうした現状分析を行うことで、自社に根ざしたMVVを策定するための土台が整います。
ここを曖昧にしたまま進めると、現場との乖離が生まれ、浸透しないMVVになってしまう可能性があります。

③あるべき方向性の策定

現状を整理したうえで、自社が目指すべき方向性を描いていきます。

ここでは、将来的にどのような価値を提供したいのか、社会に対してどのような存在でありたいのかを議論し、言語化します。
最初から短い文章でまとめようとするのではなく、まずは長文で構わないので思考を広げていきましょう。

そのうえで、複数の文章を比較・検討しながら、自社として最も納得感のある方向性をキーワードレベルで絞り込んでいきます。
いきなりMVVを策定するのではなく、本プロセスを経由することで、次の工程でのMVV言語化が格段にスムーズになります。

④MVVの策定

あるべき方向性が明確になったら、それをミッション・ビジョン・バリューというかたちに落とし込んでいきます。

この際に重要なのは、誰にでも分かりやすく、かつ自社らしさが伝わる言葉にすることです。
抽象的すぎたり、長すぎて覚えられない内容では、社員の共感を得ることができません。

また、複数案を作成したうえで社員の意見を取り入れながらブラッシュアップしていくことで、納得感の高いMVVに仕上げることができます。
複数案を作成して、最終決定は社員の投票にするなどの工夫をすれば、より一層自分事化が進み、社内に浸透する理念になっていきます。

⑤MVVの浸透施策の企画・実行

MVVは策定して終わりではなく、組織に浸透させて初めて価値を発揮します。

そのため、個人MVVの策定や評価制度・採用制度への組み込みなど、日常業務の中で繰り返し触れる仕組みを設計する必要があります。
さらに、経営陣が率先してMVVを体現し、発信し続けることで、組織全体への浸透が加速します。

時間をかけて文化として定着させることが、MVVを機能させるための最も重要なポイントです。

なお、MVVの作り方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

MVVに関するよくある質問

ここまでMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の意味や必要性、作り方について整理してきましたが、実際に導入を検討する中では、さまざまな疑問が生まれるものです。

本章では、MVVに関して特によくいただく質問をまとめています。
本記事の締めくくりとして、説明しきれていない重要なポイントを理解しておきましょう。

MVVが必要ない企業は?

結論から言えば、ほとんどの企業にとってMVVは必要ですが、必ずしもMVVという言葉にこだわりすぎる必要はありません。
企業が目指す先とそこに至る方法を定義・浸透させることができていれば、どのような表現を使っても自由です。

そのうえで補足しておくと、創業直後でメンバーが少なく、組織の方向性が自然と統一されているような極めて小規模な組織においては、必ずしも明文化する必要がないケースもあるかもしれません。

一方で、組織が拡大し、メンバーが増えるほど、意思決定の基準がバラバラになりやすくなるため、大規模な組織においては共通のゴールと価値観を示すことが不可欠でしょう。

MVVの要素はすべて使用すべき?

ミッション・ビジョン・バリューの3つをすべて使用することが一般的ですが、必ずしもすべてを採用しなければならないわけではありません。

企業によっては、ミッションとビジョンのみで整理するケースや、「存在意義」という意味を持つパーパスを含めた別のフレームワークを採用するケースもあります。

重要なのは、形式ではなく、自社にとって分かりやすく機能するかどうかです。
要素を増やしすぎて複雑になるよりも、シンプルで運用しやすい構成にするなど、MVVに対する基本を理解したうえで自社にマッチしたかたちを採用しましょう。

なお、MVVやパーパスの組み合わせについては、以下の記事で解説しています。

MVVが注目された背景は?

これまでの企業経営は「利益最大化を目指す時代」であり、企業が利益さえ得られていれば誰も文句を言わず、信頼や投資も惜しみなく提供してくれていました。

しかし、現代の企業経営は「社会的意義や信頼を軸にした経営が求められる時代」に突入しており、企業が目指す先を示すことができなければ、優秀な人材が集まらず、ステークホルダーからの信頼や投資も得ることができなくなっています。

そのため、環境変化や市場変化にも耐えて継続的に成長できる要件としてMVVが注目を集め、多くの企業がMVVの策定や見直しに注力しています。

MVVを浸透させる方法は?

MVVを浸透させるためには、日常業務の中で繰り返し触れる仕組みを作ることが重要です。

例えば、評価制度や採用基準に組み込むことで、意思決定の軸として自然に使われるようになるでしょう。
また、ワークショップやミーティングの場でMVVについて議論する機会を設けることも効果的です。

そして何よりも、経営陣が率先してMVVを体現し、日々の発言や意思決定の中で言及し続けることが欠かせません。
こうした積み重ねによって、MVVは社内に浸透していきます。

なお、MVVの浸透施策については、以下の記事で解説しています。

ミッションとパーパスの違いは?

パーパスは「存在意義」を示す言葉であり、「果たすべき使命」を示すミッションと極めて近い意味があります。

両者の違いについて簡単に整理すると、パーパスが社会との関係性の中に企業のゴールを見出すものであり、ミッションが自社の使命感や義務感からゴールを見出すものと言えるでしょう。

しかしながら、両者は多くの企業で区別されて使われておらず、ひとまずは「パーパスもミッションも企業のゴールを示す」と覚えておけば十分でしょう。

なお、パーパスについては、以下の記事で解説しています。

まとめ|MVVを活用できれば組織は強くなる

MVVはお飾りの言葉ではなく、企業のゴールと価値観を明確にし、組織を同じ方向に導くための重要なフレームワークです。

正しく策定し、社内に浸透させることができれば、意思決定の質とスピードが向上し、組織としての一体感や競争力も大きく高まります。

一方で、作るだけで終わってしまえば意味はなく、むしろ逆効果になる可能性すらあります。
だからこそ、策定と同じかそれ以上に、浸透に力を入れることが重要です。

MVVは使い方次第では意味がなくなり、むしろ企業にとって害にさえなりますが、うまく使うことができれば企業の成長を牽引する武器になります。
本記事でご紹介した内容を参考に、自社に合ったMVVをかたちにし、組織の成長につなげていきましょう。

MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

MVV・パーパスの策定・浸透はこちら⇒ Business Jungle MVV・パーパス策定

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