ミッション・ビジョン・バリューの作り方とは?手順・事例・ワークシートまで徹底解説

ミッション・ビジョン・バリューの作り方とは?手順・事例・ワークシートまで徹底解説

近年の経営を取り巻く状況は、大きく変化しています。

不確実で予測できない将来の見通し、サステナビリティに対する意識の高まりなどにより、企業の役割が「単なる金儲け」から「社会への価値提供」にシフトしていることが、その代表例として挙げられるでしょう。

そして、こうした状況変化は、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定する流れを加速させています。
先を見通せず、社会への貢献を求められている時代だからこそ、企業としてどこを目指すのかを示すことが求められているわけです。

本記事では、このような時代変化を踏まえ、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作りたいと考えている方を対象に、具体的な作成方法について詳しく解説しています。

作成手順や事例はもちろん、自分だけで作成できるようにワークシートもご用意しておりますので、ぜひご活用ください。

なお、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」と一緒にMVV・パーパスを策定したい方、あるいは浸透させたい方は、いつでもご連絡ください。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、全力でサポートさせていただきます!

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本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
創業・事業成長に必要なサービスをオールインワンで提供するBusiness Jungleの代表。
外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などにおいて、事業戦略立案やMVV・パーパスの策定・浸透に関する豊富な経験を有する。

ミッション・ビジョン・バリューとは?

MVVの作り方について説明する前に、それぞれの言葉の意味を簡単に確認しておきましょう。
定義は企業によって表現が多少異なりますが、ここでは次のように整理しておきます。

ミッション(果たすべき使命)

事業を通じて達成すべき、最終的なゴール。
例:世界中の知識を、言語や環境を問わず誰もがアクセスできる形にする

ビジョン(将来の理想像)

ミッションを実現した先に描く、自分たちのありたい姿。
例:一人ひとりの学びの履歴と興味に基づき、最適な本や教材が自動的に届く社会を実現する

バリュー(大切にしたい価値観)

ミッションやビジョンを実現するために、組織として守るべきルール。
例:①学び手中心のサービス設計、②知の多様性を尊重、③常に成長し続ける姿勢

MVVや関連する概念のパーパス(存在意義)については、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。

ミッション・ビジョン・バリューが必要な理由

ミッション・ビジョン・バリューは、一言でいえば、企業がどこを目指し、どのようにしてそこへ向かうのかを示す企業の羅針盤です。

ミッション・ビジョン・バリューが定義されていることで、組織に共通言語が備わり、全員が同じ方向に進むことができるようになるため、企業の成長を大きく加速させることができます。
一方、これらがなければ各々が好きな方向に進み、非常に非効率な組織となってしまいます。

なお、厳密に言えば、各用語の定義は企業によってさまざまです。
ミッション・ビジョン・バリューのうち、すべてを組み合わせている企業、一部のみを組み合わせている企業など、正解はありません。

しかしながら、重要なことはミッション・ビジョン・バリューという言葉そのものではなく、各言葉を自分たちなりに解釈し、組織の中で共通言語として定着させることで、社員の意識と行動を変えることです。

これができる限り、言葉自体にこだわる必要はありません。
ぜひ自分たちにあった定義や組み合わせを考えてみてください。

ミッション・ビジョン・バリューの作り方

さて、ここからは具体的なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の作り方について、詳しく考えていきます。
まずは作り方の全体像から見ていきますが、基本ステップは大きくわけて5つあります。

まずは、①プロジェクトの発足・活動準備を通して、MVV策定に必要な準備を行います。
活動のゴールや基本知識が整理されていなければ、策定の途中で道に迷ってしまいます。

そのうえで、②現状の整理を行い、自社が置かれている現状を正しく認識します。
現状を理解することができなければ、これから進む方向も見極めることができません。

ここからは焦ってMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定したくなりますが、まだ我慢です。
③あるべき方向性の策定を通して、言葉そのものではなく、中身から決めていくことが大切です。

ここまで来てやっと、④MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定に取り掛かることができます。
すでにあるべき方向性は決まっているので、後は言葉をとことん磨き込んでいきましょう。

そして最後に⑤MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透施策の企画・実行です。
「作成して終わり」で浸透しない理念ほど、無価値なものはありません。作成以上に全力で取り組みましょう。

手順①:プロジェクトの発足・活動準備

プロジェクトの活動目的を明確化したうえで活動計画を策定し、プロジェクトチームを組成のうえ、メンバーはMVVに関する基礎的な知識を身に付ける必要があります。

重要視されることが少ない本ステップですが、プロジェクトの成功を左右する極めて重要な取り組みです。
全力で取り組むようにしましょう。

①-1.活動目的の明確化
最初にプロジェクトの目的を定義します。目的が明確でなければ、プロジェクトの途中で道に迷ってしまうため、これからのすべての活動の拠り所を最初に決めておきます。

①-2.活動計画の策定
タスク(何をするか)・スケジュール(いつするか)・役割分担(誰がするか)を定めます。これが目的を達成するための道筋となります。

①-3.プロジェクトチームの組成
目的達成のために必要な人材を社内外から集め、プロジェクトチームを組成します。社長がオーナーとして本気を示しつつ、組織横断的に幅広い人材を巻き込むようにします。

①-4.MVVに対する理解の醸成
この後の検討を円滑に進めるため、MVVに関する最低限の知識を身に付けます。書籍や外部講師を活用して、効率的に学びましょう。

本手順を具体的な質問に落とし込むと、以下の通りになります。

質問回答のヒント
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成する目的は何ですか?これから検討を進めていくうえでの目的を整理できなければ、検討の途中で道に迷ってしまいます。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の作成・浸透において、何を・いつ・誰が行っていきますか?円滑に検討を進めていくためには、活動計画を作成しておく必要があります。
どのようなチーム・体制で検討を進めていきますか?社長を筆頭に、さまざまな組織から人材を集め、会社全体として納得感のある検討にしましょう。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に関する知識は全員漏れなく身につけられていますか?MVVに関する知識がなければ、議論が空中戦になってしまいます。

手順②:現状の整理

社員アンケートやヒアリング、市場・競合・自社調査を通じて、自社の現状を客観的に理解し、自社のあるべき方向性を定める際のインプットを獲得します。

闇雲に調査してしまうと際限がないため、「MVVの策定・浸透に資する調査」という発想を念頭に置き、意味のない膨大な調査には絶対にならないようにしてください。

②-1.社員アンケートの作成・配布・分析
既存MVVの浸透度合いや自社の活動に対する不安感などを、社員アンケートを通して吸い上げます。これで自分たちの立ち位置を客観的に知ることができます。

②-2.関係者ヒアリングの実施
社長や役員、現場などに対して、MVVの策定・浸透に関するヒアリングを行います。自分たちの課題はもちろん、自分たちの魅力も忘れずに引き出しましょう。

②-3.市場調査
業界動向や顧客ニーズについて調査し、業界や顧客がどのように変化しているのかを見極めます。現状だけではなく、将来に対する見通しも漏れなく把握します。

②-4.競合調査
市場変化を受けて競合がどのような活動を行っているのかを見極めます。また、競合が掲げているMVVもあわせて把握しておきます。

②-5.自社調査
自社のこれまでの歩みや戦略を棚卸しします。また、市場調査や競合調査を踏まえた自社の課題についても整理する必要があります。

本手順を具体的な質問に落とし込むと、以下の通りになります。

質問回答のヒント
あなたの会社が属している業界にはどのような特徴があり、将来的にはどのような変化が生じると思いますか?あなたが戦う市場を、業界の観点で整理してみましょう。市場は「現在」だけではなく、「将来」についても考えることで、あなたの会社が目指す先がより明確になります。
あなたの会社の既存顧客・潜在顧客にはどのような特徴があり、将来的にはどのような変化が生じると思いますか?あなたが戦う市場を、顧客の観点で整理してみましょう。市場は「現在」だけではなく、「将来」についても考えることで、あなたの会社が目指す先がより明確になります。
あなたの会社の競合はどのような特徴を有しており、将来的には競争環境がどのように変化すると思いますか?市場に存在するさまざまなプレイヤーの動きを、「現在」と「将来」の両観点で考えることで、あなたの会社が目指す先がより明確になります。
あなたの会社の競合は、どのようなMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を掲げていますか?競合のMVVを参照することで、自分が策定するMVVのイメージを持ちましょう。
あなたの会社はどのような思いから設立され、現在に至るまでどのような歴史がありましたか?設立の歴史を振り返ると、あなたの会社が大切にしていることが見えてきます。
あなたの会社は、何を実現するためにどのような戦略を掲げており、その過程でどのような強み・弱みが見えてきましたか?弱みについて注目してしまいがちですが、強みについてもしっかりと理解しておくことで、あなたの会社の魅力も漏らさず理解しておきましょう。

手順③:あるべき方向性の策定

現状整理で把握したこれからの市場・競合の動向や自社の強み・弱みを踏まえ、将来的に自社がどのような姿を描くべきかという方向性を定めます。

現状調査結果からMVV策定までの距離は離れているため、その前段としてあるべき方向性を定めることで、MVV策定がグッと簡単かつ効果的になります。

③-1.現状整理を踏まえたあるべき方向性の策定
現状整理の結果を踏まえ、将来的に自社がどこを目指していくべきかという方向性を定めます。この方向性が、最終的にはMVVとして生まれ変わります。

③-2.あるべき方向性のキーメッセージ化
あるべき方向性だけでは文章が長く・難しくなる傾向にあるため、いくつかの短いメッセージに落とし込みます。これらの要素を盛り込みながら、MVVを策定します。

本手順を具体的な質問に落とし込むと、以下の通りになります。

質問回答のヒント
現状整理の結果を踏まえると、将来的に自社としてどこを目指していきたいですか?市場・競合・自社の分析結果を踏まえると、あなたの会社が目指したい先がぼんやりと見えてきます。言葉の使い方は気にしなくてもいいので、思ったことをたくさん表現してみましょう。
上記で定めたあるべき方向性は、どのようなキーワード(いくつかの単語)に落とし込むことができますか?長い文章を見ても、なかなか大事にしたいポイントが分かりません。あなたの会社が大事にしたいことを、5~10個程度の単語に落とし込むことで、MVVの策定において盛り込むべき単語も見えてきます。
検討したキーワードのうち、「特に大切にしたいもの」という観点で高・中・低に分類するとどうなりますか?検討したキーワードの重要度に濃淡をつけることで、MVVの策定も楽になります。高・中・低の数は、おおよそ均等になるようにしましょう。

手順④:MVVの策定

ここまできて、やっとMVVの策定を行います。

策定方法はさまざまありますが、何よりも重要なことはできるだけ多くの社員を巻き込んで自分事化してもらうことです。
これにより策定の手間は大きくなりますが、その後のMVVの浸透における円滑さが段違いに向上します。

④-1.MVVの候補策定(3案程度)
自社のあるべき方向性を踏まえ、MVVを策定します。策定方法はさまざまありますが、自分事化を促して浸透させるためにできる限り多くの社員を巻き込んでください。

④-2.MVVの決定(1案のみ)
策定した候補から、最終的なMVVを絞り込みます。評価基準の設定、全社員の投票など方法はさまざまですが、ここでも社員の巻き込みを忘れないでください。

④-3.MVVの社内外公表
最終決定したMVVは大々的に社内外に公表しましょう。イベントを企画する、キービジュアルを作成する、経営戦略とあわせて発表するなどの工夫が可能です。

本手順を具体的な質問に落とし込むと、以下の通りになります。

質問回答のヒント
自社のあるべき方向性、そこに至るための価値観を表現するために、MVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)、MV型(ミッション・バリュー型)、あるいは他の型のいずれを採用したいですか?MVVの組み合わせは数多くあります。目指す世界とそこに至るための価値観を丁寧に表現したい場合はMVV型、とにかく覚えやすくシンプルにしたい場合はMV型がおすすめです。これ以外の組み合わせを採用してもまったく問題なく、重要なことは自分たちが納得して使用できる組み合わせを選ぶことです。
あるべき方向性や具体的なキーワードを踏まえると、どのようなミッション(果たすべき使命)が適切ですか?30文字以内でシンプルに、あなたの会社の「果たすべき使命」を表現しましょう。
「わたしたちが果たすべきことは何か?」という問いに対する答えとも言うことができます。
あるべき方向性や具体的なキーワードを踏まえると、どのようなビジョン(将来の理想的な姿)が適切ですか?30文字以内でシンプルに、あなたの会社の「将来の理想的な姿」を表現しましょう。
「ミッションの実現に向けて、わたしたちはどうありたいか?」という問いに対する答えとも言うことができます。
あるべき方向性や具体的なキーワードを踏まえると、どのようなバリュー(大切にしたい価値観)が適切ですか?3つから6つの「大切にしたい価値観」を、それぞれ20文字以内でシンプルに表現しましょう。
「わたしたちがどうしても譲れない考え方は何か?」という問いに対する答えとも言うことができます。

なお、上記で登場したMVV型(ミッション・ビジョン・バリュー型)やMV型(ミッション・バリュー型)など、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスに関する組み合わせを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

手順⑤:MVVの浸透施策の企画・実行

人間は、物事を「認識」「理解」「納得」することで、はじめて自分事化して「行動」を変えます。
この3つの壁を突破して具体的な行動変革に繋げるため、活動に終着点はありません。根気強く、継続的に浸透施策に取り組んでいきましょう。

なお、浸透施策の企画自体はMVV策定に先んじて実施しておくとスムーズです。

⑤-1.浸透施策の企画
策定したMVVを浸透させるための施策を企画します。効果やコストなどの評価基準を設け、施策を優先順位付けすることで実行の品質・スピードが向上します。

⑤-2.浸透施策の実行
優先度の高い施策から実行していきましょう。実行中に想定とは異なる状況に陥ることは当然であり、そこからいかに高速で軌道修正していけるかが効果最大化のポイントです。

⑤-3.社員アンケートによる定点観測・改善
MVVの浸透は終わりがありません。四半期から1年ごとの社員アンケートで自社の状況を定期的に把握し、絶え間ない改善活動に繋げていきます。

本手順を具体的な質問に落とし込むと、以下の通りになります。

質問回答のヒント
今から、あるいは将来的にMVVを社内に浸透させるための施策として、どのようなものが考えられますか?例えば、評価基準や採用基準にMVVに関する条項を盛り込む、表彰制度を介して定期的にMVVについてリマインドする、Teamsなどの社内ツールにバリュースタンプを導入するなどが考えられます。
考えた施策のうち、自社の特徴を踏まえると、どの施策が効果的だと考えられますか?さまざまな施策がありますが、自社の雰囲気を踏まえると、効果・費用・実行スピードの観点でいくつかの有望な施策に絞ることができるはずです。

なお、こちらの記事ではMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスの社内浸透施策をご紹介しています。ぜひご覧ください。

ミッション・ビジョン・バリューを作るためのワークシート

さて、ここまででMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成するための手順をお伝えしてきました。
具体的な質問もあわせてご紹介しましたが、本記事だけで回答を作っても、なかなか取り組みにくいかもしれません。

そのため、Excel形式のワークシートを用意させていただきましたので、ぜひご活用ください。
質問を見ながら回答を記入していくことで、簡単にMVVを作成することができます。

組織を左右する大事な検討です。じっくりと時間をかけて、取り組んでいきましょう。

ミッション・ビジョン・バリューを作る際の注意点

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成するための手順は、ワークシートとあわせてしっかりと理解することができました。

しかし、作成する際は必ず念頭にくべきポイントがいくつかあります。
本章では、MVVを作る際の注意点をご紹介させていただきますので、絶対に忘れないようにしてください。

3つの条件を満たして作れ

良いミッション・ビジョン・バリューには共通する条件があり、それは「市場の機会・ニーズがあること」「自社にとっての整合性があること」「強い信念があること」という3つの条件です。

どんなに美しい言葉を並べたMVVでも、市場から求められていなければ価値がありません。
また、自社の歴史や強みを活かせる内容でなければ、納得感もありません。
そして何よりも、本気で取り組めることでなければ、人の意識・行動を変えることはできません。

MVVを作成する際は、これら3つの条件を網羅するようにしましょう。

「作って終わり」では意味がない

ミッション・ビジョン・バリューに関して、最も頻繁に発生する失敗があります。
それは、作成する際は全力で取り組むものの、作成後は熱量がなくなり、浸透活動をおろそかにするという失敗です。

MVVは掲げるだけでは価値がありません。
むしろ、言葉だけの取り組みに対して、社員のモチベーションを下げる悪影響のほうが大きいでしょう。

MVVは、社内に浸透させて、人の意識・行動を変えてこそが価値があることを忘れないでください。

できるだけ多くの社員を巻き込め

ここまで何度も、社員の意識・行動を変えることの大切さをお伝えしてきましたが、そのために最も有効な手段があります。
それはミッション・ビジョン・バリューを作成する段階で、経営層だけではなく、できるだけ多くの社員を巻き込むということです。

作成段階から社員を巻き込むことで、社員は「自分もMVV作成に関わった」という当事者意識を持つことができます。
そしてこの当事者意識がなければ、社員にとってのMVVが「お偉いさんが作ったお飾りの言葉」になってしまい、社内に浸透することはありません。

確かに、作成の関係者を増やすことは手間に感じてしまうかもしれませんが、MVVは浸透させてこそ価値があります。

以下に代表的な巻き込み方を整理しましたので、可能な限り実践しましょう。
経営者の思いや作成の手間を優先して社員を巻き込まず、形骸化したMVVが数多くあることを忘れないでください。

社員を巻き込んだMVV策定方法実行難易度浸透貢献度
代表社員のプロジェクトチーム参画
部署や役職ごとに1名ずつなど、代表社員をチームに参画させることで当事者意識を醸成します。
MVV策定ワークショップの開催
部署や役職ごとにワークショップを開催し、それらをまとめあげるかたちでMVVを策定します。
全社員アンケートによる意見の吸い上げ
会社が抱えている課題や強みなど、どのようなテーマでもよいのでアンケートを介して社員を参加させます。
全社員投票によるMVVの絞り込み
経営陣でMVVを複数案作成のうえ、最終的な決定は全社員投票にします。
MVVドラフト案の全社レビュー
経営陣でMVVのドラフトを作成し、ドラフトに対するフィードバックを社員から受け付けて最終化します。
MVV策定プロセスを発信して共感醸成
MVVを策定する過程を都度公開し、リアルタイム感やワクワク感、きちんと考えている感を醸成します。

ミッション・ビジョン・バリューの事例10選

ミッション・ビジョン・バリューの作り方に関して、基本的な知識は身につけることができました。
ここでは、実際の企業事例を参考にして、どのようなミッション・ビジョン・バリューを作ればいいかというヒントを得ましょう。

有名企業の事例を見れば、各社がどのような思いで「目指す先と到達方法」を決めているのか、熱い考えが見てとれるはずです。

トヨタ自動車

企業概要
世界トップクラスの自動車メーカー。次世代モビリティの社会実装を目指し、EV、燃料電池車、自動運転など新技術開発に積極投資。交通安全やカーボンニュートラルにも注力し、移動体験そのものの革新を狙う。

ミッション
(Mission)
わたしたちは、幸せを量産する。
だから、ひとの幸せについて深く考える。
だから、より良いものをより安くつくる。
だから、1秒1円にこだわる。
だから、くふうと努力を惜しまない。
だから、常識と過去にとらわれない。
だから、この仕事は限りなくひろがっていく。
ビジョン
(Vision)
可動性を社会の可能性に変える。
不確実で多様化する世界において、トヨタは人とモノの「可動性」=移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることをふやす。そして、人類と地球の持続可能な共生を実現する。
バリュー
(Value)
トヨタウェイ
ソフトとハードを融合し、パートナーとともにトヨタウェイという唯一無二の価値を生み出す。

【ソフト】
よりよい社会を描くイマジネーションと人起点の設計思想。現地現物で本質を見極める。
【ハード】
人とモノの可能性を高める装置。パートナーとともにつくるプラットフォーム。これらをソフトによって柔軟に、迅速に変化させていく。
【パートナー】
ともに幸せをつくる仲間(顧客、社会、コミュニティ、社員、ステークホルダー)を尊重し、それぞれの力を結集する。

理念の解説
ミッションが「幸せの量産」という大きなテーマでありますが、ビジョンに「可動性」というキーワードを出してトヨタらしさと具体性を出しています。また、トヨタウェイという独自の考え方もユニークです。

出所:同社HPより抜粋

パナソニック ホールディングス

企業概要
暮らしと産業双方に関わる多様な事業ポートフォリオを保有。分社化による意思決定スピードを高め、環境負荷低減やウェルビーイング向上に寄与する製品・サービスを開発。社会課題解決と事業成長の両立を志向。

ミッション
(Mission)
Life tech & ideas 人・社会・地球 を 健やかにする。
ビジョン
(Vision)
人を想う技術と創造力でくらしを支えるベストパートナー
バリュー
(Value)
お客様に寄り添い、考え抜きます。
くらしと調和する技術を追求します。
柔軟な発想で、常にオペレーションを進化させます。

理念の解説
これらのミッション・ビジョン・バリューに、次のような文章も続きます。
人:一人ひとりに寄り添い、その人にあった「くらしの質」の向上
社会:社会活動を維持・向上する安心安全な「くらしインフラ」の提供(空気・水・光・電気・食)
地球:省エネ・資源保全が可能な商品・クリーンエネルギー創出・利活用による脱炭素・循環経済への貢献

出所:同社HPより抜粋

日立製作所

企業概要
社会インフラ、産業機械、ITプラットフォームを統合したソリューションを展開。エネルギー、都市開発、ヘルスケア分野など、幅広い領域まで事業を拡大。グローバル市場で「社会イノベーション企業」を標榜。

ミッション
(Mission)
優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
ビジョン
(Vision)
日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。
バリュー
(Value)
・和
・誠
・開拓者精神

理念の解説
日立製作所のMVVは、ミッション(果たすべき使命)とバリュー(ミッション実現のために大切にしていく価値)の後に、ビジョン(これからのあるべき姿)という構成で整理されています。

出所:同社HPより抜粋

楽天グループ

企業概要
オンラインショッピング、金融、通信、デジタルメディアを相互連携させたエコシステム戦略を構築。ポイント経済圏を拡張し、ユーザー接点を最大化。国内外で新領域へ進出し、生活インフラとしての存在感を高める。

ミッション
(Mission)
イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントする
ビジョン
(Vision)
グローバル イノベーション カンパニー
バリュー
(Value)
楽天主義
楽天グループのあり方を明確にすると同時に、全ての従業員が理解し実行する価値観・行動指針が「楽天主義」です。「ブランドコンセプト」「成功のコンセプト」の2つで構成されています。

【ブランドコンセプト】
・大義名分 -Empowerment-
・品性高潔 -気高く誇りを持つ-
・用意周到 -プロフェッショナル-
・信念不抜 -GET THINGS DONE-
・一致団結 -チームとして成功を掴む-

【成功のコンセプト】
・常に改善、常に前進
・Professionalismの徹底
・仮説→実行→検証→仕組化
・顧客満足の最大化
・スピード!!スピード!!スピード!!

理念の解説
楽天主義というバリューを、ブランドコンセプトと成功のコンセプトという2つで構成している点が特徴的です。
ミッション・ビジョンもシンプルで分かりやすいです。

出所:同社HPより抜粋

ソフトバンクグループ

企業概要
通信と投資の二本柱で成長。AI群戦略を掲げ、ロボティクス、IoT、自動運転など次世代産業に出資・育成。長期視点の資本政策とスピード経営でテクノロジー主導の産業変革をリード。

ミッション
(Mission)
情報革命で人々を幸せに
ビジョン
(Vision)
世界の人々から最も必要とされる企業グループ
バリュー
(Value)
・No.1
・挑戦
・逆算
・スピード
・執念

理念の解説
ソフトバンクは、ミッションを「理念」という言葉で表現しており、その下にビジョンがあります。
また、ビジョンの下には「戦略」があり、各概念がきちんと整理されているのが分かります。

出所:同社HPより抜粋

キリンホールディングス

企業概要
飲料・医薬・バイオ領域でポートフォリオを展開。健康志向の高まりに対応し、機能性飲料や食品を強化。持続可能な社会実現に向け、原料調達から製造・販売まで環境配慮を徹底。

ミッション
(Mission)
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します
ビジョン
(Vision)
食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる
※2027年の目指す姿:ビジョン
バリュー
(Value)
熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉

理念の解説
キリンでは、ビジョンを都度都度更新しており、「2027年の目指す姿:ビジョン」を設計しています。
MVV、特にビジョンは策定して終わりではなく、時代に合わせてアップデートすることも多々あります。

出所:同社HPより抜粋

全日本空輸(ANA)

企業概要
国内最大の航空ネットワークを運営。安全運航と顧客満足を最優先に、ラウンジやデジタルサービスまでを設計。国際線拡充とアライアンス活用でグローバルを強化。

ミッション
(Mission)
安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します
ビジョン
(Vision)
ワクワクで満たされる世界を
私たちは、空からはじまる多様なつながりを創り、社員・お客様・社会の可能性を広げていきます。
バリュー
(Value)
・安全(Safety)
安全こそ経営の基盤、守り続けます。

・お客様視点(Customer Orientation)
常にお客様の視点に立って、最高の価値を生み出します。

・社会への責任(Social Responsibility)
誠実かつ公正に、より良い社会に貢献します。

・チームスピリット(Team Spirit)
多様性を活かし、真摯に議論し一致して行動します。

・努力と挑戦(Endeavor)
グローバルな視野を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦します。

理念の解説
ANAは「グループ経営理念」と称してミッションを、「グループ経営ビジョン」と称してビジョンを、「グループ行動指針」としてバリューを制定しています。
また、ANA創立70周年を機に、経営ビジョンを刷新しています。

出所:同社HPより抜粋

note

企業概要
クリエイターがコンテンツを自由に発信・販売できる場を提供。企業や自治体の情報発信にも活用され、コミュニティ形成やブランド構築を後押し。

ミッション
(Mission)
だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。
ビジョン
(Vision)
noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる。
バリュー
(Value)
・クリエイター視点で考えよう / Creator First
・多様性を後押ししよう / Promote Diversity
・クリエイティブでいこう / Be Creative
・つねにリーダーシップを / Leadership
・すばやく試そう / Try First
・おおきな視点で考えよう / Think Big

理念の解説
大きなミッション、より具体的なビジョン、そしてそれを実現するための明確なバリューという構成が分かりやすいです。

出所:同社HPより抜粋

デジタル庁

企業概要
行政手続きや社会インフラのデジタル基盤整備を担う行政機関。官民データ連携やマイナンバー活用を進め、国民視点で利便性と透明性を高める政策を推進。

ミッション
(Mission)
誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。
ビジョン
(Vision)
・優しいサービスのつくり手へ。
・大胆に革新していく行政へ。
バリュー
(Value)
・一人ひとりのために
・常に目的を問い
・あらゆる立場を超えて
・成果への挑戦を続けます

理念の解説
政府機関らしく、全国民のことを考え抜いたMVVであると感じられます。一方、デジタル関連の取り組みを行っているゆえか、先進的な印象も受けます。

出所:同社HPより抜粋

三井物産

企業概要
世界規模で事業投資を行う総合商社。食料、金属、機械、ICTなど多岐にわたる分野で事業開発を推進。GX(グリーントランスフォーメーション)やサステナビリティを重要テーマに据える。

ミッション
(Mission)
世界中の未来をつくる
大切な地球と人びとの、豊かで夢あふれる明日を実現します。
ビジョン
(Vision)
360° business innovators
一人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループ。
バリュー
(Value)
・変革を行動で
・多様性を力に
・個から成長を
・真摯に誠実に

理念の解説
総合商社と聞くと少し保守的な印象を受けますが、三井物産のMVVは革新的な印象を与えてくれます。

出所:同社HPより抜粋

他の事例を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

ミッション・ビジョン・バリューの作り方Q&A

それでは、本記事の最後として、ミッション・ビジョン・バリューの作り方に関する質問を、一問一答形式で整理していきたいと思います。

どれも大切な考え方なので、きちんと理解しておきましょう。

ワークショップを開催して作成する方法は?

ワークショップ形式で進める場合も、基本的な考え方は本記事でご紹介した流れと同じです。

まずは活動目的や進め方を整理し、参加者の間でMVVに関する基本認識をそろえます。そのうえで、自社の現状について意見を出し合い、市場・顧客・競合・自社の強みや課題を整理していきます。

次に、現状整理を踏まえながら、自社が将来的にどこを目指すべきかという方向性を議論します。そして、その内容をもとにミッション・ビジョン・バリューの候補を複数案作成し、参加者同士で比較しながら磨き込んでいきます。

1日ですべてを決めきらないことや、複数人のグループに分かれて検討していくことも一案です。
ワークショップを開催する場合、プロ講師に依頼するケースが多いため、そうしたことも念頭に置いておきましょう。

少数の経営陣だけで作成してもいいですか?

経営陣だけで作成すること自体は可能ですし、実際にそのような形で進める企業もあります。
ただし、経営陣だけで決めた場合は、現場の納得感や当事者意識が弱くなりやすく、あとから浸透に苦労することが少なくありません。

そのため、最終的な意思決定は経営陣が担うとしても、途中段階では現場社員へのヒアリング、アンケート、ワークショップ、候補案への意見募集などを取り入れ、できるだけ多くの社員を巻き込むことが望ましいです。

経営の意思と現場の実感が重なるほど、実際に使われるMVVになりやすくなります。
最終的なゴールはMVVを作成することそのものではなく、社内に浸透させることである点は、絶対に忘れてはいけません。

どれくらいの文章量で作るのが適切ですか?

ミッション・ビジョン・バリューは、長すぎると覚えられず、短すぎると意味が伝わりにくくなるため、簡潔さと伝わりやすさのバランスが重要です。

一般的には、ミッションとビジョンはそれぞれ1文で、30文字前後を目安にすると整理しやすいです。
また、バリューは3個から6個程度に絞ったうえで、1つあたり10文字から20文字程度で表現すると運用しやすくなります。

ただし、最初から完璧な短文を目指す必要はありません。
まずは少し長めでもよいので意味が明確な文章を作り、その後に何度も磨き込んで短く強い言葉にしていく進め方がおすすめです。

パーパスとは何ですか?

パーパスとは、企業が社会の中でなぜ存在しているのかという「存在意義」を表す概念です。
企業が事業活動を通じて社会にどのような価値を提供したいのかを示すものと言えるでしょう。

ここでよく疑問として挙がるのが、パーパス(存在意義)とミッション(果たすべき使命)の違いです。
両者の違いを厳密に述べるのであれば、パーパスが自分自身の内から湧き上がる内的動機をもとに定められた目指す先であり、ミッションが外部からの要請という外的動機をもとに定められた目指す先です。

しかし実務上は、両者は大きく異なる概念というよりも、ほぼ同じ意味として扱われるケースが多いのが実情です。
実際、MVVやパーパスの定義や使い方は企業ごとにさまざまであり、絶対的な正解が存在するわけではありません。

そのため、MVVやパーパスという言葉の定義に過度にこだわる必要はありません。
本記事で紹介している企業事例なども参考にしながら、自社らしいMVVやパーパスを考えていくことが大切です。

なお、パーパスについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ|ミッション・ビジョン・バリューを作ろう

VUCAと呼ばれる予測困難な時代や、サステナビリティへの意識が高まる現代において、「企業がどこを目指し、どのように到達するのか」を明確に示す必要があります。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、その問いに答えるためのツールであり、作り方を正しく理解することで強い組織にすることができます。

本記事では、ミッション(果たすべき使命)、ビジョン(将来の理想的な姿)、バリュー(大切にしたい価値観)という基本を整理したうえで、MVVの作り方を5つのステップに分けて解説しました。

プロジェクトの発足・活動準備、現状の整理、あるべき方向性の策定、MVVの策定、浸透施策の企画・実行というプロセスは、どれも欠かせない重要な手順です。

大切なのは、表面的な言葉で遊ぶことではなく、社員や関係者が共感し、日常の意思決定で使える状態にすること。
MVVの作り方を正しく理解し、自社に合ったプロセスで策定・浸透させることが、変化の時代においてもブレない強い組織をつくる第一歩ということを忘れないでください。

もし、MVVやパーパスの言語化や社内展開にお悩みであれば、わたしたち「Business Jungle MVV・パーパス策定」がお手伝いできるかもしれません。外資戦略コンサルやデザイナー出身者を含む多様な専門チームが、あなたの会社らしいMVV・パーパスを共にかたちにします。

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